戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第652話 大事件の予感

数時間後、防衛軍とブレイブポリスたちを攻撃していたガナードたちを撃破し、事態を収拾したクリスたちはマリアの案内で防衛軍部隊指揮官のせいあと警視庁総監である冴島、そしてブレイブポリスのボスである勇太と会っていた。

 

切歌と調、リルは防衛軍の医療部隊のテントで体を休めているのでここにはいない。

 

冴島「君たちがマリアくんたちと同じ世界にいるのシンフォギア装者だね。話はマリアくんたちから聞いている。警視庁を代表してお礼を言わせてくれ」

 

せいあ「私も防衛軍を代表してお礼を言います」

 

冴島とせいあはお礼を言う。

 

クリス「気にすんなよ。困ったときはお互い様だろ?」

 

翼「それにこちらも仲間がお世話になったので」

 

お礼を言う2人にクリスと翼はそう言う。

 

冴島「そうか。それで君たちは我々に話したいことがあるようだが?」

 

未来「はい、実は…」

 

冴島に言われてある情報を話し始めた。

 

 

 

それはクリスたちがこの世界に来る数時間前のこと。

 

テロ組織アジト強襲作戦から数日経ったある日、響、クリス、翼の3人はS.O.N.G.本部の発令室に来ていた。

 

発令室には弦十郎をはじめ、エルフナイン、ユウコ、藤尭、友里、緒川の主要メンバーが集まっていた。

 

弦十郎「よく来てくれた。これから君たちが確認した謎の生物についての報告を始める」

 

響たちが来たのを見て弦十郎がそう言うとモニターに響たちが戦った怪異―リヘナラドールの静止画像が映し出された。

 

エルフナイン「調査の結果、響さんたちと自衛隊の方々が遭遇した怪物はリヘナラドールと呼称されるB.O.W.であることが判明しました」

 

エルフナインがリヘナラドールの名を出して言う。

 

クリス「ビーオーダブリュー?」

 

聞きなれない言葉である『B.O.W.』に首を傾げてクリスが聞く。

 

ユウコ「B.O.W.はBio Organic Weapon(バイオ・オーガニック・ウェポン)の略称で、『有機生命体兵器』の意味です」

 

クリスの質問にユウコが答える。

 

弦十郎「B.O.W.は製薬会社である『アンブレラ』が密かに造り出したとあるウィルスにより人間やそれ以外の様々生物を素体にして作られた生物兵器だ」

 

響「あるウィルス?」

 

弦十郎の言葉に出た"あるウィルス"のことを響は聞く。

 

エルフナイン「そのウィルスの名前は『タイラント・ウィルス』こと『T-ウィルス』です」

 

緒川「T-ウィルスは1998年 7月23日に発生した洋館事件にて初めてその存在が確認されて以降、様々な事件で確認され、その亜種であるT-アビス、G-ウィルス、T-ヴェロニカも確認されています」

 

製薬会社 アンブレラが開発したウィルス、『タイラント・ウィルス』こと『T-ウィルス』であると言う。

 

ユウコ「T-ウィルスは投与された生物は代謝を異常促進させ、死んだ細胞も強引に活動するほどの強大な生命力、胸等の急所に銃弾を何発も受けても死なない耐久性を与える代わりに、大脳皮質の壊死による前頭葉の破壊を起こして知能低下を引き起こします。その他に、感染した生物によっては異常な巨大化、体の一部分に異様な発達を起こすことが確認されています。さらに異種間での遺伝子交配の成功率を上げる性質もあり、生物兵器の改良が容易で、アンブレラはこれらの性質を利用して、強力な生物兵器を作り軍需産業で巨大な利益を上げようと狙っていたようです。ですが、ほとんどは身体能力を向上させる代わりに、制御不能なゾンビなどの怪物へと変貌、中にはゾンビなどに類似する怪異も多く確認されていて、その中には前に響さんとマリアさんから報告を受けた、ウーズ、レイチェルウーズ、そしてネメシスも確認されています」

 

響「えぇ!?この世界にもいたんですか!?」

 

前に響とマリア、奏、リルが訪れた並行世界、その世界で出会った他の並行世界の住人である『人理継続保障機関フィニス・カルデア』所属の『藤丸 立香』とそのパートナーでサーヴァント『マシュ・キリエライト』と共に遭遇したゾンビ、ウーズ、レイチェルウーズ、ネメシス-T型がこの世界でもその存在が確認されたことを聞いて驚く。

 

クリス「自分らの利益のために、碌に扱えない代物を作るとか…狂ってやがるな」

 

かつて、戦争で両親を失ったことがあるクリスは利益のためならば全地球生命が危機に瀕しても構わないような危険な研究を続けていたアンブレラに怒りを滲ませる。

 

弦十郎「あぁ。現に洋館事件から2ヵ月後の9月にアメリカ中西部の森林に囲まれた小さな都市で発生したT-ウィルスによるバイオハザードで、数名の生存者を残して住人全員がゾンビになってしまったことがあった」

 

クリスの言葉を同意して弦十郎はかつてアメリカ中西部にあった森林に囲まれた小さな都市がt-ウィルスにより数人の生存者を残して全員が感染し、都市1つがゾンビや怪物の闊歩する地獄へと変わったことを言う。

 

翼「都市を丸々1つ…では、そのリヘナラドールもそのT-ウィルスによる?」

 

弦十郎の話を聞いてリヘナラドールもT-ウィルスによって生み出された怪物ではないのかと聞く。

 

弦十郎「いや、さっきも言った通りリヘナラドールは確かにB.O.W.に分類されるが誕生の経緯が異なっている」

 

緒川「初めてその存在が確認されたのは2004年のスペインの辺境の寒村地域。当時のアメリカ合衆国大統領令嬢を救助するために派遣された合衆国のエージェントが回収した資料によると"リヘナラドールはプラーガと呼ばれる寄生生命体を1人の人間に複数体寄生させ、さらに遺伝子操作により生み出されている"とされ、さらにリヘナラドールはその特徴として新陳代謝が極めて高く、本体であるプラーガを打ち抜かないかぎり、すぐさま再生するとのことです」

 

アメリカ合衆国のエージェントが持ち帰った資料に載っていたリヘナラドールの研究報告書の一部を読みながら言う。

 

クリス「んな奴、どうやって倒せばいいんだよ?」

 

吹き飛ばしても本体であるプラーガが無事ならば、吹き飛んだ部分から再生してしまうような相手をどうやって倒せばいいのかと聞く。

 

弦十郎「対処は簡単だ、サーモグラフィなどの熱を探知する装置を使えば、プラーガがどこにいるか特定できる。現に合衆国のエージェントもそれでリヘナラドールを撃破したそうだ」

 

エージェントが実際に行ったリヘナラドールへの対処法を伝える。

 

響「あの、さっきから気になってたんですけど…ちょいちょい出てきてるプラーガって何ですか?」

 

さっきから出てきている"プラーガ"について聞く響。

 

ユウコ「プラーガは寄生生命体です。元々、スペインのとある寒村地域に生息しているおり、様々な生物に寄生が可能とされます。プラーガに寄生された人間を現状ではガナードと呼称されています」

 

エルフナイン「プラーガは寄生生物でありながら真社会性生物でもあり、何らかの生物に寄生した上で他のプラーガとコミュニケーションをとり、緻密な社会を構築。寄生された生物は以前の知能を維持してはいますが、その行動の主導権はプラーガに移っています」

 

ユウコ「加えて外敵に対して攻撃的である上、寄生した生物の運動能力を上昇させ、体内で成長したプラーガは巨大な触手を表出させるほか、宿主自体に激しい変異を起こすことが確認されています。それと一部のプラーガは実は2種類いることが確認されています」

 

クリス「寄生体に種類がいんのかよ…」

 

ユウコとエルフナインの解説を聞きながらクリスはプラーガに種類があることを聞いて言う。

 

ユウコ「それが『支配種』と『従属種』です。支配種は、プラーガが構築する社会を支配する事ができ、寄生された生物は以前の知能と自我を維持するため、人間としての知能を保ったまま、従属種のプラーガに寄生された他の人間たちを使役できるようになります」

 

翼「つまりは女王蜂と働き蜂…なんとも厄介な…」

 

プラーガにある種類、『支配種』と『従属種』がそれぞれ女王蜂と働き蜂のような関係であることを翼は言う。

 

響「あの、寄生されたら元のは戻れないんですか?」

 

弦十郎「いや、治療法は一応だがある。プラーガが体内に入ったとしても、それが発芽するまでには絶対的なタイムラグがある。卵の場合は薬で除去が可能、幼体ならば薬では除去できないが成長の抑制はでき、除去する場合は放射線治療で除去が可能だ」

 

響の質問に弦十郎はそう答える。

 

クリス「だが、成長した奴はどうすんだ?」

 

弦十郎「現状では無いわけではない。成体となったプラーガを宿主の脊椎ごと打ち抜けば除去できる。ただし、宿主は相当な苦痛を伴うことになる。例え除去できたとしても下半身不随になるだろう」

 

翼「ほとんど早期による治療が望ましいのですね」

 

弦十郎「そうだ。だが、このプラーガについてジェインの奴はどこかの組織の依頼で、改良する研究をしていたようだ」

 

クリス「お、おい、それって」

 

翼「原種よりもさらに強力なプラーガ、しいては強力なB.O.W.が完成する…」

 

プラーガを取り除くには早期による治療が望ましいと思っていたが、弦十郎の言葉でその場は凍り付く。

 

強化型を作られでもしたら今まで確認されたB.O.W.より強力な個体や今まで早期で除去できたのが除去できなくなってしまう可能性があるからだ。

 

緒川「それについては、まだ推測の域を出ませんが事実関係を諜報部と新たに創設された国連直轄の部隊と共に操作を行っていく予定です」

 

翼「我々(S.O.N.G.)と同じ国連直轄の部隊?」

 

弦十郎「その辺りはまた追々話してやる。今は強力な兵器をつくろうとしているジェインを取り押さえることだ」

 

緒川の言葉に少し疑問に思っていた翼に弦十郎はそう言う。

 

クリス「取り押さえるったって、奴がどこに行ったかなんて…」

 

ジェインは現在、マリア、切歌、調、リルの4人と共にアジトごとどこかへ行ってしまった。

 

そのため、どこにいるのか全くつかめていない状況でどうやってジェインを捕まえろというのだろうかと疑問があった。

 

弦十郎「先ほど、ギャラルホルンが起動した」

 

『!?』

 

その一言で3人の疑問が一気に払拭された。

 

弦十郎「こちらがプラーガの情報を得たと同時に起動が確認された。このことから、ギャラルホルンが繋がった並行世界にジェインの奴がいるものと推測される!また、行方不明のマリアくんたちもその世界にいると仮定!ジェインによるプラーガ注入の危険性も考慮して向かってもらう!」

 

ギャラルホルンが起動した。

 

しかもこっちがプラーガやt-ウィルスなどの情報を掴んだ瞬間に、これを聞いて弦十郎はその先の並行世界にジェインがおり、同時にマリアたちがいることを想定して指示する。

 

クリス「だが、おっさん。マリアたちにプラーガが植えられてたらどうすれやいいんだよ?」

 

弦十郎「薬と放射線治療もできなければ、神頼みだろうな。だが神ではないにしろ、それに類似する力を持っている者が1人いるだろう?」

 

響「も、もしかして!」

 

クリスの疑問に弦十郎が言うと、珍しく響が察して言いかけると発令室にドアが開いて1人の少女が入ってきた。

 

未来「私だよ」

 

響「やっぱり未来~♪」

 

入ってきた少女―未来が来て響は嬉しそうにする。

 

エルフナイン「未来さんの持っている神獣鏡のギアの持つ凶祓い。それを応用してプラーガを凶と定めることで体内からの除去が可能です」

 

プラーガを凶と定めた時、その凶を祓うことができる未来のギア(兼ファウストローブだけど、今はギアに戻ってます)『神獣鏡』だけである。

 

弦十郎「今回向かうのは未来くん、翼、クリスくんの3人だ」

 

響「ふえ!?師匠、私は!?」

 

弦十郎の呼ばれなかったことに響は驚いて聞く。

 

弦十郎「響くんはエルザくんといてくれ。ただでさえ子育てに加えてガウを失ってまだ日が浅いんだ。何かあっての備えでいてくれ」

 

響「わ、分かりました」

 

弦十郎に言われて今現在、最愛の人を失い悲しみに暮れているエルザの介護を任されて響は従った。

 

響もエルザのことが心配で仕方なかったのだ。

 

そうして響を置いて、未来、翼、クリスはギャラルホルンで並行世界、つまりこの世界に来て戦闘を目撃。

 

報告にあったガナードと戦闘し、マリアたちを探していると苦戦しているマリアと操られた切歌と調、そして襲い来るリヘナラドールを見つけて参戦したのである。

 

 

 

未来「…っと言う訳なんです。って、大丈夫ですか?」

 

これまでの経緯を話した未来は聞いていた面々を見て聞く。

 

『…………』

 

あまりにも自分たちの世界とはかけ離れた状況にあるとして冴島や勇太たち人間だけでなく、デッカードたちロボットも困惑していた。

 

冴島「こほん。事情は分かりました。しかしそれほどの大事件とは…」

 

予想よりかけ離れた大事件である今回の事件に冴島は頭を抱える。

 

もはや警察機関でどうこうできる事態を越えすぎていた。

 

勇太「それって、僕たちの世界でジェインがバイオハザードを起こそうとしてるってこと?」

 

クリス「あぁ。その可能性が高い。だから…」

 

勇太の疑問にクリスは答え、ジェインをとにかく早く捕まえようと言いかけた矢先だった。

 

?「だから私を捕まえようというのだろう?」

 

『!?』

 

聞き覚えのある声を聞いて全員の視線が空に集まる。

 

そこには切羽詰まっているような顔をしたキム・ジェインがいたのだった。

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