特別番外編 英雄を繋ぐ者
突然ながら、響の姿が変わりました。
クリス「唐突過ぎるだろ!?」
マリア「それで、どんな姿になったの?」
未来「こんな姿です…」
響?「ど、どうも~」
未来の背中からひょっこり現れたのは一つ目で、オレンジ色の体色、足は無いが手は指はないが一応はある小さく愛らしい(?)幽霊に似ていた。
翼「幽霊…だな」
未来「はい。そうなんです」
響「朝起きたらこうなってまして…」
フヨフヨと空中に浮かび響は言う。
調「響さんがそんな姿だからガウくんがあんなに怯えてるんですか」
チラッとマリアの足元を見ながら調は言う。
ガウ「………」ガタガタ…
マリアの足元でガタガタと怯えてしまっているガウがいた。
ガウはお化けが大の苦手(詳しくは『番外編 ドキドキ!真夏の日!!』で)なので幽霊に似た姿をした響に怯えてしまっているのだ。
翼「これは重症だな」
クリス「まあ、ガウのは半分アタシらの責任だけどな」
完全に怯えきっているガウを見て翼とクリスは言う。
響「そのせいでガウくんとリルくんに触れられないし、近づいてもくれないんですよ~」(泣)
ヨヨヨ…っと悲しむ響。
リル「かうぅ…」
悲しむ響にリルは少し警戒した様子で未来の足元から見ていた。
どうやらリルはお化けはそこまで怖くはないらしいが響の姿が違うために警戒しているのだ。
切歌「でも、こればっかりはしょうがないデスよ」
クリス「だな。それでこれからどうするんだ?」
響「どうするって…どうしたらいいのかさっぱりで…」
マリア「エルフナインとユウコさんには診せたのよね?」
未来「はい。でも異常は無いって…」
エルフナインとユウコにも診せたが異常が無いと言われたと伝える。
響「ガウく~ん」
ガウ「みぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
近づいてきた響にガウは悲鳴を上げて部屋を飛び出して逃げてしまった。
響「ま、待ってよ、ガウく…ぐえ!?」
逃げたガウを追いかけようとした響を未来がガッシリと掴んだ。
未来「響、あまりガウくんを怯えさせちゃダメだよ?」
響「わ、分かったから、未来…は、離して…く、苦しぃ……」
未来に掴まれて響が言うと離してもらえた。
翼「しかし、どうしたものか」
クリス「このバカがこんな姿じゃ戦えないよな」
マリア「ギアは反応しないの?」
響「声はそのまま何ですけど全く反応しないんです」
声はそのままなのにガングニールは反応しないらしい。
マリア「とにかく、元の姿に戻るまで自宅で待機してなさい」
最終的にマリアがそう言ったためにそうすることとなった。
ガウ「ふーっ!」
リディアンの寮にて猫みたいに尻尾を立てて毛を逆立てながらガウは威嚇していた。
お化けとなった響に。
響「ガウくーん、私だよ~」
威嚇された響はガウに近寄ろうとするが…。
ガウ「ガルルルルル!!」
威嚇の声をガウは上げてはいるものの逃げ腰になっていた。
未来「ほら、2人とも。遊んでないでご飯ができたよ」
そこへ料理を乗せたおぼんを持った未来とお手伝いをしているリルが来た。
響「わーい、待ってましたぁ!」
フヨフヨとテーブルに向かう響。
だがガウはその場を動こうとしなかった。
未来「ガウくん、ご飯だよ」
ガウ「ぐるぅぅぅ……」
未来に呼ばれてはいるが喉を鳴らしてガウは動こうとしない。
未来「かなり警戒しちゃってるみたいね…」
ガウの行動を見て未来は察する。
響「そんなにこの姿が怖いの?」
未来「まあ、ガウくんはお化け自体にトラウマ持ってるから。それに……」
リル「くぅ~…」
机の下に隠れて警戒するリルをチラリと見る。
響「はぅ…私、呪われてるかも……」
ガウとリルの態度を見て響は悲しくなるのだった。
その日の深夜。
ガウとリルは二段ベッドの下に、未来はお化けとなった響と共に上の段で寝ていた。
全員気持ちよさそうに眠っている。
そんな時、ベランダの窓をすり抜けるように1体の怪人が部屋に入ってきた。
怪人は他人の顔を縫い付けているような縫い目があり、オレンジ色の顔や体に黒の眼や口の造形はハロウィンのジャック・オー・ランタンの様に見える姿をしていた。
怪人「ウゥゥ……」
うめき声のような声を出しながら怪人はゆっくり浮かび上がると二段ベッドで寝ている響と未来を見て響に向かって手を伸ばしてきた。
怪人の手が響に触れかけた時、新たな人物の手がそれを防いだ。
怪人「!?」
驚いて手の方を見るとそこには自身と同じくらいの高さに浮遊した青年がいた。
青年「この子に手は出させない!!」
そう言って青年は怪人の手を引っ張り体を縦にさせると思いっきり蹴り飛ばした。
怪人「ウゥゥ!!」
蹴られた怪人はすり抜ける前に壁に手を付けて外へ出るのを防いで着地した。
青年も着地して床に足を付けると懐から目玉のようなものを出すと腰部に大きなカバーがついたベルトが現れた。
青年はカバーを開き、アイテムを入れると閉じた。
アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!
青年がアイテムを入れてカバーを閉じると音声とともにベルトからパーカーのようなゴーストが現れた。
?「変身!」
カイガン!オレ!レッツゴー!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!!
ハンドルを押し込むと音声の後のラップ調の独特の音声と共に青年の姿が変わった。
基本カラーはオレンジ、頭部『ペルソナパンテオン』の顔全体がオレンジ色で黒い部分が複眼のような形状をしている姿に変わった。
怪人「ごー…す…と……」
怪人は青年『天空寺 タケル』が変身した姿―英雄の魂を繋ぐ者『仮面ライダーゴースト』を見て言う。
ゴースト「アナザーゴースト、俺が相手だ!」
ゴーストは自身を禍々しくしたような姿をした怪人、正史とは異なる形で生み出された邪悪な存在『アナザーライダー』の1人『アナザーゴースト』を見て言う。
アナザーゴースト「ウゥゥ…ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
アナザーゴーストはゴーストに雄叫びを上げながら向かっていく。
ゴースト「はっ!!」
ゴーストは背を低くして正拳突きを繰り出した。
アナザーゴースト「ウゴバァ!?」
ゴーストの正拳突きにアナザーゴーストは自身の走り出した威力と共に吹き飛ばされて外へ放り出された。
アナザーゴーストが外へ放り出されたのを確認したゴーストは直ぐに響の方へ浮き上がった。
さっきの騒ぎが聞こえていないのか響を含めて未来もガウもリルもぐっすり眠っていた。
そんな響に向かってゴーストは人差し指と中指だけを合わせて伸ばし、円を描くと目玉のようなのが一瞬だけ現れたかと思いきや次の瞬間にお化けとなっていた響の姿が元に戻った。
そしてゴーストの手元に黄色とオレンジのアイテム―ゴーストが使用する変身アイテム『眼魂』があった。
ゴースト「本当にごめんなさい!」
両手を合わせて頭を下げるゴーストは言い終わると姿勢を戻して外へ出た。
アナザーゴースト「ウゥゥ…」
下には丁度、アナザーゴーストが立ち上がっていた。
ゴースト「力を借りるよ!」
着地したゴーストはさっき手に入れた眼魂を起動、ベルト『ゴーストドライバー』から基本型体である『オレ眼魂』を抜いて代わりに装填した。
アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!
装填した眼魂から響の纏うガングニールに似た手甲をした黄色とオレンジの色をしたパーカーゴーストが現れた。
カイガン!ガングニール!
この拳もシンフォギア!!
ハンドルを押し込むと音声の後のラップ調の独特の音声と共にパーカーゴーストがゴーストに羽織るように一体となった。
『仮面ライダーゴースト ガングニール魂』である。
ゴースト「行くぞ!!」
アナザーゴースト「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
両者同時に走り出し、互いの拳の届く範囲まで行くとストレートパンチを繰りだす。
同時に互いの体に当たるだろうと思った瞬間、ゴーストの拳の手甲が変形してブースターのようなのを形成、火を吹いて拳の速度を上げて先にアナザーゴーストに命中した。
アナザーゴースト「ウゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」
ゴーストの拳を喰らい、アナザーゴーストは吹き飛ばされる。
ゴースト「止めだ!」
ダイカイガン!ガングニール!オメガドライブ!!
ハンドルを押し込むと音声の後にゴーストは跳躍、同時に巨大な目玉とシンフォギアのマークが現れた。
ゴースト「はあぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!」
目玉とマークを背にしたゴーストは両腕を合わせると両腕の手甲が合体し、巨大な右腕となるとゴーストはそこから手を抜いて代わりに蹴りを入れて押し出した。
アナザーゴースト「!?、うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………………………」
起き上がったアナザーゴーストは目の前に迫るゴーストの『オメガドライブ』に反応できずにそのまま喰らい爆散した。
オヤスミー!
タケル「よっと!」
同時にゴーストの変身が解けてタケルに戻った。
戻ったタケルは響たちのいる部屋を見た。
そして手にある『ガングニール眼魂』に眼を落とした。
タケル「人は繋がれる。未来を託して…例え、人間でない生き物だとしても」
そう言ってタケルはその場を後にした。
まるで幽霊の如くユラリと揺らめいて……。
?「チッ、せっかくの試作品が殺られちまったぜ」
とある場所にてヴァンパイアのような姿をした少女が言う。
?「ミラアルクちゃん、アレはデータさえあればまたいくらでも造れるわ」
少女―『ミラアルク』に褐色の肌でロングヘアの女性が言う。
?「ですがまさかオリジナルが現れるとは…想定外であります」
小さめのスーツケースのようなものを持った獣耳の少女が言う。
?「大丈夫よ、エルザちゃん。彼らもそうそう異世界であるここには加入出来ないわ」
少女―『エルザ』にまたも女性が言う。
ヴァネッサ「まあ、私たちは今から計画を開始しないといけないから大変だけどね」
そう言いながら女性―『ヴァネッサ』は怪しげな笑みを浮かべていたのだった。