戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第437話 交差する策謀

キャロルが復活を果たした頃、S.O.N.G.本部では…。

 

藤尭「チフォージュ・シャトーにて新たなるエネルギーを検知!」

 

友里「これは…アウフヴァッヘン波形!?」

 

チフォージュ・シャトーを監視していてアウフヴァッヘン波を検知、直ぐに照合が行われ、結果が画面に出た。

 

弦十郎「ダウルダブラ…だとぉ!?」

 

アウフヴァッヘン波が"ダウルダブラ"であると見て驚く。

 

 

 

キャロル「思えば…不要無用と切り捨ててきたものに救われてばかりだな」

 

破壊されたガリィを見るキャロル。

 

キャロル「ありが…」

 

ミラアルク「似合わないことにひたらせないぜ!」

 

キャロルが言いかけているところにミラアルクが羽を使い、豪腕の腕で殴りかかるが直ぐにシールドに防がれた。

 

ヴァネッサ「声音を模したわけではなくあれは…」

 

エルザ「衰退したキャロルでありますか!?」

 

エルフナインが声だけを模したのではなく、全てがキャロル本人であると気付き驚く。

 

キャロル「俺の感傷に踏み込んできたのだ。それなりの覚悟はあってだろうな!」

 

怒るキャロルが言うとミラアルクとエルザが攻めにかかる。

 

同時にキャロルはシンフォギアと同じく歌を歌い始め、左手でシールドを展開させ、ミラアルクの打撃を防ぎ、エルザのテールアタッチメントは左手から"ダウルダブラ"の弦の糸、シンフォギアでいえばアームドギアのようなので絡めとる。

 

ヴァネッサ「バレルフルオープン!お姉ちゃんも出し惜しみしてらんなーい!」

 

両手をミラアルクとエルザに使ったのを見てヴァネッサは身体中に搭載されたミサイルというミサイルを発射した。

 

ミサイルが発射されてミラアルクとエルザは素早く離脱、同時に全ミサイルがキャロルに命中、辺りを爆煙に包み込んだ。

 

ミラアルク「やったぜ!」

 

エルザ「まだ歌が聞こえるでありますよ!」

 

ガッツポーズするミラアルクにエルザは言う。

 

エルザ「さすが…たった一人で世界と敵対しただけのことはあります…」

 

爆煙が晴れて自身の全方位にシールドを展開させたキャロルがいた。

 

 

 

"ダウルダブラ"のアウフヴァッヘン波が確認されたと聞いて状況確認が進められていた。

 

緒川「状況の確認、急いでください!」

 

弦十郎に変わり、緒川がはっぱをかける。

 

クリス「そんなことよか、さっさとあたしらが直接乗り込んで…」

 

状況を確認するより自分達がチフォージュ・シャトーに乗り込んだ方がいいのではと言うクリスに弦十郎が言う。

 

弦十郎「わかっている!だが無策のままに仕掛けていい相手ではない!ガウを見ろ!」

 

 

 

クリス「!」

 

弦十郎に言われて回復して、発令室で合流したガウを見る。

 

ガウ「…………」

 

ガウもクリスと同じ気持ちである。

 

我が子であるリルを一刻も早く助け出したい…だが、あそこにいるは神の力。

 

無策に突っ込んでも響を欠いた状態では神殺しの力も発揮できない。

 

助けに行きたい気持ちを押さえつけるかのようにガウの握り拳を強く握っていた。

 

血が滲むほど、強く…。

 

友里「焦らないで。チャンスはきっとあるはずだから」

 

藤尭「俺達もその瞬間を信じている!」

 

状態確認を急ぎながら藤尭と友里は言う。

 

 

 

その頃、チフォージ・ュシャトー内部ではキャロルが黒く巨大な塊を繰り出そうとしていた。

 

ヴァネッサ「まさか…超重力子の塊を!?」

 

黒く巨大な塊が超重力子の塊だと察するヴァネッサ。

 

キャロル「高くつくぞー。俺の歌はぁー!!」

 

超重力子の塊をヴァネッサたちに向けて放つと辺り一帯が超重力子の圧力に押し潰され、床が崩れ落ちた。

 

キャロル「破壊力が仇に…だが逃がすものか!」

 

手応えが無く、自身の放った技で敵を逃してしまってキャロルは追いかけようとする。

 

エルフナイン『キャロル!待ってください!』

 

キャロル「なんだ?」ヴァネッサたちを追いかけようとするキャロルを精神内にいたエルフナインが止めた。

 

エルフナイン『今は彼女達を追うよりも未来さんとリルくんを救出するのが先です!』

 

キャロル「正論を…だが聞いてやる」

 

エルフナインに言われてキャロルは呟く。

 

そのやり取りの姿はまるで"もう1人の僕"的な感じであった。

 

エルフナイン『あ、あと!』

 

キャロル「なんだ。まだあるのか?」

 

エルフナイン『キャロルには感謝しないと。おかげで助かりました』

 

危ないところを助けられたことをエルフナインは言う。

 

キャロル「こ…この体は俺の物だ!お前を助けたわけではない。礼など不要!」

 

お礼を言われてキャロルは少し恥ずかしいのか顔を赤めらせながら言う。

 

キャロル「それでも…あいつらには手向けてやってくれないか。きっとそれは悪党が口にするには不似合いな言葉だ」

 

エルフナイン『うん…レイア、ファラ、ミカ、ガリィ。ありがとう…』

 

世界を壊そうとした悪党だったから"ありがとう"など言う言葉は不釣り合いだったが、今ならその言葉は釣り合うのだった。

 

 

 

友里「司令!チフォージュ・シャトーよりまた専用回線にアクセスです!」

 

弦十郎「繋いでくれ!!」

 

チフォージュ・シャトーから回線が来たと聞いて弦十郎は、それがエルフナインからだと察知して言うと友里は通信を繋いだ。

 

通信が繋がるとエルフナインではなく、キャロルが映った。

 

弦十郎「その姿は!?」

 

"ダウルダブラ"を纏った姿を見て驚く弦十郎。

 

キャロル《久しいな…とは言っても俺はお前達の事は見ていたがな》

 

弦十郎「本当に…キャロル・マールス・ディーンハイムなのか?一体どうやって…」

 

キャロル《脳内ストレージをおかしな機械で観測してた奴がいてだな。そいつが拾い集めた思い出の断片をコピペの繰り返しで強度ある疑似人格と錬金術的に再構築しただけだ》

 

自身が復活した理由を話すキャロル。

 

調「だけ…なんだ」

 

切歌「コピペ…最先端な錬金術デスね…」

 

コピペして錬金術的に再構成しただけど聞いて反応に困る調と切歌。

 

ガウ「がうがうがうがうー?」

 

訳:錬金術ってパソコンかなにかなの?

 

錬金術にデジタル感を感じて言うガウ。

 

キャロル《おい、そこのチビすけ!今、バカにしただろ!!》

 

ガウ「がうがう!?がうがうー!!」

 

訳:言葉分かるの!?ってかしてないよ!!

 

言った言葉をキャロルが理解して言ってきたことにガウは驚き、否定する。

 

弦十郎「ゴホンっ!それより、エルフナインくんはどうなっている?」

 

キャロル《安心しろ。今の主人格はこの俺だが必要であればあいつに譲ることは不可能ではない》

 

エルフナインといつでも入れ替われるとキャロルは言う。

 

キャロル《エルフナインたっての頼みだ。脱出までの駄賃に小日向 未来とリトルを奪還する。そのためにお前達の暇そうな手を貸してもらうぞ》

 

命令口調でキャロルは画面に映る面々に言う。

 

翼「その物言いに物言いなのだが…」

 

マリア「私達に手伝えることなの?」

 

キャロル《このデカブツを破壊してもらう》

 

命令口調に少し納得出来ない翼たちにキャロルはチフォージュ・シャトー屋上に陣取っている神の力を映し出した。

 

クリス「それができればあたしらも…!」

 

キャロル《できる。ここはチフォージュ・シャトー。その気になれば世界だって解剖可能なワールドデストラクターだ》

 

エルフナイン《確かに僕は聞きました!》

 

神殺しは響のガングニールとガウの古代の血が呼応して始めて発揮される、だが響はまだ目が醒めていないのでその力は発揮できないが世界を解剖するための兵器、そしてエルフナインが聞いたヴァネッサの言葉が確証を得ていた。

 

ヴァネッサ『神の力が神そのものへと完成するまではもうしばらくの時間が必要』

 

キャロル《残された猶予に全てを懸ける必要がある。お前達は神の力、シェム・ハの破壊を。そして俺達は力の器たる依代の少女と少年を救い出す。二段に構えるぞ!》

 

神の力が神になるにはまだ時間がいる、その間にキャロルはチフォージュ・シャトーとシンフォギア、ゴジラによる三大の超強力な威力を誇る力で神の力を出来るだけ引き付け、そしてキャロルたちは未来たちを救出、力の器を失った神の力を撃破する二段作戦を提案するのだった。

 

 

 

一方、ヴァネッサたちはある場所にてある人物と通信を取っていた。

 

訃堂《儚きかな》

 

その相手は訃堂であり、訃堂は報告を聞いて言う。

 

ヴァネッサ「っ…!平らかにお願いしますわ…」

 

訃堂に言われてヴァネッサは謝罪する。

 

ヴァネッサ「多少の想定外があったとはいえ、顕現の力は順調…いうなればここが正念場です。全霊にて邪魔者を排除してみせましょう」

 

訃堂《無論である。そのためにお前達には稀血を用意してきたのだ》

 

ヴァネッサの言葉に訃堂は厳しく言う。

 

ヴァネッサ「心得ております。ですから何卒、神の力の入手の暁には私達の望みである人間の…」

 

そんなヴァネッサの言葉を無視して訃堂は通信を切った。

 

ヴァネッサ「チッ!クソジジイめ!」

 

通信を切った訃堂にヴァネッサは舌打ちして本音を言う。

 

 

 

訃堂「遠からず神の力は我が物となる。残るは危惧すべき神殺しの対抗策のみ」

 

通信を切った訃堂は言うと自身の前にあぐらをかいて座っている者を見た。

 

アザルド「やっと俺の出番か」

 

訃堂の前にいる者―アザルドは立ち上がって言う。

 

訃堂「頼んだぞ、我が右腕よ」

 

アザルド「あいよ、オーナー・フドウ」

 

訃堂の指示を聞いてアザルドは自身の専用武器"アザルドナッター"を出して部屋を後にするのだった。

 

訃堂「フフフフフ…ハハハハハハ…」

 

アザルドがいなくなり、訃堂の不適笑いが響くのだった。

 

 

 

夢の中で未来と響は会っていた。

 

未来「やっぱり私響の友達じゃいられない」

 

響にそう言って未来は遠くへ行き始めた。

 

響「行っちゃ駄目だ!行かないで、未来!」

 

遠くへ行ってしまう未来に必死に手を伸ばす響だが全く届きそうになかった。

 

響「未来が…遠くに…未来ぅーーーーーーーーーーーー!!」

 

手が届かない未来に響の声が虚しく響き渡るのだった。


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