シャロンをオズワルドに引き渡して数日後、八紘の見送りの元、とある駐車場に来ていた。
オズワルド「体調はどうだ?少しはラクになっただろう?」
オズワルドは後ろにいるシャロンに聞く。
シャロン「……」
オズワルド「応急処置レベルの薬だが、帰るまでは持つだろう」
黒服A「いつでも出発できます」
オズワルド「ご苦労。先発したまえ。私も後を追う」
黒服A「了解しました」
オズワルドに言われて黒服の男性たちが先に引き上げていった。
八紘「手回しのいいことだ」
オズワルド「なに。そろそろ潮時だとわかっていたのでね」
八紘「全て把握していながら、なぜ今まで泳がせていた?」
オズワルド「かわいい子には旅をさせよ…っと。日本では言うのだろう?」
八紘「煙に巻くな」
オズワルド「フ……決まっているだろう。計画に必要だったからさ」
八紘「なんだと?」
オズワルド「おかげですべての材料が揃った。これで始めることができる」
八紘「あの子が鍵だったのか……」
オズワルド「そうだ。ヤントラ・サルヴァスパの力を引き出し、それと同化することで、あらゆる機械を自在に操らせる……そう、ヴィマーナにはその力が必要だった」
八紘「だが、そのために自身の娘を実験体にするおは……」
オズワルド「我々の放棄したシンフォギアを秘密裏に模倣完成させ、娘を装者に仕立て上げ、尚且つその娘より幼い子を生物兵器としていた君が言えた義理かね?」
八紘「それは……違う」
オズワルド「何が違うというのだ?」
八紘「………」
オズワルド「否定できまい。結局、君も私も同じ穴の貉ということだよ。あれが己の娘であるかなど関係ない。実現すべき理想のために役立つかどうか…それだけが重要だ。アレも、人類の発展の礎になれると喜んでいるだろうさ」
オズワルドが話していると1台の迎えの車が来た。
乗っているのはガスドリンカーズだった。
八紘「オズワルド…お前は………」
ガスドリンカーズを見て八紘は言葉を失う。
オズワルド「そこで指をくわえてみているがいい。私がこの世界を改革する、その時をな」
言い残してシャロンと共にガスドリンカーズの乗っている車に乗り込んでその場を去っていた。
八紘「オズワルド………」
変わり果てた友人を目の当たりにして八紘は愕然とした。
ヴォルガー「ククク、これでピースは揃ったな」
車内にてヴォルガーは笑いながらオズワルドに言う。
オズワルド「ああ。改革の時だ」
不適に笑いながらヴォルガーの言葉に便乗するオズワルド。
すると車に備えられていた通信機が鳴った。
ヴォルガー「おう、どうした?なに?何をやってんだ、この役立たずども!!」
通信に出たヴォルガーは怒り、通信機を乱暴に直した。
オズワルド「何かあったかな?」
ヴォルガー「金色の雪のワクチンが奪われた!」
オズワルド「なに?なんでそんなことに?」
ヴォルガー「知るかよ、んなこと!」
聞かれたヴォルガーは怒りながらそう言い返した。
ヴォルガー(くそっ、まさか来ていやがったか!地獄の番犬!!)
金色の雪を奪った人物の異名を思い出しながらヴォルガーは握り拳を強く握ったのだった。
八紘がオズワルドを見送っている同刻、2課の医療室の一角にガウはいた。
ガウ「がは…くうぅ……」
呼吸は荒く、苦しそうにしていた。
右腕が完全に機械化してしまったガウは人工呼吸器の他にも体には心拍数を図る測定器を付けられていたが体のあちこちのも機械化が進んでいた。
友里「苦しそうね」
藤尭「金色の雪…感染した相手を機械奴隷化させる。そんなウイルスがこの世にあるなんて……」
窓越しにガウを心配する友里と藤尭。
2人は元の世界へ一旦帰った響たちの代わりに見舞いに来ていたのだ。
八紘「君たちも来ていたか」
そこへ八紘が現れて言う。
友里「司令。何しにこちらへ?オズワルド氏の見送りに行ったのでは?」
八紘「なに、直ぐに帰ったから寄り道でこっちの少し様子を見にな」
そう言って窓越しに苦しむガウを見る八紘。
八紘「随分と苦しそうだな」
友里「医師の話ではこれ以上は手の打ちようがないと」
八紘「そうか…」
藤尭「やっぱり、ガスドリンカーズの持ってるワクチンでないと」
八紘「………」
手の打ちようがないガウを救うにはガスドリンカーズが持っているワクチンがいる。
だが簡単には手に入らない、そう思っていた。
すると八紘がスーツのポケットからある物を取り出した。
青い液体が入ったカプセルだった。
八紘「直ぐにこれを彼に投与してくれ」
友里「え、これはいったい…」
急に言われて焦る友里。
八紘「いいから。頼んだぞ」
無理矢理、友里に手渡して八紘は医療室を出ていくのだった。