戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第657話 筋を通す

勇太が誘拐されて数日後、デッカールームではマリア、退院した切歌と調の3人とダークデッカードを含めたブレイブポリス、冴島と藤堂が集まっていた。

 

冴島「よし。それでは勇太くん救出及びバイオテロリストキム・ジェイン逮捕作戦のブリーフィングを開始する」

 

巨大モニター前にて冴島が言う。

 

デッカード「総監、勇太の救助とジェイン逮捕とは言いますが…」

 

ダークデッカード「居場所も分からないのにどうやって探すんだ?」

 

冴島「うむ。それについてはすでに解決している」

 

デッカードとダークデッカードの質問に冴島が答えると後ろの巨大モニターにある島の写真が写し出された。

 

デューク「これは…無人島?」

 

藤堂「ダークのコピーしていた超AIを解析していく内に厳重なセキュリティに守られたこの島のデータが発見されたんだ」

 

藤堂がコピーしていたダークデッカードの超AIを解析して、その中から無人島のデータを発見したという。

 

冴島「今は無人島だが、近頃この島に研究所のような建物が建てられていると報告があった」

 

マクレーン「では、そこにジェインとボスが」

 

冴島の言葉にマクレーンが察して言うと冴島は頷いた。

 

藤堂「あぁ。いる可能性が高い」

 

ドリルボーイ「それじゃあ、早く助けに…」

 

その島にジェインと捕らわれている勇太がいると聞いてドリルボーイが言う。

 

パワージョー「馬鹿。行きたくてもすぐに行けるわけないだろ」

 

ダンプソン「相手は敵の本拠地。下手に動けば此方が返り討ちに遭うだけであります」

 

早く助けに行こうと言うドリルボーイにパワージョーとダンプソンが止める。

 

ドリルボーイ「でも…」

 

デューク「落ち着け、ドリルボーイ。デッカードだって今すぐ助けに行きたい気持ちを抑えているんだ」

 

止めに入ったパワージョーとダンプソンに言い返そうとしたドリルボーイにデュークは言う。

 

デュークに言われてデッカードを見ると冷静そうにしている反面、手に力が入っていた。

 

デッカードが心を持てるようになったのは何も全て超AIのお陰ではない。

 

勇太との堅い絆がデッカードに心を生み出したのだ。

 

例え初期化されたり、記憶を喪ったとしても勇太との堅い絆で甦ることだってあるのだ。

 

ドリルボーイ「ごめん………」

 

そんなデッカードを見てドリルボーイは小さく言う。

 

冴島「そこで今回も防衛軍との共同で作戦を行う…」

 

クリス「いいところで悪いが悪い情報だ」

 

話を戻しているとクリスたちが入ってきた。

 

マリア「貴女たち、戻ってたのね」

 

翼「今しがたな」

 

ガンマックス「それで、悪い情報ってのは何だ?」

 

戻ってきていきなり悪い情報があると聞いてガンマックスが聞く。

 

未来「それが、ジェインのいる島にはリヘナラドールより強力なB.O.W.がいる可能性があるんです」

 

シャドウ丸「そいつはもしかしてオオサンショウウオとあの巨人の事か?」

 

前に出現したオオサンショウウオ型のB.O.W.『デルラゴ』と巨人型のB.O.W.『エルヒガンテ』のことかと聞く。

 

リル「かうかう…かうかうかう」

 

訳&メモ:ううん…それとは別の奴

 

切歌「まだいるって言うんデスか!?」

 

デルラゴやエルヒガンテ、そしてリヘナラドール以外にもB.O.W.がいると聞いて驚く。

 

クリス「アタシらも聞いた話だがな…」

 

驚いている面々にクリスは元の世界で発生した大規模バイオハザード・ラクーン事件の生存者で、最初にプラーガ由来の怪異と戦ったエージェント『レオン・S・ケネディ』から聞いたことを話した。

 

デルラゴやエルヒガンテ、リヘナラドール以外のB.O.W.や量産されている可能性があるB.O.W.のことを。

 

ダークデッカード「冗談だろ…リヘナラドールよりヤバイのがそんなにいるのかよ…」

 

マクレーン「しかも量産されているとなるとかなり厄介だな」

 

1体だけでもブレイブポリスだけでは苦戦を免れない相手が複数いる可能性にダークデッカードとマクレーンは少し怖じ気づいたように言う。

 

クリス「あぁ。だが落ち着いて対処すれば何とかなる相手ばかりだ」

 

翼「それらの弱点をまとめたデータはここに」

 

プラーガ由来のB.O.W.の弱点をまとめたデータが入っているUSBメモリを出して言う。

 

冴島「よし、さっそくこのデータをデッカードたちに移植、終わり次第防衛軍にも回してくれ」

 

藤堂「あいよ旦那」

 

翼からUSBメモリを受け取り藤堂はデッカールームを後にする。

 

デッカード「総監、勇太の…ボスの救出作戦はいつするのですか?」

 

焦る気持ちを抑えきれないデッカードは冴島に聞く。

 

冴島「そう焦るな、デッカード。今週中には開始するつもりだ」

 

デッカード「………」

 

冴島の言葉を聞いてデッカードはそれ以上は聞くことはしなかった。

 

 

 

その日の夜。

 

デッカード(みんな、すまない…)

 

真夜中のデッカールームにデッカードは自身の後頭部にUSBメモリが射し込んでいた。

 

数秒後、USBメモリを器用に引き抜いて自身のデスクに置いた。

 

?「1人で乗り込む気か?」

 

デッカード「!?」

 

声に驚いて振り向くとダークデッカードがデッカールームの入り口に腕を組んで立っていた。

 

デッカード「ダーク…どうしてここに」

 

ダークデッカード「俺とお前は兄弟みたいなもんなんだろ?だったらお前がどんなことを考えているかくらい分かる。それで、1人で乗り込んでどうするんだ」

 

デッカードに近寄りながら言うダークデッカード。

 

デッカード「もちろん勇太を取り戻す」

 

ダークデッカードに聞かれてデッカードはそう答える。

 

いつ始まるか分からない救出作戦なんて待ってられるハズがなく、単独でも勇太を助けに行きたい一心であった。

 

ダークデッカード「だろうな。だったら俺もついていくだけだ」

 

デッカードから予想通りの回答を聞いてダークデッカードはそう言う。

 

デッカード「な、なにを言っているんだ!?ジェインの狙うはお前だ!お前はここに…」

 

ダークデッカード「元々、今回の事件は俺を生み出したジェインの野郎がしでかしたことだ。そんな奴のケジメは俺がしないと筋ってもんが通らねぇだろ?」

 

付いてくることを拒もうとしたデッカードにダークデッカードはそう言い返した。

 

デッカード「ダーク…」

 

ダークデッカードの言葉を聞いてデッカードは何も言えなかった。

 

ダークデッカードも自身なりに覚悟があり、なおかつ自分のコピーとは言え、全く同じ超AIを搭載している。

 

勇太が拐われて何かデッカードと同じ感情を抱いているのだ。

 

?「それなら、私たちにも筋を通す必要があるわね」

 

デッカード「君たち…」

 

新たな声がして人間用の入り口を見るとマリアたちが入ってきた。

 

翼「元の元をただせば、私たちの世界の犯罪者が引き起こしたこと」

 

クリス「それを解決すんなら、同じ世界のアタシらがしないと筋が通らねぇだろ?」

 

切歌「ここ最近良い活躍できてないんデスから名誉挽回デス!」

 

調「うん。ジェインとあの子には返さないといけない借りが沢山ある!」

 

未来「それに勇太くんがプラーガに寄生されてる可能性もあると思いますよ」

 

リル「かうかうー!」

 

口々に付いていく理由を言ってデッカードが断りずらくする。

 

ダークデッカード「そう言うことだ。ほら、行くぞ。他の連中が来たら止められちまう」

 

そう言ってダークデッカードは自身の手にマリアたちを乗せると先に入り口の方へ歩きだした。

 

デッカード「あぁ」

 

先に行くダークデッカードにそう答えてデッカードは追いかける。

 

その翌朝、デッカードのデスクにB.O.W.の弱点のデータが入っているUSBメモリとその横に2つの『辞職願』と『謝罪』と書かれた置手紙が置かれているのを冴島たちが発見することになるのだった。


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