スコーピス軍団が木星を通過して翌週、ついに人類待望の日が訪れた。
対地球侵略用防御壁の発生装置がついに完成したのである。
怪獣軍団の空海と各企業の支援のおかげで何とかスコーピス軍団が地球へ襲来するよりも早く完成出来た。
しかし残された問題もあった。
響「やっぱり、ジーンさん来ないのかな……」
装置管制室にて少しうつむいた様子で響は言う。
そう、この発生装置の要であるバリアを精製するのに必要な"K2電波"が足りないのである。
ギャシー星人たちの中で唯一、地球人側になってくれたシャウだけでは地球どころか日本だけのバリアを張れるだけのK2電波を持ち合わせていなかった。
クリス「落ち込んだってしょうがないだろ。今おっさんたちが急いでK2電波の代わりになる電波を組み込んでるんだからよ」
K2電波が足りないとなれば別の電波で代用することになっていたが実質いくらかバリアの強度が落ちてしまうことが分かった。
ギャシー星人たちの持つK2電波は強力な電磁波を発生させて特定の遺伝子をはじき出す性質があるのだ。
その特定の遺伝子と言うのがスコーピスたちの体を構成している遺伝子であることがエルフナインとユウコの研究で判明した。
スコーピスたちがいち早くギャシー星を滅ぼし、執拗にギャシー星人を追い回していたのはこのK2電波を恐れていたことに起因していたのである。
翼「初めてだな。手を指し伸ばして無視されてしまったのは…」
マリア「そうね」
初めて指し伸ばした手を無視されてショックを受けている響を見てマリアと翼は言う。
シャウ「すまない…」
話を聞いていたシャウが申し訳なさそうな顔で謝罪した。
調「別にシャウさんが謝ることじゃないですよ」
切歌「そうデス。悪いのはあの偏見者の…」
っと、切歌がジーンの悪口を言っている時だった。
警備員A「誰だね、君は!?」
警備員B「ここから先は立ち入り禁止だぞ!!」
奥から警備員たちの声が聞こえてきたかと思いきや一人の男性が警備員たちを押しのけて管制室に入ってきた。
響「貴方は!」
シャウ「ジーン!」
入ってきた男性―ジーンを見て響たちは驚いた。
突然の来訪者(ジーン)に驚きながらも弦十郎は警備員たちを下がらせた。
弦十郎「ここに来たということは手を貸して下さるということですか?」
ジーンはここに来た理由を聞く弦十郎。
だが、ジーンは答えずにある方向へ歩いていく。
ジーンが向かった場所は防壁を発生させるためのメインコンピューターであった。
コンピューターのままで行くとジーンは人差し指と中指を合わせて額に向けると緑色の光を作り出した。
ジーン「ハッ!!!!」
緑色の光を作り出すとコンピューターに向かって光線を発射した。
藤尭「何を!?」
光線を発射したジーンを見て止めに入る藤尭だがすでにコンピューターに光線は命中した後であった。
緑色の電撃がコンピューターの周囲に走る。
藤尭「お前、いったい何を!」
せっかく作った装置を壊されたと思いジーンに掴みかかる藤尭だったが…。
友里「ちょっと待って!…司令!装置内に地球全体を覆うだけのK2電波が収束!いつでも発射可能です!!」
藤尭を制止して友里が装置内に地球全体を覆えるだけのK2電波が集まったことを報告する。
響「ジーンさん!」
ジーン「勘違いするな。貴様ら利己的な生物を完全に信用したわけじゃない。この星の海を、スコーピスやサンドロス共に汚されたくなかっただけだ」
それらしいことを言って誤魔化すジーン。
弦十郎「ジーンさん。協力感謝します」
ジーン「ふん。別に例を言われるようなことはしていない」
弦十郎にお礼を言われてジーンは答える。
藤尭「すまない、勘違いして…」
勘違いして掴みかかってしまったことを謝罪した藤尭は手を放す。
シャウ「気にすることはない、フジタカ。ジーンが勘違いされるようなことをしたのが悪い」
謝った藤尭に何も言わずに光線を制御装置に発射すれば誰だって勘違いするとシャウは言う。
それを聞いたジーンは気にしていないような素振りを見せるが耳が赤くなっていた。
バリア完成により、残すはスコーピスたちを迎え撃つだけである。
しかし、まだ地球側は知らなかった。
スコーピスたちから少し離れた位置から後を追うように追随している黒い影の存在に…。
スコーピス地球襲来まであと1日