戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第607話 ブルーエリア

―ぅ―ぅ!―ぅ!―ぅ!

 

響「う、うーん………」

 

自身を呼び続ける聞き覚えのある声に響は眼を覚ました。

 

ガウ「がうがう!!」

 

響の目の前にガウがおり、目を開けた響を見て喜んでいた。

 

響「ガウくん…」

 

起き上がって状況を確認する響。

 

周囲は暗く、電源が落ちてしまっていた。

 

周囲には弦十郎たちやクリスたちが倒れている。

 

ガウは響の上に上半身を乗せる形でおり、少し離れたところに載っていた車椅子が倒れていた。

 

どうやら皆を起こしたかったが下半身が動かない今の体では無理と判断して一番近くにいた響のところまで這いずって起こしに来てくれたと察する。

 

響「ちょっと待ててね」

 

ガウを自身の上から降ろして響は立ち上がると倒れている車椅子を起こしてガウを抱えて乗せた。

 

ガウ「がう~!」

 

車椅子に乗せてもらってガウはお礼を言うように鳴く。

 

響「どういたしまして。さてと、みんなを起こそうか」

 

ガウ「がう!」

 

響に言われて二手に分かれてガウと響は他の面々を起こし始めた。

 

弦十郎「よし、現状の報告を頼む」

 

数分後、全員を起こし終えて弦十郎の指揮の元現状報告が開始されようとしていた。

 

しかし、全員衝撃などで体がまだ違和感がある状態で、頭がまともに動いていなかった。

 

響至っては頭に鏡餅のように三段になったたんこぶを作っていた。

 

これは途中で響が冗談半分の悪ふざけでクリスに白雪姫のようにキスして起こそうとしたが寸でで目覚めたクリスの鉄拳を少ない脳みその入っている頭に叩きこまれてしまったのだ。

 

友里「艦内のレーダーやセンサーは全てダメですね。戦いの衝撃と何より電磁波の影響で使用不能です」

 

藤尭「それ以前に電源自体へのダメージ大きいようです。修理をしてもうまく作動するかどうか…」

 

本部の現状を友里と藤尭はそれぞれ報告する。

 

弦十郎「そうか…外へ繋がるハッチとかはどうだ?」

 

友里「通常のハッチなら非常用のを使えば何とか。ただ、ガウくんのシンカリオンや装者射出用のロケットのハッチは壊さない限りは開くことが出来ません」

 

弦十郎「そうか…とにかく2人は他のエージェントたちと共に修理を急いでくれ」

 

報告を聞いて弦十郎は他のエージェントたちと共に本部の修理をするように言う。

 

友里・藤尭「「はい」」

 

弦十郎の指示を聞いて友里と藤尭はすぐに修理するために発令室を後にした。

 

弦十郎「よし、他の者は…」

 

?「動くな」

 

響たちに指示を出そうとした時、人差し指と中指を向けた男性が弦十郎の後ろから首筋に向けて現れた。

 

『!?』

 

現れた男性を見てギアを出して臨戦しようと響たちは構えた。

 

?「動くなと言っている!そいつらがどうなってもいいのか?」

 

臨戦した響たちを見て男性は顎である方向を指して言った。

 

その方向を見るとそこには藤尭と友里を捕らえて男性と同じように人差し指と中指を向けている男性2人がいた。

 

調「藤尭さん、友里さん!」

 

切歌「いつの間に侵入してきたデスか!?」

 

男性の他にも侵入してきた人物たちに驚く。

 

翼「貴様ら、いったい何者だ!!」

 

マリア「私たちと同じ地球人ってわけじゃなさそうね」

 

男性に視線を戻して翼とマリアは聞く。

 

?「お前たちのような利己的な生物に語ることなどない」

 

翼とマリアの問いに男性はそう答える。

 

?「お前たちが何のために来たかは知らないが早々に立ち去ってもらおうか」

 

クリス「去ってもらおうかって言われてもな、本部が動かないんだから去れるもんも去れるかよ!」

 

?「ならば生身のまま海へ行ってもらうだけだ!!」

 

響「そんな!?」

 

男性の滅茶苦茶な要求を聞いて驚く。

 

?「悪いがお前たちにこちらの要求を断る権利はない、断ればここで死んでもらう!!」

 

そう言って男性は弦十郎の首筋に向けている指から緑色の光を出していた。

 

いくら人間離れした弦十郎でも至近距離から攻撃されればひとたまりもない。

 

男性が光を発射しようとした時だった。

 

?「やめるであります!!」

 

『!?』

 

聞き覚えのある女性の声を聴いて振り向くと入口に犬耳をして、お腹が膨れている妊婦の女性―ガウの妻で怪獣軍団皇太后のエルザがいた。

 

ガウ「がうがう、がうががうーがうー!!」

 

訳:エルザ、無事だったんだ!!

 

最愛の人であるエルザが無事な姿を見てガウは大喜びしていた。

 

エルザ「間に合ってよかったであります」

 

エルザもまた、夫であるガウの姿を見てエルザも

 

喜んでいた。

 

しかしすぐに真剣な顔になって男性の方を見た。

 

エルザ「私の夫と仲間には手を出さない約束のハズであります!そちらが皆さんを殺すというのであれば私は貴方方にはもう協力しないであります!!」

 

?「…………」

 

エルザに言われてさっきまで優勢にいた男性は指先の光を消して弦十郎から離れた。

 

それを見た友里と藤尭を捕らえていた男性たちも2人を離した。

 

ガウ「がうがう、がうーがうがう…」

 

訳:エルザ、こいつらといったい…

 

エルザに言われて急に臨戦態勢を解いた男性たちを見てガウは聞く。

 

エルザ「それはここのことと彼らのことを案内しながら話すであります」

 

?「こいつらをプラントへ連れていくのか!?」

 

ガウにそう答えていたエルザに男性は驚いて聞く。

 

エルザ「私の夫とその仲間は決して貴方方の研究を誰かに漏らしたり、悪用したりしないであります!!」

 

聞いてきた男性にエルザは強気な姿勢でそう言い返した。

 

 

 

その後、本部から降りた弦十郎たちが見たのは南国の島国のような光景が広がる場所であった。

 

ここはとある事情で故郷の星から地球へ亡命した『ネイチュア星人 ギャシー星人』たちが作った島のような人工空間『ブルーエリア』と呼ばれる場所である。

 

エルザの案内で響たちはギャシー星人たちのいる場所へ向かうことになった。

 

途中何を考えたのかダイバー装備をした藤尭に全員がツッコミを入れて剥がしたりした事件があったが気にせず案内をすることにした。

 

エルザ「ここでギャシー星人たちは故郷の惑星の環境を蘇らせるために必要な"生命の根源"を生み出す研究をしているのであります」

 

ガウの車椅子を押しながらギャシー星人たちの研究―『生命の根源』を生み出す研究をしていることを話すエルザ。

 

クリス「生命の根源ねぇ…なんでんなモノを生み出そうとしてるんだ?」

 

エルザ「……サンドロスであります」

 

クリスの疑問にエルザは少し口ごもってギャシー星人たちが生命の根源を生み出す要因を口にする。

 

調「そのサンドロスってもしかして…」

 

エルザが言った"サンドロス"に心当たりがあった。

 

バトラ事件のおりに突如襲来した謎の宇宙生命体の名がサンドロスであったからだ。

 

エルザ「そうであります。サンドロスはギャシー星人たちの故郷であるギャシー星を始め、多くの生命豊かな星を滅ぼしている巨悪であります」

 

切歌「それで地球に亡命してきたんデスか?」

 

エルザ「そうであります。あ、見えてきたであります、あれがギャシー星人たちの研究所―プラントであります」

 

説明していると洞窟のような場所―ギャシー星人たちが故郷のギャシー星の環境を戻すために必要な"生命の根源"を作るための研究をしているプラントへと到着した。

 

プラントへ入ると海のように蒼く、泡が出ている液体が入った円柱型のカプセルがあった。

 

響「あれは?」

 

エルザ「あれが"生命の根源"を作るためのものであります。全ての生命は海から生まれたとされています。このカプセルにも海と同じような環境が備わっています。あとは"生命の根源"が生まれれば…」

 

?「本当に連れてきたんだ」

 

プラントにて行われている研究を話していると、1人の女性のギャシー星人―シャウが現れた。

 

響「えっと、貴女は?」

 

エルザ「彼女はシャウ、私をここに連れてきた張本人…」

 

ガウ「ガルルルルッ!!!!!!」

 

エルザ「…でありますがそれにはちゃんと理由があるで…あります!!!」

 

シャウを紹介しながらエルザは威嚇していたガウの股間を思いっきり殴った。

 

流石のガウでも股間は効果抜群のようで、「きゃいん!!!!!」っとらしくない声を上げていた。

 

シオシオな顔になってしまうガウを見て男性陣は股間を抑えながら同情の眼差しを送った。

 

マリア「そ、それでエルザを連れてきた理由は何なの?」

 

妻にクリティカルヒットを喰らってシオシオになってしまったガウを気にしながらもマリアはシャウにエルザを連れてきた理由を聞く。

 

シャウ「錬金術…私たちの星には無い技術。銅を金にするだけでなく、人間の肉体や魂をも完全な存在に錬成すると聞いた。だから…」

 

ガウ「が、がうがうがうーがうがうーがうー…」

 

訳:だ、だから人の妻を勝手に連れ去ったのね…

 

シャウがエルザを連れ去った理由を聞いてガウは納得するが、まだ股間が痛いのかまだシオシオの顔になっていた。

 

シャウ「確かに無理矢理連れてきてしまったことは謝罪する。だが私たちにはもう時間が無い…」

 

響「それってどういうことですか?」

 

シャウ「サンドロスは私たちがこの星にいることを突き止め、スコーピスの大群を差し向けている」

 

『!?』

 

シャウの言葉に全員が驚いてしまったのだった。


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