戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第292話 閉ざされた心2

響「あ、2人とも!」

 

発令室に来た翼とクリスを出迎える響だがいまだに慌てた状態であった。

 

翼「何があった?」

 

響「あの子のメディカルチェックの結果が出たんですけど……。えっと、そのッ…とにかく大変なんです!」

 

クリス「落ち着いて話せ」

 

落ち着かせようとするクリス。

 

響「そ、それが落ち着いてなんか!」

 

だがクリスの言葉を聞いても響は落ち着けなかった。

 

クリス「はあ…ガウ、頼む」

 

ガウ「がう!がうがう!!」

 

響「ふごっ!!」

 

クリスに言われて再びハリセンをどこからか出して響の後頭部にスマッシュを決めるガウ。

 

翼「何があったんですか?」

 

漫才をしている響たちをスルーして翼は八紘に聞く。

 

八紘「それがだ…。あの少女の体内から聖遺物に反応が確認できたのだ」

 

翼「なんですって?」

 

クリス「おい、それって…まさか……」

 

体内から聖遺物、それを聞いてクリスと翼は思い当たる節があった。

 

翼「聖遺物との…融合症例……?」

 

響「……そうみたいなんです」

 

聖遺物との融合症例…それはかつて響が経験した症例で、奏のガングニールの欠片が響の体内に入ってしまい危うく命を落としかけたことがあったのだ。

 

八紘「反応のパターンをデータベースにしょうごうしたところ、該当する聖遺物があった」

 

翼「それはいったい…?」

 

八紘「ヤントラ・サルヴァスパだ。かなり前に研究のためにF.I.S.へ貸与した物なのだが…」

 

響「それって、どこかで聞いたような…?」

 

『ヤントラ・サルヴァスパ』と聞いて響は何か思い出そうとする。

 

翼「深淵の竜宮に保管されていた聖遺物だ。私たちの世界ではチフォージュ・シャトーを完成させる鍵としてキャロルに狙われた」

 

クリス「確か、あらゆる機械を制御できるっていう聖遺物だよな」

 

響「そうでしたね……」

 

翼とクリスに言われて思い出す響。

 

八紘「しかし我々日本が発見した際、風化が激しくとても使用できる代物ではなかった」

 

翼「貸与後の研究については?」

 

八紘「F.I.S.側の機密のため内容は一切知らされてなかったが……まさかこんな研究を行っていたとは……」

 

まさか幼い少女に聖遺物を埋め込む実験などをしていたとは八紘自身もかなり動揺していた。

 

響「それじゃ、あの子は……」

 

八紘「うむ。十中八九、F.I.S.の被験者だろう」

 

クリス「人体実験かよ…胸くそ悪いな」

 

ガウ「がうがう」

 

幼い少女を使った実験にクリスは言い、ガウは人間のやることは本当にどうしようもない輩がいるものだと言う風に鳴く。

 

翼「そのような境遇の子共が何故1人であの森の中を彷徨っていたんでしょうか?」

 

八紘「そこまでは分からん」

 

響「あの子はこの後、どうなるんですか?」

 

このままF.I.S.に送り返されるのかと思い、響は聞く。

 

八紘「状況が分からぬ以上、F.I.S.に送り返す訳にもいかない。当面は我々で保護するしかあるまいな」

 

翼「ノイズにカルマノイズ、オートマシン、そしてその子の謎…。現在の二課には対応しなければならないことが多すぎます。微力ながら私たちもしばらくこちらに留まり、お力になれればと思いますが如何でしょう?」

 

八紘「そうしてもらえるなら、こちらとしてもありがたい」

 

翼の提案に八紘は言う。

 

クリス「あのチビもこいつとガウに懐いてるみたいだしな」

 

響「うん…」

 

響(F.I.S.の被検体…聖遺物の融合症例……助けてあげなきゃ、絶対に)

 

少女を絶対助けると誓う響。

 

その時、発令室に警報音が鳴り響いた。

 

藤尭「ノイズの反応を検知!」

 

クリス「早速お出ましか」

 

翼「ここは私たちが」

 

八紘「すまない、頼んだぞ」

 

翼「はい」

 

出撃するために翼たちは発令室を出る。

 

 

 

現場には数十体のノイズが人々を襲っていた。

 

「うわああああああああああっ!!」

 

カエル型のノイズが男性に飛びかかった時だ。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

雄叫びと共にゴジラの足がカエル型のノイズを踏み潰して消滅させた。

 

「か、怪物…」

 

ゴジラの姿を見て男性は膝を着く。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

だがゴジラは男性に気付いていないのか放射火炎を発射して辺りにいたノイズを消滅させる。

 

「た、助けて…くれた?」

 

ノイズを倒したゴジラを見て男性は唖然とする。

 

響「大丈夫ですか!」

 

そこへギアを纏った響たちが駆けつけてきた。

 

翼「ここは私たちに任せて早く避難を!」

 

「は、はい!」

 

翼に言われて男性は立ち上がってすぐに走って避難した。

 

そんな男性をフライング型のノイズが狙って旋回する。

 

クリス「やらせるかよぉ!!」

 

旋回するフライング型のノイズにクリスがガトリングガンで弾幕を張って撃ち落とした。

 

翼「カルマノイズやオートマシンはいないようだな」

 

響「なら今のうちに全部やっつけましょう!」

 

クリス「賛成だ!行くぞ!!」

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

4人(3人と1体)はノイズに向かって行く。

 

ノイズも響たちを倒そうと向かって行く。

 

そんな両者の戦いをビルの屋上から見ている者たちがいた。

 

森で弾痕を見つけたあの4人組だった。

 

?「あれがシンフォギアか。なかなか面白そうだな」

 

リーダー各の男性は響たちを見て呟く。

 

?「ま、今度会うときまで楽しみにしてるぜ」

 

聞こえないのを知ってて男性は響たちに言うのだった。

 

ゴジラ「グルルルル?」

 

気配に気付いたのかゴジラはビルの屋上を見るが4人組はすでに姿を消していた。

 

ゴジラ「グルルルル…ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

気のせいだろうと思いゴジラはノイズとの戦闘に戻るのだった。

 

町に現れたノイズは響たちの活躍により全て倒されたのだが、いまだ真の戦いが起きる前座でしかないことを彼女たちはまだ知らないのである。


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