戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第431話 消えた陽だまりと心の支え

戦いが終わった響と翼だったが緒川から連絡を受けてある場所に来ていた。

 

響と翼が来たのは路地の一角で、周囲には未来のバッグと破壊された未来のスマホ、そして水溜まりのようになっている赤い液体―時々、鉄の臭いが鼻に突くから液体が血であることはすぐに分かった。

 

現場には警察の鑑識が調べに入っており、そこには未来、リル、エルフナインの姿はなかった。

 

響「まさか…未来とエルフナインちゃん、リルくんが…」

 

血溜まりを見て響は青ざめるのだった。

 

 

 

藤尭「現場周辺から遺体発見の報告ありません」

 

友里「近隣の病院に負傷者が運び込まれた記録もありません。ですがあの出血では…」

 

未来、リル、エルフナインが遺体となったり、病院に運び込まれていないことを言う2人。

 

緒川《おそらくは偶発的に巻き込まれたのではなく…》

 

現場で捜査指揮をしている緒川が通信越しに弦十郎と話す。

 

弦十郎「ああ、敵の仕組んだ罠にかかってしまったと考えるべきだな」

 

緒川《保護レベル最高位指定の3人が揃って…》

 

弦十郎「錬金術によるバックアップスタッフと神の力の依代足りうると仮説される少女、そして原罪無き、完全無比なる神の依り代となる怪獣の子…」

 

エルフナインはS.O.N.G.を錬金術にてバックアップしてくれている。

 

未来はあることから響と同じく神の力の依り代になる可能性がある。

 

リルは怪獣になる前はガウと同じく原罪を持たない太古の遺伝子を持っているのだ。

 

緒川《調査部にて警護に努めてきましたが査察による機能不全の隙をつかれてしまいました》

 

査察の隙に警護出来なかったことを悔やむ緒川。

 

弦十郎「敵の狙いは神の依り代となりうる未来くんかリル、またはエルフナインくん。あるいは…」

 

緒川《3人とも、という線も考えられますね》

 

偶然ではなく最初から3人の内誰か、もしくは3人全員が狙いかもと話をする。

 

弦十郎「いずれにせよ今必要なのは情報だ。状況打開のためにも引き続きの捜査を頼む」

 

緒川《了解しました》

 

緒川に捜査を指示して通信を切る弦十郎。

 

弦十郎(響くんはともかく、ガウの奴…かなり動揺していたな…無理もないか…ガウにとって家族は…世界を敵に回してでも守らなければならい、心の支えだからな……)

 

未来、リル、エルフナインが行方不明になり、さらに現場に大量の血痕があって3人の内の誰かの血かもしれないと言われてガウは動揺し、過呼吸を起こしてしまっていたのだ。

 

ガウは1度、家族を目の前で殺されてしまっている。

 

また家族を失ってしまうのかと思い、不安と恐怖に心が飲まれてしまったのだ。

 

 

 

一方、響たちは待機室に集まり消沈していた。

 

未来たちが浚われて、さらに3人内の誰かが殺されたかもしれないと聞かされたからだ。

 

1番、3人に関わり深い響の頭を撫でるクリス。

 

響「ありがとう。クリスちゃん…」

 

励ましてくれていると察して響はクリスに言う。

 

切歌「それにしても…まさかというよりやっぱりの陽動だったデス!」

 

調「あの時、管制指示を振り切ってさえいれば…」

 

あの査察官代行のせいで動けなかったことを悔やむ。

 

翼「月読と暁は私の状況判断が誤っていたとでも言いたいのか」

 

調と切歌の言葉に翼は言う。

 

切歌「えと…そうじゃなくてデスね…」

 

翼「ならばどういう!」

 

答えれないに2人に怒る翼。

 

マリア「いい加減にして!」

 

一触即発になる翼にマリアが制止した。

 

クリス「誰よりも取り乱しそうなコイツが自分の成すべきことに向き合おうと努めてるんだ。頼むよ先輩…」

 

響を見ながらクリスは翼に言う。

 

マリア「らしくないわよ、翼。ガウに攻撃した時だって…」

 

翼「あれは、射線上にいたガウが…」

 

マリア「射線上にいたガウが悪いって言うの?悪いけど、私の目からしたら貴女は完全にガウを殺す気でいたわよ」

 

翼「なっ!?そんなこと…」

 

マリア「無いって言い切れるの?」

 

翼「………」

 

マリアに問われて翼は答えられなかった。

 

マリア「本当にどうしたの?らしくもない…」

 

翼の肩に手を置こうと、心配するマリアの手を翼は払いのけ、待機室を出ていく。

 

マリア「待ちなさい!話はまだ!」

 

呼び止めたマリアだが翼は聞かずに出ていく。

 

調「何だか様子が…」

 

切歌「ギザギザハートになってるデス…」

 

出ていった翼の態度を見て2人は言う。

 

マリア「そうね…でもこれ以上責めないであげて。翼自身、分ってるはずよ」

 

クリス「んな事言われなくたってな!」

 

翼もまた苦しんでいることは全員は分かっていたが、ガウを攻撃した翼の目は明らかに"悪を討たんとする防人の眼"であったことで、やるせなかった雰囲気だった。

 

 

 

待機室を出ていった翼はS.O.N.G.の使う車両がある格納庫にて自身のバイクを整備していた。

 

翼(分かっている…悪いのはこの私だ。皆に当たるのも弱き者を守れないのも…)

 

整備しながら翼は冷静になり、反省していた。

 

すると翼の端末の着信音が響いてきた。

 

翼「!!」

 

端末を見ると画面に"訃堂"の名前が出ていた。

 

翼「翼です…」

 

少し戸惑いながらも翼は通信に出た。

 

 

 

訃堂「聞いたぞ。失態であったな」

 

鎌倉の自身の部屋に訃堂は言う。

 

翼《言葉もありません…ですが次こそは必ず防人の務めを果たしてみせます!》

 

訃堂「だが、よくやった。あのケダモノの王を負傷させたのは褒めてやる」

 

ケダモノの王…ガウことゴジラを攻撃した翼を褒める訃堂。

 

翼《それは、どういう……》

 

訃堂「刻印、掌握」

 

 

 

翼「!!」

 

訃堂が"刻印、掌握"と言った瞬間、翼の目がステンドグラスの目となった。

 

訃堂《翼、果たしてそこはお前の戦場か?そこにいて何を守る?国を滅ぼすケダモノが居るそこで何を守り切れる!》

 

翼「!?」

 

訃堂《道に迷うことがあらばいつでも訪ねよ。お前は風鳴を継ぐ者であり、"天羽々斬"は国難を、ケダモノを退ける剣であること、ゆめ忘れるな!》

 

そう言って通信を訃堂が切ると翼の目が元に戻った。

 

翼「ここではない…私の戦場…」

 

暗くなった通信機の画面を見ながら翼は呟くと涙が流れた。

 

翼「奏…」

 

涙を吹きながら翼は今は亡き、ツヴァイウイングの片翼"天羽 奏"の名を口にするのだった。




シンフォギア、完結したかぁ………

泣けるよ、全く…良い最終回だったよぉ!!

7年もありがとう!

まあ、それはそうと…何か何人かアブナイ技出したろ?

おい、つばクリ

翼「な、何のことやら…」

クリス「わ、分かんねーな…」

特撮要素てんこ盛りの最終回…

でも、シンフォギアはサイコー!!!

クリス「じゃあ、触れるなよ!」

翼「こっちの最終回はどうなるんだ?」

んなの、言えなーい!

では、次回をお楽しみに~♪

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