戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第626話 降りてきた異形

※怪獣たちの台詞が日本語になっていますが周囲からは鳴き声にしか聞こえません。

 

スコーピス『ピキイィィィィィィィィィィィ………』

 

数体のスコーピスが赤い火炎―ミレニアムゴジラの『放射火炎』により薙ぎ払われた。

 

ミレニアムゴジラ「ふー…あと少し、ん?」

 

大きく息を吐いて残りのスコーピスたちの数を確認すると残りのスコーピスは2匹まで減っていた。

 

バトラと勢いを取り戻した怪獣軍団の前に宇宙怪獣とはいえ最弱のスコーピス軍団も数を減らしていたのだ。

 

スコーピスA「ピキイィィィィィィィィィィィピキイィィィィィィィィィィィ!!!!!」

 

スコーピスB「ピキイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!」

 

2匹まで減ってしまったスコーピスは話すように鳴くと反転して高度を上げ始めた。

 

怪獣軍団の前に戦意を喪失して逃げ始めたのだ。

 

アンギラス「敵が逃げていくぞ!」

 

ラドン「我らの勝利だ!!」

 

逃げていくスコーピスを見てアンギラスとラドンが言うと周囲の怪獣たちが勝利の雄たけびを上げた。

 

その瞬間だった。

 

逃げていたスコーピスの先から赤黒く禍々しい光線が飛んできてスコーピスを飲み込んだ。

 

スコーピス「「ピキイィィィィィィィィィィィ……………」」

 

赤黒い光線に飲まれたスコーピスは断末魔を上げて爆散した。

 

『!?』

 

突然のことに怪獣軍団は驚いてしまう。

 

すると青い空から黒く、赤い稲妻が走っている雲が降りてきた。

 

マンダ「な、なんだ?」

 

降りてきた雲を見て怪獣たちは不気味さを感じていた。

 

地面に降り立った雲はその姿を変えた。

 

柱のような二本の角に花のような腕、四つに裂ける口をもった異形の姿となった。

 

サンドロス「我が名はサンドロス。この星の全生命(いのち)を滅ぼす者!!」

 

『異形生命体 サンドロス』が仮の姿から本当の姿を現し、名乗った。

 

ガウ「奴がサンドロス…」

 

現れたサンドロスにガウは経験したこともない感覚を感じた。

 

今までレギオンやタイラント、バガン、ゼットンなど多くの宇宙怪獣と戦ってきたガウだったがサンドロスはそれらよりも比べ物にならないほどの強者であると、培ってきた長年の経験が言っていた。

 

サンドロス「ここまでよく頑張ったと褒めてやる、下等な地球怪獣ども。だが我がこの星に降り立った今、この星に生きとし生ける者たちの運命は死のみである」

 

よほどの自信があるのか数では圧倒的に不利であるサンドロスは挑発するように言う。

 

サドラ「嘗めた口利きやがって!」

 

ゴルザ「自分の自身の状況が分かってんのか?」

 

サンドロスの明らかな挑発に乗ってサドラとゴルザがサンドロスに向かっていく。

 

アンギラス「あ、バカ!よせ!!」

 

サンドロスに向かっていくサドラとゴルザを見てアンギラスは静止したが時すでに遅く、2体はすでにサンドロスと目と鼻の先まで迫っていた。

 

サンドロス「笑止」

 

迫ってきた2体にサンドロスは言うと蕾状の両腕から透明な何かを発射した。

 

「「なに!?!?!?!?!?」」

 

サンドロスの放った透明な何かが命中した2体の体が空中へ持っていかれたかと思いきやその場で停滞した。

 

サドラ「な、なんだぁ!?」

 

ゴルザ「何がどうなってやがる!?」

 

自分たちの体が空中で停滞しているのを感じて2体は驚いていた。

 

サンドロス「消えろ」

 

そう言ってサンドロスは僅かに開けていた蕾状の両腕を閉じた。

 

その瞬間、サドラとゴルザの体に異変が起きた。

 

サドラ「ぐ!?が…あがっ!?」

 

ゴルザ「ぎ!?あぎ…がばっ!?」

 

2体の体が握られるように圧がかかり破裂した。

 

破裂してバラバラになった2体の肉片が海や地面に降り注ぐ。

 

アンギラス「サドラ、ゴルザ!?」

 

破裂した2体を見てアンギラスは叫ぶ。

 

サンドロス「弱き者は強き者に滅ぼされる運命でしかない。さっきの2匹のようにな」

 

命を奪うことになんら戸惑いや後悔の念すら感じないサンドロスは淡々と語る。

 

アンギラス「き、貴様ぁ…よくもぉ!!!!!」

 

末端とはいえ自分の支配圏にいる部下を惨たらしく殺されたのを目の当たりにして古参で、経験豊かで冷静に判断するところをアンギラスは珍しく怒りを爆発させ、サンドロスへ突っ込もうとする。

 

しかし、それを止める2つの影があった。

 

ミレニアムゴジラとTYPE_GODZILLA_MkⅡであった。

 

ガウ「怒り任せになるな。冷静さを欠けば奴の思う壺だぞ」

 

アンギラスにガウはそう言う。

 

アンギラス「大王様…申し訳ありません…」

 

ガウに言われてアンギラスは謝罪しつつ冷静さを取り戻した。

 

ミレニアムゴジラ「でも、誰だってあんな風に殺されたのを見れば怒りを爆発させたくなる」

 

アンギラスの気持ちが少なからず分かるとミレニアムゴジラは言う。

 

ガウ「あぁ。だが、だからこそ今は冷静な判断がいる。分かるな?」

 

ガウが言うとミレニアムゴジラは頷いて叫んだ。

 

ミレニアムゴジラ「アンギラス、ラドン、マンダ!全軍を率いて後退だ!!」

 

「「「なっ!?」」」

 

アンギラス「なにをおっしゃいますか!?」

 

ラドン「御二方を置いて我々だけ逃げろとおっしゃるのですか!?」

 

マンダ「ならば我らも共に!」

 

納得いかない指示を聞いてアンギラスたちが言うとTYPE_GODZILLA_MkⅡがカイサツゴジラソードで地面に一閃の亀裂をいれた。

 

その勢いは振動となり地面だけでなく海を割り、空に真空の壁を作った。

 

ガウ「ここからは強者のみが戦う場!それ以外の者はここら一歩も通りことはまかりならん!!!!」

 

『!?』

 

ガウの気迫に末端や師団長怪獣たちや怪獣軍団初期からいる古参の怪獣たちは圧されてしまう。

 

これから起こる戦いには強者、それも地球まるごと滅ぼせるレベルの強者同士が戦う。

 

下手な援護は邪魔になるとガウは気迫で伝えていた。

 

アンギラス「わ、分かりました…」

 

3体を代表してアンギラスが言う。

 

他の怪獣たちも共に戦いたかったがその気持ちを堪えていた。

 

ガウ「すまん、お前たち」

 

そんな怪獣たちの気持ちを察してガウは言う。

 

サンドロス「誰一人として逃がすものか」

 

話を聞いていたサンドロスは口からは火炎弾『ギガレントラッシュ』を発射した。

 

ガウ「させるか!!」

 

ミレニアムゴジラ「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

 

ギガレントラッシュをTYPE_GODZILLA_MkⅡはシールドからミサイル、ミレニアムゴジラは放射火炎を放って迎撃する。

 

ガウ「今だ、退け!!」

 

ギガレントラッシュを迎撃しながらガウは叫ぶとアンギラスたちは頷いた。

 

アンギラス「退けぇ!退くんだ!!」

 

ラドン「撤退だぁ!!急げぇ!!」

 

マンダ「モタモタするな!退けぇ!!」

 

撤退を指示するアンギラスたち。

 

それを聞いて怪獣たちは一斉に転進してその場から離れ始めた。

 

アンギラス「王、大王様!」

 

最後に残ったアンギラスはミレニアムゴジラとガウに向かって叫んだ。

 

アンギラス「必ず、必ずやまた生きてお会いしましょう!!」

 

ガウ「ふっ、当たり前だ」

 

ミレニアムゴジラ「絶対にだ!」

 

言葉を聞いてガウとミレニアムゴジラは言うとアンギラスは他の怪獣たちと共に撤退した。

 

サンドロス「ふん。所詮は雑魚、いずれ仕留めてくれる」

 

撤退を許してしまいながらもサンドロスは余裕の姿勢を崩さない。

 

ガウ「チッ、あの野郎。完全に嘗めてるな」

 

ミレニアムゴジラ「それだけの強さがあるんでしょ」

 

余裕の姿勢を崩さないサンドロスを見て親子が話す。

 

?「奴は破滅魔超獣、闇の超能力者とも呼ばれている。油断するな」

 

「「!?」」

 

空から第三者の声がして見上げるとバトラが飛行していた。

 

ガウ「お前、なんで残った!?」

 

バトラ「俺は怪獣軍団に入ってなどいない。それに実力は全盛期のお前と同格以上だ」

 

残ったことに驚いているガウにバトラは言う。

 

現にガウは全盛期にバトラと何度か戦ったことがある。

 

戦績はほとんどバトラの圧勝である。

 

ガウ「全く。どうなっても知らないぞ」

 

バトラ「お前に心配される筋合いは無い」

 

ミレニアムゴジラ「やれやれ」

 

にらみ合いながらも互いに互いの実力を認めあっていることを察したミレニアムゴジラは少し呆れていた。

 

ミレニアムゴジラ「2人とも、足を引っ張らないでよ!!」

 

「「お前が言うな!!」」

 

ミレニアムゴジラ、ガウ、バトラの3体とサンドロスとの地球全生命の命運を賭けた戦いの巻くが上がったのだった。


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