戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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クリス「今日はやけにグダグダな内容だ」

翼「暖かな目で見てほしい」

響「それではどうぞ~♪」


第349.5話 和解への一歩

クリスたちがノンマルト軍の密集しすぎな陣形を逆手に取り、動きを封じて戦っている時、ノンマルト軍太平洋方面遠征軍補給基地ではドルメ艦隊が警備に就いていた頃のことである。

 

指揮官のドルメとその直属の上官のディンツが逮捕され、全軍の権限がムルヘに移されてすぐにドルメ艦隊は戦いとは縁遠い補給基地の警備に回されたのだ。

 

ドルメ艦隊の実質指揮を執るのはドルメの副官であるデルハインになる。

 

そんなデルハインは補給基地の医務室にリエーサと話していた。

 

リエーサ「そう、あの人がそんなことを…」

 

デルハインからドルメの逮捕を聞いてリエーサは言う。

 

デルハイン「はい。中将は私に貴女方2人のことを頼まれました」

 

リエーサ「そう…」

 

デルハインの言葉を聞いてリエーサは察して答える。

 

響「あの~…何でドルメさんは私まで?私、捕虜…なんですよね?」

 

そこにベッドに座っている響が恐る恐る聞いてきた。

 

デルハイン「確かに君は捕虜だが記録上、我々はシンフォギアを捕虜にはしていない」

 

響「えーっと、それはどういう?」

 

リエーサ「クルエは…あの人は貴女を捕虜にしたなんて報告をしていないの」

 

響「どうしてそんなことを?」

 

リエーサ「似てるからよ。貴女が、あの子に…」

 

響の疑問に答えるようにリエーサは机にあった写真立てを手に取ると響に見せた。

 

響「これって……」

 

写真立ての写真を見て響は驚いて目を見開いた。

 

自身と瓜二つの顔をした少女が写っていたのだから無理はない。

 

響「あの、この子ってもしかして…」

 

リエーサ「えぇ、私とクルエの娘。生きていたら貴女と同じくらいだったかしら」

 

響「………」

 

リエーサの言葉を聞いて響はこの子がどうなっているかを察した。

 

リエーサ「私もクルエも、貴女を見たとき生まれ変わりかと思ったわ」

 

響「リエーサさん…」

 

リエーサ「そんな貴女を他の人間みたいな思いはさせたくなかったの」

 

響「そう、だったんですか…」

 

自身が記録上は捕虜となってない理由を聞かされて響は呟く。

 

すると医務室のドアが荒っぽく叩かれた。

 

デルハイン「騒がしいぞ、なにごとだ!」

 

ドア超しにデルハインは問いかける。

 

「デルハイン司令代理!大変です、基地が、基地が怪獣軍団に取り囲まれました!!」

 

デルハイン「なに!?」

 

怪獣軍団に基地が取り囲まれたと聞いてデルハインは驚いて声を上げた。

 

 

 

補給基地をぐるりと取り囲むように13体の怪獣たちが布陣、基地正面にはゴジラとチタノザウルスが陣取っていた。

 

※ここからゴジラとチタノザウルスは日本語を話しますが周りからは鳴き声にしか聞こえません

 

チタノザウルス「王よ、なぜ一気に攻めかからないのですか?王妃様を救うにはそれしかないと思いますが…」

 

ゴジラ「よせ、あの基地を守っているのはドルメ司令の艦隊だ」

 

チタノザウルスに自身とゴジラを含めた15体の怪獣でもってすれば基地を叩き潰せるのになぜしないのかと聞かれてゴジラはそう答えた。

 

チタノザウルス「では尚更攻めるべきです!奴は我々との条約を破った者ですぞ!」

 

ゴジラ「ドルメ司令がそんなことを己の意思でするとは到底思えん。何か理由があるハズだ」

 

攻めるべきだと言うチタノザウルスにゴジラは反論する。

 

チタノザウルス「そうですか…王が仰るならそうでしょうが…」

 

ゴジラ「無論、響を一刻も早く助けたい。だが一時的には友好を結んだ種族、そしてこの怪獣王が認める数少ない軍人の1人が指揮する艦隊だ。話し合いで解決すればそれにこしたことはない」

 

チタノザウルス「まるで王妃様のような考えですな」

 

ゴジラ「そうか?」

 

チタノザウルス「そうですよ」

 

ゴジラ「響に影響されたかな」

 

チタノザウルス「恐らく。むっ、王よ。どうやら出てきましたぞ」

 

ゴジラ「むっ」

 

チタノザウルスに言われてゴジラは正面を見るとゲシュペンストを旗艦としたドルメ艦隊が基地から出てきた。

 

※ここからはいつもの鳴き声になります。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ドルメ艦隊が出てゴジラは雄叫びを上げる。

 

ゴジラの雄叫びを聞いて怪獣たちが身構え、戦闘体勢に入った。

 

 

 

デルハイン「怪獣の数はゴジラを含めて15頭…たった1艦隊で止められる戦力じゃないな、こりゃあ」

 

ゲシュペンストのブリッジにてデルハインは言う。

 

「デルハイン司令代理、通信が入っています!」

 

デルハイン「繋いでくれ」

 

イルラ『デルハイン司令代理、我々第1航空隊を出撃命令を。ハーガの仇は必ず取る』

 

通信に出ると相手はイルラで、デルハインに言う。

 

デルハイン「早まるなイルラ。ゴジラがその気なら我々が出る前に決着を着けるハズだ」

 

イルラ『しかし…』

 

デルハイン「いいから。ここは儂を信じてくれ」

 

イルラ『ドルメ中将の副官である貴方がそう言うなら信じましょう』

 

デルハインの言葉を信じてイルラは言うと通信を切った。

 

デルハイン「さて、どうしたものか」

 

これからのことを考えるデルハインは後ろ頭を掻く。

 

「し、司令!」

 

デルハイン「今度はなんだ?」

 

「我が艦隊と怪獣軍団のど真ん中に艦影が浮上中!これは…ディンツ提督のアルトアイゼンです!!」

 

デルハイン「ディンツ提督の!?」

 

ドルメと共に逮捕されたハズのディンツの専用戦艦が浮上していると聞いてデルハインはその場所を見る。

 

数秒後、ドルメ艦隊と怪獣軍団の間にディンツ提督専用戦艦 アルトアイゼンが浮上してきた。

 

ディンツ『私は元ノンマルト軍艦隊総司令ルガ・ディンツである。双方戦闘体勢を解き、停戦せよ。我々が争う理由は何1つ無い!繰り返す…』

 

外部スピーカーでディンツがドルメ艦隊と怪獣軍団に言う。

 

デルハイン「何がどうなって…」

 

ドルメ『驚かせたな、デルハイン』

 

デルハインが混乱しているとブリッジのメインスクリーンにアルトアイゼンのブリッジとブリッジにいるドルメの姿が映った。

 

デルハイン「ドルメ司令!?」

 

ドルメがこの場にいることにデルハインは驚く。

 

デルハイン「どうして司令がここに!?」

 

ドルメ『ディンツ提督に救われた。だが詳しくは後で話す、今は時間がない、直ぐに怪獣王と和平を結ばねばならん。私の幕僚団全員をアルトアイゼンに向かわせてくれ』

 

デルハイン「は、ハッ!」

 

ドルメに言われてデルハインは敬礼する。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

訳:全員、戦闘体勢を解け!停戦だ!!

 

外部スピーカーでディンツの言葉を聞いたゴジラも雄叫びを上げて全員に伝える。

 

 

 

響「音が…止みましたね…」

 

外が騒がしかったのが静けさを取り戻したのを感じて響は言う。

 

するとトントンとドアを叩く音がした。

 

リエーサ「どうやらお迎えが来たみたいね」

 

響「ふえ?」

 

音を聞いてリエーサは言うとドアを開けた。

 

ガウ「がう~♪」

 

ドアが開くとガウが勢いよく飛び出して響に抱きついた。

 

ディンツの停戦を受け入れて他の怪獣たちは基地の砂浜に残してたった1人で来たのだ。

 

響「が、ガウくん!?」

 

抱きついてきたガウに響は驚く。

 

ガウ「がうがう~♪」

 

そんな響を気にしないでガウは尻尾を振って喜んでいた。

 

響「本物だ、本物のガウくんだ~♪」

 

ガウが本物であるとやっと理解した響は笑いながら抱き締める。

 

リエーサ「………」

 

そんな響を見てリエーサは亡き娘の姿を重ねていた。

 

ドルメ「失われた時間は二度と戻っては来ない」

 

リエーサの隣にドルメが来て言う。

 

リエーサ「クルエ…」

 

ドルメ「だから生命は前に進まねばならん。あの子ら」のようにな

 

ガウとの姿を見ながらドルメは言う。

 

リエーサ「そうね。貴方の言うとおりだわ」

 

ドルメの言葉に同意してリエーサは言うのだった。

 

ディンツ「あー、絆を深めているところ悪いのだがこちらも時間がないのでな。すぐに前線海洋基地に向かうぞ。話はそこからする」

 

いい感じのムードでいたガウたちにディンツが言ってきた。

 

言われてディンツに気づく面々。

 

ディンツ「もちろん、シンフォギアである君もだ」

 

そんな中で響を見てディンツは言う。

 

リエーサ「それならこれを」

 

ディンツの言葉を聞いてリエーサは近くにあった戸棚を開けるとある物を出した。

 

響の制服とギアであった。

 

響「これって!?」

 

これには響は驚いてしまう。

 

リエーサ「クルエが女性の物は女性が見ていてくれって」

 

響「ありがとうございます、クルエさん!」

 

響にお礼を言われてドルメは少し、照れていたがそこは軍人である。

 

皆にバレないように心の内で照れていたのだった。

 

 


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