マリア「貴方だったのね、この人間もどきの怪物をけしかけたのは。コイツらはいったいなんなの!」
現れた子供にマリアは聞く。
?「怪物…ねぇ。まあ、普通なら答えないがここまでやった褒美だ。コイツらは"ガナード"、寄生生物"プラーガ"に寄生された人間の成れの果てだ」
倒れている武装勢力の人間ー"プラーガ"と呼ばれる寄生生物に寄生された人間の成れの果て、"ガナード"の死体を踏みつけながら言う。
調「人間の成れの果てって…」
?「そう。コイツらは前まではごく普通の人間だった、だがプラーガに寄生されれば身体能力は向上するが、宿主の元の人格とかは完全に消滅する。まあ、ゾンビと言われても差し支えないがな」
調の言葉を肯定的に言う。
マリア「どうしてそんなことを…」
?「実験だよ。俺たちが求めるもののためにな」
ただの一般人を化け物にしたことを子供は実験と称した。
切歌「その計画の実験のために、プラなんとかでコイツらを…人を化け物に変えたですか!?」
?「ふん。コイツらただの失敗作だ、本当の化け物はまだ出来ちゃいない」
踏みつけていたガナードを蹴り跳ばすとリヘナラドールを見る。
?「実験の段階で時々、こんなイレギュラーな奴は出来るがな。やれ」
リヘナラドール「ヒッヒッヒェヒッ…ヴゥゥッ…」
子供に指示されてリヘナラドールはゆっくりと前進を開始した。
マリア「行くわよ!」
向かって来るリヘナラドールに構える。
だが、前に聞いたダークデッカードの話が本当なら
倒すには弱点と目されるコアを破壊しなければならない。
それがどこにあるのか、まだ分かっていない。
マリア(何とか弱点のコアを見つけて破壊しないと…でも、私たちなら大丈夫)
どうにかして弱点を見つけてコアを破壊しなければならないが、3人なら連携で容易いと思っていた。
?「あぁ、そうだ。最後に良いこと教えてやるよ、プラーガには女王蜂のような支配種と働き蜂のような従属種の2種類いてな。支配種に寄生された人間は元の意識を保ちつつ、従属種に寄生された人間、つまりはガナードを操れるんだよ。こんな風にな」
プラーガに支配種と従属種の説明をした時、小型の鐘のような物を出すと軽く手首を動かして音を鳴らした。
マリア「なに?」
音を鳴らしている子供を見て警戒するマリア、すると後ろから殺気が襲った。
マリア「ッ!?」
殺気に気付いてマリアは急いで前へ跳躍、少し遅れて鋭い何かがさっきまでマリアがいた場所に刺さった。
マリア「な、何するの!?切歌、調!!」
切歌・調「「………」」
自身を攻撃してきた切歌と調に言うが2人は全く反応が無い。
それどころか様子と雰囲気がいつもと違い、マリアに対して向けるのは殺意と相手を確実に殺そうとする敵意だけであった。
マリア「2人ともどうしたの!?」
自身にただならぬ殺意と敵意を向けてくる2人に戸惑いながらも呼び掛ける。
?「無駄だ。そいつらにはすでにプラーガを植え付けている。まだ幼体だが、操るには十分のようだな」
2人に呼び掛けるマリアに子供はそう言う。
マリア「なんですって!?」
子供の言葉を聞いてマリアは驚く。
?「そいつらはここに転移した時に一緒に来てな。侵入者として捕らえたついでに、実験でプラーガの卵を植え付けてやった。俺はとある事情でプラーガは植え付けていないが、代わりに支配種が従属種を操る時に出す波長に合わせたこの小型鐘の良い被検体になってくれた、おかげでいいデータが取れる」
切歌と調が前に話していた、研究施設のような場所で目を覚まし、子供から不意打ちを受けてしまい、気絶させられてしまった、あれはジェンイによりこの世界に翔ばされ、ガナードたちに襲撃、逃げ込んだ先にいたこの子供により2人は気絶させられ、プラーガを植え付けられてしまったのだ。
マリア「き、貴様ぁッ!!!!!!!」
大切な家族同然の2人にさっき自分たちが倒したガナードたちと同じようにし、さらに実験の被検体と言ったことに、マリアはらしくない怒りを爆発させる。
?「ま、精々頑張りな。生き残れたら俺を殺せるかもな。この状況から生きていれたらだがな」
怒りを爆発させるマリアに子供は言う。
確かに状況はマリアが圧倒的不利だった。
前方には操られた切歌と調、後方にはリヘナラドール。
リルがいれば大分違うが生憎とリルはガナードたちの攻撃で負傷してまだ戦えない。
何とかしなくてはならないとマリアは考える。
?「来ないなら、こちらから行くぞ!」
考えるマリアを見て子供がそう言うと切歌が走りだし、調が後ろからヨーヨー状にしたアームドギアを放ってきた。
マリア「くっ!?」
調のヨーヨー状にしたアームドギアを弾くと斬りかかってくる切歌の斬撃を上半身を後ろへ捻って回避するとすぐに起き上がり、斬りかかるが柄の部分で防がれてしまった。
マリア「2人とも、目を覚まして!」
必死に呼び掛けるマリアだが2人は答えない。
リヘナラドール「ヒッヒッヒェヒッ…ヴゥゥッ…」
マリア「ッ!?」
息切れしたような声を聞いて後ろを見るとリヘナラドールがすでに手が届く範囲まで迫っていた。
迫ってきたリヘナラドールは口を開けて、鋭い牙を剥き出しにするとマリアに噛みつこうとする。
回避できない、今回避すれば切歌が代わりにリヘナラドールに噛まれてしまうと考えたマリアは動けなかった。
大量の赤い血が宙を舞い、地面に落ちて汚すのだった。