戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第544話 怪人の正体

謎の牛怪人を倒した響たちはリルの案内で生存者がいるかもしれない場所へ向かっていた。

 

リル「かう!」

 

目的の場所が近いのか、リルは大きな瓦礫の山を指さして鳴いた。

 

奏「その先か!アタシに任せろ!!!」

 

リルの言葉を理解した奏は槍の矛先を展開し、エネルギーを開放する砲撃を繰り出して瓦礫の山を吹き飛ばした。

 

マリア「貴女…それ私の……」

 

かつてマリアも纏っていたガングニールの『HORIZON†SPEAR』と全く同じ技を繰り出した奏を見ていう。

 

奏「細かい事気にしなさんなって♪」

 

悪びれもなく奏は言う。

 

奏がぶっ飛ばした瓦礫の山の間を通って先に行くとそこには体中がサボテンのように棘だらけの怪人とそれと戦っていたであろう鎧を着て、身の丈ほどもある十字架型の盾を持ち、サボテン怪人の針が足に刺さって動けなくなっている少女と上は白い服で下はスカート、ブーツを履いた茶色の瞳にオレンジ色のクセのあるセミショートヘアで、アホ毛が生え、本人から見て左側の髪を一房にしてシュシュで結んでいる少女、そして白く愛らしい生き物がいた。

 

リル「かう!!!」

 

先に入ったリルがサボテン怪人に向かって近くにあった瓦礫を投げた。

 

サボテン怪人「ギイィィィィリャリャリャアァァァァァァーーーーーーーーーー!!!!」

 

リルが投げた瓦礫をサボテン怪人は両手の指先から針を飛ばして粉々に砕いた。

 

サボテン怪人「!?」

 

粉々に瓦礫を見ていたサボテン怪人の目の前にドリル状の拳が迫り、命中した。

 

ドリル状の拳―響のドリルナックルにより、サボテン怪人は吹き飛ばされてしまった。

 

響「針だろうと何だろうと、私の拳は全てを貫く!!!」

 

決め台詞風に言う響。

 

その間にマリアと奏は少女たちの方へ向かう。

 

マリア「アナタたち、大丈夫?」

 

駆け寄ったマリアはそう聞く。

 

盾持ちの少女「えっと、貴女方は?」

 

少し警戒しながら少女は聞く。

 

奏「安心しな、アタシらは味方だ」

 

少女の問いに奏が答えて言う。

 

マリア「酷いわね。さっきの怪人のやられたのね」

 

少女の足に刺さった針を見てマリアは言う。

 

マリア「少し痛いだろうけど我慢して」

 

そう言うとマリアは少女の足に刺さっている針を抜く。

 

盾持ちの少女「ッ!!!」

 

針を抜かれる度に走る激痛を堪える少女。

 

マリア「ふう、あとはこれを塗れば傷跡も残らないわ」

 

針を全部抜き終えてマリアはマンダリン草から作られた塗り薬を出して少女の足に塗る。

 

マシュ「助けていただき、ありがとうございます。私はマシュ・キリエライトと言います。こっちの愛らしい生き物はフォウさんです」

 

フォウ「フォウ!」

 

藤丸「マシュのマスターの藤丸 立香です」

 

盾持ちの少女―『マシュ・キリエライト』と少女ー『藤丸 立香』、愛らしい生き物『フォウ』は名乗る。

 

マリア「私はマリア・カデンツァヴナ・イヴよ」

 

奏「アタシは天羽 奏だ」

 

響「私は立花 響です!で、この子はリルくんって言います!」

 

リル「かう!」

 

マシュたちの自己紹介を聞いてマリアたちも自分たちの自己紹介をした。

 

藤丸「それで、皆さんはここの住人なんですか?」

 

奏「え?アンタたちがここの住人じゃないのか?」

 

藤丸の言葉に奏は驚いて聞き返すと聞き返された藤丸たちも驚いた表情をした。

 

マリア「どうやらそっちもこの世界の住人じゃなさそうね」

 

藤丸たちの表情を見てマリアは言う。

 

マシュ「それはどういう…」

 

マリア「落ち着いてよく聞いて。私たちはこことは別の世界から来たの…」

 

驚いて混乱している藤丸たちにマリアが自分たちが別の世界から来た事を明かした。

 

自分たちがこの世界とは別の時間・歴史を歩み、今まで起こった事件や戦争、そしてリル達怪獣たちのことを。

 

マシュ「では皆さんは別世界の国連直轄のタスクフォースS.O.N.G.と呼ばれる組織の人間で、その身に纏っている鎧はシンフォギアシステムで、ノイズと呼ばれる怪異や錬金術師の使役するアルカ・ノイズ、ノイズ怪獣に対抗する歌を力に変える兵器で、そしてそのリルくんは空想上の産物と思われていた怪獣たちの王様、ということでしょうか?」

 

さっき聞いたことを改めて確認するようにマシュは言う。

 

マリア「えぇ、そうよ。それで貴女たちは?」

 

自分たちのことを話したのだから今度はそっちの番というようにマリアは聞く。

 

藤丸「……私たちもこことは別の世界から来た者です」

 

少し間をおいて、藤丸が言い始めた。

 

マシュ「私たちは人理保証機関・カルデアから派遣されて来た者です」

 

藤丸に続けてマシュが言う。

 

響「カルデア?」

 

リル「かう?」

 

聞きなれない言葉に響とリルは首を傾げる。

 

マシュ「カルデアは国連承認機関で、人類の未来を語る資料館です。別の側面では地球環境モデル『カルデアス』を観測することによって未来の人類社会の存続を世界に保障する…」

 

マリア「あー、話してるところ悪いけど難しい話を抜いてくれるかしら?私以外、頭がオーバーヒート寸前だから」

 

マシュ「え?えぇ!?」

 

マリアに言われてマシュが見たのは頭から煙を出している響、奏、リルだった。

 

マシュ「え~っと、簡単に言うと人類の未来を保証する保険機関のようなものです」

 

何とか分かりやすそうな感じにまとめるマシュ。

 

奏「俄然分かりやすくなった!」

 

リル「かう!」

 

響「ようするにカルデアは保険会社みたいな感じですね!」

 

藤丸「保険会社とは違うんだけど……」

 

少しずれている気がしたが分かってくれればいいかと藤丸は言う。

 

奏「それで人類の保険の人が別世界に何の用だよ?」

 

マシュ「それはこの世界を特異点にした要因である聖杯を回収するためです」

 

リル「かう?」

 

"聖杯"と聞いて首をかしげる。

 

マシュ「聖杯とは人々の望みを叶える『万能の願望機』…つまりは何でも願いを叶えてくれる魔法の杯です」

 

藤丸「でも、この世界にある聖杯は世界に異常な力を与えて歴史を変えちゃうほどの力があって、それが今、暴走しているんです。私たちはそれを回収するのが目的なんです」

 

マシュと藤丸は自分たちが所属するカルデアの目的を語る。

 

マリア「じゃあ、さっき貴女が自分のことをマスターとか言ってたけど、そのカルデアって組織の目的となにか関係あるのかしら?」

 

自己紹介の時に藤丸が言っていた言葉を思い出してマリアは聞く。

 

藤丸「えっとですね、それは…」

 

説明しようと藤丸が言った時、ロケットが点火されて発射される音がした。

 

『!?』

 

音がした方を見ると何本もの飛翔体―ミサイルが上空から接近してきた。

 

リル「かう!!!!」

 

接近してきたミサイルをリルは地面を踏み砕いて隆起させると畳返しのように壁を作り5人を守った。

 

マシュ「さ、流石は怪獣王ですね…」

 

藤丸「だね……」

 

咄嗟とは言えこの中では最年少くらいの背丈のリルが地面を踏み砕いて盾を作り、ミサイルを防御したのを見てマシュと藤丸は言う。

 

サボテン怪人「ギイィィィィリャリャリャアァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

サンゴ怪人「グウォオォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

ミサイルが飛んできた方にさっき吹き飛ばしたサボテン怪人と新たに体中にサンゴのような突起物が付いたサンゴの怪人が雄たけびを上げていた。

 

奏「クソ、今度は新手付きかよ!!!」

 

サンゴ怪人を連れたサボテン怪人を見て奏は愚痴りながらもアームドギアを構えた。

 

響、マリア、マシュもそれぞれの武器を構えて臨戦する。

 

サボテン怪人「ギイィィィィリャリャリャアァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

サンゴ怪人「グウォオォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

臨戦した響たちを見てサボテン怪人とサンゴ怪人は体を黒く光らせた。

 

マリア「何!?」

 

黒く体を光らせたサボテン怪人とサンゴ怪人に全員が目を逸らす。

 

光が収まるとそこにはサボテン怪人とサンゴ怪人ではなくサボテンのような怪獣並みの大きさを持った怪物と全身に突起物がある怪物がいた。

 

響「あの怪物たちって!?」

 

マリア「さぼてん超獣 サボテンダーとミサイル超獣 ベロクロン!?」

 

現れた怪物―かつて『異次元人 ヤプール』がハリネズミとサボテンを合成して作り上げた生物兵器『超獣』の1体『さぼてん超獣 サボテンダー』と同じく珊瑚と宇宙怪獣を合成して作り上げた『歩く火薬庫』の異名を持つ『ミサイル超獣 ベロクロン』を見て驚く。

 

藤丸「あの怪物を知ってるんですか!?」

 

サボテンダーとベロクロンを見て藤丸は聞く。

 

マリア「私たちの世界にいるはずの怪物よ!」

 

奏「来るぞ!!」

 

簡潔にマリアが言っているとベロクロンが口からは一億度の火炎を吐いてきた。

 

響、マリア、奏は急いで後ろへ飛び、咄嗟にマシュは藤丸を抱えると素早く後ろへ飛んだ。

 

すぐに近くの瓦礫の山へ着地した面々。

 

マリア「全員無事ね」

 

マシュ「待ってください!まだリルくんがあそこに!!」

 

マリアの言葉にマシュはリルがまだ取り残されていると言って指を刺した。

 

マリア「あの子は大丈夫よ。むしろ私たちがあの場にいたらかえって邪魔になるわ」

 

マシュ「何を言って…私が助けに行きます!」

 

マリア「言ったでしょ。あの子は怪獣王なのよ」

 

助けに行こうとするマシュにマリアはそう言った時だった。

 

リル「がうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

ミレニアムゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

リルの遠吠えのような声が聞こえたかと思いきや姿を変えて本来の姿である最強の怪獣―『怪獣王 ミレニアムゴジラ』となり、サボテンダーとベロクロンの前に現れた。

 

サボテンダー・ベロクロン「「!?」」

 

いきなり巨大化して姿を変えてきたリルことミレニアムゴジラに驚いてサボテンダーとベロクロンは驚いてひっくり返ってしまった。

 

マシュ「あの姿は!?」

 

藤丸「本当に怪獣になったぁ!?」

 

ミレニアムゴジラとなったリルを見てマシュと藤丸は驚いてしまう。

 

響「あれがリルくんの本当の姿です!」

 

奏「二代目怪獣王 ゴジラ、それがリルだ!」

 

見慣れている響と奏は自慢するように言うのだった。

竜姫咆哮メックヴァラヌス編について2

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  • どっちかというとオリジナルがいい!
  • どっちかというと原作がいい!
  • 訃堂ぶっ倒すならどっちでもいい!

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