戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第439話 裏切り

ゴジラがゴジラ?と戦っている頃、翼たちはチフォージュ・シャトー屋上にギアを纏い、着地していた。

 

藤尭《各員、チフォージュ・シャトーに取り付き成功!》

 

友里《ガウくんはまだ怪獣と交戦中ですが、装者各員、これより作戦行動を開始します!》

 

藤尭と友里の声が通信越しに聞こえてくる。

 

調「完成したリンカーと昨日までの訓練は!」

 

切歌「きっと今日のためにあったのデス!」

 

気合いの入っている調と切歌。

 

それはキャロルから二段作戦を聞かされた時だった。

 

 

 

キャロル《古来より人は世界の在り方に神を感じ、しばしば両者を同一のものと奉ってきた。その概念にメスを入れるチフォージュ・シャトーであれば攻略も可能だ》

 

緒川「これも一種の哲学兵装…ですが今のシャトーにそれだけの出力を賄うことは…」

 

世界を神と例えられるならその逆、神を世界に見立ててチフォージュ・シャトーを哲学兵装として攻略するというキャロルに緒川は疑問を言う。

 

チフォージュ・シャトーは城のような巨大な建造物であり、様々な聖遺物から造られているが前の戦いで半ば半壊した状態になり、今の状態でそれを賄うだけの出力が心配であったのだ。

 

キャロル《無理であろうな。だがチフォージュ・シャトーは様々な聖遺物が複合するメガストラクチャー。であれば他に動かす手段は想像に難くなかろう》

 

弦十郎「フォニックゲイン…!」

 

チフォージュ・シャトー自体の出力が当てにならないのなら、シンフォギアのフォニックゲインにより起動させると言う。

 

キャロル《想定外の運用故に動作の保証はできかねるが…》

 

調「やれる…やってみせる!」

 

切歌「あの頃より強くなった私達を見せつけてやるデスよ!」

 

元々は世界を破壊する為のもので、神を倒す為に造られたわけではないがそれでも勝てる見込みがあるのならと張り切る。

 

 

 

時は戻り、チフォージュ・シャトー屋上。

 

クリス「それでもこれだけ巨大な聖遺物の起動となると5人がかりでも骨が折れそうだ…」

 

着地してクリスは改めてチフォージュ・シャトーの巨大さを見て言う。

 

翼「ああ。だが私達には命の危険と引き換えにフォニックゲインを引き上げる術がある!」

 

マリア「絶唱がある!」

 

頷いて呼吸を合わせる。

 

そして…。

 

5人『Gatrandis babel ziggurat edenal…Emustolronzen fine el baral zizzl…Gatrandis babel ziggurat edenal…Emustolronzen fine el zizzl…』

 

フォニックゲインを手っ取り早く引き上げる為の方法―"絶唱"を行う5人。

 

同時に大型のエネルギー―"フォニックゲイン"が衝撃となり、吹き上がる。

 

 

 

藤尭「フォニックゲイン、飛躍的に爆発!ですが!」

 

友里「チフォージュ・シャトーからの反応いまだ確認できません!」

 

モニターを見ながら藤尭と友里は言う。

 

絶唱により、フォニックゲインが上がってはいるがチフォージュ・シャトーは反応がなかった。

 

 

 

クリス「上昇した適合係数が…バックファイアを軽減してくれているが…!」

 

マリア「それでも長くは持たないわよ!」

 

絶唱によるバックファイアが翼たちを襲い、顔から血を流させる。

 

翼「なぜ…なぜ反応しないチフォージュ・シャトー…!私達の最大出力をもってしても応えるに当たらずとでも言うのか!?」

 

"絶唱"によりフォニックゲインを引き上げているのに反応が無いチフォージュ・シャトーに翼は叫ぶのだった。

 

 

 

キャロル(連中のフォニックゲインが俺程でなくとも仲間と相乗することで膨れ上がるはず…だのになぜ1人が欠けているだけで…)

 

作業が傍ら、キャロルは翼たちの状況を確認していたが芳しくない状況に少し焦りを見せていた。

 

エルフナイン『もしか!それは!』

 

キャロルの思考にエルフナインは何かを悟る。

 

"もしかして"じゃなくて"もしか"と略しながら。

 

キャロル「こっちはこっちで…」

 

キャロルはもう1つの映像に映る戦いを見る。

 

そこにはゴジラとゴジラ?が戦っていた。

 

ゴジラとゴジラ?の力は互角で勝負は付きそうになかった。

 

しかし、ゴジラ?はゴジラよりも翼たちの方へ行こうとしていた。

 

キャロル(ゴジラよりも装者を狙うような行動…明らかにあれは主を守ろうとする眷属の証…)

 

エルフナイン『早くガウくんにリルくんのことを教えないと!』

 

キャロル「いや、今は小日向 未来を救出を優先だ」

 

エルフナイン『どうして!?』

 

提案を却下されて驚く。

 

キャロル「考えてもみろ、眷属は主の力を分けてもらい力を発揮する。今、小日向 未来を神の力の依り代にされでもしたら眷属の力は何百倍にも膨れ上がり、ゴジラでは太刀打ちできなくなる。それに、儀式を止められればリトルも元に…」

 

理由を話して、ふと外部の方の映像に目をやると近づいてくるヴァネッサたちに気づく。

 

キャロル「くそ、こんな忙しい時に…」

 

仕方く迎撃しようと作業を止めて部屋を出るとすでにヴァネッサたちが構えていた。

 

キャロル「そのまま逃げていればいいものを。そっちからやってきたということは余程の理由があるのか。戦う力を手に入れたか?」

 

ヴァネッサ「その両方よ!」

 

キャロルが問うとヴァネッサは言い、指先のマシンガンを発砲する。

 

キャロル「何を仕掛けてくるかと思えば芸のない奴等だ」

 

シールドを展開し、マシンガンの弾丸を防ぐ。

 

ミラアルク「うちらは強くない!弱くちっぽけな怪物だぜ!」

 

羽を纏わせた豪腕で殴りかかるがシールドで再び防がれ、さらにキャロルはカウンターで四騎士の司るアルカナの属性を4つの魔方陣から放ってきた。

 

だがミラアルクは素早く後ろへ飛び、回避する。

 

エルザ「それでも!弱さを理由に明日の全てを手放したくないのであります!!」

 

テールアタッチメントで攻めるがダウルダブラの糸に絡まれる。

 

絡まれると素早くテールアタッチメントをリジェクトして離れるとアタッチメントが爆発する。

 

エルザ「捕まえたであります!」

 

爆発はシールドで防いだが見ると三方を取り囲まれていた。

 

ミラアルク「哲学の!」

 

三人「「「迷宮へー!!」」」

 

3人が息を合わせると響たちを苦しめた"ダイダロスの迷宮"を発動させた。

 

キャロル「これは…!」

 

回避する暇もなく、キャロルはダイダロスの迷宮になるピラミッドに閉じ込められた。

 

ヴァネッサ「神の力の完成は何人たりとも邪魔させ…!?」

 

響たちを一撃で大ダメージを与えたあのエネルギー攻撃―"ダイダロス・エンド"を繰り出そうとした瞬間、ダイダロスの迷宮が光って大爆発した。

 

爆煙が収まるとキャロルが片膝を着いてはいたが無事な姿を現した。

 

ヴァネッサ「どうやって…哲学の迷宮を…」

 

シンフォギアですら破れなかった哲学の迷宮たるダイダロスをどうやって破ったのかヴァネッサは驚愕する。

 

キャロル「フン。俺はただ歌っただけだ」

 

笑いながらキャロルは言う。

 

エルザ「歌で…ありますか…?」

 

キャロル「ああ…俺の歌はただの1人で70億の絶唱を凌駕する…フォニックゲインだ!!」

 

キャロルはシンフォギアでいう"絶唱"のフォニックゲインでダイダロスを破壊したと言う。

 

だがそう言った瞬間、ダウルダブラが解けてしまった。

 

エルフナイン「キャロルに何が…」

 

主人格もエルフナインに戻り、戸惑う。

 

キャロル『今のはさすがに消耗した…後はお前の力で…』

 

エルフナイン「キャロル!…そうだ!今は未来さんとリルくんを!」

 

言葉途中で意識が切れたキャロルを心配するエルフナインだが未来とゴジラと戦っているリルを助けようと部屋に向かう。

 

ミラアルク「行かせないぜ…がはっ!?」

 

エルザ「ミラア…がふっ!?」

 

追いかけようとするミラアルクだったが突然、大量に吐血。

 

心配して駆け寄ろうとしたエルザも大量ではないが吐き気がして血を吐いた。

 

ヴァネッサ「この不調…まさか…!?」

 

ダイダロスで消耗したとはいえ、エルフナインくらいは倒せるだけの力はあるのに起きた不調…それを考えた瞬間にヴァネッサは悟る。

 

?「不完全とはいえ、流石は怪物だな。ノーブルレッド」

 

不調に驚きながら振り向くとヴァネッサたちが使用する血液の入った血液パックを持ったアザルドが現れた。

 

ヴァネッサ「お前は!?」

 

アザルド「しかし、くれてやった血液の中にほんの少し違う型の血液を混ぜただけでそのざまか」

 

血液パックを床に落として踏み潰すアザルド。

 

そう、訃堂がヴァネッサたちに渡していた血液は"Rhソイル式"には細工がされていたのだ。

 

訃堂は"Rhソイル式"の血液の中に全く別の血液を混ぜていたのだ。

 

本来なら補給したばかりなら2回は撃てるハズのダイダロス・エンドが1発撃っただけで行動不能に陥ったのはそのためだ。

 

"Rhソイル式"でしか活動できないヴァネッサたちにとっては致命的な細工であった。

 

アザルド「正直、手負いの相手を倒してもおもしろくねぇんだよな。だが、オーナーの命令だ。用済みのテメェらの命、貰ってくぜ」

 

アザルドナッターを出して不調を起こし、動けないヴァネッサたちに近づく。

 

アザルド「あばよ、ノーブルレッド。卑しき錆色よ」

 

ヴァネッサの前まで行くとアザルドナッターを振り上げる。

 

ヴァネッサ「訃堂ォォーーーーーーーーーーー!!」

 

訃堂の裏切りを悟り、ヴァネッサは恨み言のように叫ぶ。

 

そしてアザルドナッターの凶刃がヴァネッサに向かって振り下ろされた。

 

 

 

訃堂「そうだ。悉く夷狄の蹂躙よりこの国を守るのが防人たる風鳴の務めよ」

 

アザルドがヴァネッサたちを始末したのを感じたかのように訃堂は不適ににやついていたのだった。




次回は少し、オリジナル(ゴジラVSゴジラ?)になります!

では、次回をお楽しみに~♪

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