戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第453話 現る世界樹

弦十郎「なんなんだ…こいつは…」

 

多大な犠牲を払いながらも訃堂一派を制圧したと思いきや屋敷の一角の真下から巨大な柱が出現した。

 

訃堂「ハハハハ…首輪をつけて神を飼いならそうとした報いがここに…」

 

柱を見て訃堂は悟るように言う。

 

弦十郎「あんたが仕掛けた事ではないのか!」

 

訃堂「どうやら風鳴の祈り、護国の願いはここに潰えて果てたと見ゆる…」

 

弦十郎が聞くと訃堂はさっきまでの覇気が全くなくなっているのか少しトーンが落ちた声で言う。

 

シェム・ハ「不敬である。道具風情が我を使役しようとは」

 

声の方を見ると柱の近くにシェム・ハが現れて見下ろしながら言っていた。

 

緒川「道具!?僕達の事を?」

 

シェム・ハの言葉に緒川が聞き返す。

 

シェム・ハ「じれったい。道具の用いる不完全な言語では全てを伝えるのもままならない」

 

緒川の問いに呆れるように言うシェム・ハ。

 

弦十郎「どういうことだ!?」

 

シェム・ハ「最早分かり合えぬということだ。ああ…それこそが忌々しきバラルの呪詛であったな」

 

そう言ってシェム・ハは小さな魔方陣のようなを出すとビームを発射した。

 

シェム・ハのビームが着弾しかけた時、ギアを纏ったマリアがアードギアで防ぐとゴジラがアマルガムの拳で殴りかかるがシェム・ハは素早く高度を上げて回避する。

 

マリア「ここは私とガウに任せて!司令達は容疑者とパパさんを!」

 

弦十郎「すまない!」

 

マリアに言われて弦十郎は訃堂を連れ、緒川と翼は八紘を連れて安全な場所へ向かう。

 

翼「くっ…!」

 

八紘の遺体を直視できない翼は自身への不甲斐なさが込み上げていた。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

訳:アンギラス!部下を率いて一旦退け!

 

ある程度回復したアンギラスにゴジラは言う。

 

アンギラス「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!」

 

訳:し、しかし、王よ!

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

訳:さっさと行け!居られると本気が出せん!!

 

残ると言いかけたアンギラスを一喝するゴジラ。

 

アンギラス「ガ、ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン…ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!」

 

訳:わ、分かりました…全員退けぇ!!

 

ゴジラに言われてアンギラスは指示に従い、EXレッドキング、ラゴラスエヴォ、ファイヤーゴルザと共にパルパレーパ・プラスの"ポイズン・オーラ"により倒れたゴルザⅡとゴルドキングを連れてその場を離れていく。

 

シェム・ハ「笑止な。この身を傷付けまいと矛盾思考に刃と拳が訛っているぞ」

 

マリアとゴジラの攻撃にシェム・ハは言う。

 

神の依り代にされてるとはいえ、体は未来であるために攻撃に躊躇いがあったのだ。

 

シェム・ハ「謀るに能わず、全力で来い!!」

 

躊躇いがある2人に言いながらシェム・ハはさっきよりも大きな魔方陣を出してビームを発射する。

 

ビームをマリアは跳躍して回避、ゴジラは地面を殴り隆起させて盾がわりにする。

 

マリア「銀の…輝き!?」

 

ゴジラ「グルルルルル!?」

 

回避して地面が銀に変わったことに驚く。

 

シェム・ハはさっきのビームで命中したモノの組成構造を書き換えて物質変換、つまり"石を金"に変える錬金術のような力を持っている。

 

だがシェム・ハの場合は埒外物理学…つまりは錬金術とはまるで異なり、さらに錬金術のような手順をせずに強引なやり方で物質変換を行っている。

 

シェム・ハ「消魂である。今の馴染みではこの程度。それとも…ユグドラシルの起動に力を使いすぎたか?」

 

自身の力が万全ではないと語るシェム・ハ。

 

すると屋根まで跳躍したマリアが斬りかかってきたが直ぐにシールドを展開して防ぐ。

 

シェム・ハ「その左腕…驚愕だ。貴様面白いものを身に纏ってるな。エンキの末に当たる存在か」

 

マリアのギア―とくに左腕を見ながら言う。

 

マリア「ユグドラシルとかエンキとか…さっきからわけのわからないことを!」

 

一撃目を防がれてマリアは一旦離れて隙を伺う。

 

ゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

今度は翼の"アマルガム"のアードギアでゴジラが斬りかかる。

 

その時だ、ゴジラの真横の地面が破裂するように吹き飛ぶと赤い火炎が横腹を強襲、吹き飛ばした。

 

ミレニアムゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

赤い火炎が飛んできた地面からミレニアムゴジラが姿を現した。

 

ガウ「が、がうぅぅぅぅ………」

 

パルパレーパ・プラスとの戦いで消耗し、さらにミレニアムゴジラの赤い放射火炎を喰らってしまいゴジラはガウに戻ってしまっていた。

 

マリア「ガウ!?こうなったら…」

 

ミレニアムゴジラまで現れ、ガウが戦えなくなった今、マリアは絶唱をしてでもと覚悟を決めた瞬間だった。

 

マリアの右から巨大な脚、正面からロケットパンチ、左と背後から牙のようなのが生えた球体が挟むように命中した。

 

マリア「がはっ!!」

 

四方からの攻撃にマリアはまともに喰らい空気を押し出され、僅かだが吐血もする。

 

マリアを攻撃したのはヴァネッサ、エルザ、ミラアルクの3人だった。

 

3人の額には何かの紋章が浮かび上がっていた。

 

マリア「ノーブルレッド!?だけどこの力…以前とは比べ物にならない!」

 

現れたヴァネッサたちに驚く。

 

藤尭《司令以下撤退を確認!》

 

友里《もう十分です!マリアさんとガウくんも退いてください!》

 

マリア「そうさせてもらうわ!ガウ!」

 

ガウ「がうッ!!!!」

 

通信機を聞いたマリアに言われて撤退を察知したガウは屋根まで跳躍すると風鳴宗家の屋敷全体をぶっ壊すように尻尾と両手を屋根に叩きつける。

 

煙幕のように瓦礫や埃などが舞い、視界を奪う。

 

煙幕が晴れるとそこにはマリアとガウの姿はなかった。

 

ミラアルク「ほとんど動けない体であそこまで…流石は怪獣王だぜ」

 

エルザ「追わないでありますか?」

 

シェム・ハ「理解に苦しむ。世界樹・ユグドラシルシステムが屹立した今人類だろうと、怪獣に逃げ場などありはしないというのに」

 

エルザに聞かれてシェム・ハは屋敷から伸びてきた柱―『世界樹・ユグドラシル』を見て遠回しに"追撃不要"と言ったのだった。


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