戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第310話 シャロンのいない部屋

響「……ただいま」

 

クリス「いるわけないってわかってんだろ」

 

響「うん。でも、つい……ね」

 

自分たちの世界から帰って来た響たちはシャロンの部屋に入って言い合う。

 

響(書きかけに練習ノートと鉛筆……)

 

響がシャロンとガウのためにと用意した練習ノートと鉛筆がテーブルに置かれていた。

 

響(シャロンちゃんにって買った、コップと食器…)

 

台所に向かって響がシャロンに買ってあげたコップと食器を見る。

 

翼「何をうろうろしているんだ?」

 

クリス「大人しく座ってろって」

 

響「クリスちゃん、翼さん」

 

翼「どうした?」

 

クリス「なんだ?」

 

響「私はシャロンちゃんと会いたい、もう一度ここに連れてきたい」

 

クリス「今更そんなこと言っても、仕方ないだろ」

 

響「ううん、仕方なくなんかない。シャロンちゃん本人から、まだどうしたいか聞いてないから!!」

 

クリス「アタシたちじゃ、アイツを治せないんだぞ」

 

響「分かってる!だけど……」

 

翼「相手は彼女の親権者であり、かつNEXTという組織の責任者だ。せれも米国を後ろ盾にした、な。それがどれ程容易ならぬことか、立花だってわかるだろう?」

 

響「それもわかってます。でも……娘1人笑顔にできない父親なんて、組織なんて、国なんて…そんなの絶対に間違ってますよ!この世界で誰もシャロンちゃんの幸せを考えてくれないなら、私だけでも味方になってあげたいんです!!」

 

クリス「……ッ!」

 

翼「立花……」

 

クリス「お前はこの世界に人間じゃないんだ。ずっと面倒見られるわけじゃない。犬猫拾うのとワケが違うんだぞ?」

 

響「そんなことわかってるよ!それでも私は、あの子が笑って生きられる道を、一緒に探してあげたい。たとえ、ずっと一緒にいることができなくても、傍にいてあげるだけじゃ愛情じゃないって、翼さんも言ったじゃないですか」

 

翼「ああ……そうだったな」

 

クリス「ほんとお前ってやつは……。無茶を通せば道理が引き込むと思ってるだろ?」

 

翼「本当にな。だが……それも立花らしい。五体と魂に絡みつく道理としがらみを振りほどいてそれでも尚、相手に手を刺し伸ばせる、その心。私たちが、それに今まで、どれ程救われてきたか」

 

クリス「それは…そうだけどよ」

 

無茶を通せば通りになる…つまりはオズワルドからシャロンを助けたいと思う響の真っ直ぐな想いを感じ、賛同する。

 

すると通信機から着信が鳴り響いた。

 

翼「二課からの緊急通信だ。またノイズが現れたらしい」

 

クリス「ったく。性懲りもなく……」

 

話を聞いて空気が読めないノイズに文句を言うクリス。

 

翼「立花、この話は後だ。今は装者としての務めを果たそう」

 

響「はい!!」

 

話を一旦止めて響たちはシンフォギア装者としての責務を果たすために部屋を出ていくのだった。

 

 

 

翼「はああああああああーーーーーー!!」

 

クリス「くたばりやがれー!!」

 

響「おおおおおおーーーーーーーーーー!!」

 

翼の斬撃、クリスの銃撃、響の拳で町に現れたノイズは直ぐに殲滅された。

 

響「終わりましたか?」

 

ノイズを殲滅して響は確認する。

 

翼「いや…真打ち登場のようだ」

 

翼が言うとカルマノイズが姿を現した。

 

クリス「何をするにしても、まずはこいつを片付けて、こっちの世界の脅威を取り除いてからだ」

 

翼「ああ、カルマノイズを倒せるのは私たちだけだ。いざ参る!!」

 

カルマノイズに向かっていく。

 

最初に翼がカルマノイズに斬りかかる。

 

斬られながらもカルマノイズは再生するがその動きは鈍くなっていた。

 

翼「よし、大分動きが鈍ってきたな」

 

クリス「今度こそ、トドメだ!!」

 

響「はい!」

 

2人の合図で響の肩に手をやる。

 

響「S2CA!トライ……」

 

翼「待て。あれは!?」

 

『S2CAトライバースト』を放とうとしたが翼が止めて見るとオートマシンがまたカルマノイズを護るように前にいた。

 

響「またオートマシン?」

 

翼「やはり…このオートマシンの操り手は、カルマノイズを護っているようだ」

 

クリス「は!?なんだって?」

 

響「操り手って、誰かが操ってるんですか!?」

 

翼「ああ、前回に続いてだからな、その可能性は高い。だが、今わかっているのは、カルマノイズを倒すには、先にオートマシンを片付ける必要があるということだけだ」

 

クリス「だけど、オートマシンを倒したら、またカルマノイズが逃げ出すんじゃないのか?」

 

翼「いや、カルマノイズがオートマシンと行動を同じくしている可能性は低いだろう。とはいえ、オートマシンに手を取られ過ぎれば、結果としてカルマノイズが消える可能性もある……」

 

クリス「ブリッツクリークか、面白い!やってやろうじゃねーか!!」

 

翼「ああ。一気呵成にオートマシンを倒し、即座にS2CAを発動、そのままカルマノイズを葬り去る。行けるな、立花!!」

 

響「はい、やりましょう!!」

 

翼の作戦を聞いて直ぐに実行に移す。

 

初手で翼の斬撃がオートマシンを襲うが全く効いていなかった。

 

翼「相変わらず堅いが…」

 

クリス「3人がかりなら、まだなんとか!!」

 

響「私たちはシャロンちゃんを迎えに行くんだから、邪魔するなー!はああああああああーーーーーー!!」

 

クリスの銃撃からの響のナックルが次々に決まり、オートマシンは活動を停止した。

 

響「1体、1体集中してすればなんとかなる!!」

 

3人で1体のオートマシンを相手をすれば何とか倒せることを言う。

 

翼「カルマノイズの様子は?」

 

クリス「大丈夫だ。まだいやがる」

 

翼に聞かれてカルマノイズがまだいることを伝えるクリス。

 

翼「よし。残りのオートマシンを仕留めたら、打ち合わせ通りにいくぞ」

 

響「はい!分かってます!!」

 

作戦を再確認しながら翼たちはオートマシンと戦う。

 

そんな時、二課から通信が入った。

 

クリス「なんだ、こんな時に?」

 

八紘『すぐに退避するんだ!ヴィマーナが動く!!』

 

通信に出るなり、八紘が慌てた様子で言う。

 

響「ヴィマーナ?」

 

翼「それは一体?」

 

『ヴィマーナ』なる単語に首を傾げる。

 

八紘『いいから早く退避を!!』

 

クリス「なんかヤバそうだぞ」

 

翼「やむを得まい。離脱する!」

 

八紘の様子にクリスと翼は離れることを決めた。

 

響「でも、もう少しでカルマノイズを…」

 

クリス「いいから来い、このバカ!!」

 

カルマノイズを見て離れられない響の首根っこを掴んでクリスは離れる。

 

同時に空から光が輝いた。

 

翼「なんだこれは!空から光が!」

 

クリス「この光はヤバイぞ!!」

 

空に輝く光を見て翼たちは急ぐが光が着弾すると爆発と爆風が襲ってきた。

 

クリス「うわあああああああああ!?」

 

翼「くうぅ!?」

 

響「ああああああ!?」

 

爆発と爆風に襲われてしまう3人。

 

だが3人の前に黒い影が舞い込んでいたのを確認していなかった。

 

響「うう……」

 

クリス「痛ってー……」

 

翼「2人とも、無事か!?」

 

クリス「ああ、何とか…だがアレで何で…!?」

 

あの爆発と爆風で無事だったのを不思議に思いながら見るとそこには…。

 

ゴジラ「グルルルル……」

 

そこにいたのはゴジラであった。

 

響「ガウくん!!」

 

翼「もう体は大丈夫なのか!?」

 

ゴジラを見て驚く。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

金色の雪に侵されていたとは思えないほど元気良く咆哮を上げる。

 

機械化していた右腕もすっかり元に戻っていた。

 

響「良かった……」

 

元気になっているゴジラを見て響は安心する。

 

クリス「しかし、さっきの光はいったい…」

 

響「何が…起きたの…?」

 

翼「何かが着弾したんだ。しかし、この威力…」

 

ゴジラに護られたから無事だったが着弾した場所から約数百Mは廃墟のように破壊されていた。

 

クリス「おい、カルマノイズもオートマシンも……、消えちまった」

 

カルマノイズと護っていたオートマシンも消えてしまっているのに気づいて言う。

 

響「翼さん、クリスちゃん!あれ!」

 

空を見た響が何かに気付いて指差した。

 

そこには翼を付けた巨大な戦艦があった。

 

クリス「なんだ、あれは…」

 

響「空を飛ぶ…戦艦……?」


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