戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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ノイズ怪獣の1体『ノイズΣズイグル』により危機に陥ったジェイデッカー。

ジェイデッカーを助けに行こうとしたマリアはノイズΣズイグルが放ったアルカ・ノイズにより足止めを受けてしまう。

しかしそんな危機に『コンバット刑事 マクレーン』、『カンフー刑事 パワージョー』、『レスラー刑事 ダンプソン』、『サッカー刑事 ドリルボーイ』の4人、ブレイブポリス・ビルドチームが駆け付け、4人が合体したロボット『スーパービルドタイガー』の『タイガーキャノン』により両腕を破壊されたノイズΣズイグルは撤退。

辛くもマリアたちは勝利することが出来たのである。


第641話 復活の強敵!

ノイズΣズイグル襲撃より翌日、マリアは警視総監室に来ていた。

 

理由は先日現れたノイズΣズイグルとアルカ・ノイズのことに付いて冴島から聞きたいことがあるとのことである。

 

冴島「マリアくん、早速だが先日現れたあの巨大ロボット、ノイズ怪獣について何か知っていることを教えてくれ」

 

マリア「えぇ。私のいた世界で暗躍しているある組織が使う主力兵器1つよ。アルカ・ノイズに怪獣のデータを移植してその能力を加えているモノよ。地球怪獣だけじゃなくて宇宙怪獣や宇宙人、宇宙ロボットでも可能よ」

 

ノイズ怪獣のことをマリアは教える。

 

冴島「では、先日現れた巨大ロボットもそのノイズ怪獣の一種なのかね?」

 

マリア「そうね。最初は合点が行かなかったけどね」

 

東「なぜだ?」

 

同席していた東がマリアの言葉の意味を問う。

 

マリア「ノイズ怪獣を生み出すにはそれ相応の技術が無ければ生み出すことはできないわ。下級の錬金術師はどんなにあがいても生み出すことは不可能よ。それにノイズ怪獣はデータ元の怪獣が強ければ強いほど技術の腕が無ければ作り出せないの。それにアルカ・ノイズが入っているジェムを紛れ込ませるなんて戦法を取られたから合点がいったのよ」

 

冴島「そうか。そうなるとあれほどのノイズ怪獣を作り出せる者がいるとすれば…」

 

マリア「幹部か、それに近い実力の持ち主ね」

 

Sビルドタイガーのタイガーキャノンでようやく両腕を破壊することが出来る頑丈さを誇るノイズΣズイグルを作り出したのが幹部かそれと同等の実力の持ち主であるとマリアは即答する。

 

冴島「そうか。それと時々君の言葉に出てくる"アルカ・ノイズ"とは何だね?」

 

マリア「アルカ・ノイズは私を足止めした小型の怪異。有機物無機物問わず、触れたものを瞬時に赤い粒子に変えてしまう代物よ。最初はとある一派が使用していて、今は中東や政情不安定な軍事国家、ゲリラが軍事兵器として利用しているわ」

 

アルカ・ノイズについてもマリアは説明する。

 

東「対抗策は無いのか?」

 

マリア「一般的な銃火器で対抗はできるけど、1体で何人もまとめて殺せるからシンフォギアでもない限りはあまり戦うことはオススメしないわ」

 

アルカ・ノイズはノイズと違い、位相差障壁のエネルギーを解剖器官に回す必要があり、その結果として防御性能が損なわれているためにシンフォギアではない一般的な銃火器でも対応可能ではある。

 

しかし、分解能力は従来のノイズとは比べれば遥かに高く、従来ノイズならば一体一殺ではなく、1体で何人もまとめて分解できるため油断はできないという。

 

冴島「うーん。そうなるとかなり厄介な相手となるな」

 

今まで相手にしたことのない能力を有する敵たちに冴島は呟く。

 

東「総監、もはやこれは我々警察の枠を超えています!ここはやはり防衛軍に…」

 

冴島「無論、私もそれは考えている。だが防衛軍は例の件で手一杯だ、ここは我々警察がどうにかしなくては」

 

マリア「あの、一ついいかしら?」

 

冴島「何かね?」

 

マリア「この世界の防衛軍は一体何をしているの?」

 

冴島が言っていた防衛軍が例の件で忙しいということが気になってマリアは聞く。

 

東「部外者の話すことでは…」

 

マリアに教えたくないのか東がそう言った時だった。

 

冴島「防衛軍は現在、謎の不明生物の探索を行っている」

 

東「総監!?」

 

冴島が話し始めて東は驚いた。

 

冴島「彼女は情報を開示してくれたのだ。我々もそれ相応の態度を見せねばならん。警察官としてならなおさらだ」

 

情報を教えてもらっておいて、こちらの情報を教えないことは失礼になると言って冴島は東を説き伏せる。

 

マリア「それで、その不明生物って?」

 

冴島「それは…」

 

マリアに防衛軍が関わっている事件を話す冴島。

 

冴島の話によると、東京郊外のとある山中に2体の不明生物が戦闘を行っているという通報があり、近くの交番の警官二名が急行した。

 

急行した警官たちが山中に入ると人間の形はしているが、全体的な容姿は明らかに人間ではない生物と遭遇。

 

携帯していた銃で静止を呼びかけるも無視して襲い掛かってきたために発砲するもその生物は全く怯まずに突っ込んできて警官1人を噛み殺したという。

 

残った警官は銃で応戦するも全く生物には効かず、それどころか生物は撃たれた傷口が一気に再生して元通りになっていたという。

 

生物が残された警官に襲い掛かった時、後ろから1人の少年が生物を攻撃をしてきた。

 

その少年は背中に炎のような背鰭、尾てい骨辺りから爬虫類のような尻尾をはやしていたという。

 

その少年は生物を警官から遠ざけるように攻撃をしていて、最終的は山奥まで2体の姿は見えなくなった。

 

生き残った警官の話を聞き、また食い殺された警官の遺体を目の当たりにした地元警察署はこのことを警視庁に報告。

 

警視庁はこの事件を警察の枠を超えた事案として防衛軍に回したという。

 

その結果、防衛軍により周辺一帯は封鎖され、2体の生物の捜索が開始されているとのことだ。

 

冴島「さらに先日、その人食い生物により防衛軍の隊員に何名か死者が出ている。そのため防衛軍は躍起になって生物を発見しようとしているからこちらの事件の相手をしてくれないんだ」

 

マリア「そうだったの」

 

冴島「あぁ。だが…」

 

冴島はそこまで話していた時だった、総監室に警報音が鳴り響いた。

 

アナウンサー『湾岸工場プラントにて無人の作業用ロボットが暴走を始めたと通報あり!繰り返す、湾岸工場プラントにて無人の作業用ロボットが…』

 

事件発生の一報がアナウンサーにより発せられる。

 

冴島「話はまた後で。マリアくん、ブレイブポリスと共に出動してくれ。またノイズ怪獣かアルカ・ノイズが現れたときに備えてほしい」

 

マリア「えぇ、分かったわ!」

 

冴島に言われマリアはすぐに総監室から出ていくとブレイブポリスと合流しに向かった。

 

 

 

湾岸工場プラントでは無人の作業用ロボットが三本指のマニュピレーターやチェーンソウで周囲の建築中の建築物を破壊していた。

 

破壊されて崩れる建築物から逃げようと作業員たちが逃げ回る。

 

そんな現場をローブで全身を隠している子供がいた。

 

ジェインと接触したあの子供だった。

 

?「派手にやっている…例の奴を開発するためとはいえ、少し適当すぎるな」

 

破壊して回る暴走するロボットたちを見て子供はそう呟く。

 

すると少し離れたところからサイレンの音が聞こえてきた。

 

ブレイブポリスが現場に現着したのだ。

 

?「こんな派手な罠に掛かる奴らは馬鹿か…だが、これではすぐに制圧されるか…仕方ない、少し手を貸してやるか」

 

向かってくるブレイブポリスを見て子供はそう言うと近くに止まっている作業用ロボット2体に近付くと赤と青の色をして、中に小さな光が入ったジェムを出した。

 

?「試作品の実験には丁度いい」

 

そう言って取り出した2つのジェムをそれぞれのロボットに乗せると、ジェムは割れて中にあった光が浸透するようにロボットに入った瞬間、ロボットは粘土のように柔軟に曲がり、その姿を変えていった。

 

?「さあ、行け。新たなるノイズよ」

 

目を光らせる2体の姿を変えたそれを見て子供は言う。

 

 

 

その頃、デッカードたちブレイブポリスは工場前に到着していた。

 

到着してすぐにパトカーモードのデッカードからマリアと勇太が降りてきた。

 

デッカード「チェーンジ!!!」

 

2人が降りてデッカードはパトカーから人型へ変形した。

 

ビルドチームもそれぞれのビークル形態から人型へ変形する。

 

勇太「みんな、暴走したロボットは区画ごとに暴れてるみたい!」

 

デッカード「了解!それぞれ散開して各個撃破だ!」

 

ビルドチーム『了解!!』

 

デッカードの散開指示を聞いて、それぞれが携行している銃(マクレーンのみショットガン)を出して工場プラント内へ突入する。

 

マリア「何事もなければいいのだけど…」

 

激しい戦いの中を潜り抜けてきたマリアの直感が嫌な予感を察知していて呟く。

 

勇太「大丈夫だよ。デッカードたちなら無事に帰ってくるよ!」

 

心からデッカードたちを信頼している勇太はマリアに言う。

 

マリア「そうね。きっと杞憂ね」

 

勇太に言われてマリアも自身の感が杞憂であると願って言うと工場プラントに銃声が響き渡り、爆発により周囲と空が一瞬だけ明るくなる。

 

マリア「始まったようね」

 

爆発と銃声を聞いて戦闘が始まったことを察する。

 

勇太(みんな、頑張って!)

 

心の中で勇太はデッカードたちに声援を送っていた。

 

 

 

工場プラントでは激しい戦闘が行われていた。

 

デッカードの正式拳銃が火を噴いて弾丸が暴走して襲い掛かってきた作業用ロボットのコックピットを貫く。

 

コックピットを貫かれたロボットはバチバチと火花を散らして爆散する。

 

デッカード「やはり無人で暴走を…いったい何故…くっ!?」

 

残がから動かしていた人の痕跡がないことを見て疑問に思っていると後ろから新たに暴走ロボットが3機、鉄骨を投げていた。

 

デッカード「今は考えている場合ではいな!」

 

暴走の真相は後にして、デッカードは襲い掛かってきた暴走ロボットたちに立ち向かっていく。

 

デッカード(しかし、今回の暴走は何かが変だ…今までと比べもにならないほどのロボットが一斉に暴走など…ビルドチームは大丈夫なのか?)

 

今までの暴走と何かが違うと考えてデッカードは襲い来るロボットたちを銃撃して倒していく。

 

現在ブレイブポリスは3区画で起きている暴走ロボットの破壊活動を止めるために三手に分かれて行動していた。

 

マクレーン、パワージョーのチーム、ダンプソン、ドリルボーイのチーム、そしてデッカードの三手により鎮圧活動を行っている。

 

するとデッカードの目の前にあった建築物の1つを突き破って何かが飛んできた。

 

デッカード「何だ…マクレーン!?」

 

飛んできた何か―別の区画で暴走ロボットの鎮圧を行っていたマクレーンであることに驚く。

 

デッカード「大丈夫か!?パワージョーはどうした!?」

 

マクレーンに近づいてデッカードは聞く。

 

マクレーン「で、デッカード…に、にげろ…ここは…危険…だ……」

 

かなりダメージを追っているのか何とか伝えようと必死になって言う。

 

デッカード「どういうことだ、マクレーン!?」

 

言葉の意味が理解できず、デッカードは聞き返した時だった。

 

パワージョー「ぐああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

 

デッカード「パワージョー!?」

 

パワージョーの悲鳴が聞こえて聞こえた方を見るとパワージョーが投げ出されるように出てきた。

 

パワージョー「ぐあっ…あぐっ…」

 

パワージョーもかなりダメージを追っているのか苦しそうにしていた。

 

デッカード「2人とも、いったい何が…!?」

 

何があったのかと聞いていると気配を感じて視線をパワージョーとマクレーンが出てきた方に向けた。

 

?「こいつはついてるぜ、まさかテメェに再会できるなんてな」

 

?「あの時のカリを返してやれるな」

 

デッカードを見てそう言いながら2体の赤と青のロボットが歩いて出てきた。

 

しかもそれぞれぐったりとしているダンプソンとドリルボーイを引きずって。

 

デッカード「お、お前たちは!?」

 

そのロボットたちに見覚えがあるのかデッカードは驚いていたのだった。

 

デッカードたちの帰還をマリアと勇太は工場プラント前で待っていた。

 

すると大きな爆発音と共に目の前に入り口が破壊されてしまった。

 

マリア「なに…!?」

 

爆発で何が起きたのかと確認しようとした時、空から何かが降ってくるのが見えた。

 

マリア「危ない!!」

 

空から何かが降ってくるのを見てマリアは勇太を抱えてその場を離れる。

 

刹那にマリアたちがいた場所に何かが落ちてきて、地面に激突した。

 

マリア「大丈夫?」

 

抱えていた勇太を下ろしてマリアは聞く。

 

勇太「うん。ありがとう、マリアさん。それにしても何が…」

 

助けられてお礼を言いながら降ってきた何かを見る勇太。

 

そこには傷ついたデッカードの姿があった。

 

勇太「デッカード!?」

 

傷ついたデッカードを見て勇太は駆け寄る。

 

デッカード「ゆ、勇太…」

 

かなりダメージを追っているらしく苦しそうに勇太の名を呼ぶデッカード。

 

マリア「一体なにが…」

 

何があったかと聞こうとした時、大きな足音が入り口の方からして見ると赤と青の2体のロボットが現れた。

 

勇太「あ、あれは!?」

 

現れた2体のロボットに驚く勇太。

 

勇太「チーフテン!?」

 

現れた赤と青のロボット―『チーフテンⅠ』と『チーフテンⅡ』に驚いて声を上げてしまった。

 

マリア「知っているの?」

 

チーフテンと呼ばれるロボットたちのことをマリアは聞く。

 

勇太「うん。前にデッカードを倒したロボットだよ。でも、その後でファイヤージェイデッカーで倒したんだ。それで超AIを回収したからもう作られることはないはずなんだけど…」

 

マリア「前にデッカードを倒した…」

 

話を聞いたマリアはチーフテンⅠ・Ⅱがかなりの性能を有するロボットであると分かって身構える。

 

チーフテンⅠ「へっ、人間には用はねぇ!」

 

チーフテンⅡ「とっとと家に帰って寝てやがれ!」

 

マリアと勇太を見てチーフテンたちは言う。

 

マリア「生憎と、私をただの人間だなんて思っていると痛め見るわよ!」

 

チーフテンⅠ「おもしれぇ!たかが人間の小娘ごときに何ができるってんだ!!」

 

マリアの言葉にチーフテンⅠが言うとマリアはギアのコンバーターユニットを出した。

 

マリア「Seilien coffin airget-lamh tron……」

 

コンバーターユニットを出して起動詠唱を歌い、アガートラームを纏った。

 

チーフテンⅠ「!?」

 

チーフテンⅡ「な、なんだ、ありゃあ!?」

 

アガートラームを纏うマリアを見てチーフテンたちは驚く。

 

マリア「シンフォギアの力、見せてあげる!!」

 

聖剣型のアームドギアを出すとチーフテンたちに構える。

 

マリア「行くわよ!!」

 

アームドギアを構えてマリアはチーフテンたちに向かっていこうとした時だった。

 

?「悪いが貴様の相手は俺だ」

 

向かっているマリアの左側からフードで全身を隠しているあの子供が飛び蹴りを繰り出してきた。

 

マリア「!?」

 

突然の攻撃に反応できず、マリアは子供の蹴りを諸に横腹に受けて蹴り飛ばされてしまう。

 

マリア「ぐっ!!」

 

蹴り飛ばされてしまったマリアは何とか態勢を空中で整えて着地した。

 

マリア「何者!?」

 

突然攻撃されてマリアは驚きながらも聞く。

 

?「貴様に名乗る名などありはしない。ただ、貴様はチーフテンたちの相手をされるのは困る奴がいるんでな」

 

そう答えた子供は右手で持っているであろう黒い槍を出してマリアに襲い掛かったのだった。


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