戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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響「自称大和篇完結!」

クリス「バンドリとのコラボがXDでやってるな」

翼「なぜ…私が…アイドルなのに………」

マリア「気にしないことよ。翼…」

ガウ「がうがう…」
訳:大人の事情なり…


第330話 さらば、紅の戦艦

とりがらのミサイルが自称大和に迫る。

 

蝶野「すまねぇ…橋本ォ………」

 

蝶野が言うと同時にあんこうのミサイルがとりがらのミサイルを撃ち落とした。

 

藤尭「司令、あんこうがとりがらのミサイルを撃ち落としました!」

 

弦十郎「ふう……」

 

蝶野がとりがらを撃ち落としたと聞いて弦十郎は短く息を吐いた。

 

友里「司令、自称大和が旋回しています!」

 

弦十郎「なに?」

 

 

 

旋回を旋回を始めた自称大和をモニターで見る。

 

そこには富士山を背にした自称大和だった。

 

これには武藤以外の全員が驚く。

 

富士山を背にした自称大和―それは自身の攻撃射程内に富士山を入れられた、つまりは自称大和に富士山を人質に取られてしまったのだ。

 

蝶野(て…自称大和(テメエ)~~~~!!)

 

富士山を人質にした自称大和を見て蝶野の怒りは頂点に達した。

 

すると自称大和は煙突から複数のミサイルを発射した。

 

「自称大和、煙突からミサイルを発射しましたー!!」

 

蝶野「そのミサイルを止めろォ!自称大和、轟沈!!艦首(ドタマ)にブチ込めぇ!!」

 

自称大和がミサイルを発射したのを見て蝶野は怒号の指示が飛ぶ。

 

クリス「早すぎる!」

 

翼「こちらの迎撃は間に合わないか…」

 

ゴジラ「グルルルル……」

 

自称大和が発射したミサイルを見ながらクリスたちは言う。

 

「武藤艦長!自称大和の不特定ミサイルが富士山に向かっています!シンフォギア、ゴジラの迎撃が間に合いません!」

 

レーダー官が武藤に言う。

 

武藤「富士山を中心とした衛星画像こっちに出してくれるか?あぁ、S.O.N.G.の方にも画像をリンクしておいてれ」

 

「え?あ、はい!直ちに!」

 

武藤に言われてレーダー官は少し驚くが指示に従う。

 

塚本(いくらあなごになす術が…自称大和のミサイルを止める戦力がないからって、日本ラブのミスター自衛官の武藤艦長(アンタ)のその落ち着きはまるで……)

 

そう思っていると武藤に見られて塚本は顔をそらしたがすぐにチラリと見た。

 

塚本(……まさか武藤艦長は自称大和の行動を容認しているんじゃないのか…!?)

 

落ち着いている武藤を見ながら塚本はそう思うのだった。

 

 

 

弦十郎「全員、その場を離れろ!攻撃に巻き込まれるぞ!!」

 

一方で弦十郎は装者たちに指示を出す。

 

弦十郎の指示で装者たちは自称大和から離れる。

 

ゴジラは海中に潜り、爆発の衝撃を回避しようとする。

 

少しした後、あんこうのミサイルが全弾が自称大和の艦首に命中した。

 

藤尭「あんこうのミサイルが自称大和の艦首部に命中!」

 

藤尭があんこうのミサイルが自称大和の艦首部に命中したことを伝える。

 

友里「司令、あたごより富士山の衛星画像がリンクされました」

 

弦十郎「映し出してくれ」

 

友里から富士山の衛星画像があなごよりリンクされたことを聞いて弦十郎はモニターにそれを映し出すように言う。

 

モニターに映し出された画像には自称大和の放ったミサイルが富士山の端からほぼ樹海に着弾していた。

 

すると富士山に着弾した所からマグマが溢れ出て、同じく着弾で吹き飛ばされた樹海に作られた道に流れた。

 

「おぉ、出来た…」

 

「噴火もせずに…」

 

噴火せずに流れるマグマを見て自衛官たちは言う。

 

「武藤艦長!自称大和、さらにミサイルを発射しました!!」

 

武藤「画像を映し出してくれ!」

 

新たに自称大和がミサイルを発射したと聞いて武藤は画像を見た。

 

武藤(あ、アレは…あの形はまさか!?)

 

自称大和が発射したミサイルの形を見て武藤は驚く。

 

いや、武藤だけではない。

 

蝶野、橋本らもその形を見て驚いていた。

 

弦十郎「あの形…まさか原爆(ファットマン)か!?!?」

 

《ファットマン》―それは第二次世界大戦時にアメリカが作り、長崎に投下した原子力爆弾である。

 

弦十郎「各装者に何としてもあのミサイルを止めさせろ!!」

 

藤尭「む、無理です!先ほどから妨害電波が激しさを増して装者たちと連絡が取れません!」

 

弦十郎「ガウは!?」

 

友里「ガウくんは深海500M辺りです!とても間に合いません!!」

 

弦十郎「あんこうは!?あんこうにはまだ迎撃ミサイルがあったはずだ!」

 

藤尭「それが自称大和がミサイル発射と同時に第2砲頭による砲撃を確認!あんこうのミサイル発射装置を破壊しています!!」

 

弦十郎「な、なんだとぉ!?」

 

報告を聞いて弦十郎は驚く。

 

実際、あんこうではファットマンを迎撃しようとしていたが同時に自称大和の砲撃でミサイル発射装置を破壊されて攻撃手段を失われてしまっていた。

 

武藤(自称大和…お前は日本を護るために現れたんじゃないのか!?…………!?)

 

ファットマンを発射した自称大和を見て武藤はある言葉が浮かんだ。

 

艦首を破壊された船は航行など出来ない…ならば残るは沈むのみ。

 

その後にファットマンを発射した…つまりは…。

 

武藤「まさか自称大和、お前は…」

 

((((お前は日本を道連れにするつもりなのか!?))))

 

《死なばもろとも》…それが武藤が…いや、この場にいた全員が思い浮かんだ言葉だ。

 

ファットマン着弾と同時に白い煙が上がった。

 

弦十郎「本土は…本土はどうなった!?」

 

藤尭「待ってください、いまだします!」

 

弦十郎に言われて藤尭は急いでモニターに映し出した。

 

白い煙が晴れて行き、見えたのは頂上が白い山…富士山だった。

 

「無事です!富士山は無事です!!」

 

武藤「原爆じゃなかったのか…………」

 

富士山が無事であると聞いて自称大和が発射したのがファットマンではないと分かった。

 

武藤「あのミサイルがどこに着弾したか見せてくれ」

 

「は、はい」

 

武藤に言われて自称大和が発射したミサイルの着弾位置を映し出した。

 

映し出されたのは赤々と煮えたぎるマグマの道の端に着弾しているミサイルだった。

 

塚本「これは…ミサイルがほぼ道の両端に着弾している…」

 

武藤「いや、それだけじゃねぇ。見ろ、ミサイルを中心にマグマが黒くなってる。これは急激に冷やされて固まっている証拠だ」

 

武藤の言うとおり、ミサイルを中心にマグマが黒くなって冷やされていた。

 

塚本「つまり中身は液体窒素か何か…」

 

武藤「さあな…だがこれだけは分かる。アイツは…自称大和は日本を護ったんだ」

 

また武藤が言うとおりである。

 

自称大和は日本を大自然の脅威から護り抜いたのだ。

 

「か、艦長!自称大和が…自称大和が沈み始めました!!!」

 

武藤「なに!?」

 

報告を聞いて武藤はたまらずに外へ出た。

 

そこには船体を揺らしながら沈み始める自称大和の姿があった。

 

武藤(船員を救出しなければならないが…放射能漏れの危険がある以上は耐用装備がない今、救出は不可能か………)

 

手すりを力強く握りながら沈み行く自称大和を見る武藤。

 

ゴジラによる救出案もあるが核をエネルギー源にしているゴジラでも下手をすればメルトダウンの恐れがあるために出来なかった。

 

敬意と謝罪を込めて武藤は沈んでいく自称大和に敬礼した。

 

時代は違えど日本を…祖国を護った英雄に捧げる最大の敬意であった。

 

 

 

深海350M付近にゴジラは海面に向かっていた。

 

すると100Mほど離れた場所から自称大和が沈み始めていた。

 

ゴジラ「グルルルル!?」

 

自称大和を見たゴジラはあり得ない光景になった。

 

沈み行く自称大和が人間の女性に見えたのだ。

 

膝くらいまである焦げ茶色の髪を艤装でポニーテールにまとめ、瞳の色も茶色、服装は上が体のラインにフィットした前留め式の紅白のセーラー服で、首元にはスカーフではなく金の注連縄状のものが巻かれて、袖は肩が露出しており脇下で胴と繋がっている。

 

またその袖口は手のひらを半分覆い隠すほど長く、下は赤のミニスカで両腰の部分が露出しており、黒紐パンの紐のようなものが見える女性だった。

 

ゴジラ「…………」

 

瞬きして見ると元の軍艦の姿であった。

 

ゴジラ「…………ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

女性の姿が気のせいであろうと思い、沈み行く1人の英雄に怪獣王としての敬意を払うかのようにゴジラは雄叫びを上げるのだった。

 

 

 

平成31年4月7日

 

駿河湾沖(北緯:34.3度 東緯:138.5)

 

“自称大和”沈没。




自称大和の沈没から後日、放射能測定及び自称大和クルーの遺体確認が日本政府により行われた。

結果は放射能は非検出、遺体は確認されなかった。

自称大和艦体の海中調査も行われたが自称大和内部に原子炉及び動力部は特定出来なかった。

しかし自称大和艦尾に対称に開いた2つの空間が見つかり、動力兼脱出挺があったのではないかと推測された。

日本政府は自称大和の戦力・構造解明のために引き上げが検討された。

…が、自称大和が沈んでいる海域はツガイの怪獣が縄張りにしているために断念された。

そして、今回首都圏を襲った巨大地震と津波・富士山の噴火という一連の災厄はS.O.N.G.の協力の元で調査が行われ、相模トラフによるものと断定された。

南海トラフによる次の地震への懸念は残るものの、避難に際し多数の負傷者が出たが自称大和出現により太平洋側地域への避難指示が早くから出ていたことが大きく作用し未曾有の大規模災害でありながら行方不明者及び死者は0であった。

これに対し結果的に自称大和が大きく関与・貢献したことは一切公表されず、“脅威”とみなし撃沈・排除したとし自称大和問題は収束と公表された。

やがて、復興の中で一部の人間たちを除き人々の記憶から自称大和は消えていった。



平和祈念展望台に響、翼、クリス、マリア、調、切歌、ガウは来ていた。

クリス「しっかしあの自称大和、よく分かんなかったな」

翼「確かに。こちら側の交信を一切応答しなかったから轟沈されたのは仕方なかっただろう」

マリア「そうね。でも最終的に日本を衛ったのは自称大和よ」

響「そうですよ。国を衛ったのは自称大和なのに…なんで“脅威”で公表したんだろう」

ガウ「がうがうがうー」

訳:そうそう

階段を上りながら日本政府が発表した公式発表に響とガウは文句があるように言う。

翼「それこそ仕方ないことだ」

響「え?」

マリア「“国側が不審艦に国防されました”なんて言えるわけないでしょ」

翼「それに称賛にも似た発言をしたら実は自称大和が日本の極秘所有戦艦とか言われたら堪らないからな」

国の体面のために大災害から国防した英雄を脅威として処理せざるを得ないと語る。

切歌「でも外見は戦艦大和デス」

調「うん」

クリス「でも自称大和(アイツ)この国(日本)イージス()の1隻だったんだよ」

クリスの一言に全員が頷く。

展望台の頂上に着くとそこには武藤ら自称大和問題に関わったイージス艦の艦長たちがいた。

武藤「ん?君たちは確か、S.O.N.G.の…」

響「はい。武藤艦長らもやっぱり?」

蝶野「まあ、な」

橋本「その通りだな」

武藤たちと響たちが同じことをするためにこの展望台に来たことを話す。

塚本「ちょうど自称大和(ヤツ)の名前を決めたんで一緒に言ってくれませんかね?」

翼「自称大和の艦名を…ですか?」

クリス「そいつはいいな」

ガウ「がうがうー!」

武藤「では…“戦艦大和”ならびに“第2艦隊”殉職者に敬礼!!」

自称大和が沈んだ海域方面を向いて全員は敬礼する。

武藤「続けて北緯34・3度、東緯138・5度に向けぇっ!“紅の戦艦”に敬礼!!」

駿河湾沖に沈んだ自称大和―いや、未曾有の大災害から日本を国防した英雄《紅の戦艦》に向けて敬礼した。

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