アサヒがリルの留守番する島に来て、1日が経っていた。
2人はすっかり仲良くなり、友達にまでなっていた。
アサヒ「いやぁ、驚きました。まさか天然温泉まであるなんて、凄い島ですね!」
リル「かうかう~♪」
朝、ホコホコの体を風通しのいい日陰で休ませながらアサヒとリルは言う。
実は怪獣島は怪獣島本土を含む10の小島に大小様々な大きさの天然温泉が必ず1つは付いているのだ。
理由は火山活動によるもので、マグマの熱により怪獣島や小島の地下水の半分が暖められ、さらに怪獣島の独特の環境により効能まで加わり、その気になれば温泉街など出来るほどである。
アサヒ「果物は美味しいですし、温泉はありますし、もう最高にハッピー!」
リル「かうー!」
アサヒが嬉しそうにしてリルも嬉しくなっていた。
ほのぼのした空気が流れていた、その時だった。
?「ウギャアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
海の方で何かが飛び出したかと思いきや猿のような鳴き声と共に温泉の方で地鳴りを起こしながら何かが降ってきた。
ハヌマーン?「ウギャアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
そこにいたのは巨大な白い猿―『大害獣 ハヌマーン』が雄叫びを上げていた。
しかし、その身体は肥大化しており、まるで猿というよりゴリラのような姿のなっていた。
ハヌマーン?「ウギャアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
ハヌマーンは両腕で自身の胸を叩く行為―ドラミングをする。
(補足:ドラミングはよくゴリラの威嚇と言われているが、実際のゴリラ社会では戦闘前の行為ではなく、仲間に餌を発見したときや自分の居場所や身の危険を感じた時などに使用されるのでドラミング=戦闘準備・威嚇ではない。因みに、ゴリラはグーじゃなくてパーで鳴らします。あと音はよく映画(キングコングとか)では"ドンドン"ですが実際は"ポコポコ"です(いや、マジで))
アサヒ「怪獣!?」
リル「かう!?」
現れたハヌマーンにアサヒとリルは驚く。
ハヌマーン?「ウギャアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
自身に驚いているアサヒとリルに気づいたハヌマーンは尻尾を伸ばしてリルを捕らえた。
リル「きゃう!?」
リルを捕らえたハヌマーンの尻尾はそのまま自身の方へ引き寄せた。
アサヒ「リルくん!!」
連れていかれるリルに向けて手を伸ばすアサヒ。
リルも懸命に手を伸ばすが届かずにハヌマーンの方へ引き寄せられてしまった。
ハヌマーン?「ウギャアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
ハヌマーンは引き寄せたリルを尻尾から離して手で握った。
その際、リルが声を出せないように口を塞いでいた。
アサヒ「リルくんを返してください!」
ハヌマーン「ウギ?ウギャアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
アサヒに今気づいたのかハヌマーンは空いている片手で近くの岩を持ち上げるとアサヒに向かって投げた。
アサヒ「きゃっ!!」
岩に驚いてアサヒはしゃがむ。
岩はバウンドしてアサヒの頭上を通り過ぎていく。
アサヒ「もう、許しません!」
"ぷんぷん"と怒ったアサヒは両側に持ち手がある握力測定器に似た形のアイテムを出した。
アサヒ「星まで届け、乙女のハッピー!」
アサヒがアイテムの両側のハンドルを3回引っ張るとアサヒの姿が変わった。
ウルトラウーマングリージョ!!
グリージョ「シュワッチ!」
全体的に子供っぽい容姿になっているオレンジと銀、黒の体色がある巨人―女ウルトラ戦士の1人『ウルトラウーマングリージョ』の登場である。
ハヌマーン「ウギ!?」
リル「!?」
アサヒがグリージョに変身したのを見てハヌマーンとリルは驚く。
グリージョ「戦うのはハッピーじゃないんで好きじゃありませんが、友達の為なら、頑張ります!」
変身して意気込むグリージョ。
ハヌマーン・改「ウギャアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
火炎を口から吐き出すハヌマーン―いや、ハヌマーンの強化体『大害獣 ハヌマーン・改』。
グリージョ「えい!!」
ハヌマーン・改の火炎にグリージョは胸や肩に付いたクリスタルが発光させて円状の強力な光のバリア『グリージョ・バーリア』を展開して防いだ。
グリージョ「それ!!」
火炎を防いだグリージョはジャンプしてハヌマーン・改の顔面を蹴る
ハヌマーン・改「ウギ!!」
だが、ハヌマーン・改は効いていないのかグリージョの脚を掴んだ。
ハヌマーン・改「ウギャアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
グリージョ「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
グリージョの脚を掴んだハヌマーン・改は思いっきり地面に叩き付ける。
ハヌマーン・改「ウギャアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
さらにハヌマーン・改は叩き付けたグリージョの腹部を思いっきり蹴って吹き飛ばす。
ハヌマーン・改「ウギャアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
さらにハヌマーン・改は容赦なく火炎を放ってグリージョを攻撃する。
グリージョ「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!」
ハヌマーン・改の火炎で木々や草が燃やされ、火炎地獄と化した場所にグリージョの悲鳴が響き渡った。
ハヌマーン・改「ウギウギ~」
火炎地獄にグリージョを落としてハヌマーン・改は笑う。
その時だった。
?・?「「てめぇ、アサヒに!!」」
?「リルくんに!!」
?「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
訳:リルに!!
『何してんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!!』
?「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
笑うハヌマーン・改の顔面を4人の人物たち(正確には巨人2人、人間の少女1人、怪獣1頭)が殴り飛ばした。
同時にハヌマーン・改が掴んでいたリルが放り出され、それを怪獣がキャッチした。
リル「くぅ~…かう?かうかう!かう~!!」
ハヌマーンから解放されてキャッチしてもらった怪獣を見てリルは喜んでいた。
リルをキャッチしたのはリルの父にして地球怪獣たちの王『怪獣王 ゴジラ』。
響「リールーくーん!!!」
降りてきて、リルをハグした少女はリルの母にして神殺しの異名を持つギア『ガングニール』の適合者『立花 響』だった。
銀をベースにした黒いラインの体と頭の二本角が特徴で、下まぶたや鎧の一部パーツは金色になっている巨人―グリージョの兄『ウルトラマンロッソ・フレイム』こと『湊 カツミ』。
黒をベースにした銀色のラインの体、頭の一本角が特徴の巨人―グリージョのもう1人の兄でロッソの弟『ウルトラマンブル・アクア』こと『湊 イサミ』がいた。
ロッソ「イサミ!」
ブル「分かってるよ!オラアァッ!!」
兄のロッソに言われてブルは直ぐに水の玉を形成するとグリージョを囲う火炎を鎮火した。
「「アサヒ!!」」
火炎を鎮火して倒れているグリージョに駆け寄る。
その後ろをゴジラが付いていく。
グリージョ「うぅ…あれ?イサ兄に、カツ兄?なんで?」
目の前にいる2人の兄たちを見て驚くグリージョ。
ロッソ「良かったぁ~…無事で…」
ブル「すっげー焦ったぁ…」
無事だったグリージョにロッソとブルは言う。
グリージョ「あ、リルくんは!?」
ロッソ「リルくん?」
ブル「それってあの怪獣がキャッチした子か?」
ブルが言う方を見るとゴジラの手のひらに響と乗っているリルがいた。
グリージョ「良かったぁ、無事だったんですね!」
リル「かう~♪」
お互いにお互いが無事だったことを喜ぶ。
ゴジラ「グルルルルル」
喜んでいるグリージョをゴジラは見下ろし、喉を鳴らし、頭を下げた。
自分たちが来るまでの間、我が子を助けてくれようとしたことを分かっていたからだ。
グリージョ「もしかして、リルくんのお父さんですか?」
ゴジラ「グルルルルル」
グリージョに聞かれてゴジラは頷いた。
グリージョ「じゃあ、貴女がリルくんのお母さんですね!」
響を見てグリージョは言う。
ゴジラ「ぐ、グルルルルル……」
訳:い、いやそれは違……
響「はい、その通りだよ!」
ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」
訳:響いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?
否定していたゴジラを差し置いて響が爆弾を爆発させるような発言をしてゴジラは驚くのだった。
ハヌマーン・改「ウギャアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
そこへハヌマーン・改が起き上がって雄叫びを上げる。
ゴジラ「グルルルルル!!」
訳:離れてろリル!!
リル「かう!かうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーー!!」
リトルゴジラ「かおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーー!!」
ゴジラに言われてリルは雄叫びを上げてリトルゴジラとなった。
グリージョ「うわ~、可愛いですよリルくーん!」
リトルゴジラになったリルを見て抱きつく。
ロッソ「とにかく2人は下がってろ。行くぞイサミ!」
ブル「あぁ、カツ兄!!」
《キワミクリスタル!》
《兄弟の力を一つに!》
カツミ・イサミ「「まとうは極!金色の宇宙!!」」
《ウルトラマンルーブ!》
カツミの持つルーブジャイロに光と闇のクリスタルに火・水・風・土の4つの元素が集まり誕生した『キワミクリスタル』を装填してロッソとブルが合体して誕生する合体ウルトラマン、『ウルトラマンルーブ』になった。
ハヌマーン・改「ウギャアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
サスマタ型の武器を出して自身の火炎を纏わせ、ルーブとゴジラたちに向かっていく。
ルーブはカラータイマー部分に手をかざすと八切り光輪に似た形の武器―ルーブ専用武器『ルーブコウリン』を出した。
《高まれ!究極の力!》
カツミ・イサミ「「ルーブボルテックバスター!!」」
カツミがキワミクリスタルを装填したルーブコウリンを正面に向けて放つ、渦巻き状の必殺光線『ルーブボルテックバスター』を発射した。
ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
響「うおぉぉぉぉぉぉぉりゃあぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!」
ゴジラの放射火炎に響がドリルナックルで起こした竜巻で回転させて放つ合体技『我流・竜巻放射』を繰り出した。
ハヌマーン・改「ウギャアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?」
ルーブボルテックバスターと我流・竜巻放射を喰らい、ハヌマーン・改は空に運ばれ、爆発したのだった。
カツミ「今回は兄妹揃ってお世話になりました」
ハヌマーン・改撃破後、変身を解いたカツミ、イサミ、アサヒの体が薄れていた。
エルフナイン曰く、異なる世界の住人であるカツミたちをこの世界が元の世界へ返そうとしているとのこと。
響「いえいえ、こちらも子供がお世話になりました」
ガウ「が、がう~…」
訳:な、なりました~…
笑顔の響と頭にたん瘤を作ったガウがいう。
イサミ「何があったんだ?」
カツミ「気にしてやるな」
アサヒ「リルくん、昨日は楽しかったですよ!また会えたら遊びましょう!」
リル「かうかう~♪」
アサヒとリルがそう話すと3人は夕陽の中に消えるように消えていったのだった。
ハヌマーン・改「ウギャアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
別の場所にて別のハヌマーン・改が爆散した。
?「ふふふ…」
ハヌマーン・改を倒したのは仮面を付けたような顔が特徴的で、カラータイマーがある部分もX字のプロテクターのようなもので覆われているウルトラマンだった。