戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第590話 奇襲

ルーラー率いる自衛隊の発動した反攻作戦『アース』は順調に進んでいた。

 

小型超獣は自衛隊とカルデアのサーヴァントたちにより数を減らし、本来の姿を現した者は響たちシンフォギアとイージス艦の単装砲やミサイルで次々に撃破されていた。

 

その頃、戦いが起きている前線とは反対側―アヴェンジャーの居城の後ろにある山の中にある一団がいた。

 

アサシン・ユニタング「砲撃と爆発の音…開戦したみたいだね」

 

木の上から前線の方を見ていたアサシン・ユニタングは下にいる指揮官に言う。

 

リル「かうかう」

 

訳:了解したよ

 

アサシン・ユニタングの報告を聞いて下にいるこの一団の指揮官であるリルは言う。

 

※ここからはリルたちの台詞が日本語になりますが実際は「かう」っとないています。

 

リル「よし、それじゃあこっちも作戦を開始するよ!!」

 

後ろを向いて一団の面々に言うリル。

 

その面々はベロクロンの怪人形態であるサンゴ怪人、サボテンダーの怪人形態であるサボテン怪人などの怪人形態の超獣たちであった。

 

この一団の面々はアヴェンジャーに裏切られてしまい、行き場を失った超獣たちである。

 

虜囚の身になってしまったがアサシン・ユニタングの過去や事情を知った響たちやリル、カルデア組の強い嘆願もあり、ルーラーの計らいでかつてのアメリカ軍に存在したとされる部隊になぞらえて『442部隊』となりこの反攻作戦に従軍しているのだ。

 

その指揮をリルが受け持ち、前線でルーラーたちが敵をできるだけ引き付けている隙にリル率いる442部隊が背後からアヴェンジャーのいる居城を奇襲してアヴェンジャーを討ち取ることになっている。

 

もしもアヴェンジャーを倒せなかったり、逃げられたりした場合でも前線の味方と挟撃できる手筈になっているのだ。

 

アサシンユニタングの報告を聞いたリルの指示で部隊は動き始める。

 

部隊の移動と共にアサシン・ユニタングは木から飛び降りてリルの隣に着地して移動を開始する。

 

リル「ねえ、ユニタング」

 

アサシン・ユニタング「どうした?」

 

リル「アヴェンジャーのいる城までどれくらいかかるかな?」

 

アサシン・ユニタング「そうだなぁ、ここからだとだいたい1時間くらい…」

 

リルに聞かれてアサシン・ユニタングがここからアヴェンジャーの居城までの到達時間を言っていた時だった。

 

空の一角に一瞬だけ黒い輝きが瞬いたかと思いきや黒い矢じりが無数に飛んできて部隊に降り注いだ。

 

442部隊の超獣たち『ギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!』

 

降り注いできた黒い矢じりに442部隊の超獣たちは体を貫かれて命を落としていく。

 

アサシン・ユニタング「くっ!」

 

リル「おっと!」

 

部隊の中でアサシン・ユニタングとリルは黒い矢じりを回避する。

 

部隊の超獣たちも何とか回避する者たちがいたが確実に1体、また1体と黒い矢じりの餌食となる。

 

アサシン・ユニタング「この攻撃は…迎撃に来たか、アヴェンジャー!!!!!!」

 

黒い矢じりを回避しながら空を見上げてアサシン・ユニタングは言う。

 

そこには周りに黒い矢じりを展開しているアヴェンジャーが442部隊を見下ろしていた。

 

超獣たち『ギャオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!』

 

アサシン・ユニタングの声を聞いて超獣たちが一斉にアヴェンジャーに向かって攻撃を開始した。

 

ミサイルや火炎が次々にアヴェンジャーに命中、黒煙が空の一角に浮かぶ。

 

アヴェンジャー「フン………」

 

黒煙が晴れるとそこには無傷のアヴェンジャーがおり、自身に攻撃してきた超獣たちをピンポイントで狙って周囲に展開していた黒い矢じりを放った。

 

放たれた黒い矢じりは442部隊の超獣たちを襲い、その命を奪っていき周囲に超獣たちの悲鳴が響き渡った。

 

リル「や、やめろぉーーーーーーーーーーー!!!!」

 

いくら裏切ったからといって容赦無い攻撃を加えるアヴェンジャーに向かってリルは近くにあった木を丸ごと1本引き抜くと投げた。

 

自身に投げられた木を見てアヴェンジャーは矢じり数本を放って串刺しにして止めた。

 

止められた木はそのまま落下して地面にその巨体を横たえた。

 

アサシン・ユニタング「アヴェンジャー!!!!」

 

木が地面に落ちた後、アサシン・ユニタングがアヴェンジャーの真上から黒い色をした光弾を右手から発射した。

 

アヴェンジャー「……」

 

アサシン・ユニタングの放った光弾を左手でキャッチすると握り潰した。

 

アサシン・ユニタング「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

 

自身の光弾攻撃がアヴェンジャーに通じないことなど承知の上であるのかアサシン・ユニタングはそのままアヴェンジャーの殴り掛かる。

 

殴り掛かったアサシン・ユニタングの拳をヴェンジャーは右手で受け止めると開いている左手でアサシン・ユニタングの首を掴んで締め上げた。

 

アサシン・ユニタング「あが…がは…」

 

首を絞められて呼吸ができずに苦しみ、もがくアサシン・ユニタング。

 

アヴェンジャー「オ前如キデ我ヲ倒セルト思ッテイルノカ?」

 

首を絞める力を強めながらアヴェンジャーはアサシン・ユニタングに言う。

 

リル「がうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!」

 

ミレニアムゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

 

アサシン・ユニタングの危機にリルが雄たけびを上げてミレニアムゴジラに変身した。

 

ミレニアムゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

 

変身してすぐに赤い放射火炎をアヴェンジャーに向かって発射した。

 

ミレニアムゴジラの放射火炎を見てアヴェンジャーはアサシン・ユニタングから手を離すと左手を天高く上げてエネルギーを集め、さっきより巨大な黒い矢じりを形成すると放射火炎に対抗して放った。

 

巨大な黒い矢じりは放射火炎を一方的に両断しミレニアムゴジラに向かっていくが寸ででミレニアムゴジラは黒い矢じりを回避して落ちていくアサシン・ユニタングをキャッチした。

 

アヴェンジャー「異世界ノ我ヨ…何故、弱キ者ト徒党ヲ組ム?」

 

アサシン・ユニタングを助けたミレニアムゴジラを見てアヴェンジャーはそう問いた。

 

アヴェンジャー「オ前モ我ト同ジデハナイノカ?人間ドモニ愛スル者ヲ何ノ理由モ無ク殺サレタ恨ミ、憎シミガアルノデハナイノカ?」

 

続けて言うアヴェンジャーの脳裏にかつて自分の平和な日常を壊したあの忌まわしき記憶が過ぎる。

 

ミレニアムゴジラ「そんなの、知らない…!」

 

ゆっくりとアサシン・ユニタングを地面に下してミレニアムゴジラは言う。

 

ミレニアムゴジラ「僕が知っている人間は優しい人もいればどうしようもない酷い人もいる…でも、だからって少ない悪人のために沢山の良い人たちを殺させるわけにはいかない!!」

 

アヴェンジャーにミレニアムゴジラはそう言って臨戦態勢を取って構えた。

 

アヴェンジャー「ソウカ…オ前モヤハリ、ルーラート同ジ考エカ…ナラバ我ノ全力デ、オ前ヲ葬ッテクレルワ!!ヌガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

ミレニアムゴジラと意見が決裂したアヴェンジャーは雄たけびを上げるとその姿を変えた。

 

ミレニアムゴジラ「なっ!?!?!?」

 

姿を変えたアヴェンジャーを見てミレニアムゴジラは驚愕した。

 

アヴェンジャーが変えたその姿が忘れられるはずの無い姿となったからだ。

 

アヴェンジャー「サア…最初デ最後ノ死ヲ味ワガイイ…我ハ(おわり)ニシテ(はじまり)(はじまり)ニシテ(おわり)ヲ司ル、神ダ!!ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

 

その姿となったアヴェンジャーは自身を"神"と言うと雄たけびを上げながらミレニアムゴジラに臨戦するのだった。


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