戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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弦十郎「もはや完全に毎日投稿だな」

緒川「完全に復活しましたか?」

作者「してない、してない」


第345.5話 策謀

ノンマルトたちの住む海底はドーム状の人工空間があり、その中に居住区がある。

 

その中で1番巨大な王宮のような建造物は指導者であるデズラーが住み、街のあちこちにある大型の洋館に似た建造物にはノンマルトの高官たちが住む館がある。

 

そんな王宮の中にノンマルトの高官たちが集まっていた。

 

皆、何やら親しげに話している中で1人だけ厳しい面持ちの人物がいた。

 

モミアゲと口髭が一体化した特徴的な髭を生やしているほか、頭髪も灰色の髪をオールバックに纏めている男性―ノンマルト軍艦隊総司令官『ルガ・ディンツ』提督である。

 

ディンツが厳しい面持ちでいるのには理由があった。

 

理由は彼の直属の部下であるドルメからもたらされた報告であった。

 

ー博多湾海戦において怪獣軍団が我が艦隊に襲撃せしー

 

この一報を聞いてディンツはかなり動揺した。

 

怪獣たちとノンマルトが交わした獣海底盟友条約を結んだのは他ならぬディンツであるからだ。

 

ディンツ(怪獣軍団が我が軍に襲い掛かっただと?有り得ん…怪獣王 ゴジラは約束を破るような真似は絶対にしない。では何があったというのだ?)

 

会合の場でガウの姿となったゴジラを思い出してディンツは考える。

 

そんなディンツを影で笑う者がいた。

 

ムルヘである。

 

ノンマルト高官の間には2つ派閥があり、主戦で大帝国派のムルヘと穏健で共和派のディンツに別れている。

 

ディンツの部下であるドルメはどちらかの派閥とは無いが周囲からはディンツ側と勝手に認知されている。

 

ムルヘ(ふん、ディンツめ。さぞ混乱しているだろうな。信用していた怪獣どもが我々に牙を向いたのだからな。条約締結者である貴様からすればこれほど動揺することはなかろうな)

 

ディンツの姿を見てムルヘはそうとは分からないように笑いながら持っていたグラスに入ったワインを飲む。

 

「総統閣下、御来場!」

 

扉の前にいた従者の1人が叫ぶように言うと楽しげに話していた高官らは真剣な顔になり、玉座へ続く一本道を開け、背筋を正すと敬礼する。

 

そんな中を女官と共にデズラーが歩いてきた。

 

デズラーは高官が開けた一本道へ歩いていき、玉座に座る。

 

玉座にデズラーが座ると高官らは敬礼からなおり、玉座に座るデズラーに向き直る。

 

デズラー「今回は悲しい知らせがある。我がノンマルト軍の最強であるドルメ中将率いる太平洋方面遠征軍が我々の盟友、怪獣たちと締結した条約を破り、怪獣の縄張りに侵攻したらしい」

 

デズラーの言葉に(一部を除いて)高官らは動揺した。

 

中でも1番動揺しているのはディンツであった。

 

ディンツは昨夜になってドルメから怪獣たちの件を聞いたのだ。

 

つまり、まだデズラーは知らないハズなのに知っていることに動揺しているのだ。

 

さらにデズラーは確りと言った、―ドルメ中将率いる太平洋方面遠征軍が我々の盟友、怪獣たちと締結した条約を破り、怪獣の縄張りに侵攻したらしいと―

 

それはディンツすら知らないことである。

 

ディンツ「そ、総統!今のお言葉はどういうことですか!?」

 

動揺しながらもディンツはデズラーに問う。

 

デズラー「あぁ。それはね、優秀な私の直属の部下が教えてくれたのだよ」

 

ディンツの問いにデズラーが答えるとムルヘが前に出てきた。

 

ディンツ「ムルヘ、お前だったのか!総統に嘘の証言を……」

 

ムルヘ「嘘を言ったのは貴様ではないか、ディンツ提督」

 

ディンツ「なんだと?」

 

ムルヘ「貴様は部下であるドルメと共謀し、わざと怪獣との条約を破った。そしてその罪を我輩と総統に擦り付け、貴様がここの支配者になる算段であったのだろう!」

 

ディンツ「何を戯言を!先代総統の代より仕えてきた私が何故そのようなことを…」

 

否定しようとするディンツだったが武装したノンマルトの兵が取り囲み、銃を向ける。

 

ムルヘ「我輩の言葉が戯言かどうかは、調べてみれば分かることだ。もちろん、先代総統の件もな」

 

銃を向けられたディンツを見てムルヘは不敵に笑っていた。

 

他の高官らは何が何やらと状況に着いてこれていなかった。

 

ディンツ「総…!?」

 

ムルヘを相手にしていては埒が開かないと踏んでデズラーに直接意見を言おうとしたがディンツはあることに気付いた。

 

デズラーも笑っていたのだ、それもムルヘと同じように不敵に笑って…。

 

ディンツ(まさか…まさか総統…貴方まで、ムルヘと共に……)

 

デズラーの笑みを見てディンツは全てを察した。

 

デズラーはムルヘと共謀し、自分たちを利用して穏健派を潰しに掛かったのだと。

 

その後、ディンツは兵たちに連行された。

 

そんなディンツを見る女性がいた。

 

短く切られた青い髪で、赤い軍服を着た女性―ディンツの娘でノンマルト軍航空小隊隊長『ネマ・ディンツ』少尉であった。

 

ネマ(父上…)

 

連行される(ディンツ)を見てネマは込み上げてくる怒りを抑えていた。

 

ネマ「父上…このネマ、必ずお救いいたします」

 

事の次第をすでに知っているのかネマはそう言ってその場を後にするのだった。


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