戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第514.5話 荒療治にも限度がある

『い、異世界から来たぁ!?』

 

出水が響たちと話をして翌日、出水はシンカリオン運転士であるハヤト、アキタ、ツラヌキ、シノブ、1頭身タイプの車掌型マスコットロボであるシャショット、フタバ、本庄、そしてハヤトの幼馴染の少女(シンカリオン運転士ではないが一応協力者の)『上田 アズサ』に響たちのことを話して驚かれていた。

 

出水「あぁ。彼女たちはこことは違う時間・歴史を歩んできたパラレルワールドの住人であることが分かった」

 

驚いているハヤトたちに出水は冷静に言う。

 

本庄「じょ、冗談…ですよね?」

 

出水「いや、冗談ではない。現に響さんが纏っていた鎧、シンフォギアと呼ばれるモノのペンダントを調べてみたところ現代科学では証明できない未知の部分が見つかった。まるで魔法のようなものがね」

 

本庄の言ったことをひっくり返す結果を伝える出水。

 

フタバ「魔法って…」

 

出水「響さん達の言葉を借りるなら『錬金術』だな」

 

シンフォギアが錬金術で出来たモノであると付け加えるように言う。

 

ツラヌキ「何だ、錬金術って?」

 

アキタ「錬金術ってのは石を金に変えるような奇跡の力のことだ」

 

錬金術を知らないツラヌキの質問にアキタが簡潔に答える。

 

アズサ「よーし、そんな美味しいネタ!撮らない訳にはいかないでしょ!!」

 

そう言ってアズサはスマホを取り出す。

 

アズサは愛用のハンディカメラを用いて動画を撮影し、ネット上に公開しているユーチューバー的なことをやっている。

 

彼女の制作した作品の1つである『JSがおせち料理を作ってみた』では、再生回数が10万回を超えており、チャンネル登録者も侮れない程の数も誇るクラスの人気者である。

 

ただし、目新しく、かつ動画の題材のなりそうなものなら何にでも飛び付いてしまう。

 

現に休日を全て使い、単独で京都や九州まで赴く行動力を持ち合わせている。

 

それが原因で再生数を稼ぎたい、その好奇心を敵に付け入られて捕縛フィールドでのシンカリオンと巨大怪物体との戦闘を中継してしまったりした。

 

それでも、その事件で釘を刺された時はちゃんと謝る等、ちゃんとした礼儀も弁えていたり、自身の動画が小学生がやっている物珍しさでうけているのだろうと意外と冷静に自己分析が出来ている辺り大丈夫なはず…。

 

ハヤト「やめろよ、アズサ。2人のことを動画に上げられるわけないだろ?」

 

アズサ「え?なんで?」

 

ハヤト「いや、なんでって…」

 

フタバ「ハヤトくんの言う通り。あの2人、特にリルくんに至っては極秘にしとかないと動画を見た他国の政府に拉致される可能性があるからね」

 

出水「現に幼い時に攫われてそれを聞いた父親がキレて軍勢を率いて日本に襲来したそうだ。体長40M、体重が数万tが基本の怪獣軍団を率いてね」

 

シャショット『それはそれで巨大怪物体より恐ろしいのでゴザイマース!!』

 

響たちから聞いた響とリルがいる世界で起きた事件を語ってシャショットは言う。

 

アズサ「むー、確かにそれは怖いわね…しょうがない、このネタは諦めよう」

 

話を聞いてアズサは動画を取るのを諦めた。

 

フタバ「それで出水司令長、響さん達は今後どうするのですか?」

 

出水「あぁ。彼女たちのはしばらくここにいてもらうつもりだ。もっとも響さんに至ってはまだ傷が完治していないからね。それでも一応、協力体制という形を取らせてもらうがね」

 

フタバ「そうですか」

 

響とリルの今後を聞いて安心するフタバ。

 

本庄「しかし、彼女たちはどうしてこの世界に来たんだろう」

 

根幹に関わる疑問を呟く本庄。

 

出水「それなんだが、響さん達の世界には並行世界同士を繋げる完全聖遺物『ギャラルホルン』というものが存在するらしいがそれが起動したということはないらしい」

 

本庄「じゃあ、別の要因ぐごがっ!!」

 

そう話していると本庄の後ろの壁が砕けてリルが飛び出してきた。

 

ツラヌキ「うおっ!?な、なんだ!?」

 

突然のリルの出現に驚く。

 

リル「フシャー!!!」

 

そんなハヤトたちに気付いていないのか尻尾を上げて猫のように威嚇するリル。

 

その視線の先には野太い注射器を持ったミドリがいた。

 

どうやらあの野太い注射器から逃れるために逃げてきたようだ。

 

ミドリ「逃がさないわよ!!」

 

野太い注射器を構えてリルに向かっていくミドリ。

 

リル「かう!!」

 

向かってくるミドリにリルは壁を破壊して奥へ逃げる。

 

ミドリ「待ちなさーい!!」

 

奥へ逃げるリルを追うミドリ。

 

『…………』

 

2人が去って最初にリルが来た方を見ると奥で最初に注射を刺されたであろう響が涙を流して倒れていた。

 

フタバ「ミドリさん…やりすぎ……」

 

出水「荒治療にもほどがあるだろう……」

 

ミドリの野太い注射器を刺したがることに出水たちは呆れ、その被害者であるハヤトは同情していた。

 

そして新幹線超進化研究所全体にリルの悲鳴が響き渡ったのだった。


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