翼「遅くなりました!」
発令室に翼は入るとそう言った。
弦十郎「遅いぞ」
入ってきた翼に弦十郎は言う。
発令室には響たちと一時的に退院したガウがいた。
しかしガウは元気がなく、暗い表情をしていた。
弦十郎「これより未来君とエルフナイン君、リルの失踪について最新の調査報告を基に緊急対策会議を行う」
緒川「鑑識の結果現場に残された血痕は未来さん並びにエルフナインさん、そしてリルくんのものではないと判明しました」
ガウ「がう!?」
響「それって!?」
血痕が3人のものではないと聞いて2人は聞いてきた。
弦十郎「あぁ、3人は恐らく無事だ」
3人が無事かもしれないと聞いて全員が喜んだ。
中でも響とガウは1番喜んでいた。
マリア「まだ一概に喜べない…それでも希望を繋ぐことはできたわね」
涙を拭ってマリアは言う。
クリス「だけどよ…ブチ撒けられたあの血だまりは一体誰の物だったんだ?」
残された血痕が3人のじゃないとなると誰のかとクリスは聞いてきた。
緒川「引き続き調査中です」
クリスの質問に緒川は答える。
弦十郎これより今後の方針を二人の奪還作戦に切り替え…」
調「あの…一ついいですか?略取って錬金術を扱うエルフナインと古代の遺伝子を持ってるリルくんはわかります。ですがどうして未来さんまでが…」
錬金術師であるエルフナインとガウと同じく原罪を持たない太古の遺伝子を持っているリルが浚われるのは分かるが何故、関係の無い未来まで浚われたのかと調は聞いてきた。
弦十郎「その仮説を聞いてもらうにはいい頃合いかもしれないな…」
調に聞かれて弦十郎は言うのだった。
ヴァネッサ「腕輪から抽出した無軌道なエネルギーを拘束具にて制御…」
とある場所の部屋にてヴァネッサはシェム・ハの腕輪を拘束具で固定して、機械を操作していた。
ヴァネッサ「これで私達は…」
エルザ《ヴァネッサ。ミラアルクの帰還を確認。お客様も一緒であります》
後少しでとヴァネッサが言った瞬間、エルザから連絡が入った。
ヴァネッサ「ご苦労様、こちらの準備も順調よ。早速、取り掛かりましょう」
エルザ《ガンス!うっ…!》
ヴァネッサがあることをしようと言ったとき、エルザは吐きそうな声を出した。
ヴァネッサ「どうしたの?エルザちゃん」
心配したヴァネッサは聞いてきた。
エルザ《な、何でもないであります!》
ヴァネッサに言ってエルザは通信を切った。
ヴァネッサ「………神の力は私達の未来を奪還するために…」
エルザを心配しながらヴァネッサは呟くのだった。
エルフナイン「ん……ここは……!?」
目を覚ましたエルフナインはある通路のような場所に寝かされていた。
エルフナイン「まさかここは…」
起き上がったエルフナインは周囲を見回してここがどこなのか察する。
ミラアルク「お帰りなさいませ~、ご主人様~♪」
エルフナイン「あなた達!」
声の方を見るとミラアルクとエルザがいた。
ミラアルク「ははは!日本に来たのなら一度言ってみたかったんだぜ~」
笑いながらミラアルクはエルフナインの頬を掴んだ。
エルフナイン「
いる場所が夜ごと悪徳に耽った忌城の名を冠した巨大装置にして、様々な聖遺物または聖遺物由来となる異端技術のパッチワークにして、 ある一派の居城でもあったモノ―世界解剖に用いられたキャロルの城『チフォージュ・シャトー』であると言うエルフナインをミラアルクは投げ飛ばした。
エルザ「いけないであります!客人は丁重に扱わないと…」
投げ飛ばしたミラアルクを見てエルザは言う。
ミラアルク「次からはそうさせてもらうぜ」
エルザ「むーであります」
注意されたミラアルクは言うとエルザは少し不満になる。
エルフナイン(考えなきゃ…今何が起きてるかを…ここに連れて来られるまでに何が起きたかを…)
これからどうするかと考えながら、エルフナインは自分たちがどうしてこうなったかを思い出していた。
それは翼を元気にしようとショッピングしていた時にアルカ・ノイズが出現して、逃げていた未来たちは路地に入っていた。
そんな未来たちの後ろの建物の屋根に少女―ミラアルクが着地した。
ミラアルク「手間をかけさせやがるぜ」
そう言いながらミラアルクは防犯カメラを破壊する。
エルフナイン「うわっ!」
冬でしかも雪が降っていたために地面は凍っていたためにエルフナインは滑ってしまった。
未来「大丈夫、エルフナインちゃん!」
リル「かう!?」
訳:大丈夫!?
滑ったエルフナインを心配して駆け寄る2人。
ミラアルク「エルフナインってのはそっちのどんくさい方で、リトルはそのチビッ子の方だろ?それでもちょこまかと逃げ回ってくれたもんだぜ」
そんな3人の前にミラアルクが着地した。
未来「2人には手を出させない!」
そんなミラアルクの前に未来が両手を広げて立ち塞がった。
エルフナイン「駄目です!未来さん!」
未来の姿を見て、エルフナインは言う。
リル「か…!」
査察官「フフフ。こうも簡単にお前を本部の外に連れ出せるとはなぁ」
エルフナインと同じことを叫ぼうとしたリルだったが後ろから現れたゲ○ル査察官が口を塞いで抱えるて言う。
未来・エルフナイン「「リルくん!!」」
リルを捕まえたゲ○ル査察官に驚く。
リル「んー!」
何とか振りほどこうと暴れるリルだが人間形態のリルは普通の人間の子供と何ら変わらない力しか出せず、振りほどけなかった。
ミラアルク「確保を命じられたのはエルフナインとリトルの2人。さ~て、あんたの扱いはうち一人決めあぐねるぜ」
武器である爪を出してミラアルクは構える。
ヴァネッサ《ピンポンパンポン。ミラアルクちゃんに連絡です》
そんなミラアルクにヴァネッサから連絡が入る。
未来「リルくんを離して!」
リルを捕まえているゲ○ル査察官に立ち向かうように未来は言う。
エルフナイン「未来さん!いけません!」
未来が危険だと判断してエルフナインは叫ぶ。
ミラアルク「…ああ。了解したぜ。悪く思わないでほしいぜ」
連絡をし終えたミラアルクは攻撃しようと構える。
未来「エルフナインちゃんは逃げて!」
エルフナイン「未来さん、逃げてください!」
それぞれがそれぞれに逃げるように言う。
査察官「う~ん!テレビではすっかりお目にかかれなくなったシーンに私、あちこちの昂ぶりを抑えきれない!!」
リル「んー!!」
もがくリルを押さえているゲ○ル査察官は変態発言する。
エルフナイン「未来さん逃げてー!」
エルフナインが叫んだ時、ミラアルクの凶爪が一閃。
曇り空に向かって赤い液体が噴水のように吹き上がった。
査察官「思いがけない…空模様………………」
首をかっ捌かれたゲ○ル査察官はそう言って倒れた。
その際、リルは余りにも衝撃的な場面を目の当たりにして気を失ってしまった。
未来「いやー!!……………」
人が目の前で殺されたのを見て未来は悲鳴を上げて失神、その場に倒れてしまった。
ゲ○ル査察官を殺害して笑いながらミラアルクは気絶したリルをゲ○ル査察官の死体から引き抜くように引っ張り出すと死体を燃やし、消えるのを見ていた。
エルフナイン「そうだ…未来さんとリルくん!未来さんとリルくんはどこにいるんですか!?」
経緯を思い出したエルフナインは見当たらない未来とリルのことを聞く。
エルザ「用済みと判断された彼とは異なり彼女とリトルはまだ生かしてるであります」
丁寧に答えるエルザはシェム・ハの腕輪がある拘束台とその横の台に未来とリルがそれぞれが寝かされていた。
エルフナイン「まさか…バラルの呪詛から解き放たれた未来さんと古代の遺伝子を持ってるリルくんを使って…!」
ミラアルク「半分正解だが、そのまさかだぜ。そしてやってもらうことはお前にもあるんだぜ」
エルフナインの予想にミラアルクは答える。
エルザ「今はあなたが使ってるキャロルの体、それを使って起動して欲しいものがあります」
エルフナイン「キャロルの…まさか!チフォージュ・シャトーを!?それは無理です!例え起動できたとしてヤントラ・サルヴァスパもネフィリムの左腕も失われた今、自在に制御することなど絶対に!」
ミラアルク「落ち着けって。そうじゃないんだぜ?」
エルザ「あなたに起動してもらいたいのはこちらであります」
チフォージュ・シャトーの起動が目的でないと言うミラアルクに、エルザは続くように指をパチンと鳴らした。
エルザの指パッチンに反応するようにエルフナインの後ろの扉が開き巨大な機械があった。
エルフナイン「え…?まるで何かのジェネレーター…」
機械に近寄るエルフナイン。
エルフナイン「こ…これは!?」
その機械の一部の中を見たエルフナインは驚く。
エルフナイン「あなた達は…一体何を企んで…」
中身を見たエルフナインはヴァネッサたちが何を企んでいるのか分からなかった。