シャロン(………)
ヴィマーナの最深部にある柱の中でシャロンはうっすらとした意識の中にいた。
?「シャロンちゃん!!」
シャロン(………呼んで……る?)
響いてきた声にシャロンは反応する。
?「シャロンちゃん、どこ!?」
シャロン(………だ……れ?)
また響いてきた声に反応する。
シャロン(誰だろう、この声……すごく心、落ち着いて、いつまでも聞いていたいような……思い出せない……)
?『ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』
シャロン(この石……なんだっけ……?)
思い出せないでいると今度は獣の鳴き声が響いてきた。
それと同時に、胸から出てきた琥珀色の石を見て反応した。
シャロン(思い出せない……そんな、昔のことじゃ、ないはずなのに……どうしてわたしは、ここにいるんだっけ?たしか、わたしは……)
何かを思い出そうとするシャロン。
シャロン(ああ……そうだった……あの日、お父さんの研究所が、黒いノイズと黒い巨人に襲われたんだ。そのあと光る巨人と天使みたいな人たちが来て戦ってて、わたしは、お姉ちゃんと妹たちと一緒に、その混乱にまぎれて研究所を逃げ出した。だけど、研究所の大人たちは私たちを捕まえようと……)
シャロンは姉妹たちといた研究所の出来事を思い出していた。
シャロンの姉「こっちよ!早く」
シャロン「はあ、はあ、はあ……」
森の中をシャロンの姉が後ろを走るシャロンに言う。
さらに後方では爆発音や色とりどりの閃光が上空を走っていた。
研究所を襲撃した黒い巨人と後から現れた光の巨人と天使のような人たちが戦っているのだ。
シャロンの姉「…他の姉妹たちとも離れ離れになっちゃった」
シャロン「みんな、捕まっちゃうの?」
シャロンの姉「………」
怯えているシャロンを見る。
シャロンの姉「いい、この物陰に隠れて、絶対に出てこないで」
シャロン「……?」
姉の言っている意味が分からないのか首を傾げる。
シャロンの姉「わたしはみんなを探してくるから」
シャロン「……ッ!?」
その言葉を聞いてシャロンは意味を理解した。
自分だけでも逃がそうと姉は自ら囮になると言っているのだ。
シャロンの姉「もし、しばらくしても戻ってこなかったら、ここから向こうの方角へ走って。港があるって研究員たちが言っていた。運が良ければ船に乗れるかもしれない」
シャロン「みんなも一緒がいい」
シャロンの姉「……大丈夫、みんな一緒よ」
そう言って姉は走り去ってしまった。
シャロン(そうして、お姉ちゃんは、1人、研究所の方へ向かい…結局、戻ってくることはなかった。わたしもみんなを助け行きたかったけど、怖くて体が動かなかった。もし捕まったらまた痛いことをされるから、多分、いっぱい罰も受ける。痛いのはもうイヤ、苦しいのはもうイヤ、体の震えも、涙も止まらない……ただ静かにして、時々聞こえる悲鳴が、みんなのでないことを祈ることしか出来なかった。周りが静かになって、わたしは言われた通り、港へ向かった。そこで、偶然泊まっていた船に飛び乗った。何日かして港について、陸に上がって。人目を避けて森の中を歩いていたら、ノイズが現れて……誰かに助けてほしくて、叫ぼうとしたら、声が出なくなっていた。必死に逃げたけど、囲まれて。ああ……これでもう終わりなんだって、そう思った)
シャロン「………ぁ………ぅ…………」
シャロンにノイズが迫ったその時だ。
?「はああああああああーーーーーー!!」
後ろから1人の少女が現れてノイズを殴り、消滅させた。
?「もう大丈夫だよ!!」
シャロンの方を振り向きながら少女は聞いてきた。
シャロン「………」
?「あれ……君。さっきの……」
シャロン(そうだ、◇◇が助けてくれたんだ……太陽のように温かい人。きっとこの人はかみさまなんだ、って。そう思った……基地で身体を調べられた後、部屋に連れていかれた。少しの間、◇◇たちも一緒だったけど、いなくなってしまった。また1人になって、心細くて……研究所に戻されるんじゃないかって、すごく怖くて……そう思って、あの時のように、じっとうずくまっていた。みんなと離れ離れになったあの日のことを思い出して、息が苦しくなった。心がぎゅとしめつけられるように痛んだ)
?「おーい。帰ってきたよー」
?「がうー」
?「かくれんぼしてないで出ておいで~?」
?「がうがうー」
少女と尻尾と背鰭が生えた男の子がシャロンを探す。
シャロン「………」
?「がう!がうがう!!」
シャロンを見つけた男の子は少女を呼ぶ。
?「あ、いたいた」
呼ばれた少女は来るとシャロンを見て言う。
シャロン「………」
?「ただいま」
笑顔でシャロンに言う。
シャロン(帰って来てきれて嬉しかった。それからたまにいなくなることもあったけど。みんな、わたしのことを大切にしてくれた。◇◇は、わたしに、文字も教えてくれた。『シャロン』って、わたしを呼んでくれる。がんばるとほめてくれた。◇◇の側は暖かくて、ずっとそこにいたいと思った……)
?「おっ買い物~♪おっ買い物~♪シャロンちゃんとおっ買い物~♪」
?「がうがう~♪」
シャロン(………)
ルンルンで街に来た◇◇と◇◇、シャロンは買い物に来ていた。
?「◇◇くん、少し歩くの遅くして。シャロンちゃんと離れちゃう」
?「がう」
シャロンが少し◇◇と◇◇の歩幅より小さいことに気付いて◇◇は◇◇に言う。
シャロン「………」
?「ごめんね、シャロンちゃん。歩くの速かったね」
?「がう」
?「離れないように手、繋ごうか」
シャロン「………(こくり)」
◇◇が右、◇◇が左に回ってシャロンの手を握る。
?「フフ……」
シャロン(こんなに自由に歩くのは、生まれて初めてで、とても気持ちがいいけど……なにより、◇◇と◇◇と手を繋ぐことがうれしかった。でも、あの怖い機械とお父さんに協力してる宇宙人の機械が追いかけて来た)
シャロン「……ッ!?」
?「シャロンちゃん?どうしたの……」
?「がうがう!!」
急に怯えだしたシャロンに◇◇が聞こうとすると◇◇が2人を突き飛ばした。
?「うわっ!!」
シャロン「ッ!?」
突き飛ばされた◇◇はシャロンが怪我しないように庇う。
2人が突き飛ばしされて直ぐに◇◇は何かに押し潰されてしまい、地面が砕かれ粉塵が舞う。
?「シャロンちゃん、大丈夫?」
シャロン「……(こくり)」
シャロンが無事なのを確認した◇◇は◇◇の方を見た。
?「が…がう………」
何かに体を地面に押し付けられて身動きが取れない◇◇が見えた。
?「◇◇くん!?」
◇◇を助けようと向かう◇◇だが直ぐに足を止めた。
◇◇を押さえ付けているモノ、それは2体のオートマシンだった。
?「なッ!?オートマシン!?」
◇◇を押さえ付けている2体のオートマシンに驚いていると新たに1体のオートマシンが現れた。
?「なんで、こんなところに!」
現れたオートマシンを見て◇◇は考えているとシャロンが映った。
シャロン「………」
?(ホントにシャロンちゃんをねらってッ!?)
オートマシンの狙いがシャロンかもしれないと思い◇◇は驚く。
?「大丈夫。お姉ちゃんが絶対に護ってあげるから!」
怖がるシャロンにそう言って◇◇はギアを出した。
?「Balwisyall Nescell gungnir tron…」
起動詠唱を歌い、ギアを纏う◇◇。
シャロン「………ッ!?」
ギアを纏った◇◇にシャロンは驚く。
?「シャロンちゃんに絶対に!指1本触れさせない!!」
宣言するかのように◇◇は言うとオートマシンに向かっていく。
シャロン(◇◇と◇◇はわわたしを護ろうと戦ってくれた……けれど、◇◇はアの機械に押さえつけられて動けなくて、◇◇はあの機械に攻撃されて、苦しそうだった)
?「ぐあ!!」
オートマシンの攻撃に◇◇は膝を着いてしまう。
?「ぐ……」
何とか◇◇と◇◇が来るまで持ちこたえようと立ち上がる◇◇だがそこへ、キラータンクが到着した。
?「あれってキラータンク!?こんな時に!!」
到着したキラータンクを見て◇◇は焦る。
今、◇◇は◇◇が相手しているのと別個体2体に押さえ付けられていて動けない。
かといって◇◇自身は今相手しているオートマシンの装甲により苦戦している。
まさに絶体絶命だった。
シャロン「……!?」
絶体絶命の◇◇をシャロンは心配そうに見ていた。
?「だ、大丈夫だよ、シャロンちゃん…。こんなの…へいき、へっちゃら、だから!!」
心配そうに見ているシャロンに◇◇は言う。
シャロン(そう、必死で◇◇と◇◇を助けたと願うと不思議なことが起きた)
?「私の…ギア、が………?」
シャロンの光に反応するように◇◇のギアが変化した。
マフラー部分がなくなった代わりにファンネルのように新たに2つの腕が浮遊していた。
?「これは……どうして、急に?それに、この溢れるは?」
シャロン(◇◇にわたしの中にある何かに力が流れ込んで、姿が変わり、あの機械たちを倒してくれた。わたしは、◇◇の役に立てることが嬉しかった。私はここにいていいのかな、って。少しだけ、そう思えるようになった。だけど……)
?「ふう。今日は疲れちゃったねー」
事件の報告のために二課へ来た◇◇たち。
シャロン「………」
?「また今度、お買い物行こうね」
シャロン「……(こくん)」
◇◇の言葉にシャロンは頷くが表情は暗かった。
?「……もしかして、◇◇くんが心配?」
シャロン「……(こく)」
そう、先の戦いでオートマシンから◇◇とシャロンを庇った◇◇は激しく叩き付けられたために精密検査を受けているのだ。
?「大丈夫だよ。◇◇くんは怪獣王って言われてるからあれくらいの怪我で死んだりしないよ。それにシャロンちゃんがそんなに暗かったら◇◇くんが逆に心配しちゃうよ。だから暗くならないで」
シャロン「……(こくり)」
◇◇に言われてシャロンは頷いた。
シャロン「………ッ!」
しばらくしてシャロンは発令室前で足を止まった。
?「どうしたの?」
シャロン「(ふるふる)」
◇◇が先に行こうと促すがシャロンは首を横に振って嫌がる。
?「先に行くのを嫌がっているのか?」
?「どうしたんだ、急に」
?「震えてる……怖いの?」
シャロンが震えているのを見て心配そうにする。
シャロン(お父さんがわたしを連れ戻しに来た。また研究所に戻るのが怖かった。◇◇と◇◇の側から引き離されるのが怖くて、お父さんの気配を感じて、逃げ出した)
?「◇◇と合流して先に部屋に戻ってろ。チビのこと頼んだぞ」
?「うん……」
シャロン「…………」
◇◇と◇◇に言われて◇◇はシャロンを連れてその場を離れる。
シャロン(でも、みんなはわたしをお父さんに引き渡さないでくれた……このままわたし、ここにいていいのかな?◇◇がいないとき、側に◇◇がいてくれた。◇◇は人間じゃないけど…すごく優しかった。私にお守りをくれた)
シャロン「………ッ!」
◇◇と離れたくないのかシャロンはギュッと掴んだ。
?「あ……大丈夫。ここにいれば全然怖くないから。安心して。ね?」
抱き着いたままのシャロンに◇◇は言う。
シャロン「……(ふるふる)」
しかしシャロンは首を横に振って嫌がる。
?「すぐにちゃんと戻ってくるから」
シャロン「…………(こくり)」
◇◇に言われてシャロンは頷くと離れた。
?「……ありがとう」
少しシャロンを1人にするのに戸惑いがある◇◇だがそう言う。
?「がうがう。がうー」
そんな◇◇を察したのか◇◇は何かを出して少女に渡してきた。
シャロン「……?」
◇◇から受け取った少女は首を傾げる。
渡されたのは黄色い石で、中には小さな牙か爪が入っていた。
シャロン(◇◇がくれたお守りがあったから私は1人でも平気だった。お守りから温かいのを感じたから…でも……)
?「はぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!」
◇◇の斬撃がカルマノイズを斬り裂くが直ぐに再生してしまった。
?「くそっ…カルマノイズだけでも倒しきれりゃ、なんとでもなるってのに……」
?「奴の高速修復に攻撃量が追いついていないということか」
再生するカルマノイズに2人は言う。
シャロン(またあの機械たちがやってきた……◇◇や◇◇の大事なお友達がくるしんでいた。だから、また助けたいと思った)
シャロン「………ッ!」
向かってきている少女―シャロンだった。
?「って、チビ!?なんだってこんなところに!?」
こっちに来たシャロンに驚く。
?「私たちを追って来たのか?」
?「バカッ、こっちくるな!!」
叫ぶ◇◇だがシャロンは無視して来る。
◇◇たちに向かって行くシャロンにカルマノイズが接近する。
?「シャロンが狙われた!?」
?「ちくしょう!!」
?「間に合え!!」
狙われているシャロンを守ろうと2人は向かうが間に合うか分からなかった。
シャロン「………ッ!!」
その時、シャロンの体が光輝きだした。
?「な、なんだこの光は!?」
?「これは、先日の◇◇が言っていた!?」
シャロンが光輝くのを見て2人は驚く。
?「こいつは、確か……」
?「ヤントラ・サルヴァスパの!?」
光が収まると2人のギアが変化していた。
?「お前がやったのか?」
シャロン「………」
?「話は後だ、◇◇!!」
?「ああ、そうだったな!!」
?「このギアならば、オートマシンの装甲をも貫通できるかもしれない!」
?「ああ。これなら!!」
シャロン(手伝うことが出来て、わたしなんかがみんなの助けになれて、本当に嬉しかった……力を使った後は、時々、胸が痛くて、苦しくなったけど、気にならなかった。だって、研究所でいやいや力を使わされたときとは、全然違うから……でも…それなのに)
?「シャロンちゃん、ヤントラ・サルヴァスパの力は使わないでほしい」
シャロン「……(ふるふる)」
ヤントラ・サルヴァスパの力を使わないように言う◇◇にシャロンは首を横に振って嫌がる。
?「嫌って……」
シャロン(力を、使ったらダメだと言われた。わたしは◇◇たちを助けたいのに、力になりたいのに、ダメだって……体のことなんてどうでもいい。苦しくなったて構わない。役立たずになりたくない……その気持ちをノートに書いて伝えた。そしたら……)
?「そんなことない!役立たずなんかじゃ、ない……シャロンちゃんから、わたしたちはちゃんとたくさんのものを貰ってるよ?シャロンちゃんが傍にいると、とても温かい気持ちになる。それがあるから、私たちは戦えるんだ」
シャロン(◇◇は私がいるだけで、温かい気持ちを受け取ってると言ってくれた。でも、そんなの。わたしのほうがもっとたくさん、数え切れないほど貰ってるのに……わたしは、お父さんのところに戻った。胸の痛みを思い出したから。これ以上、◇◇に悲しい顔をさせたくなかった。それに、わたしはもう充分だから。だから代わりに、わたしはわたしを助けてくれたお姉ちゃんたちを、◇◇みたいに助けたかったから……◇◇に教わった文字で、お父さんやあの宇宙人たちにお願いした。『もう誰にも、お姉ちゃんにも、妹にも酷いことしなで』…って)
オズワルド「なるほどな。それがお前の望みか。臆病だったお前が、少し見ぬ間に成長したものだ。父として嬉しく思うぞ」
ヴォルガー「安心しろ。お前がここに大人しく戻ってきたからな。一つくらい願いを聞き入れてやるよ。なあ?」
オズワルド「ああ。安心しなさい。わたしはお前の父親だ。お前が願う通りにしよう。だがその代わり……」
シャロン(お父さんたちは約束してくれた。全部、わたしがやるなら、お姉ちゃんや妹たちには、もう痛いことしないって。そうだった…だからわたしは、今、こうして……)
名前以外を全て思い出したシャロン。
その心に光は射しかけていた。
響「シャロンちゃんを返せ!!」
ヴォルガーのダブルサタンマグナムの銃撃を回避しながら何とか接近しようとするが早打ち過ぎてなかなか近付けられなかった。
ヴォルガー「そいつは聞けない相談だな。それに、もう遅い……見えるだろ?この空中戦艦の鍵になった哀れな小娘の姿が!!」
柱を指しながらヴォルガーは一旦、銃撃を止める。
響「まさか…その中に…!?」
クリス「戦艦に食わせたとでも言うのかよ!!」
翼「外道が!!」
ヴィマーナにシャロンを食わせたヴォルガーに言う。
ヴォルガー「訂正させとくが、コイツをこうしたのはコイツの父親だ」
クリス「なに!?」
ヴォルガー「ま、お前らの代わりに始末してやったがな」
ヴォルガーはそう言うと胸部の部分を開いて何かを出した。
射たれたオズワルドの死体だった。
翼「やはり外道が!!」
協力者の命すら奪うヴォルガーに翼は再度言う。
響「シャロンちゃんは道具なんかじゃない!シャロンちゃん!聞こえる!?すぐにそんなところから出してあげるから!!!」
ヴォルガー「呼びかけても無駄だ。すでに処置はしてある」
クリス「何をしやがった!?」
ヴォルガー「何、大したことはしてない。コイツがしたかったこと…お前らへの執着が邪魔だったんでな。その記憶にふたをして洗脳しただけだ。もうあの小娘にお前らの声は届かん」
オズワルドの頭を踏みながらヴォルガーはシャロンを洗脳したことを淡々と話す。
翼「貴様、どこまで!!」
ヴォルガー「さて、この空中戦艦の買い取りはもう決まっててな。戯れはここまでといこうじゃねえか」
ヴォルガーが言うとオートマシンの大群が再び姿を現した。
ウインスキー「キヒヒヒヒヒヒ……」
ブランデル「ククク……」
オートマシンに混じり、ウインスキーとブランデルの姿があった。
クリス「チッ!囲まれた!!」
翼「あれだけ倒したのに、まだこれ程残っているというのか?」
最深部に来るまでの間、数多のオートマシンを倒したのにいまだに大群で現れたオートマシンに驚く。
ヴォルガー「いくら倒しても無駄だ。こいつらはこの空中戦艦を守護するために空中戦艦ん自身が生み出した子機だからな」
クリス「オートマシンが…ヴィマーナの一部だと!?」
翼「しかしオートマシンは、シャロンがヴィマーナを再起動する前から活動していたハズ」
ヴォルガーの言葉に翼たちは疑問を言う。
ヴォルガー「よく言うだろ、馬鹿と鉄は使いようってな」
クリス「何が言いたい?」
ヴォルガー「ククク、オズワルドはよ、出来損ないどもをこの子機共の起動に利用したんだよ」
響「まさか……シャロンちゃんの姉妹を使って!?」
ヴォルガー「そうだな…こいつの言葉を借りるなら…適合計数の低い失敗作を有効活用したまでだ。何を憤りることがある?ってな」
響「人を物みたいに……許せない!!」
命を弄ぶことを平気で話すヴォルガーに響たちの怒りは爆発寸前であった。
ヴォルガー「ふん、失敗した小娘共でも十分に役立ったがな。あいつらを助けるために、自ら俺たちの所に来たからな」
響「そんな……」
クリス「人質に使ったのか!?」
ヴォルガ―「人聞きの悪いこというな。全部あの小娘が願ったこと。俺たちは小娘の望んだことを叶えただけだ」
翼「ふざけたことを…!!」
ヴォルガーの言葉を聞いてさらに怒りを募らせる。
八紘「オズワルド…お前という男は…やはりあのことがお前を変えてしまったというのか?宇宙の犯罪者たちと協力するほどに……」
通信を聞いていた八紘は呟く。
響「シャロンちゃんをそんなことの犠牲になんかさせない……絶対に!!」
ヴォルガー「お前らごときがさえずろうと、もはや、どうにもならねえよ。それより、自分の心配をしたらどうだ?今なら、下船し命だけは助けたやるぜ」
響「嫌です!シャロンちゃんのこと、もう諦めないって決めたんだ!!」
ヴォルガー「なら…ここで死ね!!」
ヴォルガーの開戦の合図である銃声が鳴り響いた。