戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第476話 消える遺跡

ヴァネッサ「迷惑をかけたわね」

 

泣き止んだヴァネッサは響たちを見て言う。

 

響「気にしないでください。ヴァネッサさんたちの気持ち、よく分かります」

 

ヴァネッサ「そう…」

 

響の言葉を聞いてヴァネッサは響もまた、差別され、誹謗中傷を受けてきたことを察する。

 

?『だが、茶番は終わり。ここまでだ』

 

ヴァネッサ「!?」

 

誰かの声がヴァネッサの頭に聞こえてきたかと思いきや、突如ヴァネッサは足元のブーストーを点火して空中に飛び出した。

 

ヴァネッサ?『忌々しきネットワークジャマーも手ずから葬らせてもらう』

 

エンキ『まさか!シェム・ハか!?』

 

明らかに様子が違うヴァネッサを見てエンキはシェム・ハの気配を感じて言う。

 

シェム・ハ『この者を完全怪物と再生させた際に我の一部を滑り込ませていたのだ。そこの我が眷属同様にな』リルを見てヴァネッサの精神内にいたシェム・ハは言う。

 

そう、シェム・ハはリルと同じようにヴァネッサたちを一時、殺して完全な怪物として蘇らせた時、自身の意識を忍び込ませていたのだ。

 

ヴァネッサ「くっ…た…頼む…神殺し…その拳でシェム・ハを撃て…!」

 

何とか意識を取り戻してヴァネッサは響とガウに言う。

 

ガウ「がうがう!!」

 

響「そんなことしたら…ヴァネッサさんまで…」

 

ヴァネッサ「私はもう…誰にも…利用されたくない…!」

 

戸惑う響とガウにヴァネッサは心の底から思っていることを叫ぶ。

 

ミラアルク「頼むぜ…!」

 

エルザ「頼むで…あります!」

 

ヴァネッサ「神殺し!頼む!」

 

涙を流してエルザとミラアルクも言う。

 

響「…うあああぁぁー!!」

 

3人の思いに響は自身の感情を振り払い、コンバーターを出してギアを纏った。

 

響「ガウくん!!」

 

ガウ「がう!!」

 

呼ばれてガウは自身のエネルギーを響に渡す。

 

響「うあああぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

ガウからエネルギーを受け取った響の神殺しの拳がヴァネッサの腹部を貫いた。

 

だが、ヴァネッサの左手はすでにオペレーションシステムのコントロールパネルに入り込むように接続していた。

 

エンキ『くっ…ウイルスプログラム!?シェム・ハの断章を打ち込まれたか!』

 

撃ち込まれたヴァネッサの手から流れ込んでくるモノを感じてエンキは慌てる。

 

ヴァネッサ「がはっ!!」

 

神殺しの拳に貫かれたヴァネッサは吐血し、体から赤い液体が噴出した。

 

神殺しの拳とシェム・ハの精神による汚染でヴァネッサの体にかなりの負担がかかってしまったのだ。

 

ヴァネッサ「情けない顔しないの…あなたは守ったのよ」

 

響「え…」

 

ヴァネッサ「呪われた拳で私達の誇りを守ってくれた…」

 

自身の迷いのせいでヴァネッサに余計な負担をかけてしまい落ち込む響にヴァネッサは言う。

 

ヴァネッサの一言を聞いて少しだけ響の心は救われた気がした。

 

そんな時、大きなノイズ音がして振り向くとエンキの姿がかすれだしていた。

 

エンキ『このままではここマルドゥークは新たなシェム・ハと再生……』

 

エンキ『このようにな』

 

大きなノイズが入った瞬間、エンキがシェム・ハへと変わった。

 

マルドゥーク内のデータがエンキからシェム・ハへと書き換わってしまったのだ。

 

エンキ『万謝するぞ人間。1年前のあの日、刹那に人が一つに繋がったことで我は蘇り浮上を果たせた』

 

マリア「1年前…はっ!月の落下を止めるために世界中の人類がappleに繋がれたから!?」

 

シェム・ハの言葉を聞いてマリアはフロンティア事変で全人類がappleの歌で一瞬だけ繋がった時を思い出した。

 

マリア「じゃあ父祖の地のあの歌は一体…」

 

シェム・ハ『形を変えて現代に残る統一言語の断片。その成れの果てだ』

 

apple自体がかつての統一言語の成れの果てだというシェム・ハ。

 

つまりあの時、あの一瞬の間にかつての統一言語であるappleで繋がった人々の中に封印されていたシェム・ハの復活を促してしまったのだ。

 

翼「人は…一つに繋がれないのではなく…」

 

マリア「繋がっては…いけなかった!」

 

真実を知り、マリアと翼は奥歯を噛みしめる。

 

あの時、地球を救うために人類が一瞬だけ一つになったのはシェム・ハの復活に繋がったから悔しさと後悔が顔に出ていた。

 

シェム・ハ『だが、真実を知った所でお前達は月遺跡ごと吹き飛ばされる運命!』

 

シェム・ハがそう言った瞬間、月遺跡が全体が激しく揺れ、爆発も起き始めていた。

 

シェム・ハは月遺跡を爆発してこの場にいる全員を抹殺しようとしていた。

 

切歌「ギアを!ギアを纏うデスよ!」

 

調「ギアを纏ったってどうしようも…」

 

爆発し、崩壊する月遺跡で慌てる響たち。

 

数秒後、月遺跡のある部分が大爆発した。

 

 

 

シェム・ハ「恐ろしきかな神殺しの拳…だが…その躊躇がもたらす未来がこれだ」

 

大爆発した月の一部を見てシェム・ハは笑っていたのだった。


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