その日、響は少女とガウに勉強を教えていた。
響「これがヒ、ビ、キ。ヒー、ビー、キ」
少女「……?」
意味がわからないのか少女は首を傾げる。
響「私の名前。わかる、名前って。私が私だよって!伝える言葉」
少女「……(こくり)」
名前の意味は分かるらしく少女は頷いた。
少女「…………」
少女は翼の方をじーっと見る。
翼「な、なんだ?」
見られた翼は何事かと思う。
響「あっちのお姉ちゃんの名前?あの人はねー…ズバババーンだよ」
翼「立花ッ!!」
響「冗談ですよ。あのお姉ちゃんの名前はツ、バ、サ。ツー、バー、サ。すっごく強くて格好いいんだよ?」
翼「………な、なんだか照れるな」
冗談を言われながらも翼は言われて照れていた。
少女「…………」
次に少女が見たのはクリスだった。
響「あっちのお姉ちゃんは、ク、リ、ス。クー、リー、ス。クリスちゃんッ!」
少女「…………?」
「ちゃん」の意味が分からないのか再び首を傾げる。
響「ああ、「ちゃん」って言うのはね。えーっと、可愛い子って意味かな?」
自身も意味がわからないから響はテキトーに言う。
クリス「おい!可愛いとか言うな!」
ツッコミを入れるクリスは怒って声を上げる。
少女「…………ッ!?」
クリスの怒った顔と声に驚いて少女は響とガウの後ろに隠れた。
響「アハハハ…たまにこんな怖い顔をするけど、とっても優しいんだよ?」
クリス「っとに恥ずかしげもなく…背中がムズ痒くなってくるだろうが」
クリスも恥ずかしくなってしまっていた。
少女「…………」
最後に少女が見たのはガウだった。
響「この子はね、ガ、ウ。ガー、ウ。ガウくん!」
少女「………?」
今度は「くん」に反応する。
響「「くん」も「ちゃん」と似たいような感じかな。ただ男の子につけるってだけだからね」
またもテキトーに言う。
ガウ「がうがう~♪」
クリスと違いガウは怒ったりせずに笑いながら鳴く。
響「いつもはこんな姿だけど悪い人と戦う時は正義のヒーローになるんだよ」
ゴジラの姿を説明する響。
ガウ「がう~/////」
ガウも流石に恥ずかしくなってしまっていた。
響「それじゃ、今度はあなたの名前、教えてくれるかな?」
少女「…………?」
響に言われて少女は自身を指差した。
響「そう、名前。あなたがあなただよって、言葉」
少女「……………」
聞かれた少女はノートに書き始めた。
響「えーっと、なになに?s…h…わぁ、英語書けるんだ」
英語を書いている少女に響は驚く。
少女「……(こく)」
英語が書けると言われて少女は頷いて綴りを書く。
響「a…r…o…n…え、えーっと、ハロ…?」
クリス「全然違うだろ……。『Sharon』……『シャロン』って読むんじゃないか?」
シャロン「……(こく)」
クリスの解釈が合ってるのか少女―『シャロン』は頷いた。
響「シャロンちゃんッ!?そっかー、シャロンちゃんっていうのかー…よろしくね、シャロンちゃん!」
ガウ「がうー!」
名前を教えてくれたシャロンに抱きつく2人。
シャロン「………ッ!?」
抱きつかれたシャロンは驚くが直ぐに落ち着いたのだった。
響たちが名前を教えあっている時、八紘は街で誰かを待っていた。
八紘「来たか」
向かってくる車を見つけて八紘は来訪者を迎える
黒服A「問題なし」
黒服B「…どうぞ、お降りください」
車が止まると黒服の男性らが降りて異常がないか確認して言うとヘリから1人のスーツを着たら男性が降りてきた。
?「ご苦労」
スーツを着た男性は黒服の男性らに言って車から降りる。
八紘「よく来たな。オズワルド」
オズワルド「久方ぶりだな。八紘」
八紘と男性―F.I.S.の機関NEXT所長『オズワルド』は固く握手する。
オズワルド「見ぬ間に随分と老けたものだな」
八紘「それはお互い様だ。F.I.S.…いや、NEXTでの研究はどうだ?」
オズワルド「ああ、やっと目処が立ったところだ」
冗談混じりを言いながらも2人の仲が良さげであった。
オズワルド「あとひとつ…鍵さえ手に入れば、それで……」
八紘「鍵?」
オズワルド「ああ、だがこれは難しい。鍵を完成させるのが当面の目標だな」
八紘「研究で多忙のお前がわざわざ日本に来たのは、なにも旧交を温めるためだけではあるまい?」
オズワルド「そんなところだ。だが込み入った話を街中でするのはどうかと思うがね?」
八紘「すまんな。では本部へ案内しよう」
重要な話があるらしく八紘はオズワルドを本部へ案内する。
このオズワルドの来訪に新たな戦いの影が迫っていた。