戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第308話 苦渋の決断

オートマシンにより、カルマノイズを取り逃がしてしまった響たちはオートマシンたちと戦っていたが苦戦を強いられていた。

 

響「あああ!?」

 

翼「く!」

 

クリス「くそぉー!!」

 

オートマシンたちの攻撃で3人はダメージを負ってしまう。

 

翼「…2人とも……大丈夫か?」

 

よろよろと立ち上がりながら翼は聞く。

 

クリス「ああ、なんとかな……」

 

響「はい。まだ、やれます……」

 

翼(強がってはいるが、2人とも消耗が激しい……。特に立花はS2CAの反動がある……なんとか退路だけでも切り開かねば……)

 

2人の状況、特に響の消耗を見て翼はなんとか退路を確保しようと考える。

 

その時、3人の後ろからオートマシンたちに向かって蒼白い火炎が放たれた。

 

蒼白い火炎を喰らい、オートマシン数体は爆発する。

 

翼「この炎は!?」

 

火炎を見て翼は振り向いた。

 

ゴジラ「グ…グガ…ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

そこには右腕が完全に機械に成ってしまっているゴジラがいた。

 

響「ガウくん!?」

 

クリス「あのバカ、何でここに!?」

 

金色の雪の影響で衰弱している体を無理矢理動かして来たゴジラに驚く。

 

ゴジラ「グルルルル……ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

苦しい中で、ゴジラは雄叫びを上げて放射火炎を発射する。

 

発射された放射火炎を回避してオートマシンたちはゴジラに向かって行く。

 

翼(敵の包囲が崩れた!!)

 

翼「2人とも、ついてこい!」

 

ゴジラに向かって行くことで崩れたオートマシンたちの包囲を掛けていく。

 

クリス「先輩!?」

 

響「翼さん!」

 

急に言われて響とクリスは慌てて着いていく。

 

翼「はああああああああーーーーーー!!」

 

立ちはだかるオートマシン1体に翼は斬撃を繰り出して牽制するが効かない。

 

翼「せい!!」

 

それでも翼は続けざまに斬撃を繰り出した。

 

すると間接に斬撃が当たり、怯んだ。

 

翼(間接に当たった…?牽制程度のつもりだったものが?)

 

牽制のつもりで放った斬撃が間接に当たったことに不思議に思う翼。

 

響「翼さん、あぶない!!」

 

響に言われて翼は後ろから迫っていたオートマシンの攻撃を回避した。

 

翼「?」

 

攻撃を回避して翼は少し首を傾げた。

 

翼「は!!」

 

翼(気のせいか?急にオートマシンの攻撃がゆるくなったような…?)

 

回避してオートマシンに斬撃を繰り出して後退させながら不思議に思う。

 

翼(かといって、包囲を解くつもりはないようだな。こちらをいたぶっているのか…?いや。感情を持つ生物ならともかく、機械兵器が人間をなぶる理由などあるまい。もしや裏に、何者かの意図が…)

 

急に緩くなったオートマシンの攻撃だが包囲を解かないオートマシンの背後を考える。

 

響「あれは…シャロンちゃん!?」

 

戦いの最中、響はシャロンの姿を見つけた。

 

シャロンも響たちを見つけてヤントラ・サルヴァスパの力を発動させた。

 

クリス「馬鹿野郎ッ!アイツ、また力を!?」

 

響「シャロンちゃん?どうして!?」

 

使わないように言っておいたのに使ったシャロンに響たちはショックを受ける。

 

翼「話している暇はない!この機を逃すな!」

 

クリス「ああ!一刻も早く倒しきれッ!!」

 

響「う……うん!!」

 

ギアが変化して響たちは急いでオートマシンたちを倒そうと向かっていく。

 

変化したギアにより楽々とオートマシンたちを撃破する。

 

響「はああああああああーーーーーー!!」

 

響が最後のオートマシンを貫いて撃破した。

 

シャロン「……ッ!……ッ!…!!」

 

ゴジラ「グ…グゥゥゥゥゥ………」

 

戦いが終わってシャロンとゴジラは倒れてしまう。

 

ゴジラにいたってはガウに戻ってしまった。

 

響「シャロンちゃん!ガウくん!」

 

急いで2人に駆け寄る。

 

翼「シャロンはまた発作が起きてしまったようだ」

 

クリス「ガウに至っては体が右腕が……」

 

翼「金色の雪の影響か。すぐに2人を2課へ連れて行くぞ」

 

響「は…はいッ!!」

 

2人を抱えて急いで2課へ向かっていく。

 

 

 

響「シャロンちゃんとガウくん、助かりますよね?」

 

八紘「予断を許さない状況だ。正直、今の我々の技術力では手の施しようがない」

 

響「そ……そんな!?」

 

八紘「ガウは体の右腕が完全に機械化して尚もその侵攻が続いている。少女の方はこのまま発作が治まらねば、命の危険が……」

 

翼「何か打てる手はないのか……」

 

クリス「クソッ……アタシらが不甲斐ないばっかりに……」

 

不甲斐ないばかりに2人が倒れてしまったことに悔しがる。

 

友里「……司令」

 

八紘「なんだ?」

 

友里「その……オズワルド氏が面会を求めています」

 

八紘「……今取り込み中だ。まだ後で連絡すると……」

 

状況が状況だけに会っている暇はないと言っているとドアが開いてオズワルドが入ってきた。

 

オズワルド「失礼するよ、八紘」

 

八紘「事前にアポイントをとってくれと言ったハズだが?」

 

オズワルド「なに。不誠実はお互い様だろう?」

 

八紘「どういう意味だ」

 

オズワルド「落とし物を返してもらいに来たのだよ」

 

クリス「落とし物だと!?」

 

翼「よせ、雪音!」

 

シャロンを物扱いするオズワルドに食って掛かるクリスを静止する翼。

 

オズワルド「私の娘を君らが匿っているのは承知していた。なかなか便利だっただろう、あれは?だが、君らは説明書もなしに使って道具を壊す口かね?大分危険な状態に陥っているようだが」

 

クリス「テメェ!知ってて泳がせていたのか!?」

 

全て分かっていながら敢えて泳がせていたことにクリスは怒る。

 

オズワルド「そういうのを日本では逆ギレというのだったな。まったく、不条理なことだ」

 

煽るようにオズワルドは返した。

 

八紘「わざわざ煽るな、オズワルド」

 

オズワルド「これは失敬。ではNEXT所長として特異災害対策機動部二課司令、風鳴 八紘氏に正式に請求する。シャロンを返して頂きたい」

 

八紘「嫌だと言ったら?」

 

オズワルド「政治的問題に発展せざるを得ない…と忠告しておこう」

 

八紘「それは脅しか?」

 

オズワルド「解釈は任せよう。だが、あの子は父親である私が連れ帰る。これ以上の正当性はあるまい?」

 

クリス「どの面下げて父親だ!!」

 

オズワルド「選択肢はないハズだ。あの子の使い方を熟知しているのは私だけだ。このまま融合が進めば、あの子の命を墜とすだろう。それも遠い話ではない。全ては君らの責任だ」

 

翼「そ、それは……」

 

言われるがまま何も言い返せない。

 

確かにシャロンはオズワルドの娘、その娘を死なせたら責任は匿っていた八紘たちにある、だが死なせないようにするにはオズワルドの持つ薬がいるが、オズワルドは実の娘を物扱いしている。

 

そんなのに渡したくはなかった。

 

オズワルド「私だけがあの発作を抑える薬を処方できる。私だけがあの子を救えるのだ」

 

響「シャロンちゃん……」

 

オズワルド「……もはや、異論はないな?」

 

響(この人なんかにシャロンちゃんを渡したくない。きっとこの人は、またシャロンちゃんに酷いことをするに違いない。でも……でも、渡さないとシャロンちゃんが死んじゃうかもしれない……。今こうしている間のも、あの苦しみをシャロンちゃんは味わってるんだ……)

 

八紘「……わかった。少女を引き渡そう」

 

苦渋の決断をしてシャロンの引き渡しに応じた八紘。

 

響「ッ!!」

 

クリス「お、おい!?」

 

八紘「……少女の命を第一と考えるなら、彼の言う通り、我々に選択の余地はない」

 

翼「ですが!!」

 

八紘「すまない。だが、約束しろオズワルド。その子を必ず救うと」

 

オズワルド「言われるまでもないことだ。私の大事な愛娘なのだからね」

 

言葉だけならいくらでも並べられる。

 

オズワルドは口では言っているが本心はそうではないと言っていた。

 

響「あ……、くっ……」

 

響(シャロンちゃん…ごめん。助けてあげられなくて……ごめんね……)

 

助けられなかった…悔しい気持ちが響を押し潰すのだった。


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