戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

676 / 1218
第510話 撃ち抜かれる擊槍

静岡県熱海付近にて、その怪物は悠然としていた。

 

怪物の上空から特生陸上自衛隊保有の戦闘機―『93式メーサー攻撃機』通称『メーサーヘリ』の編隊が向かってきていた。

 

怪物が射程に入り、メーサーヘリの主翼両端に搭載されている80万ボルト放てる『93式省電力メーサー砲』からメーサーが発射される。

 

怪物は向かってくる場所にオレンジ色の八角形が層をなすバリアを展開して防御する。

 

攻撃を防がれながらも編隊は旋回し、再度攻撃を敢行する。

 

再度の攻撃を怪物はまたバリアを展開して防いだ。

 

「くそ!何て化け物だ!」

 

攻撃を簡単に防いでくる怪物に編隊の隊長は毒づく。

 

すると背後が明るくなったかと思いきや隊長機が撃ち抜かれた。

 

撃ち抜かれた隊長機はそのまま爆発して破片が熱海に降り注ぐ。

 

怪物の頭部に浮遊している青い正八面体の物体からのレーザー攻撃である。

 

隊長機が殺られたを目の当たりにして他のメーサーヘリは散開する。

 

しかし怪物はそれを見逃さず、参加したメーサーヘリに帯状の両腕を伸ばしてきた。

 

メーサーヘリに追いつくと腕を広げて包むように捕まえるとそのまま握り潰した。

 

さらに同時に八角形の物体からレーザー攻撃を繰り出して上空にいるメーサーヘリを落としていく。

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!」

 

撃ち落とされた一機がコントロールを失い高層ビルに突っ込みそうになったその時だ。

 

ビルの手前の下が光ったかと思いきや巨大な壁のようなのが出現して墜落するメーサーヘリを受け止めた。

 

ミレニアムゴジラ「グルルルル…」

 

獣が喉を鳴らす声を聞いて操縦士は見上げるとそこには自身の乗る愛機をキャッチしている怪獣―二代目怪獣王 ミレニアムゴジラがいた。

 

メーサーヘリの操縦士が無事なことを確認したミレニアムゴジラはゆっくりと地面に降ろして怪物の方を見た。

 

ミレニアムゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

怪物から感じる異質な気配に反応したのかミレニアムゴジラは威嚇の雄たけびを上げる。

 

 

 

?「来タカ。人間ト異ナル進化ヲ遂ゲシ者…」

 

ミレニアムゴジラが出現したのを見て人物は待ち侘びたかのように言う。

 

?「行ケ、キングシトエル。奴ノ力、試シテヤレ!」

 

ミレニアムゴジラを見て言うと人物は『巨大怪物体 キングシトエル』に指示を送る。

 

 

 

人物の指示が聞こえたのかキングシトエルは正八面体の物体からレーザーを発射する。

 

ミレニアムゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

キングシトエルのビームに対してミレニアムゴジラは放射火炎を発射する。

 

両者の丁度中間点でレーザーと放射火炎がぶつかり合う。

 

実戦経験が少ないミレニアムゴジラことリルであるが放射火炎の威力はガウと全く一緒であるため、キングシトエルのレーザーを押し返した。

 

レーザーを押し返されたキングシトエルに放射火炎が命中、爆煙がキングシトエルの頭部を包み込んだ。

 

ミレニアムゴジラ「グルルルル…」

 

爆煙を睨みながらミレニアムゴジラは警戒していると爆煙から2本の帯状のモノ―キングシトエルの両腕が伸びてきて一本がミレニアムゴジラの腰、もう一本が口を掴んだ。

 

ミレニアムゴジラ「グウゥゥ!!」

 

口を抑えられてミレニアムゴジラは振り払おうともがく。

 

口を抑えられた状態では放射火炎が放てないからだ。

 

爆煙から無傷のキングシトエルが姿を現して頭部の正八面体の物体からレーザーを発射、ミレニアムゴジラの左脚を貫いた。

 

ミレニアムゴジラ「!!!!」

 

悲鳴を上げたかったが口を抑えられているために上げられず、痛みを堪えるしかなかった。

 

キングシトエルはさらに追撃でレーザーを発射する。

 

今度はミレニアムゴジラの右肩を貫いた。

 

右肩と左脚から赤い鮮血がドクドクと流れ、地面を汚していた。

 

キングシトエルはとどめとばかりに3発目のレーザーを発射した。

 

その射線の先はミレニアムゴジラの頭であったが、その前に何かが降ってきてレーザーからミレニアムゴジラを護った。

 

さらに数発のミサイルが飛んできてミレニアムゴジラに絡みつくキングシトエルの両腕を破壊した。

 

ミレニアムゴジラ「グルルルル…」

 

解放されたミレニアムゴジラは数歩引く。

 

翼「大丈夫か、リル!!」

 

レーザーからミレニアムゴジラを護ったもの―超巨大化させたアームドギアの上にいる翼が叫ぶ。

 

ミレニアムゴジラ「グルルルルル!!!」

 

"大丈夫"と言うようにミレニアムゴジラは鳴くが左脚を貫かれているために満足には動けなかった。

 

それでも前に一歩、足を進める。

 

クリス「あんまり無茶すんなよ!」

 

そこへロケットに乗ったクリスたちが合流してきた。

 

響「アイツ、よくもリルくんを!!」

 

子供(養子)であるリルを気付付けられて怒る響の拳のアームドギアに力が入る。

 

未来「響、落ち着いてね?」

 

怒る響の肩に手を置いて未来は言う。

 

マリア「それにしても、まさかガウと全く同じ威力の火炎を受けて無傷だなんて…」

 

切歌「そうなると宇宙怪獣みたいな感じデスよ!」

 

放射火炎を受けても無傷であるキングシトエルを見てそう言う。

 

調「それでも私たちが力を合わせれば、勝てない相手じゃない!」

 

翼「月読の言う通りだ!行くぞ!!」

 

全員がそれぞれのアームドギアを構えてキングシトエルへ向かっていく。

 

 

 

?「来タカ、人間ヨ。ソノ進化、ジックリ見セテクレ。俺ノ本来イル世界デナ(・・・・・・・・・・)

 

現れた響たちを見て人物は不敵に笑うような顔をする。

 

 

 

キングシトエルは響たちを確認すると蝶のような羽を羽ばたかせて飛翔する。

 

クリス「逃がすか!!」

 

大型ミサイル2基を発射してキングシトエルを落とそうとするキングシトエルは自身の前にオレンジ色の八角形が層をなすバリア―『ATフィールド』を展開して防御する。

 

クリス「防ぎやがった!?」

 

ミサイルを防いだキングシトエルを見て驚く。

 

切歌「これならどうデスか!!」

 

今度は切歌が鎌型のアームドギアから3本の刃をブーメランのように放って攻撃するがキングシトエルはそれをATフィールドで防いだ。

 

調「凄く厄介なバリア…」

 

ATフィールドを見て呟く調。

 

マリア「あれでリルの火炎にも耐えたのね…でも!!」

 

翼「1か所ならともかく!」

 

未来「3か所同時なら!!」

 

ATフィールドが複数個所展開は出来ないだろうと判断した翼、マリア、未来は一斉に斬撃、ビーム、光線を発射した。

 

しかし、キングシトエルは3か所同時にATフィールドを展開して防いだ。

 

翼「3か所同時でもか…しかし!!」

 

3か所同時にATフィールドを展開したことに驚いていたがすぐに笑った。

 

響「どりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!」

 

キングシトエルの真上から響が急降下してきてドリルパンチを繰り出した。

 

4か所目の攻撃に流石のキングシトエルも対応できないと思っていたがキングシトエルは自身の真上、つまり4か所目にもATフィールドを展開して防御した。

 

響「このっ!!」

 

力を込めてATフィールドを壊そうとする響だが破壊どころか傷すら付かなかった。

 

そんな響にキングシトエルは頭部の正八面体からレーザーを発射、ギアのリフレクターと搭載フィールドごと響の腹部を貫いた。

 

響「ごふっ……」

 

腹部を貫かれて響は吐血を起こし、バランスを崩して落下する。

 

未来「ひ、響ぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」

 

未来の悲鳴が響き渡った。

 

翼「くっ、間に合え!!」

 

響を助けようとクリスたちは効果を開始する。

 

そこへキングシトエルの両腕が邪魔をする。

 

しかもさっきクリスのミサイルに破壊された箇所は完全に修復されていた。

 

クリス「邪魔すんなよ!!」

 

邪魔をするキングシトエルの腕にミサイルを発射するがATフィールドにより防がれてしまう。

 

そうしている間に響と地面に激突までもう数メートルもなかった。

 

クリス「響ぃぃぃぃ!!」

 

クリスの叫び声と共に鮮血が宙を舞うのだった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。