戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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ハロウィン編 2020Ver.

今年もあの日がやってきた…。

 

子供たちにとっては楽しい日。

 

なれどたった1人だけは全く楽しくない日である。

 

その全く楽しくないと思っている人物こそが、ガウである。

 

どんな強敵とも臆せず戦い続けた最強の王であるが年に一度、この日だけはどうしても臆してしまう。

 

理由は…。

 

響「ガウくーん。もう覚悟を決めたら~?」

 

不敵な笑みを浮かべながら壁際にガウを追い詰めている少女―黒マントに黒いハット帽を身に着け、犬歯が長くなっている響。

 

ガウ「が、がうぅ…」

 

いつものガウらしくなく、両目の涙腺に涙を溜めて怯えてしまっている。

 

下半身は動かないが上半身は怯えているのを体現するように小刻みに震えていた。

 

響「大丈夫だからね~」

 

まともに動けないガウの両足を掴みながら言う。

 

ガウ「ぎゃひっ!?がうがう!!」

 

掴まれた感覚はないが掴まれたのを見てガウは抵抗するように近くにあった座布団を取って響の手を叩く。

 

だがこの状態ともなれば時すでに遅く、必死の抵抗を見せているガウを他所に響はズルズルをひずり始めた。

 

ガウ「ぎゃうぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

何とか逃げようと床に爪を立てて抗うガウだが数万tの体重を誇る怪獣ですら殴り飛ばしてしまう響の力の前に成す統べなく引きずられてしまった。

 

 

 

ガウを部屋から引きずり出した響はとある広場に来ていた。

 

広場には奇怪な格好をした人たちが多く来ており、夜にしては賑わいを見せていた。

 

響「えーっと、みんなは……あ、おーい!」

 

そんな人だかりの中から目的の人たちを見つけると手を振って近づいた。

 

未来「あ、ようやく来た」

 

響が向かっていった場所には魔女の姿になった未来、灰色の毛が付いた上着を着て犬耳を付けたリルがいた。

 

響「ごめんごめん。ちょっとガウくん連れ出すのに手間取っちゃって」

 

逃げれないようにガッシリとガウの腰を掴んで抱えて響は言う。

 

ガウ「ぐうぅ~……」

 

抱えられてしまっているガウは周囲を見ないように目を固く瞑っていた。

 

響「ちょっと、ガウくん!せっかくのハロウィンなのに目を瞑ってたんじゃ意味ないよ!!」

 

目を瞑っているガウに響は言う。

 

そう、今日は10月31日は誰もが知っている『ハロウィン』である。

 

周囲にはお化けやアニメなどのコスプレをした人たちがおり、響はドラキュラ、リルは狼男(見た目からして狼子供?)、未来は魔女のコスプレをしている。

 

ガウはお化けが大の苦手で、前の時はゾンビや落ち武者にコスプレをした響たちに追い回されたりしたことがあったのだ。

 

この日ばかりは史上最強の大怪獣であるガウも怪獣王の肩書きなど気にしないほどに怯えまくるのである。

 

響「ほら、目を開けて!」

 

無理矢理にでもと響はガウの目を開けさせようとするがそれをガウは瞼に力を入れて防ぐ。

 

未来「ちょっと、響。あんまり強くするとガウくんにアレを見せれないよ?」

 

無理矢理開けようとする響に未来は言う。

 

響「あ、そうか」

 

未来に言われてガウの目から手を離した。

 

クリス「お、どうやら連れてきたみたいだな」

 

声の方を振り向くと少し未来より露出が多めの魔女のコスプレをしたクリス、その後ろにゾンビのコスプレをした切歌と調が来ていた。

 

響「お、クリスちゃんたちが来たってことは終わったんだ、あれの準備」

 

クリス「まあな」

 

調「ほら、エルザ」

 

切歌「前に出ないと意味ないデスよ」

 

どうやら後ろにエルザがいるのかそう言う2人。

 

エルザ「さ、さすがにこの格好は恥ずかしいであります!!」

 

切歌「まあまあ、そう言わずに!」

 

エルザ「ちょ、ちょっと待つであり…」

 

恥ずかしがっているエルザを切歌は無理矢理前に出した。

 

その姿は白い服を着ており、白く長い髪、耳は付けでエルフの様に長く、杖を持っている。

 

その姿はどことなく並行世界にて出会ったカルデアにるサーヴァントの『花の魔術師 マーリン』を女性にしたようなエルザであった。

 

エルザ「な、なんで私がこのような格好をしなければならにのでありますか~!!!」

 

体を縮こませながらエルザは言う。

 

未来「うわっ、かわいい」

 

エルザの姿に未来はリルの目を覆って言う。

 

リル「かうかうー!!」

 

訳:すごく綺麗だよ!!

 

響「まあまあ、これもガウくんも為にって思えばいいんだよ」

 

エルザ「め、滅茶苦茶であります……って、ガウがいるんでありますか!?!?!?」

 

響の言葉を聞いてエルザは驚いてしまう。

 

それを裏付けるようにさっきまで目を閉じていたガウはエルザの方を見ていた。

 

エルザ「が、ガウ、あのこれは、その、無理矢理というか…」

 

最愛の相手に言い訳をするエルザ。

 

だがガウの様子が少し違っていることに気付いた。

 

エルザ「ガウ?」

 

響「あれ?ガウくーん、どうかしたの?」

 

目の前で手を振っても無反応のガウ。

 

すると体が白くなっていき口から「尊い」と書いてそうな魂っぽい何かが出てきて天へ昇って行こうしていた。

 

あまりにも尊すぎるエルザの格好にガウは昇天しかけているのだ。

 

響「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?!?!?!?」

 

あまりにも予想外すぎるリアクションに響は驚いてしまう。

 

クリス「うおいぃぃ!!なんか出たらダメな何かが出てるぞ!!」

 

切歌「急いで戻すデスよー!!!」

 

エルザ「ガウーーーーー!!!」

 

リル「かうーーーーーーー!!!」

 

訳:パパーーーーーーーー!!!

 

ガウのリアクションに慌てる面々。

 

未来「ふう、今年も騒がしいハロウィンになったわね」

 

調「冷静ですね、未来さん!?」

 

その後、ガウの抜けてしまった魂は何とか回収して事なきを得たのであった。

 

魂が抜けている間にガウは本物の女性マーリンに出会ったとかどうとかガウは後に話したのである。


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