戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第294話 閉ざされた心4

オートマシンとガスドリンカーズの一件から引き上げた響たち。

 

響、翼、クリスは八紘の報告へ二課に、ガウは少女を安心させるために一足早く部屋に帰っている。

 

八紘「あのオートマシンに対抗できるとは、流石はシンフォギア装者と怪獣王だな。何はともあれ我々の世界のために身を賭して戦ってくれたこと、心より感謝する」

 

翼「いえ、そんな。私たちは……当然のことをしたまでで……」

 

クリス「それはいいんだけど。これまでノイズやオートマシンが出た時はどうしていたんだ?」

 

響「あ、それは私も気になってました」

 

八紘「以前話したように、米国でシンフォギアの運用が行われたことはあるが…現状、それ以外ではノイズに有効な手段は無い。そしてオートマシンに対しても同様だ」

 

クリス「それじゃ、やっぱり……」

 

八紘「ああ……今の我々にできることは避難誘導と、その為の時間稼ぎくらいに過ぎん」

 

クリス「まあ、あんな化け物相手に通常兵器だけじゃ、そうなるよな……」

 

八紘「だからこそ、君たちの力は非常に助かる」

 

翼「『今の我々に』はっということは将来的にはなんらかの対策の目算があるのでしょうか?」

 

八紘「……ある、とまだ現段階では断定できないが、可能性はある」

 

翼「それは一体?」

 

八紘「それについては機密事項だ。すまないが聞かないでほしい」

 

クリス「おいおい。こっちは命張って協力してるのにか?」

 

翼「雪音!」

 

追求しようとするクリスを翼が制止する。

 

クリス「……分かったよ」

 

制止されたクリスは引き下がる。

 

翼「失礼しました」

 

八紘「いや、こちらこそすまない。協力してもらっていながら開示できぬこと、許してほしい」

 

クリス(ったく、親子揃って石頭だな。世界は違うけど、なに親子で堅っ苦しいことやってんだか)

 

翼「だがこれだけは聞かせてください、ガスドリンカーズという連中は何者ですか?」

 

ガスドリンカーズのことだけでもと翼は聞く。

 

八紘「それについては我々も知らない。ガスドリンカーズなる組織もそのメンバーも素性もだ。すまない」

 

翼「つまりは新たな敵っということですか…」

 

オートマシン、ノイズ、カルマノイズだけでも厄介なのに新たにガスドリンカーズが加わってしまい、状況はかなり悪化しているのを感じる。

 

クリス「ともかく、チビの所に行く前に一度S.O.N.G.に戻るか。今の状況を伝えた方が良いだろうし」

 

響「……うん。融合症例のことも話したいし」

 

クリス「よし、先輩もそれで良いか?」

 

翼「………そうだな、それが良いだろう。こっちのことはガウに任せておけば大概のことは1人で対処できるからな」

 

響「すみません。あの子とガウくんのことをお願いしてもいいですか?なるべく早くも戻るようにするので」

 

八紘「ああ、構わない」

 

響「ありがとうございます。それでは失礼します!!」

 

一旦、元の世界に戻ることになって響は足早に発令室を出る。

 

八紘「…………」

 

翼「それでは私たちもこれで」

 

クリスと共に翼も発令室を出る。

 

八紘「ああ。ご苦労だった」

 

少し、申し訳なさそうな意味を込めた八紘は言う。

 

翼(お父様のあの顔…何かもっと重要なことを隠している?いや、考えすぎか……)

 

八紘の態度に翼は少し不可解さを持っていたが直ぐに否定した。

 

八紘「あれの完成はもうすぐ…か。信じていいんだな、オズワルド……」

 

『オズワルド』っと呼ばれる人物の名を口にして八紘は言う。

 

 

 

ガウ「……」

 

少女「……」

 

一足先に宿泊所に戻ったガウは響たちから一度S.O.N.G.に戻ると聞いてガウは少女と2人っきりになっていた。

 

少女「………」

 

少女はゴジラザウルスの琥珀をガウに返却しようと出してきた。

 

ガウ「がう?がうがう、がう~」

 

出された琥珀をガウは受け取らず、そのまま少女の手で包ませた。

 

これはもう、君のもだよっとガウは言っているのだ。

 

少女「……」

 

ガウに言われて少女は再び、手を開けて琥珀を見て優しく握った。

 

ガウ「がう…がうがう?」

 

琥珀を少女にあげてガウは何かしようとリモコンを手に取ってテレビを見るかと聞く。

 

少女「……(ふるふる)」

 

首を横に振って嫌がる。

 

ガウ「がう」

 

今度はお菓子を出して食べるか聞く。

 

少女「……(ふるふる)」

 

また首を横に振って嫌がる。

 

ガウ「がう、がうがうがうがう?」

 

嫌がる少女にガウは何がしたいのかと聞く。

 

少女「………」

 

聞かれた少女はガウに近づくと抱き着いた。

 

響と同じくこうしていると落ち着くのだ。

 

ガウ「がう、がうがう」

 

抱き着いた少女にガウも抱き着いてこのままでいることにした。

 

 

 

とある研究所にガスドリンカーズの面々がいた。

 

ヴォルガーは1人用のテーブルセットでウォッカを飲み、ジーンは爪の手入れ、ブランデルとウインスキーはトランプをしていた。

 

そこへスーツを着た1人の男性がやってきた。

 

?「とんだ失態をしてくれたな」

 

ヴォルガーに向かって男性は言う。

 

言われたヴォルガーは飲んでいたウォッカの瓶を机に置くと立ち上がって男性を見た。

 

ヴォルガー「そうは言うがな旦那。あんなガキがいるとは聞いてないぜ」

 

ヴォルガーの言うガキとはガウのことだ。

 

?「私だって知らなかった。あんな化け物がいるとは」

 

ヴォルガー「ふん。そうかい。だったら成功報酬は2倍頂くぜ、あんな化け物が護衛に着いてんだそれくらい貰わなーとな」

 

?「分かった。そっちはそっちのやり方で頼む。私は私のやり方で鍵を手に入れる」

 

そう言って男性はその場を去っていく。

 

ヴォルガー「了解だぜ」

 

男性を見送ってヴォルガーは瓶を持つと残っていたウォッカを一気に飲み干して地面に叩き付けて割ったのだった。


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