戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第639話 その名は!

マリアが踏み潰されそうなる数十前。

 

勇太「いててて…」

 

後頭部をさすりながら勇太は起き上がる。

 

デッカード「勇太、無事か!?」

 

そんな勇太をデッカードは見下ろして聞いてきた。

 

勇太「うん、大丈夫…今はどうなってるの?」

 

デッカード「マリアが今戦ってくれている…!?」

 

爆発音を聞いて振り向いた瞬間、マリアがロボットの拳に殴られて地面に叩きつけられてしまっていた。

 

勇太「マリアさん!!」

 

叩きつけられたマリアを見て勇太は叫ぶ。

 

勇太「デッカード、合体だ!」

 

デッカード「分かった、勇太!」

 

勇太に言われてデッカードは頷く。

 

勇太「ブレイブ・アップ!!ジェイデッカー!!!!」

 

勇太が手帳を掲げてそう叫ぶと誰も乗っていないジェイローダーが動き出した。

 

動き出したジェイローダーに並走してデッカードは走る。

 

デッカード「とう!」

 

勢いをつけたデッカードは跳躍するとジェイローダーもブースターを吹かして一緒に上昇する。

 

上昇したジェイローダーは運転席と助手席のある部分が左右に分かれると両腕部分が現れ、屋根も左右に広がり翼のような形態になると後ろへ移動、車両下部も左右に分かれると両足となり、胸部部分が開いた胴体となった。

 

そこへデッカードがパトカーモードに変形して胸部部分に合体した。

 

飛び出ていた前部分が90°下に折れて胸部を構成、そしてサイレンがある部分が上がってきて顔が現れると口部分にデッカードの顔が移動してすぐにフェイスマスクにより見えなくなった。

 

ジェイデッカー「ジェイデッカー!!!!!」

 

デッカードとジェイローダーが合体して誕生する勇者ロボット『勇者刑事 ジェイデッカー』が名乗りを上げた。

 

勇太「よし、ジェイデッカー!マリアさんを助けるんだ!!」

 

ジェイデッカー「了解!!!」

 

勇太の指令を受けてジェイデッカーは翼のつけられているブースターを起動、一気に巨大ロボットと同じ位置まで飛んだ。

 

ジェイデッカー「ジェイバスター!!!!」

 

右脚部に装備された専用銃―『ジェイバスター』を出すとビームが撃てるライフルモードにして構えた。

 

ジェイデッカー「ターゲットロックオン!!」

 

ジェイバスターを構えたジェイデッカーはマリアに向かって降ろされるロボットの足をロックオンすると引き金を引いた。

 

引き金を引かれてジェイバスターから放たれたビームは一直線にロボットへ向かっていき、人で言えば足首辺りに命中した。

 

突然のビーム攻撃に流石のロボットは対応できずにバランスを崩して倒れた。

 

ロボットが倒れたのを見てジェイデッカーはマリアの前で着地する。

 

ジェイデッカー「大丈夫か?」

 

マリアの方を向いてジェイデッカーは聞く。

 

マリア「え、えぇ…あなた、もしかしてデッカード?」

 

ジェイデッカーの声を聴いてマリアは聞き返した。

 

ジェイデッカー「あぁ。今はジェイデッカーだ。むっ!」

 

マリアに聞かれてそう答えたジェイデッカーは気配を感じて振り向くと倒れていたロボットが起き上がろうとしていた。

 

ジェイデッカー「やはり大したダメージを与えられていなかったか」

 

起き上がろうとしているロボットを見てジェイデッカーはそう言う。

 

ジェイデッカー「君はここで休んでいてくれ。アイツは私ができるだけ引き付けておく!」

 

そう言ってジェイデッカーはロボットの前まで飛んでいく。

 

ジェイデッカーがたどり着いた時にはロボットは起き上がっていた。

 

 

 

ジェイデッカーがロボットと戦おうとしていた同刻、とある研究所のような場所に1人の人物がいくつもあるモニターを眺めていた。

 

その内2つのモニターにはマリア、ジェイデッカーの姿が映され、残りのはデッカードやジェイローダー、ジェイデッカーへの合体シーンなどが静止画として映されていた。

 

ジェイン「クククク、来たかジェイデッカー…シンフォギアがいたことには少々驚いたが、私が開発したノイズ怪獣ならば問題は無い。さあ、ジェイデッカー。君の力を見せてくれ、このキム・ジェイン様にな」

 

モニターを見ながら人物ーマリアたちが追っていたパヴァリア光明結社残党錬金術師『キム・ジェイン』が不適に笑いながら言う。

 

?「随分と余裕だな」

 

ジェインが笑っている後ろから全身をローブで包んで隠している身長が120cmくらいの子供が近寄って来て言う。

 

ジェイン「お前か」

 

子供の方を振り向いてジェインは言う。

 

?「相手はシンフォギア。油断は禁物だぞ」

 

ジェイン「ふん。ゴジラがいなければシンフォギアなどとるに足りん。それより例の物はどうした?」

 

?「すでに運び込ませた。あとは貴様次第だ。だが1つだけ言っておく。あれらは使い方を間違えれば自分自身の命を失うぞ」

 

ジェイン「分かっている。まあ、見ていろ。私が必ずやお前の…いや、お前たち組織の求める物を作り出してやる」

 

警告を少しうんざりした口調で言う。

 

?「…まあ、精々期待しといてやるよ。だが、失敗した時はお前自身の命で償え」

 

ジェインにそう言うと子供は踵を返して出ていった。

 

ジェイン「……チッ、この私を嘗めおって。必ず後悔させてやるぞ」

 

子供の姿が見えなくなってジェインは本音を漏らしたのだった。

 

 

 

ジェイデッカー(合体していても大きさは向こうに分があるか…)

 

合体しているとはいえジェイデッカーの大きさは大体22Mしかなく、巨大ロボットー『宇宙捕獲分解メカ獣 ノイズΣズイグル』は50Mはあろう巨体を有していた。

 

ジェイデッカー「だが、負けるわけにはいかん!!!!」

 

大きさのハンデはものともせずにジェイバスターを連射して攻撃する。

 

しかしノイズΣズイグルには全く通じてないのか微動だにしていなかった。

 

ジェイデッカー「くっ、ビームが効かないのならば!!!」

 

微動だにしないノイズΣズイグルにジェイデッカーはジェイバスターの赤い銃口を下へ折ると両手に持ち替えた。

 

ジェイデッカー「これならどうだ!!!」

 

両手に持ち替えたジェイデッカーがジェイバスターの引き金を引くとビームではなく実弾が発射された。

 

ジェイバスターはビームが発射可能なライフルモードと実弾を用いるガンモードはある。

 

ジェイデッカーはそれらを使い分けて戦うことが出来るのだ。

 

しかし実弾もノイズΣズイグルの前にはピンポン玉のように弾かれてしまっていた。

 

ジェイデッカー「実弾も効かないのか!?ならば!!」

 

実弾も効かないと分かってジェイデッカーは腰部から警棒型の武器―『電磁警棒』を出して一気にノイズΣズイグルに接近する。

 

ジェイデッカー「喰らえ!!!!!」

 

ノイズΣズイグルの胸部にジェイデッカーは電磁警棒を叩きつけ、大量の電気エネルギーを叩き込んだ。

 

電気エネルギーの放出が終わるとノイズΣズイグルの体中から黒い煙が上がっていた。

 

ジェイデッカー「やったか?」

 

黒い煙を上げるノイズΣズイグルを見てジェイデッカーが言った時、ノイズΣズイグルが突然動き、両手でジェイデッカーを挟み込むように捕らえた。

 

ジェイデッカー「うおああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」

 

挟まれてしまったジェイデッカーは悲鳴を上げる。

 

勇太「ジェイデッカー!!!」

 

悲鳴を上げるジェイデッカーに勇太は叫ぶ。

 

マリア「あのままじゃ、ジェイデッカーが…!?」

 

ジェイデッカーを助けに行こうとしたマリアの方向にノイズΣズイグルは人差し指だけを向けてミサイルを発射した。

 

マリア「今更ミサイルなんて!!!」

 

発射されたミサイルをマリアは難なくアームドギアで両断した。

 

両断されて破壊されたミサイルは爆発に紛れてあるモノを数個まき散らした。

 

まき散らされたそれは地面に落ちると割れて中にあった光が地面に浸透するように消えた瞬間、魔法陣のようなものが現れて中から人型やカエル型、鳥型、ブドウの房をした姿をした怪異―アルカ・ノイズを出現させた。

 

マリア「アルカ・ノイズ!?」

 

現れたアルカ・ノイズにマリアは驚く。

 

アルカ・ノイズたちは現れるなり一斉にマリアに向かって攻撃を開始した。

 

マリア「なんでアルカ・ノイズが!?」

 

現れたアルカ・ノイズに驚きながらもマリアはアームドギアで応戦する。

 

その隙にノイズΣズイグルはジェイデッカーを握り潰そうと力を入れる。

 

ジェイデッカー「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

ノイズΣズイグル強く握られてジェイデッカーは苦しみ、声を上げるのだった。


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