戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第615話 それぞれのできること

その日、世界を戦慄させる報告がNASAよりもたらされた。

 

当初は一か月後に襲来するはずのスコーピス地球襲来時期が早まり、残り2週間であることが判明したのだ。

 

この事態に各国政府はスコーピス襲来に備え、軍備の増強を開始。

 

日本でも三式機龍、MOGERA、メーサー兵器などの超兵器をいつでも稼働できるように準備が進められている一方で福岡県・北九州市に建設中の対地球侵略防衛用防御壁発生装置の建設が急ピッチで進められていた。

 

怪獣軍団もこの建設に協力、建設場所が海面であるがためにもっぱら建設資材の運び入れを海軍と空軍に支持を出していた。

 

シンフォギアとリルはスコーピスに備えて弦十郎の鬼特訓が行われていた。

 

一方でガウはエルザと共にある知人の元へ来ていた。

 

新堂「おぉ、よく来たな。二人とも」

 

とある超高層ビルにある社長室のような広い部屋に来たガウとエルザを出迎えた老人―旧日本陸軍ラゴス島守備隊隊長で、今は世界屈指の大企業『帝洋グループ』の会長『新堂 靖明』である。

 

ガウとは70年来の仲で、かつて米軍にラゴス島へ侵攻された際は玉砕覚悟であったが(当時はまだ子供の純粋な恐竜であった)ガウの家族により命拾いした経緯がある。

 

そのため、この新堂だけが唯一ガウの事を『チビ』呼んでもいいほどの仲である。

 

ガウ「がうがう、がうー」

 

訳&メモ:久しぶり、おじさん

 

メモ用紙に日本語で訳を書いて見せる。

 

新堂「あぁ、よく来てくれたな」

 

ガウの訳を見て新堂は嬉しそうにしているとその視線をエルザに移した。

 

新堂「君だね、チビの奥さんになったっていう子は」

 

優しくエルザに言う新堂。

 

エルザ「はい、エルザと申します。新堂会長のことは夫より聞いているであります」

 

新堂に言われて挨拶する。

 

新堂「そうか。私も君の事はチビたちから聞いている。訃堂の馬鹿のせいでだいぶ苦労してきたようだね。馬鹿の知り合いとして、謝罪させてくれ」

 

エルザのことをガウやS.O.N.G.から聞いて、訃堂の知り合いとして新堂は頭を下げる。

 

エルザ「お気になさらないでほしいであります。確かにあの男やシェム・ハのせいで私は家族ともいうべき人たちを失いました。でも、私は救われました。今の夫に砕かれそうになった心を救ってもらったであります」

 

頭を下げた新堂にエルザは言う。

 

訃堂やシェム・ハのせいでエルザは人間ではなくなり、家族とも言える存在だったヴェネッサとミラアルクを失った。

 

それでも彼女の心が砕かれなかったのは自分を愛してくれた男の存在はあったからだ。

 

新堂「そうか。いい嫁さんじゃないか、チビ」

 

エルザの言葉を聞いて新堂は言う。

 

ガウ「がうがう~♪」

 

自慢の嫁を褒めてもらってガウは我が事のように喜んだ。

 

新堂「それで、今日は何しに来たんだ?親睦を深めに来ただけじゃないだろ?」

 

世間話を終えて新堂はガウに本題を聞く。

 

ガウ「がうがうがうーがうがうーがうー」

 

訳&メモ:実は今乗っている機体をもう少し強くしてほしんだ

 

新堂「機体というとTYPE_GODZILLAをか?」

 

ガウ「がう」

 

新堂「…分かった、技術部に連絡してできるだけのことはしよう」

 

ガウの願いの意味を察した新堂はそう返事をした。

 

ガウが愛機であるシンカリオン_0_TYPE_GODZILLAの強化を願ったのはもうすぐ来るスコーピスの大群および未だに接近の兆しすらないサンドロスに対抗するために響やリルたちの足手まといにはならないようにするためである。

 

スコーピスの地球侵攻の事は新堂も知るとこであるからガウの願いを最後まで聞かなくても分かるのだ。

 

ガウ「がうがうーがうがうーがう!!」

 

訳&メモ:ありがとう新堂のおじさん!!

 

新堂「礼には及ばん。さて、さっそく技術部をフル動員しなくてはな」

 

そう言って新堂は社内電話を取り技術部にシンカリオン_0_TYPE_GODZILLAの強化について話が始まった。

 

 

 

それぞれがそれぞれの今できることを行っている時、シャウはS.O.N.G.本部にある食堂にいた。

 

シャウ(私はどうすれば……)

 

クリスと調の案内で地上世界を散策して彼女の心は揺れていた。

 

地球人はそれまで利己的な生物と少なからず彼女自身思っていた。

 

自分たちの生活さえ守られればどんな犠牲が生まれようとお構いなしの存在だと思っていたが今回の散策で地球人の半分以上が見知らぬ他人でも困っていたら手を差し伸べることをするというのが分かったからだ。

 

だが、それでもシャウは悩んでいた。

 

確かに地球人の半分は自分たちが思っていたほど利己的な生物ではなかった。

 

しかしテレビのニュースでスコーピスの地球襲来時期が早まったことを受けて各国は足並みを揃えるどころか自分たちの国のみを守るかのように軍備を増強をしていた。

 

そんな国々があるから心から地球人と協力などできるはずがなかった。

 

シャウ「それでも…かすかな希望があるなら、私は…うっ!?」

 

決意を固めたシャウだったがその瞬間、背後から光線を受けてしまう。

 

シャウ「だ…だ…れ………」

 

光線を受けて倒れるシャウは相手を見ようとしたが薄れる意識の中では何も見えなかった。

 

倒れたシャウを光線を放ったと思われる人物は抱えると食堂を後にしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スコーピス地球襲来まであと13日


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