戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第302話 響がいない日

翼「今戻った」

 

響「ただいま~」

 

ガウ「がうがう~」

 

しばらくして響たちが帰ってきた。

 

翼「留守番中、手間を掛けた」

 

クリス「なに。大人しいもんだって」

 

翼「どうやら、仲良く出来ていたようだな」

 

距離が縮まり、一緒に勉強しているクリスとシャロンを見て翼は言う。

 

クリス「……べ、別に仲良くってわけじゃ…ただのお守りだろ、お守り」

 

言われたクリスは少し恥ずかしくなって言う。

 

響「ただいまー、ごめんね、遅くなって」

 

ガウ「がうがう~」

 

シャロン「……ッ!!」

 

響とガウを見てシャロンは足早に2人のとこへ来た。

 

響「なあに、シャロンちゃん」

 

ガウ「がう」

 

来たシャロンに言う2人。

 

クリス「なんだよ、帰ってきたらそっちがいいのかよ」

 

翼「フフ。やはり立花とガウには勝てないか」

 

少し残念がるクリスに翼は言う。

 

クリス「で、親父さんの話ってのはなんだったんだ?」

 

2人が呼び出された理由を聞く。

 

翼「主に、シャロンの融合症例について、経験者としての立花からの意見聴取だった。二課としても、治療の糸口を見つけたいようだな」

 

シャロンを治療しようと二課は努力していて、同じ融合症例を経験した響に聴取していたことを話す。

 

響「でも、私が覚えていることだけだとあまり参考にならなくて」

 

翼「一度、S.O.N.G.へ戻って聞いてくるのはどうだろか?」

 

クリス「この前聞いた感じじゃ、望みは薄いんじゃないのか?」

 

翼「直ぐに治すことは難しいかもしれない。しかし、何かヒントぐらいは得られるのではないだろか」

 

クリス「ヒントか…、確かにそれなら何かつかめるかもしれないな。つーか、ガウは何で呼ばれたんだ?」

 

ガウ「がうがう」

 

響が呼び出されたことの次にクリスが聞くとガウは『じぶんのさいぼー』っと書いた。

 

クリス「は?」

 

意味が分からないクリスは首を横に傾げる。

 

翼「実はガウの中にある細胞、オルガナイザーG1を提供してほしいとのことだ。もしかしたら治療に役立つかもしれないと言われてな」

 

クリス「オルガナイザーG1って確かガウとリルの中にしかない超万能細胞だろ?でもあれって…」

 

翼「そう、オルガナイザーG1はガウとリル以外の生物は制御できない。廃棄物13号の件があるからな。丁重に断った」

 

かつて自分たちの世界で起きた宇宙細胞が改良されて自己進化した『人工生物 廃棄物13号』がガウから超再生細胞『オルガナイザーG1』を吸収して生まれた『怪獣 オルガ』のことを言う。

 

廃棄物13号はガウからオルガナイザーG1を吸収したはいいが制御できずに凶暴化したのだ。

 

クリス「そうか。なんいしても、このまま指をくわえて見てるよりはいいか」

 

翼「では、一旦私たちの世界にもどるとしよう」

 

響「でも、シャロンちゃんとガウくんだけにするのは……オートマシンやカルマノイズもだけど、ガスドリンカーズやお父さんのこともあるし……」

 

翼「そうだな……では、その子の面倒は、一旦私と雪音が引き受ける。立花は戻って、何かヒントが無いか聞いてきてくれないか?」

 

響「え?私ですか!?」

 

一時、元の世界へ戻るのを響だけ戻るように言われて驚く。

 

翼「今回は、過去に同じようなことを経験している立花の意見が一番、参考になると思う」

 

クリス「…まあ、アタシらは周りでみていただけだしな」

 

響が融合症例で苦しんでいる時、翼たちは何もできなかったことを言う。

 

響「でも、それじゃシャロンちゃんが……」

 

シャロンが心配で言う。

 

シャロン「……」

 

シャロンも響がいなくなってしまうのが嫌なのか暗い表情になる。

 

ガウ「がうがう」

 

互いに離れたがならない2人に『じぶんがいるからだいじょうぶ』っとガウは書いて知らせる。

 

響「で、でも……」

 

翼「他ならぬシャロンのためだ。ずっと傍にいてやることだけが愛情ではないぞ?」

 

クリス「先輩が言うと説得力があるな」

 

翼「茶化すな、雪音」

 

響「……これもシャロンちゃんのためなんですよね」

 

翼「そういうことだ。早速いってくれるか?」

 

響「……わかりました」

 

翼に説得されて響は言う。

 

シャロン「………」

 

響「シャロンちゃん……ごめんね。少しだけ行ってくるからね」

 

シャロン「……(こく)」

 

響がそう言うとシャロンは頷いた。

 

クリス「そんな顔すんな。お前のいない間は、アタシと先輩とガウでちゃんと見てるから」

 

響「本当、お願いだよ?シャロンちゃんのこと……」

 

クリス「わかってる」

 

響「着替えの手伝いとか、歯磨きも大丈夫だよね?」

 

クリス「……ああ、そのくらい、任せとけ」

 

響「あ、それに寝てるときにお腹を出す癖が……」

 

クリス「ガウ、やってくれ」

 

ガウ「がう!!」

 

響「あう!」

 

全然いかない響にクリスが合図を出すとガウが三度どこからかハリセンを出すとハリセンススマッシュを繰り出した。

 

クリス「いいからさっさと行ってこい!!」

 

響「はい!それじゃあ行ってきます!!」

 

言われた響は急いで元の世界へ向かって行くのだった。

 

クリス「やれやれ。子離れできない母親かよ」

 

翼「情に厚い立花らしいといえばらしいが、な」

 

クリス「そうか?ちょっと行きすぎじゃないか?」

 

翼「まあ、少々な」

 

ガウ「がうがう」

 

未来と同じことを言うクリスと翼に『それが、ひびき』っとガウは書いて言う。

 

シャロン「………」

 

響のことを話している翼たちにシャロンは心配する。

 

クリス「別にアイツのこと悪く言ってるわけじゃないって。そんな顔するなよ」

 

翼「そうだな。少しばかり頑張りすぎじゃないかと心配しているだけだ」

 

シャロン「……」

 

クリス「ともかく、アイツが戻ってくるまでの間、よろしくな」

 

シャロン「…………(こく)」

 

響がいない間の4人の共同生活が始まるのだった。


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