戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第430話 乱れる片翼の剣

その日、響、未来、ガウ、リルの4人はエルフナインと翼を連れて町で遊んでいた。

 

人気スイーツ店のスイーツを食べたり、エルフナインの新しい服を買ったり、お化けが苦手なガウをお化け屋敷に連れ込んだりした(その際、怖がるガウを見て響と未来が何かに目覚めかけた)。

 

そして6人はカラオケに来て歌っていた。

 

エルフナイン「また遭う~日まで~♪」

 

ガウ「がう~♪」

 

リル「かう~♪」

 

ノリノリで歌うエルフナインに合わせてタンバリンを鳴らすガウとリル。

 

翼「はぁ…」

 

ノリノリで楽しんでいる3人とは反対に翼は全くノリノリではなく、ため息を吐いていた。

 

未来「響…何がどうなってるの?」

 

ため息を吐いている翼を見て未来は聞いてきた。

 

響「おかしいなぁ…最近しょげてる翼さんを一緒に盛り上げるつもりだったのに…」

 

当初の計画とは違う反応の翼に響は後ろ頭を掻く。

 

翼「すまない…突然予定が空いたが故申し出を受けはみたが…私も余裕がないのだろうな。今は歌を楽しむよりも防人の技前を磨くべきだと心が逸る。焦るんだ…」

 

ノレてない理由を翼は語る。

 

まだライブでの出来事が頭から離れていないようだ。

 

エルフナイン「二人で~ドアを閉~め~て~♪」

 

ガウ「がうがう~♪」

 

リル「かうかう~♪」

 

響、未来、翼の会話が聞こえないくらいノリノリのガウ、リル、エルフナイン。

 

翼「あの日以来震えが止まらない…ガウがいなければあの場にいた人々は皆、死んでいただろう…だが、私は痛感した、弱き人を守れなかった自分の無力さに…全ては自分のせいなのだと…」

 

救えなかった命

 

エルフナイン「は~な~す~だろ~う~♪楽しいです!これもまた休日の過ごし方!たまにはいいですねこういうのも!」

 

未来「響は勝手すぎるよ!」

 

ガウ・リル「「!?」」

 

未来の声にガウとリルは驚いて、ビクッとした。

 

響「何もそんないい方しなくても…」

 

エルフナイン「って…あれ…」

 

翼「ちょっと待て…二人がどうして…」

 

未来「翼さんの事、私にも相談くらいしてくれてもよかったじゃない!それにもっと別の方法だって…」

 

響「私だって私なりに考えて…」

 

未来「私なりにじゃなくて!翼さんの事も考えたの!?』

 

響「じゃあ未来は翼さんの気持ちが分かるの!?」

 

言い争いになる2人。

 

リル「かうぅ……」

 

そんな2人にリルは怖がってしまいガウに抱き着く。

 

いつも優しい2人なのにらしくなく言い争いになったのを見て驚いてしまったのだ。

 

未来「…わかるよ。だって私ずっと自分がライブに誘ったせいで大好きな人を危険な目に遭わせたと後悔してた」

 

あの時のライブのことを思い出しながら言う未来。

 

本当なら未来もあのライブに行くはずだった。

 

だが、家庭の事情で行けなくなり響1人でライブを見て、あの事件に巻き込まれてしまった。

 

未来「それからずっと危険な目に遭わせ続けてる自分を許せずにいるんだよ」

 

そして、1人生き残った響に言われなき誹謗中傷に遭い、家庭はズタズタになってしまったことを引きずっているのだ。

 

未来「ごめんって言葉…ずっと隠してきた。それがきっとその人を困らせてしまうとわかってたから…」

 

響「未来…なんで…」

 

未来の気持ちの一端を感じて響は戸惑う。

 

すると通信機の発信音が響いた。

 

響「響です。翼さんとエルフナインちゃん、ガウくんも一緒です」

 

査察官代行《現在査察継続中につき戦闘指令は査察官代行である私から通達します》

 

響「え!?どちら様ですか!?」

 

通信に出て見知らぬ女性が出てビックリする。

 

査察官代行《第32区域にアルカ・ノイズの反応検知。現在当該箇所より最も近くに位置するSG-r01とSG-r03'はただちGと共に現場へと急行し対象を駆逐せよ》

 

外ではカイオーガの形に似たアルカ・ノイズとその取り巻きらしき飛行型アルカ・ノイズ、そしてカイオーガ型のアルカ・ノイズが放たれた無数の小型・大型のアルカ・ノイズが地上にいた。

 

 

 

翼「3人は安全な所へ!」

 

カラオケ店から外に出て翼は未来、リル、エルフナインの3人に言う。

 

響「また…後で」

 

未来「うん…響とガウくんも気を付けてね」

 

響「うん」

 

ガウ「がう!」

 

訳:うん!

 

未来に言われて2人は言う。

 

リル「かう…」

 

訳:パパ…

 

心配そうにガウを見るリル。

 

まだあのライブでのトラウマが残っているのだ。

 

ガウ「がうがう」

 

訳:大丈夫

 

心配するリルの頭に自分の頭をコツンとくっつける。

 

ガウ「がうがう?がうがうがうがう~」

 

訳:僕が強いのは知ってるでしょ?それに響たちがいるんだから大丈夫~

 

そう、優しくリルに言うガウはリルの頭から自分の頭を離した。

 

リル「かう…かうかう」

 

訳:うん…気を付けてね

 

ガウ「がうーがうがう、がう!」

 

訳:うん、最短最速で、終わらせるから!

 

ガウがそう言うと未来はリルとエルフナインを連れてその場を離れる。

 

翼「行くぞ立花、ガウ!刃の曇りは戦場にて払わせてもらう!」

 

響「はい!」

 

ガウ「がうー!」

 

訳:よっしゃー!

 

翼に言われて響とガウは構える。

 

翼「Imyuteus amenohabakiri tron…」

 

起動詠唱を唄い、ギアを纏う。

 

ギアを纏い、すぐに翼はアームドギアでアルカ・ノイズを一刀両断する。

 

響「ぶっ飛べぇー!!」

 

響はアームドギアでアルカ・ノイズを殴り潰したり、空へブッ飛ばす。

 

ガウ「がうぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

地上は響たちに任せれば大丈夫と判断したガウはゴジラとなり、上空・大型のアルカ・ノイズを殲滅に動いた。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

放射火炎を放って大型のアルカ・ノイズを串刺しのように貫いた。

 

響「本部!付近一帯の調査をお願いします!アルカ・ノイズがただ暴れてるなんてことおかしいです!きっと!」

 

査察官代行《現在装者周辺にアルカ・ノイズ以外の敵性反応は見られません。SG-r03'はこちらの指示に従ってアルカ・ノイズの掃討に専念されたし》

 

アルカ・ノイズがただ暴れているだけとは思えないと珍しく頭を使った響は査察官代行に進言する。

 

翼「立花!避難誘導が完了するまでは本部からの管制に従うのだ!」

 

響「でも…!」

 

翼はらしくないことを響に向けて言う。

 

 

 

査察官代行「SG-r03'。これ以上指示に従わない場合は行動権を凍結し拘束されることに…」

 

弦十郎「査察は中止だ!令状はここにある!」

 

査察官代行が脅しかけた時、弦十郎が藤尭、友里、マリア、緒川と共に入ってきて査察中止の令状を見せながら叫ぶ。

 

緒川「該当の査察官、見当たりません!」

 

銃を構えた緒川は目的の査察官が見たらないことを言う。

 

弦十郎「くっ…鼻が利く」

 

今回の標的がいなくなっていることに弦十郎は舌打ちした。

 

友里「戦闘管制引き継ぎます」

 

藤尭「天羽々斬、敵中心部へと突貫!」

 

戦闘管制を査察官代行から引き継いだ(奪還した)友里と藤尭。

 

マリア「良かったわね、貴女。もし、立花 響の行動権凍結や身柄を拘束したら、ゴジラが軍勢を率いて日本(この国)を攻め滅ぼしに来るわよ」

 

査察官代行にマリアは意地悪く言う。

 

(まあ、実際にしたらマジで軍勢を率いて日本を潰しに来るだろうけど…)

 

意地悪くマリアに言われて査察官代行は青ざめるのだった。

 

 

 

翼「剣たる者には使命がある!弱き人を守るべき強い力を備えている!もう二度とあのような惨劇を…!」

 

防人として焦りか、翼はらしくない動きでアルカ・ノイズを次々に切り裂く。

 

すると、翼の目がステンドグラスのようになったかと思いきや翼の目の前にミラアルクが現れた。

 

翼「そこにいたか…」

 

奥歯を噛み締めて目の前で殺された少女を思い出し、翼のアームドギアを握る手に力が入る。

 

翼「貴様ぁー!!」

 

怒り任せに斬撃を放つ、放たれた斬撃がミラアルクを両断した。

 

だが…。

 

翼「何!?」

 

翼が周囲を見ると何十人ものミラアルクがいた。

 

翼「はぁーっ!!」

 

何十人ものミラアルクを翼はやたらめったらに切り刻んでいく。

 

響「翼さん…」

 

そんな翼を響はアルカ・ノイズをブッ飛ばして恐ろしさを感じていた。

 

しかし、響の目には翼の周りを囲むはミラアルクにあらず、ただのアルカ・ノイズであった。

 

 

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

放射火炎が空中にいた飛行型のアルカ・ノイズを飲み込み、消滅させる。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

残ったカイオーガ型のアルカ・ノイズに向かって放射火炎を放った。

 

発射した放射火炎の接近に気付いたのかカイオーガ型のアルカ・ノイズは体の側面から通気口のようなのを出すとそこから飛行型のアルカ・ノイズを射出してきた。

 

射出されてきた飛行型のアルカ・ノイズにゴジラの放射火炎は防がれ、カイオーガ型のアルカ・ノイズにダメージを負わせられなかった。

 

ゴジラ「グルルルルル…ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

1発目の放射火炎を防がれたゴジラは2発目を放とうとエネルギーをチャージすると、発射した。

 

2発目の放射火炎がカイオーガ型のアルカ・ノイズを貫いて消滅させた。

 

翼「うおぉぉぉーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

両刃の巨大化させたアームドギアから火炎を放ちながら繰り出す技『炎乱逆鱗斬』を繰り出した。

 

響「つ、翼さん、そこは……!?」

 

翼の放った炎乱逆鱗斬の先にいたのはミラアルクではなく、ゴジラだった。

 

ゴジラ「グルルルルル!?」

 

翼の炎乱逆鱗斬が自身に向かってくることに驚きながらも、回避しようとゴジラは体を捻る。

 

しかしチャージ型の放射火炎を発射したばかりで動きが鈍くなっており、間に合わず右肩に突き刺さってしまった。

 

ゴジラ「ゴギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ゴジラの悲鳴に近い、甲高い声が響き渡った。

 

だが、翼にはいまだにミラアルクに見えているのか攻撃をやめる気配がない。

 

勢いに押されてゴジラは右肩にアームドギアが刺さった状態で押されて、ビルに叩き付けられてしまった。

 

翼「はぁ…はぁ…はぁ…!?」

 

息を切らしながら瞬きした翼の目に映るのは自身のアームドギアに右肩を貫かれ、ビルに叩き付けられたゴジラの姿だった。

 

翼「わ、私は…いったい……」

 

自身が何をしたのか分からないでいる翼は混乱する。

 

マリア《翼!貴女、何してるの!?聞こえてるの!?返事をしなさい、翼!!》

 

通信機越しにマリアの声がするが翼のは聞こえてはいなかった。

 

 

 

マリア「翼…何を…一体…」

 

味方(ゴジラ)を何の戸惑いもなく攻撃した翼にマリアは怒りと恐ろしさを感じていたのだった。




戦いが終わり、事後処理とガウを病院に搬送する作業をS.O.N.G.のエージェントや合流した切歌と調に任せて響は未来に電話を掛けていた。

だが…。

響「なんで…なんで繋がらないの!?」

繋がらないことに響は焦っていたのだった

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