では、どうぞ!
ゴジラがパルパレーパ・プラスの"ゴッドアンドデビル"を喰らい、傷口が開き動かなくなった時より少し前のこと。
弦十郎・訃堂「「………」」
風鳴宗家の屋敷の屋根にて弦十郎と訃堂は睨み合っていた。
訃堂「ヌウン!」
弦十郎「!、セイッ!!」
訃堂の踏み込みの縦一閃を弦十郎は少し動いて回避するとカウンターで殴りかかる。
弦十郎のカウンターパンチを訃堂は齢100歳を超えているとは思えない機敏な動きで回避する。
弦十郎「ヤアッ!!」
続けて弦十郎は拳ではなく手刀で攻めかかる。
訃堂「むっ、ハッ!!」
だが訃堂は顔を少し動かして回避するなり再び縦一閃を繰り出す。
弦十郎「ハッ!」
訃堂の一閃を弦十郎は跳躍して回避。
回避されたことで訃堂の一閃は屋根瓦に当たり、瓦を粉砕する。
訃堂「ヌウアッ!!」
跳躍して空中にいる弦十郎に訃堂は群蜘蛛を刺そうとするが…。
弦十郎「デイッ!!」
突き刺さろうと迫る群蜘蛛をなんと弦十郎は空中で白羽取りして防いだ。
弦十郎「セイヤッ!!」
白羽取りした群蜘蛛を弦十郎は体を捻り、訃堂から取ると地面に投げ捨てた。
訃堂「くっ!」
武器を失い、後退する訃堂。
弦十郎「もらったぁ!!」
チャンスで弦十郎は着地すると訃堂に殴りかかる。
衝撃波が辺りの瓦を吹き飛ばした。
弦十郎「ぐっ…がはっ…………」
吐血する弦十郎。
弦十郎の拳は訃堂に当たらず、逆に訃堂の拳が弦十郎の腹部に深々と入っていた。
いくら外道なことをしていても弦十郎にとって訃堂は父親、親を想う子の情に流されて一瞬だけ攻撃が鈍り、そこを突かれてしまったのだ。
訃堂「果敢無き哉」
訃堂はそう言って弦十郎を掴むと跳躍した。
跳躍して訃堂は真っ逆さまに急降下、地面にクレーターを造り上げるほどの勢いで弦十郎共々叩きつけられた。
訃堂「儂を殺すつもりで突いておればあるいは…とことんまでに不肖の息子よ!」
起き上がり、地面に突き刺さるようになっている弦十郎を見て吐き捨てるように言う訃堂。
すると屋敷近くで地面が揺れた。
見るとパルパレーパ・プラスがゴジラを倒していた。
同じ頃、翼を奪還したマリアもパルパレーパ・プラスの前に倒されたゴジラを見ていた。
マリア「ガウ!?」
傷口が開き、また血が大量に流れているゴジラを見て叫ぶマリア。
翼「わ、私の…私のせいで……」
訃堂により初めて洗脳された時や2回目に洗脳された時にゴジラにしたことを思い出して翼は動揺し、自身を責める。
マリア「確りしなさい!ガウはこんなことでへこたれる子じゃないのは知ってるでしょ!だから…ぐあっ!?」
翼をなだめようとしたマリアを背後から訃堂が覇気で殴り飛ばした。
木に激突し、倒れるマリア。
翼「マ、マリア!!」
吹き飛ばされ、木に激突し倒れたマリアに駆け寄る翼。
訃堂「儂の元に来い翼!防人ならば、風鳴の血が流れているならば!」
翼に半ば命令するように言う訃堂。
翼「できません…最早何を力と変えて立ち上がればいいのかわかりません…」
"力とは…防人とは何なのか"、それが完全に分からなくなった翼は言う。
訃堂「刻印、起動!!」
翼の言葉に訃堂は洗脳の刻印を起動させる。
翼「私は…もう…」
しかし、洗脳の刻印はすでにマリアにより破壊されているので刻印は発動しなかった。
訃堂「お前もまた…風鳴の面汚しか!この親不孝者めが!!」
刻印が発動しないのを見た訃堂は言うと懐からドイツで造られたシングルアクション(銃器の作動機構の一種)のオートマチック(自動装填機構)ピストル『モーゼルC96』を取り出し、戸惑いなく翼に向けて発砲した。
翼「!!」
モーゼルC96の弾丸が翼に迫ったその時だ、翼の前に誰かが割って入ってきた。
モーゼルC96の弾丸がその人物に命中、弾丸は貫通した。
翼を庇った人物―それは八紘であった。
翼「お…お父様ぁ!!」
自身を庇って射たれた