当時も現在でも世界最大・最強の砲、45口径46cm3連装砲塔を3基搭載した旧日本海軍が誇る超弩級戦艦。
今は三千余名の英霊の深海の墓標となっているその船の名は…。
第319話 帰還セリ
夜中の島根県・竹島沖の海上に蒼白く光る閃光。
ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
大気を揺るがすほどの雄叫びを上げる巨大な影―全ての怪獣たちの王『怪獣王 ゴジラ』はいた。
ギャオス『ギャオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!』
ゴジラの視線の上空には月明かりに照らされて体色は赤く、頭はやや平たく幅広く、眼は目立たない姿をした怪鳥―『超遺伝子獣 ギャオス』が2体いた。
ゴジラ「グルルルル……」
2体のギャオスを睨みながらゴジラは後ろにある竹島をチラリと見る。
竹島では不法上陸した海外のバカ共を海上保安庁の巡視艇の乗組員が連行していた。
海外のバカ共はワーワー騒いで抵抗していたがぶっちゃけゴジラからすればさっさとここから消え失せて欲しいと思っていた。
後ろに人がいたのでは思いっきり戦えないからだ。
普段なら響たちが無理矢理にでも引っ張って行くから安心して思いっきり戦えるが今回は海上であるためゴジラだけ出動しているから出来ないのだ。
ギャオス「ギャオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
などとゴジラが不満を思っているとギャオスの1体が攻めてきた。
ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
攻めてきたギャオスにゴジラは放射火炎を発射するがギャオスはヒラリと回避する。
最近ギャオスはゴジラの放射火炎を学習したらしく、4割の確率で回避するのだ。
ギャオス「ギャオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
放射火炎を回避したギャオスは口から超音波メスを発射した。
ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
超音波メスに対してゴジラは素早く海中に潜り、姿を隠した。
ギャオス「ギャオォォォォォォォォォォォォォォ?」
ゴジラの姿を見失ったギャオスは辺りを見回す。
するとギャオスの真下の海中が蒼白く光、何かが噴出してきた。
ギャオス「ギャオォォォォォォォォォォォォォォ……………!?」
噴出してきた何か―それは海中から発射した放射火炎にギャオスは飲み込まれ、蒸発してしまった。
ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
まず1体とゴジラは浮上して残りの1体を探す。
ギャオス「ギャオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
鳴き声の方を見ると残りの1体がすでに竹島に向かっていた。
しかも竹島にはいまだに海上保安庁の巡視艇の乗組員と連行されている海外のバカ共が残っていた。
巡視艇から射撃が入るがギャオスの体には全く効かず、ギャオス自身は気にも止めず竹島の方へ向かっていく。
ゴジラも放射火炎を発射したいがギャオスの位置からだと竹島ごと吹き飛ばしてしまいそうで発射出来なかった。
その時だ、竹島の後ろに閃光が瞬いたかと思った瞬間、1基のミサイルが飛んで来てギャオスを撃ち抜いた。
ギャオス「ギャオォォォォォォォォォォォォォォォォォ………………」
ミサイルを喰らい、ギャオスは断末魔を上げて爆発の火炎に燃やされ塵となって消えた。
ゴジラ「グルルルル!?」
たったミサイル1基でギャオスが倒されたのを見てゴジラや竹島にいた海保たちは驚いてしまった。
だが彼らはさらに驚くことが目の前に現れた。
竹島の後ろから現れた艦影。
左右それぞれに12.7cm対空機関砲6基12門、46cm3連装砲を搭載した巨大な船の船体が月明かりに照らされ姿を見せる。
乗組員A「あ、あれは…巡洋艦か…!?」
乗組員B「…いえ、あれは戦艦です…戦艦 大和です!!」
竹島にて不法上陸者を捕まえた海保の乗組員が言う。
そう、ギャオスを撃破し、今この場に現れた船…第二次世界大戦時に大日本帝国海軍が世界に誇った史上最大にして最強であった軍艦『戦艦 大和』そのものであった。
大和の主砲である46cm3連装砲の砲身が動き、砲門が向けられた。
乗組員B(砲身が動いた…ま…まさか撃つのか…その方角には…)
向けられた砲身を見て乗組員は嫌な予感がしたのと同時に46cm3連装砲が火を吹いた。
放たれたミサイルが向かっていく方角―ゴジラいた。
ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」
不意討ちのミサイルに反応が出来ず、全弾を喰らい、ゴジラの声が爆煙の火炎から夜の海に響き渡った。
同刻・日本本土・首都・東京。
『大臣!巨大不審船により、ギャオスは全滅!』
車の中で日本の防衛を担う大臣―『中井防衛大臣』は報告を聞いて驚いていた。
『さらに巨大不審船より3発の砲撃あり!』
中井「なに!?」
『海保の護衛に来た怪獣王 ゴジラを負傷させました!…大臣!ただ今、巨大不審船より電文入りました!』
中井「読み上げろ!」
電文が入ったと聞いて中井は読み上げるように言う。
中井「な、何だ、それは!?」
戦艦から送られてきた電文を聞いて中井はさらに驚いた。
戦艦から届けられた電文はこうだった。
“我レ大和、帰還セリ”