戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第498話 ファントムの計画

謎の声に導かれた竜響たちは工事現場の地下に来ていた。

 

どうやら工事は地下のようで作業用の電球が壁に吊るされていた。

 

竜響「かなり深く潜るなぁ」

 

道しるべである線を追いかけながら竜響は言う。

 

この地下工事現場に入って大体30分は歩いていたからだ。

 

未来「確かに…どこまで連れて行くのかな?」

 

リル「かう…」

 

未来とリルも同じことを考えていたようで続くように呟く。

 

響「もしかして声の主さんは引き籠りだったりして!」

 

ポンと手を叩いて響は言う。

 

「「「…………」」」

 

響の推論に3人は呆れた眼差しを向けた。

 

竜響「あー、響のばあさん?ジョーダンにしては笑えないぞ、それ」

 

響「失敬な!私は至って真面目だよ!!」

 

竜響に言われて響は言うと3人とも呆れてしまっていた。

 

響「えぇ!?何でみんな呆れちゃうの!?」

 

呆れた3人を見てショックを受ける響。

 

リル「かうかうかうー…」

 

訳:自覚なしって…

 

響の発言を聞いてリルは鳴く。

 

未来「響、あとでお勉強しようね」

 

響「えぇ!?なんでぇ!?」

 

未来に言われて響は驚くのだった。

 

竜響「ったく…!」

 

響の残念な発言を聞いていると竜響はあるモノに気付いて立ち止まった。

 

響たちもつられて立ち止まると竜響の見ている方を見た。

 

そこには龍を模様した柱が2本あり、それが門に似た形となっており、その奥には巨大な水たまりがあり、まるで神殿の最新部か何かに似ていた。

 

竜響「どうやら、声の主はここにいるみたいだな」

 

自分たちを導いて来た線が水たまりの前で消えているのを見て竜響は言う。

 

警戒しながらも4人は神殿の中へ入っていく。

 

その時だ。

 

?「リャアァァァァオォォォォォォォォォォォォォォン!!」

 

『!?』

 

怪獣の鳴き声と共に水たまりから巨大な龍の首が飛び出してきた。

 

ミズノエノリュウ『よくぞ来た。我は地の龍脈を護りし守護龍、ミズノエノリュウである』

 

出現した龍―かつて初代怪獣王 ゴジラと共にアダム・ヴァイスハウプトの神の力を用いた世界の破滅を阻止するために戦ったことのある大地のレイラインである地の龍脈を護る『地帝大怪獣 ミズノエノリュウ』は名乗るのだった。

 

響「ミズノエノリュウ……」

 

現れたミズノエノリュウを見て響は前に戦ったことを思い出した。

 

ミズノエノリュウは初代怪獣王 ゴジラと共にアダムと戦ってくれたがそれは利害が一致したに過ぎず、最初に出現した際は地下工事で龍脈を切断されたことに怒り、襲い掛かったことがあったのだ。

 

その時はガウがミズノエノリュウの怒りを鎮めるために龍脈を切断していた工事現場を破壊したので怒りを鎮め地底に戻った。

 

(その後、マリアにガウはお仕置きされたのもまた然り)

 

竜響「地の龍脈を護るミズノエノリュウが俺たちに何の用だ?」

 

相手が守護神であるミズノエノリュウに臆することなく竜響は質問した。

 

ミズノエノリュウ『龍脈に乱れが起きている。今、外の世界に降っている雨の影響だろう…そのせいで我が領域に眠っていた怪獣たちが苦しんでいる』

 

竜響の質問に答えるようにミズノエノリュウは龍脈が今降っている雨に影響で乱れてれていると話す。

 

響「あの雨が?」

 

ミズノエノリュウ『そうだ。あの雨は異質…ここ最近起きている怪獣を暴走させる力に似ている…』

 

竜響「ってことはファントムの狙いは…」

 

未来「あの雨を降らせて怪獣たちを暴れさせることが目的…」

 

ミズノエノリュウの言葉を聞いて竜響たちはファントムの狙いを推測する。

 

リル「かう、かうーかうかう?」

 

訳:でも、それならこうも都合よく雨なんて降るかな?

 

ファントムの狙いを推測する竜響たちにリルは素朴な疑問を問いかける。

 

仮にファントムの狙いがこの雨で、雨に水に怪獣を暴走させる力を入れたとしても、まずは雨が降らなくては話にならないのだ。

 

竜響「確かにそうだよなぁ…雨を降らせるも何もそう都合よく…いや、もしかしてアイツがあの怪獣を俺にぶつけたのって……」

 

?『その通りだ』

 

リルの疑問の答えらしきものに思い当たる節があった竜響の言葉に反応するように新たな女性の声がしたかと思いきやビーストスパークが勝手に輝きだした。

 

『!?』

 

ビーストスパークが輝きだしたことに驚いていると輝きが消えてミズノエノリュウの横に新たな龍がいた。

 

ナツノメリュウ『我が名はナツノメリュウ。天空にありし龍脈を護りし守護龍なり』

 

新たに出現した龍―先の戦いでファントムに傀儡怪獣にされ、ビーストに倒された『伝説怪龍 ナツノメリュウ』は名乗る。

 

竜響「ナツノメリュウ!?アンタはあの時俺が…」

 

傀儡化されたナツノメリュウを自身のディーノミック光線で倒したはずなのに現れたのを見て驚く。

 

ナツノメリュウ『ふん。あんな軟弱光線で我を本当に倒したと思っているとは、貴様、おめでたい奴だのう』

 

驚いている竜響にナツノメリュウは鼻で笑うように言う。

 

竜響「な、軟弱光線……」

 

必殺光線であるディーノミック光線を軟弱光線と言われて肩を落とす。

 

ナツノメリュウ『まあよい。それよりも現状の打開が先ぞ』

 

肩を落とした竜響を置いといてナツノメリュウは話を進める。

 

ナツノメリュウ『我を操っていた不定の輩、ファントムとか言ったか…奴は我が力の一部とその者を利用し、ある兵器を蘇らせた』

 

未来「ある兵器?」

 

ナツノメリュウ『1000年前に我ら守護龍2体でようやく封印し自然コントロールマシンだ』

 

リル「かうかうかうー…」

 

訳:自然コントロールマシン…

 

響「って、何ですかそれ?」

 

"自然コントロールマシン"なる言葉に響たちは首を傾げる。

 

ミズノエノリュウ『自然コントロールマシンはかつてコスモスが作り上げた自然を自由に操る装置だ』

 

自然コントロールマシンがかつてコスモスが作り上げたモノだと語る。

 

未来「でもそれってバトラが壊したんじゃ…?」

 

コスモスが自然を自由操れる装置を作った際、地球はモスラの弟に当たる黒いモスラ、バトルモスラことバトラに破壊されたと今に生きるコスモスのヒオとマナから聞いていたので未来は聞く。

 

ナツノメリュウ『確かに自然を操る装置本体はバトラに破壊された。しかしその部品までは破壊していなかった』

 

ミズノエノリュウ『分離していた部品たちはそれぞれの能力を使用し、地球全土で破壊活動を行った』

 

ナツノメリュウ『我らは地球の意志に従い、部品を破壊しようとした…だが、奴らの操る自然の前に苦戦を強いられた』

 

ミズノエノリュウ『そこで我らは破壊を諦め、我らの力の一部ごと封印することにした』 

 

ナツノメリュウ『封印は成功したが、この封印は我らの内どちらか死に絶えてしまえば解けてしまうモノだった』

 

かつて自分たちが経験した戦いを思い出しながらミズノエノリュウとナツノメリュウの二大守護龍は話していた。

 

竜響「じゃあ、ファントムの奴がアンタを傀儡化させて俺にぶつけたのはやっぱり…」

 

ナツノメリュウ『うむ。我を貴様にぶつけ、貴様が我を一時的に死なせ、封印していた自然コントロールマシンを再起動させ、己の力を自然の中に紛れ込ませ怪獣たちを操るつもりなのだろう』

 

ミズノエノリュウ『それに適していたのが雨であったのだろう。雨ならば地にいる怪獣でも浴びせられるからのう』

 

ファントムの狙いが自然コントロールマシンの自然を操る能力を利用して自身の力を地球全土に広げ、ありとあらゆる怪獣を傀儡化させるものだと結論付ける。

 

竜響「くそ、やっぱりそうだったのか!」

 

ファントムの狙いが分かり、それのために利用されたと知って竜響は怒る。

 

未来「それの方が一気に戦力を増やせますね」

 

響「あれ?でもリルくんは雨に打たれてもなんともないよね?」

 

リル「かうかう…」

 

訳:そう言えば…

 

雨の水を浴びれば傀儡化してしまうのなら同じ怪獣であるリルが傀儡化しなかったことが疑問に思う。

 

ナツノメリュウ『恐らくまだ完全に操れていない上にこの者はゴジラの遺伝子を持っている、毒素にはかなりの抗体を持っていたのだろう。奴が完全に操れるようになる前に破壊せねばなるまい』

 

ミズノエノリュウ『奴が完全に操れるようになればゴジラの遺伝子があっても操られてしまうやもしれん』

 

リルが傀儡化しなかった理由を語りながら二大守護龍は言う。

 

竜響「なら、とっととその自然コントロールマシンってのをぶっ壊そうぜ」

 

ナツノメリュウ『我も力を貸そう。特に我はあの者には世話になったからのう』

 

傀儡化されていたことを覚えているのかナツノメリュウは言う。

 

ミズノエノリュウ『我は大地の力で地底にいる怪獣たちを護ろう。自然コントロールマシンの方は頼んだぞ』

 

響「はい、任せてください!」

 

リル「かうかうかうかうーかう!」

 

訳:絶対にファントムの好きにはさせないから!

 

ファントムの計画を打破するために二大守護龍の協力を得て反撃に転じるのだった。


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