戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第291話 閉ざされた心1

翌日、響とガウは少女の精密検査の付き添いで施設の医療室の前で待っていた。

 

響「ずいぶん念入りに検査してる。何をそんなに調べて…」

 

ガウ「がう~…」

 

窓越しにてベッドで寝かされて検査をうけている少女を見る響とガウ。

 

少女「……ぁ…ッ!………ッ!?」

 

うなされているのか少女は苦しんでいた。

 

響「…すごくうなされてる」

 

ガウ「がう」

 

心配そうにして見守る2人。

 

響(こんな病院の検査服みたいなのを着て、小さな子が森の中を1人で何してたんだろう?森も周辺の街にも親御さんらしい人はいなかったっていうし…)

 

響「君はいったい、どこからきたの?」

 

響(私たちの世界で未来と助けたあの女の子そっくりだし…)

 

響「あ…そう言えば。あの時の子も最近、夢でうなされてるって、お母さんが言ってたっけ?」

 

自分たちの世界にて出会った少女の母親の言葉を思い出す。

 

響(並行世界側の出来事と私たちの世界の出来事…関係ないようでどこかで繋がってる時もあるって…もう1人の私の時もそんなことあったっけ…)

 

『陽だまりを無くした響』のいる響と響が干渉しあって一時的に並行世界の響の感情が響になだれ込んだことを思い出す。

 

響(あの時は未来が助けてくれったんだよね……この子の症状が私たちの世界のあの子にも影響してるかは分からないけど…でも、約束したんだ。あの子に。絶対助けるって。だから…君たちのこと、絶対助けるから!)

 

響「ん?」

 

決心していると響の隣にいたガウが尻尾を弄っていた。

 

しかも昨日の戦いで負傷して包帯が巻かれている箇所をだ。

 

響「どうしたの、ガウくん?痒いの?」

 

尻尾を弄っているガウを見て響は聞いてきた。

 

ガウ「がうがうがう」

 

聞かれたガウは首を横に振って何でもないと答える。

 

すると少女がベッドから起きて、検査していた医師の話を聞いて響たちの方へ歩いてくる。

 

響「あ、検査終わったのかな?」

 

検査が終わったのか響は少女の方へ向かって行く。

 

 

 

友里「メディカルチェックの結果が送られてきたみたいね」

 

藤尭「へー。どれどれ」

 

発令室にてこの世界の友里と藤尭は送られてきた少女のメディカルチェックの結果を見ていた。

 

友里「女の子のデータをじろじろ見ないの」

 

藤尭「そんな理不尽な、あくまで仕事だよ」

 

友里「もう、仕方ないわね」

 

仕方なく友里は藤尭にも結果を見せる。

 

藤尭「やれやれ…ってこ、これは!?」

 

友里「…えっ…まさか!?」

 

結果を見て2人は驚いて目を見開いてしまった。

 

八紘「騒がしいな。何があったかな?」

 

そこへ八紘がやって来て2人に聞いてきた。

 

友里「司令っ!あの子の検査結果なんですが。これを…」

 

八紘に少女のメディカルチェックの結果を見せる。

 

八紘「なんだとっ…これは!?」

 

結果を見て八紘も驚いて声を上げる。

 

 

 

八紘が手配した宿泊所の部屋のリビングにて翼は起床して朝のテレビを見ていた。

 

クリス「ふわぁ~。よく寝た。あれ、あのバカとガウは?」

 

ようやく起きたクリスは響とガウがいないことに気付いて翼に聞いた。

 

翼「なんでもあの子のメディカルチェックがあるとかで朝早くからガウと二課へ付き添いに行ったようだ」

 

クリスに聞かれて翼は理由を答える。

 

クリス「メディカルチェック?何かあるのか?」

 

翼「分からないから調べているのだろう」

 

クリス「そっか。で、身元は?」

 

翼「二課が身辺調査を行ったようだが、この国の戸籍にも渡航情報にも該当するものはないようだ」

 

少女の身元が依然分からないらしく翼は言う。

 

クリス「そんな正体不明の子供がどうしてあんなところに、あんな格好でいたんだろうな」

 

翼「さあな。オートマシンに狙われている理由にも関係するかもしれないが…」

 

クリス「分からないってか。本人に聞けばいいんじゃないのか?」

 

翼「それが出来れば早いのだがな…」

 

クリス「やっぱり、喋れないのか…」

 

翼「そのようだ。こちらの言葉は理解できているようなのだが……」

 

クリス「そっか…とりあえず、あのチビのことは置いとくとしてもだ。これから先、こっちでどうする?」

 

翼「この世界に現実的な脅威としてカルマノイズ、それにあのオートマシンが確認できている。ギャラルホルンのアラートはカルマノイズの存在に起因していると思われるが、それだけでなくオートマシンの存在も影響しているのかもしれないな。ともかく今は判断材料が不足しすぎている。当面はこちらの二課に協力しつつ、情報を集めなくてはな」

 

クリス「ま、結局それしかないか……」

 

今後の方針を聞いてクリスは呟く。

 

すると通信機のアラートが鳴った。

 

クリス「お、噂をすれば」

 

翼「どうした、立花?」

 

響『す、すみません、2人とも。至急二課に来てください!!』

 

通信に出ると慌ててしまっている響が出た。

 

翼「なんだかよくわからないが…」

 

クリス「急いだ方が良さそうだな」

 

慌ててしまっている響に急かされて翼とクリスは部屋を出た。

 

 

 

響たちが少女を保護した森の中に4人の人物が歩いていた。

 

1人目は大柄の男性。

 

2人目は細身の男性。

 

3人目は4人の中で唯一の女性。

 

?「どうやらここでオートマシンが殺られたようだな」

 

4人の中でリーダーらしき異様な雰囲気を出している人物が木に残された僅かな弾痕と刺さっている破片を見て言う。

 

?「お前ら、奴を呼び出せ。小娘を見つけたってな。それといつでも動けるようにしておけ、奴がオートマシンを出したら俺たちも行くぞ」

 

破片と弾痕を見て3人に指示を出す。

 

指示を聞いた3人はどこかへ歩いていく。

 

?「ノイズやオートマシンを倒せる人間か…俺たちガスドリンカーズの餌食にしてやるぜ」

 

怪しく笑いながら男性は戦うことを楽しみにしているよであった。


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