翼「お前は、ノーブルレッドの!!」
管制室に現れたミラアルクに構える。
ミラアルク「まさか、シェム・ハの呪縛から抜け出せるなんて流石は怪獣王の子供だぜ」
戦っていないリルを見てミラアルクは察して言う。
リル「グルルルル…」
喉を鳴らしてミラアルクを威嚇するリル。
翼の凱旋ライブや未来と攫われた時の事を覚えているらしくミラアルクを敵として認知していた。
ミラアルク「だったらもう、容赦はしないぜ!!」
リルが完全にガウたち側に戻ってミラアルクは懐からジェムを出して、投げた。
投げられたジェムは地面に落ちて割れると黒ずんだ煙が出たか思いきや鎖のようなのが2本放たれてガウとリルの2人に巻き付いた。
ガウ「がう!?」
リル「かう!?」
鎖が巻き付いて2人はそのまま黒い煙に引きずり込まれてしまった。
マリア「ガウ、リル!!」
ミラアルク「おっと、お前らの相手はウチだぜ!!」
2人を助けようとしたマリアと翼の行く手をミラアルクが立ち塞がった。
翼「ならば、お前を倒して2人を救うまでだ!!」
ミラアルク「やれるもんならやってみろだぜ!!」
翼「Imyuteus amenohabakiri tron…」
マリア「Seilien coffin airget-lamh tron…」
それぞれのギアの起動詠唱を歌い、ギアを纏う。
友里「翼さんとマリアさん、月遺跡で交戦と思われます!」
マリアと翼のギアの反応を検知して友里は言う。
弦十郎「現在、月からの帰還手段を検討している!必ず助けるから持ち堪えろ!生き抜くんだ!」
戦闘中の2人にも聞こえるように弦十郎は大声で言う。
ミラアルク「今からの準備で月に到達するにはどれくらいかかる!!1週間か?1カ月か?」
通信を聞いて翼のアームドギアを剛腕にした腕で受け止めながらミラアルクは煽るように言う。
ミラアルク「怪物と違って人間は!」
殴りかかるミラアルクにに翼はアームドギアを盾代わりにして防御する。
ミラアルク「水がなければ3日と持たないんだぜ!」
続けてミラアルクは翼に刻印を打ち込もうとする。
翼「!!」
ミラアルクの行動を見て刻印を察知した翼は眼をガードするようにアームドギアを横にして防いだ。
翼「10万の命に誓って二度と!」
あの時のライブ会場でミラアルクにしてやられ、多くの人命が失われてしまったことを思い出しながら、翼は悲劇を繰り返さない為にもと防人の…いや、"風鳴 翼"として"歌で世界を救う"と信じているのだ。
ミラアルク「いいだろう。怪物と完成したからには小細工なんかに頼らないぜ人魂」
四肢を剛腕・剛脚にしてミラアルクは翼に攻めかかった。
だが、ミラアルクの横から短剣が飛んできた。
ミラアルク「!?」
短剣に驚いてミラアルクは動きを止めて短剣が飛んできた方を見た。
翼「マリア!」
翼も見るとマリアがいた。
歌唱しているマリアは新たにアームドギアを出してミラアルクに斬りかかる。
ミラアルク「チッ!!」
斬りかかってきたマリアの攻撃をミラアルクは後ろへ跳んで回避するとそこへ翼が追撃してきた。
ミラアルク「オープンバット!」
ミラアルクは自身の身体を無数の蝙蝠に分離して攻撃を回避した。
「「!?」」
ミラアルクが無数の蝙蝠となって攻撃を回避したのを見て驚く。
ミラアルク「さらに!グランギニョールはこれだけじゃないんだぜ!」
分離したミラアルクはそう言うとマリアと翼の前に集まっていく。
ミラアルク「「そっちに代わって!こっちがユニゾン!」」
集まった蝙蝠たちはミラアルクに戻ったが2人に増え、"月に代わってお仕置きよ"が決め台詞の美少女戦士のような動きで言う。
ミラアルク「月面タッグマッチバトルの始まりだぜ!」
「「!?」」
驚いているマリアと翼に向かってミラアルクたちは跳び上がり、自らの両足で相手頭部を挟み込んで、そのままバク宙のような形で回転しつつ、それぞれ巻き込んだマリアと翼を床に叩きつけた。
「「どりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」」
間を置かず、ミラアルクたちは追撃の一手で叩きつけた2人に拳による重い一撃を叩き込んだ。
「「がはっ!!」」
ミラアルクたちの拳による重い一撃を喰らい、2人のいつ地面が砕けて隆起した。
「「はぁーっ!」」
地面が隆起して、ミラアルクたちは一旦離れると左右から隆起した地面に向かってキックを繰り出してきた。
「「ばちこーん!!」」
左右からミラアルクたちの蹴りにより隆起した地面にマリアと翼は挟まれてしまう。
ミラアルク「どうだ、ウチらのコンビネーションは最強なんだぜ!」
ミラアルク(分身)「今頃、ゴジラたちも亜空間の檻の中でウチらとシェム・ハが作った不死身のノイズ怪獣に倒されてる頃だろうぜ」
隆起した地面に挟まれて倒れているマリアと翼、そして煙の中で広がっている亜空間の檻の中で戦っているであろうガウたちのことを言う。
マリア「不死身のノイズ怪獣…ですって?笑わせないで!」
ミラアルクたちの言葉を聞いてマリアは起き上がった。
マリア「あの子たちは不死身だっていう相手にも果敢に立ち向かっていく。例え相手が不死身のノイズ怪獣でもあの子たちは決して諦めたりしない!不死身の相手が死なないなら死ぬまで戦う、それが怪獣王 ガウとその息子 リルなのよ!!」
ミラアルク「何を滅茶苦茶なことを…」
マリア「そうよ、滅茶苦茶よ!この世界はシェム・ハが言うように不完全な存在しかいない。だからガウや私たちみたいに常識を非常識にする者がいるのよ!!」
マリアの言う通りである。
この世界には"常識を覆す非常識"がいる、例え不死身だろうと、例え完全なる怪物だろうとその背に背負いし沢山の人の想いや己の誇りに掛けて諦めるわけにはいかないのである。
マリア「それに同時攻撃…だけどそんなものはこっちだって!」
立ち上がってマリアは翼の方を向いた。
マリア「思い出せ!一緒に立った初めてのステージを!二人を繋いだあの歌を!」
翼「!!」
マリアに言われて翼は初めてマリアとユニットを組んで歌ったあのコンサートを思い出した。
翼「私の誇りは…ノーブルレッドに踏みにじられた…だが誇りは…いつか蘇る!炎の中から!燃え上がる!」
マリアに言われて翼はあの日、あの熱く高鳴る鼓動を思い出しながら立ち上がる。
マリアに初めて歌ったあの曲と同じ名を持つ鳥の如く。
マリア「見せてもらうわよ!戦場に冴える抜き身のあなたを!」
立ち上がった翼を見てマリアは笑いながら言う。
《BGM:不死鳥のフランメ》
かつてマリアとユニットを組んで歌った歌―『不死鳥のフランメ』でユニゾンするマリアと翼はミラアルクたちにそれぞれ同時に斬りかかった。
斬りかかってきたマリアと翼にミラアルクたちは剛腕にした腕でガードする。
ガードしたミラアルクたちはすかさず同時にマリアと翼に殴りかかる。
殴りかかってきたミラアルクたちにマリアと翼はアームドギアで同時にガードする。
しかしガードされながらもミラアルクたちは両足をドリル状にして2人に襲い掛かった。
マリアと翼は互いに背中合わせとなりそれぞれのアームドギアでガードする。
その瞬間、ミラアルクたちはマリアと翼を中心に回転し始めた。
ミラアルク「全開した全力に!ひねりと螺旋とねじりを加えて!させるぜ回転!」
ミラアルク(分身)「さらに!ヴァネッサやエルザへの想いや怒りとか悲しみ!もろもろの気持ちを全部乗せて!」
ミラアルク「爆発させるぜ破壊力!」
雑にヴァネッサとエルザの想いを加えたミラアルクたちの攻撃でマリアと翼は爆発に飲まれる。
殺ったかとミラアルクたちが思った時だった。
爆煙の中から輝く黄金の光があった。
「「イグニッション」」
爆煙が晴れると黄金のバリアで守られた"アマルガム"を発動させたマリアと翼がいた。
その背にある炎は一瞬だけ
ミラアルクたちの攻撃を防いでバリアを解くとそれぞれの"アマルガム"時のアームドギアを展開した。
アームドギアで翼は火炎の斬撃を繰り出し、それに続くように左腕に竜を思わせる武装のアームドギアをしたマリアが旋風のようなエネルギー波を繰り出し火炎竜巻のような合体技を繰り出した
ミラアルク「くっ!オープンバット!」
技を回避しようとミラアルクは分身と共に無数の蝙蝠になる。
それはマリアと翼は読んでいた。
すぐにマリアはアームドギアを輪にしてその間にエネルギーの網を形成すると飛んで逃げる分離したミラアルクたちを捕らえるとさっき放ったエネルギーの本流が迫り、同時に翼が斬撃を放ってきた。
マリアと翼の"アマルガム"での合体技―『至高善・薔薇X字』が炸裂しミラアルクたちを全て捉え殲滅した。
ミラアルクを倒してマリアと翼はギアを解くと互いに互いを見て微笑む。
すると"バリイーン"っとガラスが割れるような音がしたかと思いきやガウとリルが煙から這い出てきた。
どうやら亜空間でノイズ怪獣を撃破して戻ってきたようだ。
調「マリア!ガウくん!」
切歌「翼先輩とリルくんもいたデス!」
声の方を見ると入口に調と切歌がいてこちらに駆け寄ってきたのだった。
しかし、彼女らは気付いていなかった。
天井に向かって飛んでいる小さな蝙蝠がいることに……。