戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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かつてのブレイブポリスの強敵『チーフテンⅠ』と『チーフテンⅡ』に苦戦するブレイブポリス。

ブレイブポリスの残りのメンバー『白バイ刑事 ガンマックス』、『忍者刑事 シャドウ丸』、『騎士(ナイト)刑事 デューク』が駆け付けるが、強化されているチーフテンたちの前に苦戦。

しかし、ジェイデッカーとデュークファイヤーが合体して誕生する最強のブレイブポリス『ファイヤージェイデッカー』により形勢は逆転。

逃げようとするチーフテンたちと追いかけようとするファイヤージェイデッカーの前に見たことも無い巨大生物が出現するのだった。


第643話 現れた仲間

怪物が出現する少し前、マリアは乱入してきた子供と戦っていた。

 

マリア「はあぁッ!!!」

 

?「ふんっ!!!」

 

聖剣型のアームドギアで斬りかかるも子供は持っている槍で防いでしまう。

 

マリア「なかなかやるわね」

 

?「貴様もな」

 

お互いにそう言うと一旦離れて距離を取る。

 

?「シンフォギア…確かアガートラームだったか。かつて先史文明期に神同士の戦いの折に、切られた神の腕が元だったな」

 

マリア「あなた、何でそれを!?」

 

子供が口に出した言葉を聞いてマリアは驚く。

 

先史文明期に起きた神同士の戦い、それは神々とされる種族『アヌンナキ』の一柱『シェム・ハ』と同じくアヌンナキの一柱『エンキ』のこと。

 

そしてエンキは反乱を起こしたシェム・ハにより銀へと変えられる腕を切り落とさねばならなくなり、その銀色の腕こそが後にマリアや妹のセレナが纏うアガートラームである。

 

しかしそれを知るのはS.O.N.G.の面々以外で知るものはいないはずだった。

 

?「何でだろうな。俺もそれを知りたいくらいだ…俺は、最初からこのことを知っていた(・・・・・・・・・・・・・・)からな…」

 

マリア「え?」

 

子供の言葉にマリアは首を傾げていた。

 

ファイヤージェイデッカー「バーニングファイヤーソード!!!!!」

 

ファイヤージェイデッカーがチーフテンたちの武装をバーニングファイヤーソードで破壊していた。

 

?「ふん、やはり試作品ではあの程度が良いところか。まあ、データ収集には役立ったか」

 

武装を破壊されたチーフテンたちを見て子供はそう言うと戦闘態勢を解いた。

 

?「今日はここまでだ」

 

マリア「待ちなさい!さっきの意味はどう言うこと!?」

 

逃げようとする子供にマリアは言う。

 

?「さあな、言葉の意味だ。また会うときがあれば話すやも知れんな」

 

そう言ってはぐらかした子供は空いていた手から缶のような形をしたなにかを出すとマリアの方に投げた。

 

投げられた缶が地面に落ちた瞬間、缶を中心に目映い発光と甲高い音がした。

 

マリア「ッ!?」

 

光と音にマリアは目を瞑り、耳を手で塞ぐ。

 

僅か1~2秒後に光と音は収まり、眼を開けると子供の姿はどこにもなかった。

 

マリア「今のは閃光手榴弾?なかなか戦い馴れてたみたいね…!?」

 

子供がかなり戦い馴れた相手だと呟いていると突然地面が揺れて、ブレイブポリスの前に地面から1体の巨大な怪物が出現した。

 

?「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

 

地面から出てきた怪物は雄叫びを上げる。

 

マリア「あれは!?」

 

怪物に見覚えがあるマリアは驚きながらもブレイブポリスの方へ走り出した。

 

 

 

勇太「だ、大怪獣!?」

 

現れた巨大な怪物を見て勇太は驚いて声を上げる。

 

ファイヤージェイデッカー「なんて大きさだ!?」

 

Sビルドタイガー「前に現れたノイズ怪獣と同格だぞ!!」

 

前に現れたノイズΣズイグルと同格の体躯を持っているであろう怪物にジェイデッカーたちも驚いていた。

 

チーフテンⅠ「なんだ、こいつ!?」

 

チーフテンⅡ「ば、バイオ生物か!?」

 

チーフテンたちも現れた怪物に驚いていた。

 

?「ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

 

驚いているブレイブポリスとチーフテンたちに気づいた怪物は背鰭を蒼白く発光させると口から蒼白い火炎を吐いた。

 

シャドウ丸「まずい避けろぉ!!!!」

 

火炎を吐いた怪物を見てシャドウ丸は叫ぶとブレイブポリスたちは一斉に後ろへ跳んで回避する。

 

チーフテンⅠ・Ⅱ「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!」」

 

しかし、チーフテンたちは間に合わずに蒼白い火炎に飲み込まれてしまった。

 

蒼白い火炎に飲まれたチーフテンたちは赤く輝いたかと思いきや赤い粒子となって消滅してしまった。

 

ガンマックス「何だ!?」

 

Sビルドタイガー(マクレーン)「チーフテンたちが…」

 

Sビルドタイガー(パワージョー)「赤い粒子になって消えちまったぞ!?」

 

Sビルドタイガー(ドリルボーイ)「どうなってるの!?」

 

赤い粒子となって消滅したチーフテンたちに驚いていた。

 

するとブレイブポリスの後ろから何両もの戦車がやってきた。

 

?「ようやく追い詰めた!」

 

戦車に交じっていた指揮車両から1人の女性が下りてきた。

 

勇太「あれ?せいあさん!?」

 

指揮車両から降りてきた女性―陸上防衛軍東北方面大隊第9師団指揮官『尾上 せいあ』(階級:一等陸佐)に勇太は呼んで近付く。

 

せいあ「友永警部!」

 

呼ばれたせいあも勇太に気づいていた。

 

勇太「どうして尾上さんたちがここに?」

 

せいあ「それはこっちの台詞よ。なんで友永警部たちがここに?」

 

Sビルドタイガー「我々はこの付近で発生した暴走ロボット鎮圧のために出動してきました」

 

せいあ「そうだったの。私たちはあの怪物を追ってきたの。あの怪物が最近多発している猟奇殺人の現場に目撃されているという情報を得て追いかけていたの。少しでも抵抗するようなら射殺も厭わないっというのが上の方針よ」

 

お互いにここに来た理由を話していた時だった。

 

マリア「ちょ、ちょっと待ちなさい!!!!」

 

話を聞いていたマリアが慌ててやって来た。

 

マリア「あの子を攻撃しないでくれないから!?」

 

せいあ「貴方は?」

 

勇太「あ、この人はその…」

 

マリアのことをどう説明しようか悩む勇太。

 

異世界から来たなど到底信じてくれそうにもないからだ。

 

そんな勇太を放置してマリアは言い出した。

 

マリア「推測の中で悪いけど、あの子は猟奇殺人なんて犯さないし、ましてや自分から人を殺したりなんかこれっぽちもしないわ!!あの子はただ追いかけてきた貴女たちに驚いているだけ!戦う意志なんて持ち合わせてないわ!」

 

せいあ「随分とあの怪物の肩を持つのね。どういう関係かしら?」

 

マリアの言葉を聞いて尾上は怪しんで聞く。

 

マリア「私はあの子の母親代理よ!!」

 

せいあ「はい?」

 

突拍子もない返答にせいあは声が裏返ってしまった。

 

マリア「とにかく見てなさい。私があの子を説得するから!」

 

そう言ってマリアは怪物の方へ向かっていく。

 

せいあ「ちょ、ちょっと!?」

 

マリアを制止しようとしたせいあだったが、マリアにはもう聞こえていなかった。

 

マリア「リル―ッ!!」

 

ミレニアムゴジラ「グルルルル!!、ゴガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

マリアが叫ぶと怪物―リルことマリアと同じ世界にいる最強怪獣、『2代目怪獣王 ミレニアムゴジラ』はマリアを見つけて嬉しそうに鳴いた。

 

マリア「やっぱりリルだったのね。あの人たちは貴方に危害を加えたりしないわ!安心して戻りなさーい!!」

 

防衛軍が敵意を持っていないと伝えるマリア。

 

ミレニアムゴジラ「グルルルルル………」

 

マリアの言葉を聞いてミレニアムゴジラは体を光らせて姿を変えた。

 

―ミレニアムゴジラの人間形態『リル』である。

 

リル「かう!」

 

姿を戻してリルはマリアに抱き着いた。

 

勇太「え、えぇ!?」

 

ファイヤージェイデッカー「に、人間になった!?」

 

Sビルドタイガー「何がどうなっているんだ!?」

 

ミレニアムゴジラがリルになったのを見て今日一番の驚きを見せる。

 

マリア「よしよし、いい子ね」

 

リルを抱き上げて頭を撫でるマリア。

 

リル「かうぅ~♪」

 

マリアに頭を撫でられて嬉しそうにするリル。

 

マリア「分かってくれたかしら?」

 

せいあたちの方を向いてマリアは言う。

 

せいあ「失礼しました!上には私共から件の事件の犯人は別にいると進言させていただきます」

 

頭を下げてせいあは謝罪して、マリアの言葉を信じるように言う。

 

マリア「ありがとう。リルもそれで良いわよね?」

 

リル「かう!」

 

誤解が解けて良かったとリルも納得して頷いた。

 

せいあ「では、失礼します」

 

敬礼してせいあは指揮車両に戻ってUターンするとそれに続くように戦車も引き返していく。

 

 

 

武内「いいんですか、中隊長。あのまま…」

 

指揮車両内で、せいあに『武内 仁史』(階級:准尉)は言っているとせいあが止めた。

 

せいあ「言うな准尉。私たちは彼女に助けられたのかもしれん」

 

武内「え?」

 

せいあの言葉に武内は首を傾げる。

 

せいあ「あの怪物、途方もない力を持っていたに違いない。それなのにあれは全く戦おうともせず、彼女に対して母親に甘える子供の顔をしていた」

 

ミレニアムゴジラがかなりの力を有しているとカンで察していた。

 

武内「本当に不可解ですな。それはそうとあの娘は一体…見たこともない装備をしていましたが…」

 

マリアの姿を思い出して武内は言う。

 

せいあ「異世界からの使者…」

 

武内からマリアのことを聞いて思い出したかのようにせいあはつぶやく。

 

武内「今、なんと?」

 

せいあ「彼女は異世界から来たという報告が警視庁より提出されている」

 

警視庁からマリアが異世界から来た住人であることはすでに防衛軍に伝えられていたがほとんどがホラ話であるとまともに聞かなかったのと、例の人食い怪物に対する対応で忙しかったのが重なって誰もがまともに聞いてはいなかった。

 

武内「そんな馬鹿な。異世界など存在るはずが…」

 

信じていないという風に武内は言う。

 

せいあ「私もそうだった。でも、人間に変身する怪物を目の当たりにしてあながちホラ話とも思えんのだ」

 

せいあも異世界など無いと思ってはいるがマリアから感じた何とも言えない感覚にホラ話では無いかもしれないと思っていた。

 

せいあ「ともかく、今後の我々の任務は例の人食い怪物の捜査だ。なんとしても民間人に被害が出る前に食い止める!」

 

武内「はっ!!」

 

気持ちを切り替えてせいあは今後の指示を出して、武内は返事をするのだった。


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