戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第593話 持たない2つの負

通信士「上陸部隊より入電!ワタリガラスの方々がアヴェンジャーと接敵、交戦を開始しました!!」

 

上陸部隊の知らせをルーラーの乗艦する護衛艦 かがの通信士が報告する。

 

ルーラー「そうですが。上陸部隊に指令、ワタリガラスの皆さんがアヴェンジャーのみに集中できるように全戦力を持ってこれを援護!周囲の超獣たちを近づけさせないでください!!!」

 

通信士「はい!!」

 

ルーラーの指令を聞いて通信士は上陸部隊に伝える。

 

それを見てルーラーは艦長席から立ち上がり、隣にいた艦長の方を向いた。

 

ルーラー「艦長さん。あとは頼みました」

 

艦長「…はっ」

 

ルーラーに言われて艦長は何かを察したのか敬礼して言う。

 

 

 

響「うおりゃあぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

アヴェンジャー「ふん!!」

 

響のドリルナックルをアヴェンジャーは少し動いて回避するとがら空きになった響の腹部に膝蹴りを叩き込んだ。

 

響「がはっ!!!!!」

 

腹部に膝蹴りを叩き込まれて天高く飛ばされてしまう。

 

奏「うらあぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

景虎「せいやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

響を蹴り飛ばしたアヴェンジャーの左右から槍を武器とした奏と景虎の2人が向かっていく。

 

アヴェンジャー「……?」

 

迎撃しようとしたアヴェンジャーだが四肢が何かに引っかかって動けなくなっていることに気づいて見ると金色の鎖が絡まっていた。

 

ギルガメッシュ「迎撃などさせるか」

 

周囲にゲートを開いたギルガメッシュが天の鎖(エルキドゥ)で防いでいた。

 

アヴェンジャー「嘗メラレタモノダナ…!!!!」

 

そう言うと力を入れて鎖を引っ張る。

 

ギルガメッシュ「無駄だ」

 

どんなに力を入れても千切れないと豪語する天の鎖にギルガメッシュは自信たっぷりに言う。

 

だがすぐに近くにあった天の鎖から"バキンッ"っという音がした。

 

ギルガメッシュ「なに!?」

 

音の方を見ると天の鎖に亀裂が入り今にも千切れそうになっていた。

 

ギルガメッシュ「おのれ!!!」

 

天の鎖が千切られる前にギルガメッシュは少し焦りながら新たにゲートを開き剣を射出する。

 

アヴェンジャー「ふっ」

 

焦って剣を射出してきたギルガメッシュを見てアヴェンジャーは尾てい骨辺りから尻尾を出すと振り回して射出された剣を奏と景虎の方へ弾き飛ばした。

 

奏「くっ!?」

 

景虎「おっと!!」

 

弾き飛ばされてきた剣を奏と景虎はそれぞれの武器である槍で弾く。

 

同時に"バキイィンッ"と甲高い音がしてアヴェンジャーの方を見ると天の鎖を引き千切って自由になったアヴェンジャーが鎖を鞭のように振るっていた。

 

天の鎖を振るっていたアヴェンジャーは奏に向かって天の鎖を放った。

 

放たれた天の鎖は奏の身体に巻き付いて動きを封じた。

 

奏「くそっ!!!」

 

巻きついた鎖を何とかほどこうともがくが流石は神々がギルガメッシュを殺すために造った兵器であり、ギルガメッシュの唯一の友の使っていた天の鎖である。

 

シンフォギアであっても抜け出すことは不可能であった。

 

景虎「相手は彼女だけではありませんよ!!!!」

 

態勢を整えた景虎がアヴェンジャーの向かって槍を振るう。

 

しかしアヴェンジャーは景虎が仕掛けてくるのを分かっていたのか奏を捕えている天の鎖を引っ張って奏をハンマー投げのように投げて景虎にぶつけた。

 

景虎「あぐっ!!」

 

奏「ぐあっ!!」

 

互いにぶつけられた奏と景虎の2人はその場に倒れる。

 

ギルガメッシュ「よくも貴様ぁ!!!!!」

 

友の形見である天の鎖を千切られたギルガメッシュは怒って無数のゲートを展開させて剣を射出する。

 

しかし自由になったアヴェンジャーの前に剣はすべて弾かれてしまった。

 

ギルガメッシュの攻撃を全て弾いたアヴェンジャーは一気に間合いを詰めると指に黒い炎を纏わせてギルガメッシュの胸部に突き立てた。

 

ギルガメッシュ「ぐっ!?」

 

アヴェンジャーが突き立てた指にギルガメッシュは違和感を感じてすぐさま鎧を外して回避するがすぐにアヴェンジャーに蹴りを腹部に叩き込まれてしまい吹き飛ばされた。

 

ギルガメッシュを蹴り飛ばしてアヴェンジャーは藤丸を見ると周囲に黒い矢じりを展開して発射した。

 

藤丸「!!」

 

自身に向かってくる黒い矢じりを見て藤丸は回避しようとするが間に合わないと思った時、黒い矢じりが綺麗なピンク色の花に変わった。

 

マーリン「エレシュキガル!」

 

同時に杖を構えたマーリンがエレシュキガルに叫ぶ。

 

さっきのはマーリンの魔術で黒い矢じりを花へ変化させたのである。

 

エレシュキガル「分かってるのだわ!!」

 

マーリンに言われてエレシュキガルは檻を鐘のように鳴らす。

 

すると地面から骸骨のティラノサウルスとトリケラトプスの2体が出現してアヴェンジャーに襲い掛かる。

 

アヴェンジャー「我ガ偉大ナ恐竜ヲ…!!!!」

 

襲い掛かってきたティラノサウルスとトリケラトプスを見て少し怒ったのかアヴェンジャーは跳躍すると巨大な炎の塊を一瞬で作ると叩き付けるように地面に向かって投げた。

 

着弾と同時に地面が砕けて、炎が2体を飲み込むと炎の中で灰となって消失させた。

 

砕けた地面の大きな塊が雨のように降り注ぐ。

 

マシュ「先輩!!」

 

降り注ぐ塊からマシュが盾で藤丸を守る。

 

マシュ「大丈夫ですか、先輩?」

 

藤丸「うん、ありが…」

 

お礼を言いかけた藤丸の目の前でマシュがアヴェンジャーの尻尾により薙ぎ払われてしまった。

 

マシュ「がはっ!!!」

 

薙ぎ払われたマシュは地面を水走りする石のように地面に叩き付けられてしまう。

 

藤丸「マシュ…!?」

 

マシュを心配して叫んだ藤丸だが目の前でアヴェンジャーが片手で炎を生成していた。

 

至近距離で藤丸に叩き込もうとしているのだ。

 

藤丸へ炎を投げようとした時だった。

 

響「どぅおりやあぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

気合のある声と共に空に吹き飛ばされた響が戻ってきてアヴェンジャーに殴り掛かった。

 

だがアヴェンジャーは開いている片手で響の拳を受け止めた。

 

響「せいっ!!!!!」

 

拳を受け止められながらも響は蹴りを繰り出すがアヴェンジャーは尻尾で蹴りを掴んで防御した。

 

響「くっ!!」

 

攻撃を防がれて響は次の手を考える。

 

アヴェンジャー「何故ダ」

 

響「え?」

 

アヴェンジャー「何故貴様ハ恨ミヲ持タナイ?大切ナ者ヲ奪ッタ我ヲ、何故恨マナイ?」

 

響から恨みの感情を感じないことにアヴェンジャーは不思議そうにして聞いてきた。

 

響「そんなの決まってる…私のこの拳は誰かを傷つけるモノじゃない。誰かを助けるために、話し合いをするためにあるんだ!だから私は貴方を恨まない!憎まない!どこかで誰かの負の連鎖を止められるなら私は止めたい!!私の…私たちの大好きなあの子だって絶対にそう言うから!!!」

 

聞かれた響は今までの自身が経験したことで得た答えでそう返すと掴まれている腕のギアを変化させてパイルバンカー状態にした。

 

響「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

パイルバンカー状態にすると一気に射出した。

 

アヴェンジャー「!?」

 

意外な攻撃にアヴェンジャーも対応できずパイルバンカーパンチにより吹き飛ばされてしまった。

 

響「くっ…」

 

ゼロ距離のパイルバンカーパンチの反動で響は打った腕を抑える。

 

衝撃が強すぎて響に跳ね返ってきていたのだ。

 

吹き飛ばされたアヴェンジャーは両足と尻尾で地面を砕いてストッパーのようにして減速した。

 

アヴェンジャー(理解デキナイ…何故憎シミヲ持タナイ?何故恨マナイ?理解デキナイ…ソンナ人間ガイルノカ?イヤ、アレトテ我ヲ惑ワス戯言…)

 

心の中で響の言っている事は戯言だと思っているアヴェンジャーだが彼の脳裏に懐かしき記憶が一瞬だけ浮かんできた。

 

アヴェンジャー(モシヤアノ人間ハ…イイヤアリエン!人間ハ敵ダ!我ヲ騙シ、家族ヲアノ光デ奪ッタノダ!!人間ナド、コノ世界二必要無イ!!!!)

 

戸惑いを見せながらも今まで恨みと憎しみの中で生きてきたアヴェンジャーはその思いを振り払った。

 

マリア「動きが無い、今がチャンス!行くわよ!!」

 

ベディヴィエール「はい!!」

 

戸惑いを見せて動きが止まっているアヴェンジャーにマリアとベディヴィエールが聖剣型のアームドギアと剣で斬りかかった。

 

アヴェンジャー「ちぃ!!!!」

 

斬りかかてきた2人に気づいてすぐに回避すると跳躍して距離を取る。

 

アヴェンジャー(コレ以上コイツラと戦ッテイラレン…)

 

アヴェンジャー「一気ニ叩キ潰シテクレル!!!」

 

距離を取ったアヴェンジャーは両腕に力を籠めると赤黒く光り始めた。

 

アヴェンジャー「消エルガイイ!!ワタリガラスーーーーーーーーーーーーッ!!!」

 

赤黒く光っている両腕を突き出すと赤黒く巨大な光線が発射された。


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