戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第638話 現る、巨大ロボット!

東「別世界から来たですと!?」

 

警視庁にある警視総監室にて警視庁副総監『東 一門』は驚いて声を上げた。

 

冴島「あぁ。勇太くんとデッカードが現場で出会った女性、マリア・カデンツァヴナ・イヴくんの話によると彼女はこの世界とは別の時間・歴史を歩んできた異世界人であることが分かった。彼女の元々いた世界では我々の世界では空想上の産物と思われていた怪獣・宇宙怪獣・錬金術・神々が実在しているとのことだ。中でも怪獣たちは怪獣軍団と呼ばれる国家規模の戦力として1体の怪獣に統率され、人類と同盟関係にあるとのことだ。特に日本と最も友好的で、独自の同盟『日怪連合』を組んでいるそうだ」

 

声を上げて驚いていた東とは対照的に冷静でいる男性―警視庁警視総監『冴島 十三』は言う。

 

東「しかしそれはあの女の戯言…」

 

冴島「彼女の持っていたコンバーターユニットを調べたところ、現代科学では解明不可能な領域が発見された」

 

東の言葉を遮るように冴島は報告書を机の上において言うと東はそれを手に取って確認する。

 

冴島「マリアくん曰く、その部分は錬金術による改良された領域であり、彼女の纏う鎧であるシンフォギアシステムのデータがあると思われる」

 

東「総監はこんな途方もない話を信じるのですか?」

 

冴島「100%ととは言い難いが、彼女のことを信じている彼らの言葉を信じようと思う」

 

よほどの信頼を2人に寄せているらしく、冴島のこの言葉に東は何も言い返さなかった。

 

 

 

マリア「凄く広いわね」

 

その頃、マリアは勇太とデッカードの案内で、警視庁にある部屋に来ていた。

 

マリアと勇太がいる場所の前には明らかに巨大な机、文房具、電話機などが並んであった。

 

その一つにデッカードは座っている。

 

ここは警視庁にあるデッカードたちブレイブポリスの待機場所で、通称『デッカールーム』である。

 

ロボット暴走事件の後、事情を聴くためにマリアをここへ案内したのだ。

 

マリアもここのことを聞くためにコンバーターユニットを預けていて、一応は敵意はないことを警視庁に伝えていた。

 

マリア「この机の数からして他にも仲間がいるの?」

 

デッカードがいる机を含めて全部で8つある机を見てマリアは聞く。

 

勇太「うん。まだまだいるよ!」

 

デッカード「今は別の場所で捜査を行っているところだが、もうすぐ帰ってくるハズだ」

 

マリアに聞かれて他にも仲間たちがいることを言う。

 

マリア「捜査って、何かの事件か何かかしら?」

 

デッカード「あぁ。ここ最近、作業用ロボットが無人で暴走する事件が多発しているんだ。しかも暴走したロボットはどれも限界まで性能を上げられていて我々以外では対処が難しいのが現状だ」

 

マリア「それって私が最初に戦ったあのロボットも?」

 

デッカードの話を聞いてマリアは出会いのきっかけとなったロボットのことを聞く。

 

デッカード「調べによるとそうらしい」

 

マリアとデッカードが倒したロボットも暴走したものだと語られる。

 

勇太「同じ事件が立て続けに日本各地でだよ。大変だよ、全く」

 

勇太はブレイブポリスのボスとしてかなり大変だという。

 

勇太「あ、ねえねえ、マリアさんのいた世界って怪獣がいっぱいいるんだよね?」

 

話題を変えて勇太はマリアに聞く。

 

マリア「えぇ。身長40M以上、体重数万以上を基本としている怪獣が沢山いるわよ」

 

勇太「へー、凄いなぁ。でも、デッカードたちみたいなロボットがいないんだよね」

 

マリア「うーん、正確にはデッカードみたいに心を持ったロボットはいないけど、デッカードくらいの大きさのロボットはいるわ」

 

勇太「そうなの?」

 

マリア「えぇ。レイバーっていう産業用ロボットよ。元々は建築や土木のロボットだったけど今は民間用、軍用、作業用にまで広がってるわ」

 

確かにマリアのいた世界ではデッカードのように心を持ったロボットはいないが代わりにそれに類似するロボット、レイバーが存在する。

 

勇太「なんだかSFみたいだな。怪獣がいて、人が乗って戦えるロボットがあって。その内空中戦間なんてのもできるんじゃないかな」

 

マリア「あるわよ、空中戦艦」

 

夢広がることを言っていた勇太にマリアのその一言が飛んだ。

 

勇太「えぇ!?あるの!?」

 

空中戦艦があると聞いて勇太は驚いて声を上げる。

 

マリア「え、えぇ。轟天号級空中戦艦よ。4隻くらいあるあわ」

 

意外な反応の勇太に少し驚かされたマリアは空中戦艦 轟天号級のことを話す。

 

?「成程、興味深い話だ」

 

声が聞こえた方を見るとデッカールームの入り口に冴島が入ってきていた。

 

デッカード「総監」

 

警視庁のトップである冴島を見てデッカードは立ち上がって敬礼する。

 

勇太も冴島に敬礼した。

 

冴島「初めまして、私が警視庁警視総監の冴島 十三だ」

 

右手を出して握手を求めながら冴島は名乗る。

 

マリア「初めまして冴島総監。私は国連直轄のタスクフォースS.O.N.G.所属マリア・カデンツァヴナ・イヴです」

 

冴島の握手に答えてマリアも名乗った。

 

デッカード「それで総監。何をしにこちらへ?」

 

敬礼を終えて、デッカードが冴島に聞く。

 

冴島「あぁ。これをマリアくんに返そうと思ってな」

 

デッカードに聞かれて冴島は服のポケットからネックレス―マリアが預けたコンバーターユニットを出して差し出した。

 

冴島「君にとっては大切な物なのではと思ってね」

 

マリア「ありがとうございます」

 

冴島に言われてマリアはコンバーターユニットを返却してもらう。

 

勇太「それで冴島さん。マリアさんはこれからどうなるの?」

 

冴島「本来ならマリアくんほどの力を持つ人間は防衛軍の預かりになるのだが、防衛軍はそれどころではないからな。しばらくは監視する意味も込めてマリアくんにはブレイブポリスにいてもらうことになった」

 

今後のマリアへの扱いをどうするかと聞かれて冴島はそう言う。

 

勇太「良かった」

 

冴島の言葉を聞いて勇太は嬉しそうに言う。

 

マリア「しばらくよろしくね。勇太警部」

 

勇太「勇太でいいよ、マリアさん」

 

マリア「あら、そう。分かったわ」

 

そう話していた時だった。

 

突如デッカードルームに警報音が鳴り響いた。

 

アナウンス『七曲市港付近に正体不明の巨大ロボット出現!繰り返す!七曲市港付近に正体不明の巨大ロボット出現!!!』

 

警報音より大きな音量でアナウンスが流れて事件発生を知らせる。

 

勇太「正体不明の巨大ロボット?」

 

冴島「勇太くん、ブレイブポリス、出動だ!」

 

勇太「はい!デッカード!!」

 

デッカード「了解!!」

 

アナウンスを聞いてデッカードはロボット用の出入口から外へ向かう。

 

マリア「私も手伝うわ」

 

冴島「さっそくですがお願いします」

 

マリア「えぇ!」

 

ブレイブポリスの出動を聞いてマリアも出動を願い出ると冴島も了承する。

 

勇太「こっちだよ!!」

 

マリアも出動をすることになって勇太は人間用の出入口へ共に外へ向かって行く。

 

 

 

七曲市港付近の海岸に1体の巨大ロボットが立っていた。

 

ロボットは頭部と両肩に半円状の装甲板があり、赤いライト部分が一つ目に見える姿をして、胸部部に発光器官があった。

 

そこへ勇太とマリアを乗せたトレーラー型の大型車両―デッカードのサポートメカ『ジェイローダー』とパトカーモードのデッカードが到着、ジェイローダーから2人は降りて、デッカードはパトカーから人型へ変形した。

 

マリア「あの発光器官…まさか?」

 

ロボットの発光器官に見覚えがあるのかマリアは少し引っかかっていた。

 

勇太「で、でっかーい!!!!」

 

デッカード「な、なんて大きさだ…」

 

デッカードの大きさは大体5M程度、それに対してロボットはその10倍、50M以上はありそうな巨大さを持っていた。

 

そんなロボットは体を下に向けてマリアたちの方を見た。

 

そしてマリアを確認すると姿勢を元に戻した瞬間、両肩から腕が伸びた。

 

『!?』

 

両腕が出てきたロボットを見て驚いているとロボットは両腕から光弾を発射してきた。

 

デッカード「勇太!!!!」

 

マリア「まずい!!!!」

 

光弾を発射してきたロボットを見てマリアとデッカードはそれぞれ動く。

 

デッカードは勇太に覆いかぶさるように、マリアはそのデッカードの前に行く。

 

爆発と共に砂が中へ勢いよく舞い上がる。

 

ロボットが確認しようと一歩近づいた時だった。

 

マリア「Seilien coffin airget-lamh tron…」

 

歌声が聞こえたかと思いきやギアを纏ったマリアが煙を突き破って跳躍して現れるなり、聖剣型のアームドギアで斬りかかる。

 

斬りかかってきたマリアにロボットは両手からミサイルを発射して迎撃しようとする。

 

マリア「はあぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

ロボットの発射してきたミサイルをマリアはアームドギアを蛇腹状にして鞭のように振り回して破壊する。

 

だがロボットは動じずに連続でミサイルを発射する。

 

マリア「何回撃たれても…!?」

 

連続で発射されたロボットのミサイルを迎撃しようとマリアが構えた時、突然ミサイルが爆発した。

 

刹那にマリアは直観で嫌な予感がして顔の前に両腕をクロスさせて防御態勢を取った時、腕のギアの装甲の大穴が開いた。

 

マリア「榴弾!?」

 

爆発したミサイルから大量にばら撒かれた破片や小さな弾により開いたギアの装甲を見てマリアは言っていると目の前にロボットの拳が飛んできて地面に叩き付けられてしまう。

 

マリア「かはっ!!!!!!」

 

肺にあった空気と共にマリアは口から血を吐いてしまう。

 

ギアに守られているとは言え、相手は50Mはあろう巨大ロボットである。

 

その衝撃はギアの防御力を軽く超えていた。

 

マリア(くっ、骨は折れてない…でも…全身が…痛い……)

 

ギアのおかげで骨は折れていないこと確認したが全身が激痛で動けなくなっていた。

 

動けなくなっているマリアにロボットは足を上げて踏み潰そうとしていた。

 

何とか避けようとするマリアだが体が痛みで全く動こうとしなかった。

 

マリアに向かって振り下ろされる足。

 

ここまでかと思った時だった。

 

?「ジェイバスター!!!!」

 

振り下ろされる足に向かってビームが命中、ロボットのバランスを崩して転倒させた。

 

マリア「今のは?」

 

ビームが飛んできた方を見るとライフル型の銃を持った大型のロボットが空を飛行していた。


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