海上自衛隊呉基地は郊外にあるとはいえ、近くには自衛官のためにという善意で食事処など開いて住んでいたり、自衛官の家族や親族など住んでいる住宅街が存在する。
それを隔てるは数百ボルトの電流が流れている有刺鉄線と門だけである。
今回の事件の発生を受けて、門は別の基地の自衛隊が封鎖し、近くに住んでいた人々は全員避難している。
そのため、周辺はゴーストタウンになっていた。
そんなゴーストタウンとなった基地周辺の上空に響たちが乗っているルーラーが用意した陸上自衛隊所属の『UH-60 ブラックホーク』が1機飛来した。
マリア「着いたようね。降りるわよ」
窓から目的地である基地に着いたのを確認すると響たちは付けていたヘッドセットを外して左右の扉を開けた。
パイロットA「みなさん、お気をつけを!」
響「はい!いってきます!!」
パイロットに響はそう言うとリルを抱えて飛び降りた。
響に続いてマリア、奏、藤丸をお姫様抱っこしたマシュが降りる。
響たちが降りて着地したのを確認して基地から離れていった。
マリア「さて…静かね」
奏「あぁ。不気味なくらいにな」
不気味なくらい静かな状況の基地を言う。
ロマニー『悪い知らせだ。その基地にある生命反応は君たち以外検知されない』
ロマニーの言葉が耳に突き刺さる。
響「それじゃあ、この基地の人や調査隊の人たちは…」
ロマニー『全滅してしまっているだろうね』
非常な言葉が響たちの耳へとさらに突き付けられてしまう。
マリア「まずは開いている場所がないか捜索しましょう」
非常な言葉を聞きながらもマリアは状況を把握するのと同時に情報収集を開始する。
数十分後、基地のほとんどの出入口はカギが掛けられて封鎖されているが基地の主要施設から離れた裏口だけピッキングされてカギが開いていた。
マリア「ピッキングされてるってことは調査隊がした後みたいね」
ピッキングを誰がしたのかとマリアは予測する。
マシュ「とりあえず中に入りましょう」
マリア「そうね。前衛はリル、中衛は響と奏、後衛はマシュと私が非戦闘の藤丸を守りながら行きましょう」
組み合わせを言って全員が納得して頷くと扉を開けて入っていった。
奏「前衛はチビッ子だけで大丈夫なのか?」
編成について奏は少し不満なのか聞く。
マリア「確かにリルだけは不安なのは本音だけど未知の敵が相手ならステータスがこの中でずば抜けているゴジラの一族なら即応能力が高いからよ。それに貴女たちガングニールならもしもの時はリルのサポートできるでしょ?」
リルだけを前衛にした理由や編成についてを言うマリア。
奏「そうか…じゃあ、しょうがねーか」
マリアから編成について聞いて納得する奏。
藤丸「それじゃあ、入ろうか」
頷いて扉を開けると面々はリル、響、奏、マシュ、藤丸、マリアの順で中へ入っていった。
そんな響たちを見る人の影があったが響たちは気付きはしなかったのだった。