戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

581 / 1218
第426話 拒み、隔てる

ミラアルク「力を使えば血中のパナケイア流体が濁り淀む…怪物と恐れられても所詮はこの程度…情けないぜ…」

 

アジトにて病院から奪ったRhソイル式の血液を入れるために眠っているエルザを見ながらミラアルクは呟いていた。

 

前の戦いのことを少し気にやんでいるようだ。

 

ヴァネッサ「左腕の具合はどう?ミラアルクちゃん」

 

そこへヴァネッサが来て聞いてきた。

 

ミラアルクは先の戦いで切歌と調の合体技で左腕に傷を負っていたのだ。

 

ミラアルク「ザババの刃…物質的・霊的に作用するってのは本当らしい…どうにも治りが遅いみたいだぜ。それにうちの取って置きのノイズ怪獣が殺られちまったぜ」

 

傷の治りが遅いのとノイズ怪獣のノイズキュラノスが倒されたことをミラアルクは言う。

 

ミラアルク「だが、アイツが最期にいいことを教えてくれたぜ」

 

ヴァネッサ「いいこと?」

 

ミラアルク「ゴジラの血液はRhソイル式…うちらからすればエネルギー源の塊なんだぜ」

 

ヴァネッサ「それはいいわね。もうどこかの施設から奪うなんて真似しなくて済むわね」

 

ミラアルクの報告にヴァネッサは嬉しそうに言うなれば

 

ヴァネッサ「でも…利用する者される者、それを蜜月と呼ぶのなら一体いつまで続けられるのかしら、ね」

 

しかし、訳アリであるのか何かを思い詰めた面持ちで言うヴァネッサだった。

 

 

 

未来「放課後また本部に行くの?」

 

リディアンの食堂にて未来は響に聞いていた。

 

響「うん。困ってる人達がいるから…」

 

未来「響らしい。でもね…」

 

響「でも!本音言うとちょーっと休みたい!未来とガウくんやリルくんと遊びに行きたい今日この頃お年頃!」

 

本音をぶっちゃける響。

 

響「今度さ!時間が取れたら遊びに行こ!カラオケとかさ!ガウくんとリルくん、カラオケとか知らないだろうし!」

 

みんなで遊び行くことを提案する響。

 

未来「じゃあ前みたく思い切って翼さんとか誘っちゃおっか」

 

遊び行くならと、未来は翼を誘おうと言う。

 

響「そうだね…翼さんにも元気になってもらいたいもんね!」

 

ライブを滅茶苦茶にされ、目の前で人を殺されたことで心に傷ができた翼を元気付けたいと思う響だった。

 

 

 

弦十郎「新たな敵パヴァリア光明結社の残党 ノーブルレッドか…その狙いは一体…」

 

放課後、響たちが本部に来てノーブルレッドの狙いを考える弦十郎。

 

緒川「一連の事件をきっかけにRhソイル式の全血製剤は1ヶ所に集められて警護されることになったようです」

 

目的が何にしても狙われるRhソイル式の全血清剤を1ヶ所に集めて警護することになったのを伝える。

 

弦十郎「それと各装者はガウからできるだけ離れないようにしてくれ」

 

響「へ?何でですか?」

 

マリア「忘れたの?ガウの血液はRhソイル式なのよ」

 

ガウから離れないように指示に疑問になる響にマリアが言う。

 

響「あぁ!そうでした!!」

 

マリアに言われて響は忘れてたのか叫ぶ。

 

ガウ「がうがう…」

 

訳:忘れないでよ…

 

忘れていた響にガウは呆れる。

 

弦十郎「ガウだから心配は要らないだろうが相手は10体の怪獣を撃破したノイズ怪獣を持っている可能性が高い。先の戦いで敵はガウがRhソイル式だと気付いているハズだ。ガウを狙って襲撃する可能性は大いにあるからな」

 

緒川「ですが逆にガウくんを狙って来るであろう結社の残党を待ち受けることは出来ます」

 

翼「つまりガウは囮としても使え………」

 

翼がそこまで言った瞬間、何かが顔を掠めた。

 

見ると拳が頬を掠めていた。

 

響「ガウくんを囮って、冗談ですよね?翼さん」

 

笑っているが笑ってない響が笑顔で聞いてきた。

 

翼「じ、冗談…だ………」

 

半ば脅される形で翼は言う。

 

クリス「しかし残党相手にこうも苦戦を強いられるとは思ってもみなかったな…」

 

調「確かに…幹部級三人の方がずっと手強かった。なのになぜ…」

 

かつてのパヴァリア光明結社の幹部『サンジェルマン』、『カリオストロ』、『プレラーティ』の3人に比べて明らかに力の差は歴然のハズのヴァネッサたちに苦戦を強いられること話す。

 

切歌「なりふり構わないやり方に惑わされただけデスとも!」

 

響「だよね。サンジェルマンさん達の想いが宿ったこのギアで負けるなんてありえない」

 

今は苦戦しているが負けたりはしないと意気込む。

 

すると翼が発令室を出ていこうとする。

 

マリア「ちょっと翼!どこに行くの?」

 

出ていこうとする翼をマリアが呼び止めた。

 

翼「鍛錬場だ。相手が手練手管を用いるのならそれを突き崩すだけの技を磨けばいいだけ」

 

そう言って翼は出ていってしまった。

 

響「翼さん!今度時間ができたらみんなでカラオケに行こうって…だから翼さんも…」

 

発令室を出てすぐに響が追ってきてカラオケに翼を誘う。

 

翼「すまない。他を当たってもらえないか」

 

素っ気なく答えて翼は行ってしまった。

 

 

 

アジトにてヴァネッサたちはある人物を出迎えていた。

 

ヴァネッサ「お早い到着。せっかちですのね」

 

訃堂「腕輪の起動、間もなくだな」

 

出迎えられた人物―黒服のエージェントたちに警護された訃堂はヴァネッサの世辞を無視して聞く。

 

ヴァネッサ「聖遺物の軌道手段はフォニックゲインだけではありません。7つの音階に照応するのは7つの惑星、その瞬き…」

 

ロスアラモスとは少し違う、周囲に7つの球体がある起動装置の部屋に案内する。

 

ヴァネッサ「音楽と錬金術は成り立ちこそ違えど共にハーモニクスの中に真理を見出す技術体系…」

 

装置前にあるピアノのような機械の弦を叩くと7つの球体が起動するように輝きだした。

 

ヴァネッサ「この日、この時の星図にて覚醒の鼓動はここにあり!」

 

最後のキーを押すように弦を叩く。

 

激しく発光する起動装置、だが直ぐに発光は消えてしまった。

 

ヴァネッサ「起動完了…なのよね?」

 

発光が消えてヴァネッサは不安になり言う。

 

確認しようとミラアルクが腕輪に触れようとした時、訃堂がミラアルクの腕を掴んだ。

 

ミラアルク(なんだ!?ジジイの力とは思えないぜ!)

 

訃堂の腕を振り払おうとするがびくともしないことに驚く。

 

訃堂「お前の役目は他にある。おい」

 

訃堂が言うと入り口から2人の黒服の人物―ミラアルクとエルザにRhソイル式の全血清剤を渡していた2人をアザルドが連れてきた。

 

ヴァネッサ「貴方は!?」

 

アザルドを見てヴァネッサは驚く。

 

無理もない、アザルドは元々はヴァネッサたちがある世界にてRhソイル式の血液と引き換えにアルカ・ノイズと他のノイズ怪人と共にある怪人たちに渡したのである。

 

アザルド「久しぶりだな。また会えて嬉しいぜ」

 

ヴァネッサたちを見てアザルドは言う。

 

エルザ「その人達は、あの時の人達でありますか…?」

 

アザルドが連れてきた人物たちを見てエルザは聞く。

 

アザルド「あぁ、んでどーすんだっけか、オーナー・フドウ」

 

エルザの問いに答えたアザルドは次にわざとらしく訃堂に聞いた。

 

訃堂「片付けよ!使いも果たせぬ木端だ!」

 

ヴァネッサたちに訃堂が言うとミラアルクが2人に近寄る。

 

近寄るミラアルクを見て、アザルドは2人をミラアルクの前に押して離した。

 

ミラアルク「許せとは言わないぜ」

 

黒服B「がっ……………」

 

そう言ってミラアルクは黒服Bを手刀で刺し殺した。

 

黒服A「怪物共め!」

 

同僚を殺されて黒服Aは装置の方へ走り出した。

 

黒服C「逃がすな!」

 

装置の方へ走り出した黒服Aを他の黒服の人物たちが銃を出して攻撃する。

 

黒服A「このまま殺されてなるものか!殺されるくらいならこいつでー!」

 

銃弾から逃れた黒服Aは装置に着くと装置からシェム・ハの腕輪を外して自身の右腕に嵌めた。

 

瞬間、シェム・ハの腕輪が光ったかと思いきや黒服Aを包み爆発を起こした。

 

訃堂「神の力、簡単には扱わせぬか。だが次の手は既に打っておる!」

 

黒服Aの爆発を見て訃堂はシェム・ハの腕輪の力を見て言う。

 

すると爆発は装置を経由で別の装置を爆発させた。

 

ヴァネッサ「ディー・シュピネの結界が!」

 

ミラアルク「連中が駆けつけてくるぜ!」

 

装置―バルベルデにて大統領が逃げ込んだオペラハウスにても使われたあらゆるレーダーや電波も捉えられなくする『ディー・シュピネの結界』が破壊されて焦るミラアルクとヴァネッサの2人。

 

エルザ「提案があるであります!」

 

焦る2人にエルザはあることを提案した。

 

 

 

S.O.N.G.本部にある部屋に翼は修練着になり、日本刀を構えていた。

 

周囲には蝋燭の付いた灯籠が立っていた。

 

翼(歌では何も…守れない…)

 

訃堂(祖父)に言われた言葉を思い出しながら翼は日本刀を抜き、目の前の蝋燭の火を切った。

 

同時に警報が鳴り響いた。

 

翼「!!」

 

藤尭《アルカ・ノイズ出現、反応検知!!》

 

 

 

?「グルワアァァァァァァァァーーーーーーーーーーン!!」

 

現場では丸いボディと両腕のガトリングガン、犬を思わせる頭部、ボディの中心にアルカ・ノイズの発光器官があるのが特徴的なロボット怪獣がアルカ・ノイズと共に襲撃していた。

 

それをヴァネッサだけが見ていた。

 

すると真上にS.O.N.G.のヘリが現れて中からマリア、響、ガウが飛び降りた。

 

マリア「Seilien coffin airget-lamh tron…」

 

起動詠唱を唄い、ギアを纏うマリア。

 

着地したマリアはアームドギアを収納した左腕アーマーを砲身に変形させて放つ砲撃『HORIZON†CANNON』を発射し、バルタン型のアルカ・ノイズともう1体のアルカ・ノイズを貫き撃破した。

 

ガウ「がうぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ガウは雄叫びを上げてゴジラになるとノイズ怪獣に構えた。

 

ノイズルディアン「グルワアァァァァァァァァーーーーーーーーーーン!!」

 

ゴジラの出現にノイズ怪獣―『メカ分解守護獣 ノイズルディアン』は雄叫びを上げると両腕のガトリングガンを斉射する。

 

ゴジラ「グルルルルル!!」

 

着地したばかりで体勢が整ってないゴジラは両腕をクロスして防御体勢でノイズルディアンのガトリングガンの射撃を耐える。

 

ノイズルディアン「グルワアァァァァァァァァーーーーーーーーーーン!!」

 

防御体勢のゴジラにノイズルディアンは容赦ない射撃を加えていく。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ノイズルディアンの容赦ない射撃にゴジラは動けなかった。

 

ノイズルディアン「グルルルルル………」

 

容赦ない射撃をしていたノイズルディアンが突然、射撃を止めた。

 

両腕のガトリングガンが加熱して射てなくなったのだ。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

このチャンスを逃がすまいとゴジラはノイズルディアンに接近する。

 

ノイズルディアン「グルワアァァァァァァァァーーーーーーーーーーン!!」

 

接近するゴジラにノイズルディアンも迎撃するために接近する。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ノイズルディアンに向かって接近していたゴジラは途中で地面を思いっきり踏み、跳躍した。

 

跳躍したゴジラは空中で体を捻るとテールスマッシュをノイズルディアンの頭部に叩き込んだ。

 

ゴジラのテールスマッシュを叩き込まれ、ノイズルディアンは倒れる。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

倒れたノイズルディアンにゴジラは着地して直ぐに放射火炎を発射した。

 

ノイズルディアン「グルワアァァァァァァァァーーーーーーーーーーン!!」

 

ゴジラの放射火炎に対抗するようにノイズルディアンはまだ余熱があるが冷えたばかりのガトリングガンを斉射する。

 

だが個別の弾丸のガトリングガンでは一束の放射火炎に対抗出来ず、全て放射火炎の熱で溶かされてノイズルディアン本体に命中した。

 

ノイズルディアン「グルワアァーー…………………」

 

ゴジラの放射火炎を喰らい、ノイズルディアンは断末魔を上げて爆散したのだった。

 

 

 

まだゴジラがノイズルディアンと交戦しているとき、響はヴァネッサと戦っていた。

 

響の体術をヴァネッサは容易に回避して見せた。

 

響「目的を…聞かせてもらえませんか?」

 

敵でも分かり合おうとする響はヴァネッサに問う。

 

ヴァネッサ「…降参するわ。まともにやっても勝てそうにないしね。わかりあいましょう?」

 

そう言ってヴァネッサは着ている服のファスナーを降ろし始めた。

 

響「え!?そこまでわかりあうつもりは…」

 

ちょっと大人な分かり合うを連想した響は恥ずかしいのか両手で顔を覆うが指の隙間から見てしまっていた。

 

ヴァネッサ「なんてね」

 

そう言ってヴァネッサは某ロボットアニメに出てくる"ダイ◯ナンA"のみたいに胸部からミサイルを発射した。

 

響「え、えぇーーーーーーーーーーーーーっ!?」

 

意外すぎる攻撃に響は驚いて反応出来なかった。

 

ミサイルが着弾前にノイズルディアンを倒したゴジラが尻尾で響を庇った。

 

ゴジラが尻尾で響を守って、マリアが蛇複にしたアームドギアでヴァネッサを捕まえようとするがヴァネッサは後ろへ跳んで回避する。

 

マリア「油断しない!」

 

ゴジラ「グルルルルル!」

 

訳:油断大敵!

 

マリアとゴジラは同時に響を叱責する。

 

響「す、すみません……」

 

2人に叱責されて悄気る響。

 

ヴァネッサ「私達の目的は…そうね。普通の女の子に戻ってみんなと仲良くしたいじゃ…」

 

不意討ちミサイルを防がれながらヴァネッサの手首外れて砲身が見えた。

 

ヴァネッサ「駄目かしら?」

 

そして新たにミサイルを発射した。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ヴァネッサの手首ミサイルにゴジラは近くの瓦礫を掴み、投げてミサイルにぶつけた。

 

ミサイルはゴジラの投げた瓦礫により破壊された。

 

破壊されたミサイルの起こした爆煙の中からマリアがヴァネッサに向かって突っ込む。

 

届く範囲に来てマリアは聖剣型にしたアームドギアで斬りかかるがヴァネッサはマリアの斬撃を全て回避して、跳躍した。

 

ヴァネッサ「やばいかな?やばいかもね」

 

跳躍したヴァネッサはマリアを見ながら言う。

 

斬撃を回避されたマリアはアームドギアを再び蛇複状にして自身の腕に装着、新たな聖剣形態すると†型の粒子砲『DIVINE†CALIBER』を放った。

 

DIVINE†CALLEDによりヴァネッサとその周囲が大爆発した。

 

ゴジラ「グルルルルル………?」

 

訳:マリアのギアって何なの………?

 

響並みの接近戦だったり、クリス並みの遠距離戦だったりするマリアのギア(アガートラーム)に疑問を感じるゴジラ。

 

大爆発が治まるとそこには服が少し汚れただけのヴァネッサがいた。

 

エルザ《ヴァネッサ!》

 

ヴァネッサ「!」

 

 

 

エルザ「腕輪と保護対象を連れて戦域から離脱できたあります!」

 

訃堂たちの乗る車の屋根に乗っているエルザがヴァネッサに連絡する。

 

車体の下ではミラアルクが持ち上げていた。

 

ヴァネッサ《了解。こちらも撤退するわ。例の場所で落ち合いましょう》

 

任務を完遂してヴァネッサは言う。

 

この騒ぎは訃堂を逃がすためのエルザの作戦である。

 

アルカ・ノイズとノイズ怪獣とヴァネッサによる襲撃と見せかけた陽動なのである。

 

 

 

響「待ってください!やっぱり話しても無駄ですか?わかりあえないんですか!?」

 

逃げようとするのを察して響は聞く。

 

ヴァネッサ「わかりあえないわ。だって人は異質な存在を拒み隔てるものだもの」

 

ヴァネッサは答えると顔を光らせた。

 

響・マリア「「!?」」

 

ゴジラ「グルルルルル!?」

 

訳:太陽拳!?

 

ヴァネッサの放つ光に目をそらす響たち。

 

その中で、ゴジラは連想させること言う。

 

光か治まるとヴァネッサはすでに足のロケットで空中に飛翔していた。

 

響「拒み…隔てる…」

 

ヴァネッサの言っていた"拒み、隔てる"に何かを思う響だった。

予定より早いですが、XV篇(IFルート)で幸せになって欲しい人は?

  • エルザ
  • ミラアルク
  • ヴァネッサ
  • 3人とも

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。