アタシがここに居ついて何百年経つだろうか…。
人が人となる昔からこの土地に根付いてきた。
遠い場所三ツ首龍と黒い龍が争っていると聞いたが別に興味は無い…。
やがて人間がこの土地に現れてここで暮らすようになった。
奴らは私を化け物と恐れていた…。
豪雨や落雷をアタシの怒りなどと言って恐怖の対象にしてきた…。
別に構わなかった…。
こっちに何かしなかったら別になんと言われようとどうでもよかった…。
そして豪雨や落雷の度に人間はアタシの怒りを鎮めるとして巫女に唄を歌わせた。
余計なことを…と最初は思っていたが、やがてあの唄が心を和ませてくれることに気付いた。
それから時は経ち、人間たち同族同士で殺し合いを始めた。
居付いた山の麓でも殺し合いを始めた。
最初は興味は無かった。
人間が何人死のうとどうでもよかった。
そう思っていた…あの子の唄を聞くまでは…。
麓と山の間にある母屋の中からのあの唄が聞こえてきた…。
きっとあの巫女の子孫だったのかな…。
麓で守るように戦っている人間たちが負けたらあの子はどうなる…?
殺されるのか…?
嫌だ…あの唄が聞けなくなるのだけは嫌だ…。
邪魔な人間、みんな消えろ!!
攻めていた人間たちを全部落雷で吹き飛ばした。
人間は脆い、あの一撃でほとんどが死んだ…。
一度は逃げて行ったがまた攻めてきた。
その都度あの子は唄を歌い、アタシは攻めてきた人間たちを殺した…。
いつしか攻めてくる人間たちは来なくなり、その子を含めた人間たちはこの地に根付いた。
それからというもの、今度は人間たちはアタシを守り神として崇め毎年唄を捧げるとしてあの子を巫女として歌わせた。
それがアタシにとっての唯一の楽しみとなった。
ある日、アタシが人の形となって水浴びをしているとあの子に出会ってしまった。
その時は逃げたが、あれからあの子は毎日のように顔を出すようになった。
少し驚かそうと本当の姿で、大声を上げたけど、あの子は驚くどことか、アタシに近づいてきて言った。
姫「ありがとう、私を…私たちを守ってくれて」
たった一言そう言っていた。
その一言が人が今の姿になる前から生きてきて、どこかで虚無感を感じていた私の心を満たしてくれた。
それからアタシはあの子とよく遊んだ。
いつもの姿から人となっても驚かずにアタシを受け入れてくれた。
毎日が凄く楽しくって、キラキラしていた。
でも、そんな日は長く続かなかった…。
あの子のいる村に今までにないくらいの大群が攻めてきた。
私は丁度、その村から離れていたから異変に気づけなかった。
異変を動物たちから聞いて急いで戻ってくれば、村は焼かれ、村人はほとんど殺されていた。
それを見たアタシは火の手が回り、赤く燃える山の中に入り、あの子を探した。
あの子とよく遊ぶ開けた場所に着いて見つけた。
急いで駆け寄るけど、刀傷が深く、血がいっぱい出て地面が血の海みたいになっていた。
どうしたらいいのか分からないでいるとこの村と山を焼き払った奴らの声が遠くからだけど聞こえてきた。
殺してやる…アタシから大切で、大好きな居場所を奪う奴らを!
…そう思っていた時、体が動かなくなった。
体を見ると石から光の帯が伸びてアタシを縛っていた。
それを操るようにあの子が手を光らせていた。
姫「アナタの力はこの時代では強すぎる…いつかアナタと心を通わせられる者が現れるまで眠ってほしい…」
嫌だ…。
嫌だ嫌だ…。
嫌だ!
ようやく…ようやくアタシの居場所が見つかったのに…。
こんな…こんな風に別れるなんて嫌だぁ!!
私の訴えも虚しく、アタシはあの石に吸い込まれて封印されてしまった。
それから幾年流れたのか、アタシは再びこの世に蘇った。
目の前にいたのは髪の色が違うけど、あの子と同じ顔で、桃色の髪をした女の人だった。
あの人はアタシを見て少し驚いてはいたけど、怖がったり、毛嫌いすることなくあの子みたいに受け入れてくれた。
なんだか、凄くて慣れてる…。
現世はアタシが眠らされて800年以上は過ぎていた。
見たことない建物、外国人、食べ物…。
特に黄色くて上が少し茶色をした甘菓子は一番好きだ。
全部があの時代よりも進歩してすっかり変わってしまったが、ここは紛うことなきアタシとあの子が住んでいた村だった。
そんな村に見たことの無い怪物…いや、怪獣っていう奴らが現れた。
まだ力が元には戻ってないけど、アタシが戦わないといけないと思った。
全力じゃなくても簡単に倒せた。
その後、怪獣を操ってるっていう奴が来たが、あの人とアタシは追い返した。
翌日、今度は3体の怪獣が現れた。
多分、昨日来た奴が出したんだろう。
アタシはまた戦うために変身する。
でも、亀みたいな奴のガスを吸ったら体が痺れ、緑色の奴に地面が沼みたいにされて足を取られ、攻撃しても角がある亀の能力で無力化されてしまい意識を失ってしまった。
気を失ってる間、アタシはあの子との思い出を夢見ていた。
違うのは分かってた…。
あの桃色の人が、あの子じゃない事も…。
でも、似ていた…。
顔だけじゃない…。
あの人から聞こえてくる胸の歌が…。
あの子と…。
だから守りたい…。
もう二度と、アタシの目の前で失わせる訳にはいかないから…。
だから!!
大好きな人と、一緒にいたいから!!
力を取り戻して、アタシとあの人、マリアは反撃に転じて首謀者と怪獣たちを撃破した。
……アタシはこの時代で見つけたよ。
お前が言ってた、私の力を正しく使えるように導いてくれる…優しい女性が。
だから、見ていてくれ。
アタシが認めた女性と歩む、その姿を。
マリア「とんだ休暇になったけどかなり楽しめたわ」
トランクに荷物を纏めながらマリアは今回の事件を振り返っていた。
ホロ「ウォウ…ウォウ?」
荷物を纏めているマリアを見てホロは何をしているのかと聴きながら首をかしげていた。
マリア「もう休暇が終わったから帰るのよ。しばらくは来れなくなるわ」
ホロ「………」
マリアの言葉を聞いて御別れになるのかと思い、落ち込んでいた。
マリア「何落ち込んでるのよ。ホロも一緒に来るのよ」
ホロ「!」
"一緒に来る"っと聞いてホロはピクンっと反応したのか耳が立った。
マリアがこう言ったのには理由がある。
ホロは怪獣であるホロボロスで、出会ったばかりのガウみうに現代にまだ慣れていない。
1人にすれば生きていけれそうにないため、マリアが独断ではあるが、面倒を見ることにしたのだ。
マリア「ほら、もう荷物まとめたからチェックアウトしてバスで帰るわよ」
ホロ「ウォウ!!」
嬉しそうにして立ち上がったマリアに狼形態となって飛び付き、顔を舐め回した。
マリア「ちょっ、こら!顔を舐めないの!!」
舐め回されてマリアはまんざらでもない顔をしていた。
するとポケットに入れていた通信機の着信音が鳴り出した。
マリア「あ、はい、こちらマリア」
ホロを降ろして通信機を取り出して応答する。
弦十郎『マリアくん!緊急事態だ!』
マリアが応答すると焦った声で弦十郎が言う。
マリア「どうかしたの?」
弦十郎『緊急なので手短に言うが、至急救援に来てくれ!』
マリアの質問に弦十郎が言ったのと同時に爆発音が聞こえてきた。
マリア「何があったの!?」
爆発音が聞こえてマリアもただ事ではないと確信して聞く。
弦十郎『響くんたちが現在機械の怪物と交戦中!かなりの数で苦戦している!至急応援に…』
藤尭『司令!リルくんが!』
現状を伝えていた弦十郎に奥から藤尭の声が聞こえてきた。
?『必殺・あしゅらプレス!潰れてしまえ、怪獣王!』
ミレニアムゴジラ『ゴギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!』
男と女の声がしたかと思いきやミレニアムゴジラの悲鳴が聞こえた。
響『リルくん!こんの!』
ミレニアムゴジラがやられているのを見たのか、響の声が聞こえてきた。
翼『待て立花!』
未来『響、ダメ!』
?『響さん!』
?『一人で無茶は!』
?『アカン!』
ミレニアムゴジラを助けに行こうとする響に翼と未来に加えて翼によく似た声の少女を含めた3人の少女たちの声が聞こえてきた。
?『させるか、喰らえ!鉄十字ガス!!』
『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!』
響たちに向かって新たな男の声が聞こえて来て攻撃したのか爆発と悲鳴が響いてきたのと同時に通信が途絶えた。
マリア「司令!?みんな!?」
通信が途絶えてマリアは叫ぶがノイズ音しか返ってこなかった。
マリア「ホロ、予定変更よ。マッハで戻るわよ!」
ホロ「ウォウ!」
ホロの方を見てマリアは叫び、ホロは頷いたのだった。
急いで仲間の元へ向かうマリアとホロを見守るように見ているうっすらとした姿の少女が木の枝に座ってみていた。
その少女はマリアをホロが封印されていた墓石に導いた少女、白銀の髪をしたマリアそっくりの顔をした少女は嬉しそうにしていたのだった。