戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第290話 響と少女4

八紘に案内された響たちは二課に似た施設に案内されていた。

 

響[ここは、ほとんど昔の二課と変わらないね]

 

クリス[施設の見た目だけはな]

 

再びこそこそと小声で話す響とクリス。

 

翼「…という事情で、私たちはこの並行世界に発生した異常の原因を究明するためにやって来たのです」

 

八紘「…なるほど、な。にわかに信じがたいが……実際に目の前で見たことを否定しても始まらないだろう」

 

翼から事情を聞いた八紘はシンフォギアとゴジラを見て納得していた。

 

翼「ご理解頂けて助かります」

 

八紘「しかし、先ほどの物がシンフォギア・システムか。諸君の世界では我々日本が完成させていたとはな。それに空想の産物であった怪獣が実在し、その王が人類と共に世界の異変に立ち向かっているのか」

 

翼「こちらの世界では違うのですか?」

 

八紘「我々の世界では、シンフォギア・システムをF.I.S.が完成にこぎ着けた。そもそも、そちらの櫻井理論にあたるものが米国の研究者によって提唱され、開発された代物だからな。それに怪獣はテレビや映画の中でしか存在しいからな」

 

響「それじゃ、ここには装者や怪獣はいないんですか?」

 

八紘の言葉を聴いて響は聞き返した。

 

八紘「うむ。現在、装者と呼ばれる存在や怪獣などの巨大生物はいない。だが、それは日本だけに限らない。いまや世界のどこにもな」

 

翼「どういうことですか?」

 

八紘の言葉に翼は聞いてきた。

 

八紘「怪獣はさっきも言った通り、フィクションの中の存在。シンフォギアはかつて米国で実践投入があったが、さしたる戦果を上げぬまま、黒いノイズによって討たれてしまったのだ。以来、シンフォギアの有用性に疑問が呈され、後続の開発も中止されたと聞く」

 

響「装者が…カルマノイズに?」

 

クリス「おい。その装者って、もしかして…」

 

響「もしかしてマリアさんたちじゃ…その人たちの名前を聞いてもいいですか?」

 

カルマノイズに倒されたF.I.S.のシンフォギアと聞いてマリアたちではないかと心配する。

 

八紘「ティナ・ウィートリーという名前だ。もう、何年も昔のことだがね」

 

響「そうなんですか……よかった…って言っちゃいけないですよね。この場合」

 

クリス「まあ、気持ちはわかるけど、人が1人死んでるわけだしな……」

 

マリアたちではなかったのは喜びたいが人が1人死んでしまっていると聞いて喜べなかった。

 

翼「あの、カルマノイズ…いえ、黒いノイズは何体ぐらい確認されているのですか?」

 

八紘「これまでで複数個所での同時発生は報告が無いから、おそらく1体だろう」

 

響「それじゃあ、現状はさっき出会った1体だけってことですね」

 

現在現れているカルマノイズがさっき出会った1体だけと聞いて安心する。

 

以前は2体同時に現れてかなり苦戦したからだ。

 

クリス「だったら、今度出現したら速攻でS2CA使って倒せば解決だな」

 

翼「だが、この世界には他にも脅威がある。あのオートマシンというのは何ですか?先ほどの戦い、何とか退けたものの厄介な敵でした」

 

響「私たちもガウくんもノイズやカルマノイズ…あの黒いノイズとは戦ってきましたけど…」

 

クリス「あんなロボットみたいなのは見たことなかったな」

 

オートマシンのことを聞いてクリスは言う。

 

八紘「初めてあれが観測されたのは数年前、米国でのことだった。それ以降、徐々に目撃例が増え、その活動域も年々各国に広がっている」

 

翼「これまではどのように対処を?」

 

八紘「幸いノイズのようにこちらの物理攻撃が全く効かないわけではない」

 

クリス「奴らに位相差障壁が無いってことか」

 

八紘「ああ。だが銃弾も遠さぬ程の強度と一糸乱れぬ軍隊の如き動きも相俟って、ある意味ノイズ以上の人類の難敵と言えるだろう」

 

響「みなさん、ギアも無しにあれと戦ってるんですか?」

 

オートマシンやカルマノイズとシンフォギア無しに戦っているのではないかと聞く。

 

八紘「戦っていると言えれば、だがね」

 

意味ありげに八紘は呟く。

 

翼「オートマシンが特定個人を狙うようなことはあるのでしょうか?」

 

遠回しオートマシンが少女を狙っているのではないかと聞く。

 

八紘「いや、今のところそういった前例は無いが…質問の意図を聞かせてもらっても?」

 

翼「はい。先ほどの戦闘中、オートマシンがあの少女を狙っていたように思えました。その理由に何か心あたりがおありなのでは、と…」

 

八紘「いや、特に思い当たらないな」

 

翼「そうですか…」

 

八紘「ともあれ、偶然の出会いとはいえ今日は助かった。君らも疲れたことだろう。特にあの怪獣王の彼は。こちらで宿泊所を手配している。遠留中はそちらを自由に使ってくれ」

 

宿所を手配していると言う八紘。

 

翼「はい。お言葉に甘えさせて頂きます」

 

響「ところで、あの子とガウくんは?」

 

今頃ながら少女とガウがいないことを聞いてくる響。

 

八紘「怪獣王は先の戦闘で尻尾にオートマシンの部品が刺さってしまったらしく手当をさせてもらっている。少女は今のところ身元も分からず、君からも離れたがらないのでな。できればしばらくの間、君が一緒にいてやってくれるとありがたいのだが」

 

響「分かりました!任せてください」

 

クリス「おいおい。子供のお守りなんて簡単に引き受けて大丈夫か?」

 

響「ガウくんやリルくんで経験してるからへいき、へっちゃら、だよ?」

 

2人のチビッ子(皆さん忘れているかもしれないがガウはキングギドラ戦にて約1億3000万にタイムスリップしてそこから永きに渡り、火山の中で眠って帰って来たので1億3000万と70歳を超えているからチビッ子と呼んでいいのか…)を育ているので響は自信満々だった。

 

クリス「まーたそれかよ…」

 

響の言葉に呆れるクリスだった。

 

翼(それにしても、いったいこの世界では何が起きているというのだ?推測するにも如何せん情報が足りなすぎる。しばらくは情報を集めるしかないか…それにしても、ガウのハリセンは強烈だな……)

 

ハリセンで殴られた跡に出来たたん瘤(誰にも気付いていない…あ、違う。みんな気付いていないフリをしているだけだ)を擦りながら思うのだった。


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