S.O.N.G.本部内にあるシュミレーションルームに竜響はいた。
彼にとって過去の世界とは言え、協力することになったのだが、未来から来た竜響の実力は未知数でそれを測るためでもある。
友里『準備はいい?竜響くん』
竜響「おう、いつでもいいぜ!友里のばあちゃん」
笑顔で友里に言う竜響。
だが、"ばあちゃん"と言われて友里は怒りが爆発しそうになる。
友里「最大レベルに設定してあげる…」
藤尭「ちょっ!?それは流石にまずいんじゃ…」
怒りでシュミレーションレベルを最大にする友里を見て少しビビりながらも抗議しようとするがすでに設定されてしまって、シュミレーションがスタートしてしまう。
竜響「おっ、最初の相手はクリスのおばさんか!」
シュミレーションルームの背景が町中に変化して、自身の前に現れたクリスのホログラムを見て竜響は設定が最大レベルであることを知らないで少し楽しそうに言う。
最初に仕掛けたのはホログラムのクリスだった。
ホログラムのクリスはリボルバー型にしたアームドギアで発砲する。
竜響「よっと!」
クリスの打ち出したアームドギアの弾丸を竜響は僅かな体の動きで回避しながら接近する。
竜響「セヤッ!!」
ホログラムのクリスの目の前まで移動した竜響は容赦の無いアッパーを腹部に叩き込んだ。
アッパーを腹部に叩き込まれたホログラムのクリスは吹き飛ばされ、壁に強く叩きつけられてしまい消滅する。
藤尭「い、一撃で…」
最大レベルの設定で出されたホログラムを一撃で倒した竜響を見て驚く。
友里「まがりなりにも女の子のお腹を容赦なく殴るなんて!」
藤尭「いや、そういう問題じゃなくて…って、ちょっと!それは流石に!!」
ツッコミをいながら新たに機械を操作する友里を止めようとする藤尭だが、またも間に合わなかった。
竜響「ん?」
周囲の映像が切り替わり、南の島のような場所となると竜響の前に1人の少年のホログラムが現れた。
黒い髪に、日焼けした黒い肌、紅い目をして、背中から尾骨辺りから生えた尻尾の先まで段々と小さくなっているステゴサウルスに似た背鰭を持っているのが特徴の少年『ガウ』だ。
竜響「親父…へっ、粋なことしてくれるぜ!」
現れたホログラムとは言え、自身の実の
実際は友里のちょっとした嫌がらせであるが、本人は気付いていない。
竜響「嬉しいぜ、全盛期の親父と戦えるなんてよ…」
少し声が震え、さらに目も少し潤んでいるが竜響は構える。
それを見てホログラムのガウも身構える。
竜響「いくぜぇ!!」
気合を入れて吠える竜響とそれに反応するホログラムのガウ。
両者は同時に地面を蹴り、お互いに向かっていくのだった。
竜響がS.O.N.G.と協力体制を取った頃、奈津川村の近くの山にある祠に1人の人物がいた。
ファントムだ。
ファントム「ようやく見つけたぞ」
祠を見てファントムは言うと右手に黒いエネルギーを稲妻状にして放った。
稲妻状のエネルギーは祠に命中すると炎上させた。
その瞬間、奈津川村近くにある湖の中央が激しく泡立ち始めた。
ナツノメリュウ「ギャオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!」
湖から出現したのは長い首と尻尾、巨大な胴体を持ったドラゴン型の怪獣―『伝説怪竜 ナツノメリュウ』だ。
ファントム「出たか、天空の聖域を護りし竜」
ナツノメリュウが出現したのを見てファントムは左手を黒く光らせた。
カイライゴルザ「ゴルシュオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
ファントムが左手を光らせると地面から『超古代怪獣 ゴルザ』が出現したが、体のあちこちの血管が浮かび上がって、毒々しい模様となり、目は真っ赤になり、体全身から黒いオーラが溢れ出ていた。
ゴルザが傀儡化した『傀儡超古代怪獣 カイライゴルザ』である。
カイライゴルザ「ゴルシュオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
出現したカイライゴルザはナツノメリュウを確認すると向かって行く。
ナツノメリュウ「ギャオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!」
向かって来るカイライゴルザを見て異常だと判断したナツノメリュウは背中から炎をまとった翼を広げて湖から飛翔すると口からは青い炎を吐き攻撃する。
カイライゴルザ「ゴルシュオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
対するカイライゴルザは額にエネルギーを集めて発射する紫色の一直線上の光線―『超音波光線』を発射した。
ナツノメリュウの光線とカイライゴルザの超音波光線がぶつかり合う。
ファントム「さあ、狩りの始まりだ」
戦う2体を見てフードの奥で不敵に笑いながらファントムは言うのだった。