チフォージュ・シャトーから光の柱が放たれ、中に銀色の繭が現れる少し前、チフォージュ・シャトー内部にあるジェネレータ付近にてミラアルクがエルフナインを首絞め、持ち上げていた。
苦しむエルフナインに、ミラアルクは翼にしたのと同じ目から刻印を打ち込む。
刻印を打ち込まれ、エルフナインは虚ろな目となって抵抗しなくなった。
抵抗しなくなったエルフナインを見てミラアルクは離した。
離されたエルフナインはジェネレータの近くにある文字の書かれた石の方へ歩く。
ミラアルク「バイオパターン照合。さぁ、認証を突破してもらうぜ。マスター」
エルフナイン「その庭に咲き誇るはケントの花。知恵の実結ぶディーンハイムの証なり」
ミラアルクに言われてエルフナインが言うと文字が光だし、ジェネレータが起動した。
エルザ「稼働は順調。廃棄されたとはいえ高密度のエネルギー体。これを利用しない手はないであります!」
ジェネレータの前なあるモニターを見ながらエルザは言う。
ミラアルク「そしてこいつの利用価値はこれまでだぜ。後は心を破壊して…」
また刻印を放とうとしたミラアルク、その時だった。
?《これ以上、俺を覗き込むな!》
ミラアルク「っ!?!?」
エルフナインではない何者かの意思を感じてミラアルクは驚く。
ミラアルクが驚いてエルフナインは気を失ったのか倒れた。
ミラアルク「な…!?こいつ、何を…」
何が起きたのか分からないでいるミラアルク。
するとジェネレータが輝きを増した。
エルザ「制御不能!腕輪から抽出されるエネルギーが抑えられないであります!このままでは…」
ジェネレータの状況を見てエルザは言う。
チフォージュ・シャトーの現象はS.O.N.G.でも知るところであった。
弦十郎「何が起きている…?」
だが、何が起きているかまでは把握しきれていなかった。
マリア「まさか…チフォージュ・シャトーが稼働しているの?」
光の柱を見てマリアは推測していた。
クリス「こいつら…廃棄施設をアジト代わりに使ってやがったのか!?」
マリアの言葉を聞いてクリスはヴァネッサから目を離して言う。
そんなクリスの一瞬の隙を突いてヴァネッサは逃げ出す。
クリス「逃がすか!」
リボルバー型のアームドギアを向けるクリス。
ヴァネッサ「フンガー!」
向けられたヴァネッサは銃口に右手人差し指を突っ込んだ。
同時にクリスは引き金を引いてしまったために暴発が起きる。
マリア「どこまで奔放なの!?」
ヴァネッサ「うっさいバーカ!」
クリス・マリア「「!?」」
"宇宙帝国に反旗を翻し、海賊とい汚名を誇りとして名乗る、豪快な宇宙海賊"のイエローと同じ声で、そのイエローの口癖の台詞を言ったヴァネッサに驚く。
ヴァネッサ「びっくりさせちゃった?だけどこちらも同じくらい驚いているのよ」
直ぐにいつものヴァネッサに戻り、そう言うと右手が暴発時に吹き飛び、火花がちっているため、左手でテレポートジェムを出して、地面に叩きつけて撤退する。
マリア「やっぱり…この音は…」
ヴァネッサに逃げられてマリアは聞こえてきた音楽に耳を傾けていた。
クリス《本部!状況を教えてくれ!》
ヴァネッサに逃げられてクリスは本部に状況を聞く。
藤尭「先日観測した同パターンのアウフヴァッヘン波形を確認!」
友里「腕輪の起動によるものだと思われます!」
弦十郎「これがシェム・ハ…アダムの予言した復活のアナンヌキ…」
友里「そちらに向かっていた翼さん達を至急対応に向かわせました」
藤尭「イチイバル、アガートラームはガウくんと合流出来次第、至急合流されたし!」
状況の原因が"シェム・ハの腕輪"が起動して、直ぐに指示を送る。
一方、S.O.N.G.のロゴが入ったヘリにて現場に向かっていた響たち。
それを察知したのか繭―アヌンナキは中央にある鉱石から熱線を発射した。
だが、射程圏外だったのか熱線はヘリに命中はしなかった。
翼「敵は大筒・国崩し!ヘリで詰められる間合いには限りがある!」
翼が言うと響たちはヘリから飛び降りる。
切歌「Zeios igalima raizen tron…」
起動詠唱を歌い、ギアを纏う。
切歌「デース!」
ギアを纏って決めポーズを取る切歌。
そして直ぐにギアを纏った調と一緒になり、コマのようになりながら襲いかかってきた触手を迎撃する。
切歌たちが触手を迎撃している隙に響と翼は迎撃に伸ばされていた触手に乗ると滑っていく。
翼「機動性においてはこちらに分がある!」
切り刻みながら翼は言う。
翼「まずは距離を取りつつの威力偵察だ!いけるな!」
調「はい!」
切歌「デース!」
翼の指示を聞いて切歌と調は返事をする。
藤尭「装者応戦!ですが…」
友里「高次元の存在相手に有効な一撃をみまえていません!」
映像にて、切歌が2つの鎌をクロスさせて、鎖のついた手裏剣に変化させ投擲を行う『凶鎖スタaa魔忍イイ』を放って触手を切るが神殺しではない切歌、調、翼の攻撃ではアヌンナキの触手はすぐに"無かったことになるダメージ"で瞬時に回復してう。
弦十郎「神を殺すのはやはり…」
状況を見る弦十郎。
弦十郎「神殺しと成る拳と古代の血!」
確信したように叫ぶ。
弦十郎が叫んだ時だった。
ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
爆煙を貫いて、回復したガウが変身したゴジラが放射火炎を発射した。
しかし、放射火炎は目標に当たる寸前で花火のように四散した。
響「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーー!!」
四散した放射火炎は響の拳に集まっていき、蒼白いオーラのようになった。
響「どりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
ゴジラのエネルギーを自身の腕に纏わせた響の拳が触手を破壊する。
響のガングニールとガウの原罪無き古代の血が共鳴し、発動した"神殺し"の影響で、触手は再生されなかった。
調「響さん、ガウくん!あ…!」
近くに着地した響と復活したゴジラを見て調は言った瞬間、触手が猛スピードで接近した。
触手に反応出来ず、絡まれてしまう響とゴジラ。
響「負けられない…私は未来を…未来にもう一度…!」
響は締め付けられてしまうが…。
響「もう一度!」
ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
訳:リルを取り戻すまでわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
それぞれの"大切な者を取り戻すまでは"という想いに響とゴジラは自身に絡まり、締め付けていた触手を引き千切る。
響「へいき…へっちゃら…」
締め付けられた時のダメージが大きかったのか、響はギアが解けて倒れそうになる。
調「わかってる。だから今は無茶できない…」
倒れそうになる響を調が受け止めた。
調「!!」
響を受け止めて気配に気づくとアヌンナキの触手が調と響に向かっていく。
回避が間に合いそうになと思った調が響を庇った時、蒼白い火炎―放射火炎が触手から調と響を守った。
ゴジラ「グ、グルルルルル…………」
ガウ「がうぅ…………」
まだ、あの無茶な荒業のダメージが残っているのか膝を付いて横たわるとガウに戻ってしまった。
ゴジラがガウに戻ったのが分かったのかアヌンナキは触手をガウに向けて放った。
しかし、そこへ弾丸が飛んできて触手の行く手を阻んだ。
クリス「大丈夫か!?」
クリスとマリアが高速道路から駆け付けた。
触手を防いだクリスは調と響の方へ、マリアはガウの元へそれぞれ駆け寄る。
翼「切り札たる立花とガウを失えばそれだけ後れを取ることとなる!ここは撤退し態勢を整えなければ!」
クリス「立てるか?本部に戻るぞ」
マリア「ガウも立てる?」
唯一の神への対抗手段である響とガウが倒れたのを見て翼はそう判断する。
撤退を余儀なくされ、クリスは響に肩を貸しながら、マリアはガウを抱えて撤退を開始する。
弦十郎「見た目以上に響くんのダメージは深刻…ガウに至っては無茶な荒業を繰り出した反動によるダメーを完全には回復しきれていなかったようだな…」
撤退して、帰還した翼たちに響とガウの状態を伝える。
弦十郎「だが翼の撤退判断が早くて最悪の事態は免れたようだな」
翼「いえ。弱きを守るのは防人の務め。きっと奏だってそうしたはずです」
弦十郎に言われて翼は言う。
友里「司令。マリアさんから提案のあったデータの検証完了しました」
藤尭「あの音に経年や伝播距離による言語の変遷パターンを当てはめて予測変換したものになります」
2人が言うと中央のモニターにある音楽を鳴らした。
調「この曲…どこかで聞いた…」
切歌「いつかにマリアが歌ってたデスよ!」
クリス「知ってるのか!?」
音楽を聴いて解析を頼んだマリアに聞く。
マリア「歌の名はapple。大規模な発電所事故で遠く済む所を追われた父祖が唯一持ち出せたわらべ歌…」
翼「アヌンナキが口ずさむ歌とマリアの父祖の土地の歌…」
弦十郎「フロンティア事変においてみられた共鳴現象、それを奇跡と片付けるのは容易いがマリアくんの歌が引き金となっている事実を鑑みるに何かしらの秘密が隠されているのかもしれないな」
1年前に起きた"フロンティア事件"で、月の落下を食い止めた、あの奇跡を思い出す。
弦十郎「敵の全貌は今だ謎に包まれたまま。それでも根城は判明した。俺達は俺達の出来る事を進めよう!おそらくはそこに未来くんとエルフナインくん、リルも囚われてるに違いない!何としても、3人を助け出すんだ!!」
チフォージュ・シャトーを根城にするノーブルレッドたちとの決戦を言う。
その頃、響とガウはそれぞれが夢を見ていた。
未来「じゃあ、私かリルくん、どっちかが誰かを困らせてたら響はどうするの?」
響「え…」
未来「たとえばの話よ。たとえば」
未来「でも…その時は響に止めてほしいな」
響「なんで私が…」
未来「響にはそれができるんだもん。私の大好きな世界で一番優しい拳で…」
響「よく…わからないよ…」
未来の言葉を理解しているが、理解したくないと思う響。
未来「お願いね。だって私の全部を預けられるのは響だけなんだから」
そんな響に未来は響の手を握って未来は言う。
リル「パパ、未来お姉ちゃんが言ってたみたいに。僕がみんなに迷惑かけてたらどうするの?」
ガウ「ん?そんなの絶対にならないし、させないよ」
リル「でも…もしそんなことになったら、その時はパパに止めてほしいな」
ガウ「なんで僕なの?」
リル「だって、この世界で僕が一番好きなのはパパだから。絶対に止めてね」
笑みを浮かべるリルを見てガウは少し不安な気持ちになっていた。
ガウ「がう………」
訳:リル………
響「未来………」
医務室のベッドにて2人は無意識にそれぞれの大切な者の名前を呟くのだった。