?「うっ…ん…ここは……」
目を覚ました女子高生は上半身を起こして辺りを見回した。
いる場所は地面に藁を敷かれている洞窟で、女子高生はその藁の上に寝かされていた。
リル「かう!」
声の方を見ると小さな篭に沢山の果物を入ったリルがいた。
リルがいる怪獣島の離島には幾つかの洞窟があり、島の中心にある洞窟にはリルが留守番する部屋になっている。
洞窟の近くには島独特の環境で異様に巨大化したマンゴーや野イチゴなどが群生で生えており、リル自身がお腹が空けばそれらを食べられるようになっていた。
リルはそれらを採ってきていたのだ。
(因みにスフランなどの危険植物が自生していたがガウが予め撤去及び種子まで燃やしている)
リル「かうかう~♪」
女子高生が起きているのを見てリルは駆け寄る。
?「君は…もしかして、ここの住人さんですか?」
リル「かう?かうかう」
女子高生に聞かれた意味がよく分からないリルは首を傾げるが採ってきて果物を差し出した。
?「くれるんですか?」
差し出された果物を見て女子高生はリルに聞く。
リル「かう!」
聞かれたリルは頷いた。
?「ありがとうございます!」
お礼を言ってリルが採ってきた果物の中から野イチゴを1つ取って食べる。
?「うん、美味しいです~♪」
リル「かうかう~♪」
女子高生の言葉にリルは嬉しそうにして鳴く。
?「じゃあ、こちらも何かお礼をしなくてわ…あ、これをどうぞ!」
野イチゴのお礼にと女子高生はポケットから袋に包まれたあめ玉を出した。
?「はい、あめちゃん!」
リル「かう、かうかう~♪」
女子高生の出したあめ玉を受け取ってリルは袋から出して口に運んだ。
リル「かう~♪」
あめ玉が美味しく、リルは嬉しそうに鳴く。
リル「かうかう、かう~?」
?「もしかして私の名前を聞いてるんですか?」
リルの言ってることが分かるのか女子高生は聞いてきた。
リル「かう」
女子高生の言葉にリルは頷いた。
アサヒ「私はアサヒ、湊 アサヒです」
女子高生―『湊 アサヒ』は名乗る。
アサヒ「君はなんて言うんですか?」
リル「かう…」
アサヒに名前を聞かれてリルは指で洞窟の泥に文字を書いた。
ひらがなで"りる"と。
響が前に並行世界で出会った少女、シャロンに教えた文字をガウも教えてもらい、ガウがリルに教えているのである。
アサヒ「リルくんって言うんですか、可愛くっていい名前ですね」
リル「かう~♪」
自分名前を誉められたことにリルは嬉しくってしょうがなかったのだった。