戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第582話 四天王の真実

ミレニアムゴジラがマザリュースに一方的な戦いをしている時、冥界ではサーヴァントたちとシンフォギアの共同戦線が張られていた。

 

アサシン・ユニタング「ぐっ、まさか、まだサーヴァントが来ていたなんて!」

 

ギルガメッシュたちの後から来たエレシュキガルとマーリンを見てアサシン・ユニタングは冥界の攻撃に耐えながら言う。

 

エレシュキガル「人質を解放して降伏するのなら今の内よ。そうすればすぐに罰を解いてあげるのだわ」

 

アサシン・ユニタングに降伏するように言うエレシュキガル。

 

アサシン・ユニタング「あは…アッハハハハハハ!!ふざけんじゃないよ!アタシたちにはアタシたちの目的があるんだ!それを捨てて降伏するぐらいなら死んだ方がマシだね!!!」

 

降伏はしないとアサシン・ユニタングは叫ぶ。

 

エレシュキガル「そう…ならすぐに楽にしてあげるのだわ」

 

アサシン・ユニタングの回答を聞いてエレシュキガルは槍を構えた。

 

マシュ「ちょっ!?エレシュキガルさん、まだ先輩が…」

 

まだ藤丸が近くにいるのに何かをしようとするエレシュキガルにマシュは慌てて言う。

 

エレシュキガル「大丈夫なのだわ。マスターには絶対に当てないようにするから」

 

慌てて言ってきたマシュにエレシュキガルはそう言う。

 

するとアサシン・ユニタングの電撃がさらに増大した。

 

アサシン・ユニタング「!!!!!!!」

 

冥界中に響き渡りそうなアサシン・ユニタングの悲鳴が響く。

 

エレシュキガル「このまま冥界へ招待してあげるのだわ!」

 

悲鳴を上げるアサシン・ユニタングにエレシュキガルは言う。

 

奏「冥界に招待するって…ここ冥界なんだろ?」

 

マリア「細かいことは言いっこなしよ」

 

エレシュキガルの言動に奏はツッコムとマリアが言う。

 

その時だった。

 

藤丸「令呪を持って命ずる!エレシュキガル、今すぐ冥界の罰を止めて!!」

 

エレシュキガル「ふえ!?や、止めるのだわ!!」

 

突然藤丸の声が聞こえたかと思いきやエレキシュガルは驚いて冥界の罰を止めてしまった。

 

アサシン・ユニタング「かはっ…」

 

ダメージでアサシン・ユニタングは倒れそうになるのを藤丸がキャッチして受け止めた。

 

藤丸「大丈夫?」

 

受け止めた藤丸は心配して聞いてきた。

 

アサシン・ユニタング「なぜ…助けた…?アタシは…お前の…敵…だぞ…」

 

あのままにしていれば自分を倒せたのになざわざわざ助けたことを聞く。

 

藤丸「あー、それは他のみんなが来てからでいいかな」

 

アサシン・ユニタングの問いに藤丸はそう答える。

 

 

 

突然の藤丸の行動に合流したサーヴァントたち(ベディヴィエール、エレシュキガル、マーリン以外)は怒り心頭であった。

 

ギルガメッシュ「どういうつもりだ、貴様!敵をお人よしにもほどがあるぞ!!」

 

マシュ「そうですよ、先輩!」

 

信長「いったい何を考えておるんじゃ!!」

 

オキタ「流石の沖田さんも怒ってますよ!!」

 

景虎「マスター、事と次第によってはそのお命頂戴いたしますよ?」

 

口々に藤丸の行動を怒る面々。

 

ベディヴィエール「ま、まあまあ、皆さん。ここはマスターの話を聞いてみてはいかがかと」

 

マーリン「そうだよ、みんな。ここは藤丸ちゃんの言い訳を聞こうじゃないか」

 

怒るサーヴァントたちをベディヴィエールとマーリンが諫める。

 

マシュ「そうですね…それで先輩、なんでこの方を助けたのですか?」

 

ベディヴィエールとマーリンに言われて少し落ち着いて話す。

 

藤丸「うん。実はあの超獣に取り込まれた時に少し見えたんだ。この人の過去を」

 

『!?』

 

藤丸の言葉を聞いて全員が驚いた。

 

響「それってどういうことですか?」

 

マーリン「たぶん藤丸ちゃんが彼女に取り込まれた時に何らかの同調が起きて彼女の深層意識の中にあった過去が藤丸ちゃんに見えたんだと思うな」

 

響の問いに藤丸の代わりにマーリンが答えて推測する。

 

藤丸はその話を聞き、アサシン・ユニタングの方を見た。

 

藤丸「貴女と私たちが戦っていたあの女型の怪物…レイチェル(だっけ)と人間の親子みたいな関係だったんだよね」

 

アサシン・ユニタング「なぜそれを!?」

 

藤丸の言っていることが図星なのかアサシン・ユニタングは驚いた表情で聞く。

 

藤丸「だから見えたんだって。貴女がどんなめにあって、今の姿と力を手に入れたか」

 

アサシン・ユニタング「………」

 

藤丸がそこまで言うとアサシン・ユニタングは黙ってしまうが一呼吸おいて口を開いた。

 

アサシン・ユニタング「そうさ。アタシは…いいや、アタシたち超獣四天王はみんな元人間さ。ただし何らかの強い恨みを持った、ね」

 

響「ってことは超獣四天王は元は人間ってことですか!?」

 

喋り始めたアサシン・ユニタングに響は驚いて言う。

 

アサシン・ユニタング「そうさ。死んだ人間の中から我らが王は強い恨みを持つ者の魂をサーヴァントとして呼び寄せ、超獣にした。それがアタシたち四天王だ」

 

マリア「じゃあ、私たちが最初に倒したカウラも…」

 

アサシン・ユニタング「そう、アイツは昔、牧場を経営していたらしいよ。でも身に覚えのない濡れ衣を着せられ、誰も信じてくれず、挙句に牧場まで奪われてね。実際はその土地を買い取りたかった地主の仕掛けたことでね、それを知った後は口封じのために殺されたらしいけどね」

 

カウラが人間であった頃のことを話す。

 

奏「じ、じゃあ、お前やあのマザリュースって奴も…」

 

アサシン・ユニタング「そうだよ。アタシも殺されたよ。ただ、ウイルス実験の被検体としてね…」

 

奏に聞かれてアサシン・ユニタングは少し恐怖を込めて話し始めた。

 

話によるとアサシン・ユニタングはかつてはある洋館の設計者の一人娘として生まれていた。

 

その洋館の完成記念に母と共に招かれたが実は洋館はウイルスを研究する施設であり、それを知った父や自身と母は口封じのために監禁されてしまった。

 

父は脱出を図るも失敗し、衰弱死して自身と母は今回の呉基地にばら撒いたウイルスの実験のための被検体にされたのだという。

 

しかし母はウイルスに適応できずに処分されてしまい、自分は心身に異常をきたしながらも生き延びたがその後の研究成果は得られないと判断されて廃棄処分された。

 

しかしそれでは死なず、その後も何度も処分されるも生き延びていたという。

 

やがて研究員達からは何度廃棄処分しても生残ることから「生き続けるだけの出来損ない」と侮蔑されていた。

 

そんなある日、自分が監禁されている地下牢にレイチェルがやって来たという。

 

レイチェルはFBCエージェントだったが洋館に侵入した後に捕まってしまったらしい。

 

互いに最初は警戒していたがやがて打ち解け合い家族のような関係になり互いに互いが心の支えになったという。

 

しかし、レイチェルはヨーロッパにある別の研究施設へ移されてしまい再び彼女は寂しい思いをするようになる。

 

その後、レイチェルの身柄と交換に受け取っていたネメシス-T型にも使用されている寄生生物のプロトタイプを投与されてしまったがそれに支配されるどころか逆に自身に吸収してしまったという。

 

死ぬことが出来ず苦しみ続け、やがて洋館を彷徨っていた時に洋館の研究施設を調査に来た人間たちの手により撃ち落とされた洋館のシャンデリアの下敷きになって、そのまま爆発に巻き込まれ、今度こそ死亡したという。

 

しかし父と母を殺し、自分の人生を踏み躙った研究者たちへの憎悪は忘れはしなかった。

 

そんな時に戦力を求めていたアヴェンジャーにその魂を呼び寄せられ、超獣 ユニタングの力を授かり四天王になったという。

 

その後はヨーロッパ方面を攻撃し、自分の人生を踏み躙った研究者やウイルスの実験をしていた施設を破壊、ウイルスを奪い取り、レイチェルを助けようとしたがすでに怪物 レイチェルウーズにされていたという。

 

それを知った時、彼女の憎悪は増大していつの間にかレイチェルウーズや他のB.O.W.を使役していた。

 

アヴァンジャーは人間でないB.O.W.を兵器として利用するならば構わないと許可を出し、同じ境遇であったマザリュースと共に奪ったウイルスを超獣の能力で増産し、今回の事件を実行したという。

 

アサシン・ユニタング「これがアタシの過去さ。マザリュースは別の国で別のウイルスの被検体になってたらしいけどね」

 

自身とマザリュースのことを一通り語り終えてアサシン・ユニタングは言う。

 

『…………』

 

話を聞いて全員が黙ってしまう。

 

アサシン・ユニタングやマザリュースたち超獣四天王が本当は人間で、様々な理由で人間への怒りや憎しみなどの憎悪を持ちアヴェンジャーによりサーヴァントとしてこの世に呼び戻され、超獣の力を得た。

 

アサシン・ユニタングとマザリュースは一部のマッドサイエンティストたちにより父と母を殺され、自身も実験体にされた挙句に心のよりどころの人すらも怪物にされてしまった絶望があったことにどう答えたらいいか分からなかったのだ。

 

アサシン・ユニタング「だから憎かったのさ。人間が…同じ人間でも物として扱われ続けきた。だから復讐してやろうと思ったのさ!それを邪魔する奴はみんなアタシの敵だ!!」

 

響「それは違うよ!!」

 

アサシン・ユニタング「!?」

 

響の声にアサシン・ユニタングは驚く。

 

響「そんなことをして誰が喜ぶの?貴女のお父さんやお母さんはそれを望んでるの?レイチェルさんだって本当は貴女にこんなことしてほしくなかったと思うよ。だって結局は貴女がやったことってその研究者の人たちと変わらなよ!!」

 

アサシン・ユニタング「そうさ…アンタらからすればアタシのしたことは奴らと同じことさ。でもね、今のアタシたちのはこれしかないんだよ!このやり方しか無かったんだ…」

 

響の言っていることを否定していたアサシン・ユニタングの頬を叩くモノがあり、同時に"パーン"っという音が響いた。

 

藤丸が平手打ちでアサシン・ユニタングを叩いたのだ。

 

藤丸「そんなの関係ないよ!」

 

藤丸の一喝が飛ぶ。

 

藤丸「"こんなやり方しかなかった"なら今からでも別のやり方を見つければいいんだよ。1人で無理なら私たちも考えてあげるから」

 

響「そうだよ。最初は分かり合えなくても、分かり合えるなら分かり合うのが一番だよ!」

 

そう言って藤丸はさっき叩いた手を、響はその反対の手を広げて差し出した。

 

アサシン・ユニタング「お前ら……」

 

手を差し出してきた藤丸と響を見てアサシン・ユニタングは動揺した。

 

それは今まで憎悪しか抱いてこなかったアサシン・ユニタング自身の心に何かが開き始めている証でもあった。

 

2人の手を取ろうと伸ばした時だった。

 

?『不甲斐ナイゾ、ユニタング…』

 

『!?』

 

周囲に突然、男性の声が響いて驚く。

 

アサシン・ユニタング「こ、この声は我らの王!?」

 

響いてきた声の主が"我らの王"こと魔術王の放った聖杯に呼ばれ、黒き軍勢である超獣軍団を率いてこの世界の日本以外の国をすべて滅ぼした元凶『アヴェンジャー』であると気づいてアサシン・ユニタングは怯えて周囲を見回した。

 

瞬間、赤黒い塊がアサシン・ユニタングの胸部を貫いた。

 

アサシン・ユニタング「がっ、あぐあがああああああああああああああああああっ!?!?」

 

胸部を貫かれた瞬間、体から黒い煙が出たかと思いきやひとまとまりになり1人の忍び装束の少女―ユニタングの本体にして浅木の体を乗っ取っていた『アサシン・ユニタング』が苦しそうに現れた。

 

奏「お、おい!?」

 

エレシュキガル「一体何が起こっているのだわ!?」

 

急に苦しんで浅木の精神内から出てきたアサシン・ユニタングに驚く。

 

アヴェンジャー『ユニタング…今一度思イ出セ。貴様ヲ…貴様ノ大切ナ者タチヲ奪ッタ者共ヘノ復讐心ヲ!!』

 

アサシン・ユニタング「うあ、あがっ、ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

アヴェンジャーの声と同時にアサシン・ユニタングは悲鳴を上げると下から赤黒い液体が溢れだしてその体を包みこむと姿を変えられてしまった。

 

変えられたのはユニタングの角であるがその色は赤黒く、不気味であった。

 

角は浮かび上がると地上へ向かって飛んで行った。

 

マリア「今のはいったい?」

 

地上へ飛んで行った角を見て混乱していた。

 

藤丸「とにかく地上に!エレシュキガル!」

 

エレシュキガル「わ、分かったのだわ!!」

 

藤丸に言われてエレシュキガルは体を光らせた。

 

するとエレシュキガルと浅木以外の全員の体が浮かび上がった。

 

響「ふえ!?体が浮いた!?」

 

奏「なんでだ!?」

 

浮かび上がった体に驚く。

 

マシュ「エレシュキガルさんは冥界の主人なのでその権限で私たちに様々な力を付与してくれてるんです」

 

驚いている響と奏にマシュがエレシュキガルの冥界の主としての権限であると伝える。

 

エレシュキガル「この子のことは私やガルラ霊たちに任せるのだわ。みんなは早く地上に」

 

浅木のことを任せてと言ってエレシュキガルは言う。

 

藤丸「よし、みんな急ぐよ!」

 

『はい!/おう!』

 

藤丸に言われてマリアたちは地上へ向かって行くのだった。


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